仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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第28話 ヒー・ロード

「このまま世界が破壊されたら、道永が死ぬ!」

 

 

「どう言う…事?」

 

一美の額には冷や汗が湧き出ていた。

 

「キーを発動させるには、ライダーの力が必要だ。それも50本も有れば、尚更。」

 

「でも、それだけじゃ黒夜だとは限らないじゃないのか?」

 

昭彦がそう聞く。確かに、これだけならそうだ。父さんがそのキーを発動させてもいい。だが、それを覆す証拠がある。

 

「道永は、死んだ事になっている。」

 

そう、黒夜道永は戸籍上ではあのアトランティスの事件で死んだ事になっている。

 

だとすれば、あの時道永だけ解放しなかったのも合点がいく。今日、この時の為に…

 

「父さんは、道永を最初からこうするつもりだったんだ…アトランティス消失したあの時から…道永を敢えて死んだ事にして…」

 

「そんな…」

 

一美が膝から崩れ落ちた。香はそれを支える様に側に寄った。

 

俺は、今度は扉に体当たりしぶち破ろうとした。

 

「俺も手伝う。」

 

昭彦も、扉の前に立った。

 

 

「「せいの!」」

 

 

 

「道永、こちらの準備は完了した。そっちはどうだ。」

 

この研究所の奥深くにある実験室に道永が1人立っていた。

 

その部屋とガラス窓で区切られた部屋では総三が彼を見ていた。

 

「はい、キーを全てセットしました。」

 

ローディに変身している彼の左腕には50本のキーが全て刺さっている。そして、それらが大きな一つの鍵となっていた。

 

「了解、開始はお前のタイミングでいい。」

 

総三は無線でローディに指示する。その手には、左腕の装置を起動させるスイッチがあった。

 

「分かりました。」

 

 

道永の脳裏には、一美が浮かんでいた。

 

子どもの頃の…そして再会した時の…

 

 

「ありがとう…一美。幸せに生きてくれ…」

 

彼は目を閉じた。もう無念はない…始めよう、そう声を出そうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は…兄さんと一緒がいい!!」

 

彼が目を開けると、一美が左腕を掴んでキーを無理矢理引き抜こうとした。

 

「なんで…ここに!」

 

ローディが総三の方を見ると康介達がいた。

 

 

 

「やめろ!!」

 

俺は父さんの右頬を殴り飛ばした。父親だろうと関係ない、道永を死なせない…一美を悲しませない為に。

 

「康介…」

 

父さんは、その衝撃で切った唇を拭いながら立ち上がった。

 

「なんで…なんでこんな事してるんだよ。」

 

「言っただろ…私は、康介のことが大切だと。」

 

彼はは当たり前だと言わんばかりの声で言った。

 

「俺させ良ければ…それでいいのか。誰かがそれで傷ついてもいいのか…あんたに託された人が!」

 

「ああ…そうさ!」

 

そう言って俺を殴り飛ばした。香と昭彦は俺に駆け寄った。

 

「それに…この事は道永が望んだ事だ。お前にどうこう言われる筋合いはない!康介は…そこで見ていなさい。」

 

総三は、スイッチに手をかけ、それを押し込んだ。

 

 

すると、ローディの左腕が光輝いていた。

 

だがその光は、すぐさま収まり、ローディが吹き飛ばされた。

 

一美の手にはエレクスキーが握られていた。無理矢理引き抜いたのだ。

 

その衝撃でローディは変身解除、気絶した。

 

機械は壊れ、周りにキーが散乱している。

 

「なんて事を…」

 

総三は机を蹴り飛ばした。今度は一美を殴る気だ。

 

「やめろ!!」

 

俺は、父さんを押さえつけた。

 

「なんで…なんでそんな事するんだよ。これじゃ、アイツらと一緒だぞ!」

 

その言葉で、動きが止まった…

 

 

「確かに、黒夜の事や、託されたものも大切だ。ただ、それ以上に康介が大切なんだよ。何故分からない。」

 

「分かるよ!痛いほど…」

 

俺は叫んだ。

 

「でも、あんたはおかしいんだよ…だったら、なんで自分の身を守ろうとしてんだよ…」

 

「自分の身を…?」

 

「ああそうだよ!自分は安全な所で指咥えて見ててさ。」

 

 

俺は言葉を続けた。

 

 

「俺が動いたのは…一美の為だ。大切な一美の…悲しむ顔が見たくないんだよ。」

 

俺を必死に助けてくれた彼女の涙を見たくないから

 

「まだ道永を使って続けるって言うなら…俺は全力で止める。あんたを、『殺して』でも…」

 

 

「…お前の言い分はよく分かった。」

 

 

父さんは口を開いた。

 

 

 

「私は、康介の為にと思ってここまでやってきた。でも、それがお前の大切なものを傷つけると言うなら…ここで終わりにしよう。」

 

 

 

 

その時、後ろから拍手が聞こえた。それも嫌味ったらしくゆっくりと。

 

「いやー実に面白いものを見せてもらったよ。」

 

