「そうだ、康介。スペシャルキーを貸してくれないか?」
ひと段落したところで、総三が康介に行った。
「いいけど、壊れているよ。」
康介は不思議そうにキーを渡した。
「大丈夫だ。直しておく。」
そう言うと、総三は部屋を出た。
廊下で総三は、破損しているスペシャルキーを眺めた。
「康介、お前には実験台になってもらう。」
「まさか、ここまでやられるとはな。」
南条は、地面に膝をつきながら言い放った。
「想像以上ね。彼らの強さは。ただ安心したわ。」
ビクトリケーンは、南条の肩に手を置いた。
「あれぐらいの弱さなら、本気の私達に勝てるわけない。」
「想像以上でも、俺達には勝らない、ってか?」
南条が顔を上げると、ビクトリケーンは長髪の女に姿が変わっていた。
「まぁ、今回の負けは仕方ないわ。私達はあくまで『彼らと同じ靴を慣れていないのに履いて徒競走をする』ようなものよ。貴方は、貴方の慣れた靴で戦えば確実に勝つ。」
彼女はそう言った。
「…ここは?」
「目、覚めた?」
彼が眼を覚ますと、見覚えのある女の顔が彼の顔に当たる蛍光灯の光を遮った。
「清宮…?」
彼ー神谷昭彦は、自身が寝ているベッドから身体を起こした。
「うん、神谷君は大丈夫?」
一美は、彼の顔を覗き込んだ。
そこで昭彦は血相を変え一美の肩を掴んだ。
「香は、大丈夫なのか?」
「カオリン…なんで彼女が?」
カオリン…不知火香、一美の親友であり昭彦の恋人である。
「…その反応だと知らないか…」
すると昭彦は、自分のサバイブバックルを手に取り、部屋から出ようとする。
「ちょ!一人でどこ行くの?」
一美が引き止めようとする。
「香を助けに行くんだ!まだ彼女は解放されてない!」
一美は解放という言葉でピンと来た。
「もしかして、水色の仮面ライダーが…カオリン?」
昭彦は、振り払おうとしていた腕の動きを止めた。
「そうなんだよね?だったら、私も行く。」
「…俺一人で十分だ。」
「危険よ!敵は…1人で突っ込んで勝てる相手なんかじゃない。それに…私だってカオリンを解放したい。」
一美は、訴える様な眼で昭彦を見た。
その眼に昭彦は口を開いた。
「分かった、ありがとう。」
昭彦は不器用に笑った。
神谷昭彦、彼を一言で表すなら真面目。
成績は高校二年の頃からトップ3に入る程。それもそのはず、彼は父に憧れ医者を目指しているからだ。彼は医者になる為に小、中学校生活を勉学に注いだ。だが、それが彼を孤独へと誘った。
高校入学してから彼に友人どころか話相手すら居なかった。常に孤独に飢えていた。それらのストレスのおかげで新学期最初のテストの順位に初めて二桁目が現れた。それにより彼は自身更に追い込んでしまい、学校生活すらも辛いものとなっていた。
そんな彼は遂に過剰なストレスによって倒れてしまった。それも誰も通らないような路地で。もはや助かる術はない…そう覚悟した。だが、彼が眼を覚ますと誰かの家のベッドで寝かされていた。彼に救いの手を差し伸べたのは小学校で少し話した程度で高校も同じとはいえ別のクラスの不知火香だった。
「香…必ず助け出す。」
不知火香は彼にとって恩人だ。だからこそ救いたい、そう思うと身体が勝手に動いた。
「うん、カオリンは私達の手で。」
一美と昭彦は、彼の記憶を頼りに敵が潜んでいる拠点の近くまで来た。
「おっと、これより先は入場禁止ですよお客さん。」
彼らの前に、南条翔ともう1人の幹部に乗っ取られている不知火香の姿があった。
「南条…香を解放しろ!」
「…俺に聞かれても困る。返すも返さないのも彼女次第だ。」
そう言うと、香はキーを構えた。返して欲しければ力尽くでかかって来いとそう促していた。
「香は…返してもらう!」
一美はエレクスキーとサファイアキーを構えた。
「必ず…解放する!」
昭彦はドミネートキーを構えた。
「「「変身!!!」」」
南条を除く3人はキーを装填した。
[open!][Blue flame!Brave fire!KAMEN RIDER Sapphire ERE-X!]
[open!][Darkness sword!KAMEN RIDER DUALITY!]
[open!][Victory cyclone!KAMEN RIDER VICTORICANE!]
