仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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これは30話でエレクスが戦闘しているときと同時刻に起きた脱出劇である…先に30話を見ることをお勧めする。


間章 覚醒、天裂く新星

ここは…どこだ。

 

 

何も見えない…何も聞こえない。

 

 

何も感じない、温度も、風も、地面も。

 

 

俺は死んだのか…

 

 

「そうだったな…」

 

 

 

俺は一美を命懸けで押しのけ、あの攻撃から庇った。

 

 

 

それによって救われたかどうかなんて分からない。

 

 

そうであって欲しい…

 

 

 

「康介…」

 

 

その時、女の声が聞こえた。

 

 

「一美?」

 

 

最初はそう思った。しかし、それはすぐに違うと分かった。俺より先に闇に飲まれた香の声だった。隣に神谷がいるのも分かった。

 

 

そして、その後ろで緑にぼうっと光る灯籠がいくつも並んでいた。

 

 

「イチミンは居ないわよ。」

 

 

「そうか…」

 

 

「俺達、どうなるんだろうな。」

 

 

神谷は今までに見たことない程の不安に襲われていた。

 

 

「分からない…」

 

 

『助かる方法ならある。』

 

 

その時、どこからかまた違う男の声がした。

 

 

「誰?」

 

 

『これはウォーズのバックルに搭載されている緊急脱出プログラムの声だ。』

 

 

 

その声はプログラムだが、紛れもなく父さんの声だった…

 

 

『ウォーズ、君はまだ死ぬべきじゃない。』

 

 

「どう言うことだ?」

 

 

康介は聞く。プログラムだから受け答えはしないが。

 

 

『君は選ばれたんだ。あの時から…』

 

 

あの時、恐らく初めてウォーズに変身した時のことだろう。あのバックルが投げ渡され、初めて変身した…

 

 

『だからこそ、君が最後まで戦い抜かなければならない。仮面の戦士として…仮面ライダーウォーズとして。』

 

 

「…」

 

 

3人は黙って聞く。

 

 

『この空間は、財団が開発した一種の捕縛装置兼暗殺装置だろう。これを聞いている間にも君達の生気は徐々に吸い取られている。時間は限られている。そこで手短に話そう。』

 

 

すると、サバイブバックルが弾き飛ばされ、地面に転がった。

 

 

そして、巻かれているライフバックルから、新たなバックルの生成が始まった。

 

 

ほんの数十秒で、それは完成した。黒とオレンジのバックルだ。

 

 

俺が落ちたサバイブバックルを拾うと、声が再び鳴り響いた。

 

 

『それはウォーズ専用に作られたバックル、ノヴァバックルだ。そのバックルの力を解放すれば、この闇を切り裂く程の力を発動できる。』

 

 

「本当!」

 

 

香が喜ぶ。

 

 

その時だった。

 

彼らの背後から、謎の怪物が迫っていた。

 

「そんな事はさせませんよ。」

 

 

「誰だ!」

 

昭彦と香は変身し、構えた。

 

その2人に、異形の怪物は掴みかかった。

 

「康介、早くそれを使って出口を!」

 

香の声で、康介はノヴァバックルで、新たな姿へと変身した。

 

 

黒い光を纏った戦士、ウォーズ・ノヴァへと…

 

ウォーズ・ノヴァは大剣で、空間を切り裂いた。

 

「2人とも!」

 

ウォーズは後ろを見た。しかし、異形の怪物を抑えるので手一杯だった。

 

「康介!先に行って一美を助けろ!」

 

昭彦が言う。

 

「でも…」

 

踏みとどまった康介に、香が言う。

 

「一美を救えるのは、康介だけだから!」

 

その言葉に、康介は覚悟を決めた。

 

「分かった、必ず来いよ!」

 

そう言うとウォーズは、その切れ目を通り抜け、外へと帰還した。

 

その切れ目はウォーズが抜けた後、すぐさま閉じてしまった。

 

 

 

異形の怪物は、その様子を見て諦めたのか姿を霧のように消した。

 

 

 

暗い空間に、昭彦と香は取り残された。

 

 

彼らにはもう座して死を待つしか道はない。

 

 

「死ぬのは怖くないのか…?」

 

昭彦は香に聞く。

 

「大丈夫…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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