仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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第29話 ダイ・ワンス

「父さん!!」

 

 

 

彼は叫んだ。駆け寄ろうとした。

 

白夜総三は、何かを口にしようとしていた。だが、それよりも早く光の結晶となり、消えてしまった。

 

 

 

彼が触れることすら出来ずに…

 

 

 

 

康介は、父が倒れていた場所で、下を向き、膝立ちしていた。目に輝きがなく、ただ絶望に打ちひしがれていた。

 

 

怪駕は、総三から奪ったキーを確認し、「後はお前達が持っている11本だけだ。」と。

 

 

「さあ、残りも全て返してもらうか…」

 

豪災は、弓を肩にかけた。その動作にエレクス、ドゥアリティ、ビクトリケーンは身構えた。

 

ウォーズは、立ち上がった。拳に怒りを滲ませていた。

 

「返して、だと?…違うだろ。」

 

ウォーズは、怪駕と豪災を睨みつけてた。仮面で見えないが、殺意のある…復讐鬼の顔をしていることはここにいる誰もが気づいた。

 

「それは…元々父さんが平和のために作ったものだ。こんな悪事に利用しやがって…」

 

ウォーズはゆっくりと歩き出した。剣をいつでも斬れるように構えながら。

 

「許さん…お前達の様な外道極まりない残酷な人間は、地獄にはいかせない。その首を刎ね落として、見せ様にしてやる。」

 

 

そう言って、走り出した。怪駕は剣を突き出す。

 

が、ウォーズはそれを交わし、背中をとる。更に蹴り飛ばし、地面に押し倒す。

 

武器を銃に変え、怪駕のアーマーのない関節部分を至近距離で連射する。

 

そして、左手で掴み上げると、顔面に2発右ストレートを放つ。

 

 

その時、彼の身体に衝撃が走る。

 

豪災が怪駕への攻撃を阻止する為に矢を放った。

 

ウォーズは、静かに豪災の方へ振り向く。

 

怪駕を投げ下ろし、今度は豪災に向かって走り出した。

 

豪災は、動きを止めるべく左手から雷撃を放つ。ウォーズはその攻撃を受けるが、お構なしに飛び上がり、右膝で膝蹴りをする。

 

後退した豪災に、ウォーズは間髪入れずに右ストレートを3回撃ち込み、左手で持っていた剣で斬り裂く。

 

その攻撃で倒れた豪災に、必殺技を発動させようとウォーズは構えた。

 

しかし、それを後ろからの攻撃で防がれた。エレクスだ。

 

「やり過ぎよ。」

 

彼女はウォーズを止めようと攻撃したのだ。彼の肩を持とうと手を伸ばす。

 

 

 

しかし、その手は、その彼によって弾かれた。

 

「邪魔をするな。」

 

そして剣を彼女の喉元に構えた。

 

 

しかし、その恐ろしさに怯えることなくエレクスは、立ち向かった。

 

「仇を討ちたいかもしれない。でも、今は撤退するべきよ。」

 

「うるさい、下がれ!」

 

「下がらない!康介を止める!」

 

ウォーズは、エレクスに剣を振りかざそうとする。

 

しかし、その剣を寸前に止めた。そして、ドゥアリティとビクトリケーンが2人の間に立ち、制止させた。

 

ウォーズは、少し思考し、心を落ち着かせた。そして一美に言われた様手を引こうとした。

 

 

その時、鋭い風が4人を吹き飛ばした。

 

そこには、怪駕が左手で風を操り竜巻を起こしていた。そして、力強く壁に打ちつけた。

 

 

「ここまでの能力を隠し持っていたとはね…」

 

怪駕のその手には、あの時渡された錠前があった。

 

 

「でも、最早それもここまでよ。」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

ドゥアリティが立ち上がりながら聞く。

 

 

 

「もう、貴方達を生かしておく必要はない。全員切り捨てる。」

 

 

そう言うと彼女は、錠前の正面にある鍵穴に、漆黒の鍵を差し込み、回した。

 

 

そして天に掲げ、『何か』を発動させるための呪文のようなものを唱え始めた。

 

 

「永久の闇の力よ。その眼を開き、戦士達を封じよ!」

 

 

その時、錠前から紫と黒の毒々しい煙のようなものが現れ始めた。

 

 

その煙はやがて溢れ出し、怪駕の前にいるライダー達の元へ雪崩のように迫る。

 

「はっ!」

 

正面にいたドゥアリティは、逃げる間も、声を上げる間もなく飲み込まれていく。

 

「嫌!」

 

更にビクトリケーンにも迫る。最初は足に絡みつき、彼女の動きを封じた。そして、じわじわと侵食し腐敗させていく。

 

 

 

2人を飲み込んだ闇は、更にエレクスとウォーズに迫る。

 

 

「一美!」

 

 

ウォーズは、エレクスに闇が迫る直前に突き飛ばし、その場から離れさせた。

 

 

 

その代償に、ウォーズは闇に飲まれ、あたかも最初からなかったかのように消え去った。

 

 

闇は、時間切れか徐々に錠前に衰退していく。

 

 

一美はその様子を倒れたまま見ていた…

 

 

「康…介?」

 

 

 

 

「1人だけ残ったか…だがまあいい。残りは、闇に帰る。」

 

 

怪駕と豪災は、エレクスを見た。

 

 

「そんな…」

 

 

彼女の顔は、仮面に隠れて見えていないが、絶望し、動揺していた。

 

仲間を失い、大切な人までも…死んで…

 

 

しかし、その絶望はすぐさま心の奥底へ隠れていった。

 

 

そしてその足で立ち上がり、剣を構えた。

 

 

「闇に帰った…なのよね?」

 

一美が、俯き気味に怪駕に聞く。

 

 

「ええ、そうよ。」

 

 

 

「と言うことは…」

 

 

エレクスは、敵をその眼で捉えた。

 

 

「まだ死んでいない…という事?」

 

 

「まぁ、正確に言えばね。でもそれも僅かよ。」

 

 

「僅かでも可能性があるなら、私は戦う!帰ってくるまでの時間を稼ぎ、絶対に連れて帰る!!」

 

そう叫ぶように言い、怪駕に剣を向け走り出した。

 

 

「馬鹿ね、貴女。」

 

怪駕も剣を構えた。

 

 

 

「よく、言われるわ!」

 

 

彼女はそう答え剣を振りかざした。

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