「それはそうだ。そのウォーズは私だからな…」
「父さん…!」
「久しいな、康介。」
彼らの前に現れた男ー白夜総三は、康介に近づいた。
「なんで…ここに居るんだよ…!」
康介は、総三に言った。
「とりあえず、中に入って話そう。」
総三は康介と一美を招き入れた。
彼が招き入れた場所は、広々としているが、沢山の機材の山で圧迫感を感じる部屋だった。長椅子に座るよう2人は促され、その通りにした。
康介は動揺を隠さずにいた。死んだと思っていた自分の父親が前にいる…殺人鬼かもしれない人が…
「なんで今まで康介に会おうと…誤解を解こうとしなかったんですか?」
口を開いたのは一美だ。今までにないほど真剣な声と眼差しを総三に向けた。
「…怖かったのだよ、私が人前に姿を現したことで更なる誹謗中傷が康介達に飛ぶことが…だが、これだけは確実に言える。この事件は、私1人が責任を負うべきことではないということだ。」
総三には先程のゆったりとした雰囲気はなく、真面目な趣で話し始めた。
「事件が起きた日、一美君の父である黒夜志呉…総督及び幹部がここの視察に来ていたんだ。」
2010年…
「志呉、前に話した時空転移装置、まだ完成しそうにない…すまない。」
その日志呉達が見に来たもの…それは時空転移装置。この開発に成功すれば過去、未来、更に別世界に行くことも可能とする機械だ。だが、まだ未完成の為人の目に触れない、安全な所に置いていたのだが、その日は視察団に見せる為、あえて外に出していた。
「ケセラセラだよ、総三。時間はまだ十分にある。今は無理でも、いつか必ずできる。」
容姿は大人だが、どこか子どもらしさのある男、黒夜志呉は落ち込む私に言った。
私と彼は中学時代からの悪友だ。私は偉大な学者になる、彼は世界を変える政治家になりたいという夢に惹かれあい、親交を深めた。
それから私達は大学を出るとそれぞれ夢へと進んだ。
私は、様々な研究室で研究を行なったが中々芽が出ず。殆ど雑務ばかりだった。
一方志呉は、順調に功績を残した。若くして入閣し科学者を発展させようと尽力した。何故かと言うと、はっきり言って私の為にだ。もちろん日本全体の科学力を上げるなど色々あるがね。
その姿をみた私は独立し、自らの研究室を創り上げた。最初は人が集まらなかった。が、着実に成果を伸ばす事で人も集まり始め、功績を認められた。
それもあってか、遂にあるものの開発がされる事となった。科学実験都市アトランティスだ。志呉はここの総督に任命され、私も主任になった。
アトランティスは、着実に発展し大きな都市となった。
山を切り開き創った科学の大陸はとても壮観なものだった。
私がそこで二つの研究をした。一つは先程も出た時空転移装置。時間を超越する、これが私の小さい頃の夢だったからね。もう一つは、簡単に武装できる鎧と合わせて使える武器だ。
現在
「当時作られた3タイプ、『X』、『Y』、『Z』のデザインだ。」
総三は2人の前に3枚の紙を並べた。
「これ…ウォーズにそっくりだ。」
康介が手に取った『Z』のデザイン、2本のアンテナに左胸のZライン。色は黒だが明らかにウォーズだ。
同じように『X』には王冠のような頭にXを思わせるような胸の形をしたエレクスのようなものが、『Y』には全体的にスリムで胸にはY字のラインがあるローディに似たものが書かれている。
「ああ、これら3人は私が作ったものだ。これを元に今のエレクス、ローディ、ウォーズが作られた。」
総三は少し自慢げに言った。
「プロトタイプのエレクスは、志呉が実際に使用した事が何度かある。実用までに至らなかったがね…いや、実用化前に事件が起きたから実用化出来なかったの方が正しいか…」
「アトランティス消失の事か…」
康介がそう呟いた。
再び2010年…
別の研究を視察していた私達に大きな揺れが襲った。最初は、地震かと思われた。しかし、大きく鳴り響くサイレンで違う事はすぐに分かった。時空転移装置が始動した事を示しているからだ。
時空転移装置は、時空転移自体可能だったが、範囲を設定出来ない為下手をすれば世界を飲み込む可能性があり使用をしたらすぐに知らせる装置が付いている。
装置のある場所に居ると、『ある研究員』が装置を動かしているのが見えた。
「やめろ!」
先に飛びかかったのは志呉の方だ。研究員は近くにあった工具で志呉の腹部と頭部を殴打、更に緊急停止装置を破壊し逃亡した。
犯人を追う事が本来なら正しいだろう。だが私は彼に駆け寄った。
「大丈夫か!」
この時、私は彼が助からない事を察した。彼もその事は分かっており、私にこう言った。
「町の皆を…子ども達を頼んだ…」
彼は今にも途切れそうな声で言うと、息を引き取った。
他の研究員達もこの事態に私の指示を待っていた。
「ここから脱出する。装置の作動には少しだがラグがある、急げ!」
そう促すと彼らは逃げ始めた。
私は、当時完成していたプロトタイプのウォーズのベルトを手に取り、残された僅かな時間を救済に費やした。
その時に救った中の1人に瓦礫を前に泣き叫ぶ道永がいた。