「南条!」

 

後ろにいたのは南条とホッパー、ダークホッパーの大群だった。

 

「どうやってここまで!」

 

南条は、俺を指差した。

 

「彼らを追いかけてね。」

 

南条は、腕を下ろし、ベルトを装着した。

 

「俺達は、親に捨てられている。売られたと言った方が正しいかな。だから、お前らみたいなのを見てると凄い気分悪いんだよな。殺していいか?」

 

先程とは全く違う低い声で南条は話す。

 

「私怨はその辺りにしなさい。」

 

すると、ホッパーの大群から新たな人が現れた。長髪で翠眼の女、西本鷲花だ。学校で見せていた魅惑の花は、鷲のように鋭く危険な物になっていた。

 

「鷲花。」

 

 

「山田康介とその仲間、白夜総三の計画を止めてくれた事、感謝する。そのお礼に、楽園を差し出すわ…天国というね。」

 

鷲花も、南条と同じサバイブバックル-αを装着した。

 

「変身。」

 

[施錠…][豪快且厄災…仮面ライダー豪災…]

 

南条は、仮面ライダー豪災に姿を変える。

 

 

鷲花は、キーを右手で持ち、それを顔の前で構えた。

 

「変身!」

 

[怪駕ノ鍵…]

 

彼女はキーを装填し、力強く回転させる。

 

[施錠…][怪火ヲ凌駕…仮面ライダー怪駕…]

 

すると、赤い熱風が彼女を包み込む。それが牢獄の様になり、こじ開ける様に斧が縦に一刀両断する。

 

風…それも強烈な熱風を思わせるような身体の各部。深紅の仮面ライダー、怪駕だ。

 

「あの時の…」

 

俺はその姿にピンときた。この世界に行く前に俺を殺したライダーだ。腰に使われた剣を帯刀しており間違いない。

 

 

 

 

「始めるわよ。ここにある全てのキーを回収しなさい。」

 

怪駕は、斧を右から左へ大きく振り回した。すると、猛烈な突風が実験室を襲った。地面に転がっていたキーが全て巻き上がり、入り乱れている。

 

その隙に豪災が既に5本のキーを手にしていた。

 

「変身!」

 

既にキーを所持していた一美はエレクスに変身、豪災の持つキーを奪い返そうと迫る。

 

 

怪駕はゆっくりと康介に近づく。その途中、一つのキーが怪駕の元に落ちてきた。

 

彼女はそれを取る動作をした。しかし、その手にキーはない。

 

「…どこに…」

 

「これのこと?」

 

彼女の取ろうとしていたキーは、香の手の内に収まっていた。

 

「不知火…」

 

「私の身体使って散々悪さしてきたんでしょ?これぐらいいいじゃない。」

 

そういうと香は、ベルトを装着した。

 

「変身!」

 

[open!][Victory cyclone!KAMEN RIDER VICTORICANE!]

 

彼女の身体をまた別の風が覆い被さり、水色の身体を作り上げる。巻き上がる風をイメージさせる頭部を持つ仮面ライダー。勝利と風の名を持つ、その名をビクトリケーン。ここに現る。

 

 

ビクトリケーンは、怪駕へ攻撃を仕掛ける。

 

 

ホッパー達も必死に空を舞うキーを手に取ろうとする。

 

その中で一体が黒いキーを手にする。デスキーだ。

 

「返せ!それは俺のものだ。」

 

そのデスキーを、昭彦は奪い取った。

 

「変身。」

 

[open!][Mad murder…KAMEN RIDER DUALITY…]

 

ドゥアリティは、すぐさま右手に銃を持ち、他のキーを持つホッパー達を次々と撃ち抜く。

 

それにより再びキーが空を舞う。

 

その一つ、グラビティキーがドゥアリティの手に収まる。

 

「これでも喰らえ。」

 

[Gravity key!]

 

グラビティキーの能力を発動させ、周りのホッパー達の重力を大きくし、潰す。

 

 

その混乱の最中、二つのキーがそれぞれエレクスとビクトリケーンの前に落ちる。

 

[Spark key!]

 

豪災の矢の雨の攻撃を交わしながらスパークキーを手に取り、猛烈な電撃を豪災に放つ。しかし、同じ雷属性の豪災には焼け石に水、無意味であった。

 

一方、ビクトリケーンが拾ったのはウォーズキー、彼女はすぐさま康介に渡そうとするが、ホッパーや怪駕の攻撃が邪魔をし動けない。また、彼もホッパーの攻撃を受け危険な状態である。

 

彼女は、別ルートを考える。例えば、誰かを経由して…

 

目についたのは、ドゥアリティだ。付近で戦っていて、尚且つ邪魔がいない。

 

「アッキー!」

 

香は、キーをドゥアリティに投げ渡した。

 

なんだこれと反応したが、どうすれば良いかすぐに分かった。

 

「康介、これを!」

 

彼は、康介が反応したとほぼ同時に投げる。それらは、ホッパー達を掻い潜り、辿り着こうとしていた。

 