エレクス、ドゥアリティ、ビクトリケーンがそれぞれ睨み合う。
「はあっ!!」
「康介。」
康介は直ったスペシャルキーを眺めながら廊下を歩いていると、昭彦が寝ていた部屋から道永が飛び出してきた。
「道永、どうかしたのか。」
「一美と神谷を見なかったか?」
「いや、見てないけど…」
「部屋に居ないんだ、2人とも!」
「なんだって!」
その頃、エレクスはドゥアリティと共にビクトリケーンを圧倒し、もう撃破できるところまでになっていた。
「私達の勝ちよ、香を返してもらう!」
[Re open!][Dominate doubles!]
ドゥアリティが、右手に持つ剣をビクトリケーンに突き刺そうと迫る。
『助けて…昭彦…』
その時、ビクトリケーンから香の声がした。その声に気を取られドゥアリティの剣が止まる。
その隙をビクトリケーンは逃さなかった…ドゥアリティを足払いし、転んだところを右脚で蹴り飛ばした。
「手段を選ばない。それが私の流儀。」
ドゥアリティは、昭彦の姿に戻ってしまった。
「卑怯な…」
「卑怯?俺達が大好きな言葉だ。ここからは俺も混ざってもいいか?」
ビクトリケーンの後ろからサバイブバックル-αを装着した南条が現れ、一美に言葉を返した。
「良いわよ、それと、私を貴方と同じにしないで貰えるかな。」
ビクトリケーンは、彼に並んだ。
「ここからは俺のターンだ。完膚なきまで叩き潰す。」
[豪災ノ鍵…]
南条はキーを装填、左手をベルトに添えた。
「変身。」
[施錠…][豪快且厄災…仮面ライダー豪災…]
稲妻が南条の元へと降り注ぐ。稲光と共に翠の牢獄が現れ彼ごと施錠する。
そして、翠色の矢が放たれると同時に牢獄は弾け飛び、新たな仮面ライダーを誕生させた。その名を仮面ライダー豪災、雷撃の弓術士だ。
「さあ、始めようぜ…」
豪災は弦を弾き、エレクスに狙いを定める。
「まずは1人…」
エレクスは避けようと動こうとする。しかし、身体が動かない。
「豪災…今のうちに!」
ビクトリケーンが風の力でエレクスを押さえつけていた。
「なっ…」
雷鳴の矢は放たれ、エレクスにまっすぐ迫る。
避けられない…そう覚悟したその時、前に一台のバイクが止まり攻撃を防いだ。
「大丈夫か、一美!」
ローディだ。その後を追うように翼を広げたウォーズスペシャルが、豪災とビクトリケーンに突撃した。
「兄さん、康介!」
ウォーズはエレクスの前に着陸し、剣を構えた。
「撤退するぞ。」
「待って!」
撤退しようとするウォーズをエレクスは止めた。
「あのライダーは…香だから…昭彦にとっても、私にとっても大切な人だから救いたい!」
その言葉に康介は、分かったと言った。
「道永、豪災を抑えてくれ。一美、俺と香を救うぞ。」
「分かった。」
ローディは追撃しようとする豪災に向かって走り出した。
「ありがとう…」
「行くぞ、一美。」
「うん、私達のプレイにシビれなさい!」
2人は剣を構え、ビクトリケーンに向かって走り出した。
ビクトリケーンはすぐさま迎撃しようと構える。が、それよりも早くウォーズの剣が入り込む。
更にエレクスが続いて剣を振りかざす。
ビクトリケーンは、その場に倒れ込む。
「決めるぞ!」
ウォーズは、剣の持ち手に新たなパーツをセットした。
[Over uniter!][set!]
ウォーズは、マッハ、ファング、ファイアー、ブリザードキーをオーバーユニッターに装填した。
「これで終わりだ!」
ドライバーのキーを回転させ必殺技を発動。
[Re open!][WAR-Z prominence!]
4種類のキーの力が同時に発動、頭身に虹色の光が宿る。
ウォーズは一瞬にしてビクトリケーンの間合いに入り、一閃する。
ビクトリケーンはその場に倒れ込んだ。
変身が解かれ、不知火香の姿が現れた。
「香!」
昭彦が駆け寄った。
その側で別の女が倒れているのが見えた。
康介はその顔に覚えがある。一年の頃から他のクラスなのによく言い寄ってきていた女、西本鷲花だった。
「ここらが退き際か…」
ローディと戦っていた豪災は、鷲花を抱え、雷のようにその場を立ち去った。