都市の人口のうち6割は脱出、うち1割は私が救った。だが、残り4割は…
再び現在…
「なんか…一気に話されて頭が弾けそうだ。」
康介はそう言った。
「そうだな。私も話疲れたよ。」
総三は、話している途中で出した温かい緑茶が入っているカップに手を伸ばした。
「俺、ちょっと外に出てくる…」
康介はそう言うと部屋を出た。道永もその後を追って出て行った。
総三は、カップを置くと、一美の方を向いた。
「すまなかった。君の父親を救う事が出来なくて…」
総三は頭を下げた。
「頭を上げてください。あなたが悪いわけではないのだから。」
一美は先程とは違う優しい声で言った。
「君は志呉に似て優しいね。成長した君を見せてあげたいよ。」
2人は笑った。
だが、総三はすぐに顔を変えた。
「今から話す事は、君を深く傷つけるかもしれない…それでも聞いてくれるかい…『本当の真実』を…」
一美は、はいといい総三の顔を見た。
一方、康介は屋上にいた。
「ここが…だからあの時、見覚えがあったんだな…」
「康介、久々の父親との再会はどうだった?」
後ろから道永が声をかけた。
「正直、驚きでいっぱいだよ。それでこの話だろ?疲れるよ。というか、いきなり呼び捨てか。」
康介は、落ち着いているが少し興奮しているような声で返した。
「だって、将来一美と結婚して弟になるだろう?」
道永はさも当たり前かのように言った。
「一美と結婚はしないよ…流石に」
「一美の事が嫌いなのか!!」
道永は一瞬で血相を変えて今にも康介に掴み掛かろうとした。
「違う、一美はもちろん好きだよ。ただ、結婚とかそういうのじゃない。」
その言葉に道永は疑問を持った。どういう事だ?と聞いた。
「そうだな…相棒かな…シャーロックならワトソン、ビルドならクローズ、白飯に味噌汁…みたいな?」
道永はその例えに吹き出した。
「なんだよ。白飯に味噌汁って…まあ、なんとなく分かるけどさ。」
道永は、部屋に戻ろうとした。
だが、振り返り康介を見た。
「これからも一美の事、頼むよ。康介。」
「ああ、分かってるよ。」
康介も、笑って言った。
「あの時、泣き叫ぶ道永の近くに君がいた。」
総三は、重い口を開いた。一美は、そんな物身に覚えないと不思議な顔をした。
総三の目にあの日の道永が浮かび上がった。
「一美!!!!」
「絶対に助け出す!」
私は、倒れた重い看板を一瞬で持ち上げ、道永に行った。それと同時に瓦礫の下に無惨な姿の幼い一美がいた。
私は泣き叫ぶ彼を見てある決心をした。この子を生き返らせる、と。
禁忌に手を出し、私は一美を蘇生した。そして、捜索隊に身柄を託した。
「要するに、君は一度死んでいる。」
総三は一美に信じられない一言を放った。
「道永が…必死に助けようとしてた所に私が来た。だが、君はその時にはもう息はなかった。」
一美は理解できず硬直していた。
「私は、彼との約束を守る為に禁忌に手を触れた。人体蘇生に…君は私が行った人体蘇生によって生を取り戻したんだ。」
総三は、やはり話すべきではなかったか、そう思った。
一美の顔は真っ青に染まり、絶望を浮かべた。
「私が…」
「おい!!」
その時、怒鳴り声と共に道永が割って入り、総三を掴み上げた。
「まさか話したのか…あの事を!!」
総三は、目で頷いた。
「それだけは話すなって言ったよな…一美を悲しませるような事をするなら誰であっても許さんって言ったよな!!」
道永は、総三を棚がある方へ投げ飛ばした。
棚から沢山の物が崩れ落ち、ガラスが割れた。
「…俺は、お前を殺す!!」
道永はローディに変身した。
「待て、道永!」
ローディは問答無用に剣を振り下ろす。
総三はドアのある方に避けた。
後ろには騒ぎを聞きつけた康介がいた。
「何が起きているんだよ。」
「康介は下がっていなさい。」
総三は康介を庇うように立った。
ローディは剣を銃に変え、3発程放った。
敢えて外したとはいえ、総三や康介に当たるところだった。
その行動を間近で見た総三は、自身の身体から何か切れる音がした。
「確かに、君の大切な人に傷をつけてしまった…だが、それを理由に私の大切な人を傷つけようとするなら容赦しない…」
康介はその言葉にはっとなった。
総三は、黒いキーをベルトにセットした。
[Z key!]
そして、そのキーを静かに回した。
[open!][Masked warrior! Z!]
そこに現れたのは、黒い仮面の戦士…プロトウォーズ。
プロトウォーズは、ローディを窓の外へ押し出し、そのまま地上に降り立っていった。
康介は、1人残された一美の元へ駆け寄った。
「何があった?」
一美は震える手で、康介の右手を握った。
「私…生きていちゃ、ダメなのかな…」
本来なら死んでいた。それを禁断の技術で蘇生された。それは、あってはならない事。一美は、一瞬、生きる事が鎖で縛り付けられたかのように窮屈で、怖いものになっていた。
「俺はそれでも一美に生きて欲しい、大切な人だから…」
康介は、そう言うと彼女の手を強く握った。