 

が、それよりも早くダークホッパーが手に取る。そのダークホッパーは、剣を構え康介に斬りかかる。

 

 

「私の息子に…手を出さないで貰えるかな。」

 

そのダークホッパーの動きが止まった。プロトウォーズに変身した総三が腹部に剣を貫かせていた。

 

手からこぼれ落ちたウォーズキーを手に取り、手渡しする。

 

「ありがとう、父さん。」

 

「礼には及ばん。康介の言葉で目が覚めたよ。」

 

 

そう言ってホッパーの大群に入り込む父の後ろ姿を見ながら、ウォーズはベルトを装着、ウォーズキーとスペシャルキーを構える。

 

「変身!」

 

[I win the battle!KAMEN RIDER WAR-Z Special!]

 

ウォーズスペシャルは、既に拾っていたマッハキー、ファイアーキー、ブリザードキー、ダミーキーをオーバーユニッターに装填。それを剣に刺し、更にファングキーを剣の挿入口に差し込む。

 

[Finally power!][Specialize Sharp slash!]

 

白銀に輝く剣を、ホッパーの大群に振り下ろす。

 

剣は、地割れの様に光を一気に広げ、ホッパー達を爆散させる。

 

 

その勢いで、沢山のキーが地面に散らばる。

 

 

「康介、ここは私に任せて豪災と怪駕を!」

 

「分かった!」

 

ウォーズは、そう言うと翼を広げ、豪災と怪駕に迫る。

 

「何しやがる!」

 

「離しなさい!」

 

そして、2人を抱え上げ外へと持ち込もうとする。2人が暴れる為、身体を安定させれず、狭い廊下を時々身体を擦らせながら外へと進む。

 

それを追うようにエレクス達も行く。

 

 

 

ウォーズは、外へと勢いよく出ると、豪災と怪駕を勢いよく振り落とし、自身も地面に着陸する。

 

その後を追ってきたサファイアエレクス、ドゥアリティ、ビクトリケーンも追いつき、4対2の状況に追い込んだ。

 

「ここでお前達を…叩き潰す!」

 

ウォーズはそう叫び怪駕へと迫る。

 

エレクスとビクトリケーンは豪災へと攻撃を仕掛ける。

 

 

エレクスとビクトリケーンは剣を間髪入れず豪災に叩き込む。右に左に、右と見せかけ上から下から。

 

豪災は防戦一方へと持ち込まれてしまう。

 

普段は軽口を叩き余裕の表情を見せる彼も流石に真剣な表情になっている。

 

彼は彼女達の攻撃を全て凌ぎ、弓の弦を引く。

 

 

 

 

怪駕は、斧を振りかざしドゥアリティを攻撃する。

 

その攻撃でドゥアリティが吹き飛ばされる。その背後からウォーズが剣を突き刺そうと迫る。

 

「読んだ!」

 

彼女は地面に突き刺さったままの斧をそのままに、腰に帯刀していた邪剣を引き抜き、剣を受け止める。

 

先程のパワーのある攻撃が、しなやかな剣舞に代わり、2人を翻弄させる。

 

 

 

豪災は無数の雷の矢を、怪駕は高速の風の剣撃を放ち、4人を地面にひれ伏せた。

 

 

「どうやら俺達の方が上みたいだな。」

 

豪災は、弓を撫でながら言った。

 

ウォーズ達は、地面に倒れたまま、起き上がれずにいる。長引く戦闘による疲労と、圧倒的な力について来れずにいた。

 

「こんな所で…」

 

ウォーズは立ち上がろうと、剣を地面に突き刺す。

 

「これで終わりよ。」

 

豪災と怪駕は、ベルトのキーを回転、必殺技を発動させた。

 

[再施錠…][豪災雷雨!]

 

[再施錠…][怪駕風撃!]

 

 

「全員退場だ!」

 

豪災は弓を4人に合わせ、矢を放つ。

 

それらは、ウォーズ達に一直線で放たれる。

 

 

 

 

その攻撃による爆発が起きる。だが、怪駕はある事に気がつく。

 

攻撃はウォーズ達には一切当たっていない。

 

それらは全て白夜総三…プロトウォーズが受け止めていた。

 

 

チャンスだ…そう思った。

 

怪駕は、神速の剣でプロトウォーズをすれ違いざまに切り裂く。

 

更に彼が回収した全てのキーを奪取した。

 

 

 

 

 

俺にとって、それは信じられないものだった。父親が…目の前で討たれた。敵の手によって…

 

爆炎の中から、父親の身体が姿を表した。しかし、そこに力はなく膝から崩れ落ちた。

 

怪駕は、その身体を見せしめのように俺の方へ蹴り飛ばす。

 

 

 

「父さん!!」

 

 

 

俺は叫んだ。駆け寄ろうとした。

 

父さんは、何かを口にしようとしていた。だが、それよりも早く光の結晶となり、消えてしまった。

 

 

 

俺が触れることすら出来ずに…

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