仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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ここまでのあらすじ
2020年、卒業式目前で集められた生徒達。彼らに襲いかかった飛蝗の怪人。次から次へと生徒達は命を落とす中、一人の戦士が誕生した。仮面ライダーウォーズ。

ウォーズー山田康介ら生徒達は謎の異界へと連れ去らた。康介は相棒のエレクスー清宮一美と共に行動する。これまで、敵として現れたかつてのクラスメイト達を葬り、仲間を失いながらも前へ進んできた。

彼は、ウォーズ・ノヴァという天地をひっくり返す程の力を手にした。果たして、その力の先に彼は何を見る…


第4章 クローズ・ワールド
第31話 クローズ・ウォーズ


「また…俺だけ生き残った。」

 

雲一つなく、目眩がしそうになるほどの晴天を、窓際から眺めながら康介は呟いた。

 

また…彼は今まで何人ものクラスメイト達を犠牲にして生き抜いてきた。敵として立ちはだかった者を斬り、味方だった者は彼を庇い死ぬ。

 

ここまで生き残ったのは康介と一美、道永、鷲花の四名と思われる。

 

「もう、後戻りはできない。」

 

彼は、立ち上がり、父から託されたノヴァバックルを懐にしまった。

 

「どこへ行くんだ?」

 

道永が、彼の前に立った。彼は左腕を前回の実験で負傷し、しばらく戦闘ができない。

 

「鷲花を倒す。それだけだ。」

 

康介は、道永を避けて歩き始めた。

 

「場所は分かるのか?」

 

「確証はない…」

 

康介は、部屋を出て行った。

 

 

 

 

彼は、マシンウォーリアーに乗り、ある場所に向かっていた。

 

それは数日前、一美が昭彦と共に香を救出した場所。

 

木々に覆われた遺跡のような場所では植物達がまるで本物かのように太陽に葉を向けて伸びていた。

 

ここは、香を助け出した場所であると同時に、ずっと前に殺された仲間、鮫島が息の根を絶った場所でもあった。

 

鮫島が殺された相手は、ユートピアの使者、そして香もユートピアの使者に操られていた。ならこの近くに敵のアジトがあるのでは、そう考えた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一美は屋上で日向ぼっこしていた。

 

ただ呑気にしていた訳ではない。心を落ち着かせ、今まであった事を一瞬だけだが忘れさせてくれる。ゲームのない彼女には、これぐらいしか娯楽が無かった。

 

彼女は、青色のデッキチェアに寝そべり、青々とした空をじーっと眺めている。

 

「一美。」

 

すると、彼女を呼ぶ声がした。道永だ。

 

「兄さん。」

 

彼女は、身体を起こし、兄を招き入れた。

 

「一美は日向ぼっこが好きなのか?」

 

「違うよ。ただ、今はこれでしか身体を落ち着かせれないから…」

 

道永は、そっかと返すと、手すりにもたれかかり、風を浴びるように右手を広げた。

 

「ところで、康介は?」

 

一美は、話題を変えた。

 

「彼なら、怪駕を倒しに行くと出て行った。居場所がわかるらしい。」

 

一美は、真剣な表情になった。

 

まさか、一人で乗り込みに行ったのか…

 

 

彼女は、屋上から降りようと階段の元へ向かった。

 

「やめなさい、一美。ここは康介に任せるんだ。」

 

「…なんで?康介は私の仲間よ、助けに行って何が悪いの?」

 

一美は、道永に詰め寄った。

 

「だったら、康介はなんで行く時一美に声をかけなかった。」

 

一美は、その答えが分からず、考え込んだ。

 

「一美を危険な目に合わせない為だ。」

 

「…だとしても行くよ。私は仲間を放っておけない。」

 

一美は、道永の意見を無視して行こうとした。

 

「俺は、もう一美に危険な思いをして欲しくない…俺を救ったあの時のように…」

 

彼女は、それを聞こえなかった事として立ち去ろうとした。しかし、脚はそれを止めた。

 

「大丈夫、自分の身は自分で守るから…」

 

 

その声を聞いた後、道永から彼女の足音は徐々に小さくなっていった。

 

 

「行ってしまった…か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか…」

 

康介は、先程の場所から少し離れた施設の前にいた。そこの看板にはA-SEC総合本部と書かれていた。

 

アトランティスの役所的な立場を担っていただけあってかなり大きな建物だ。

 

 

中に入ると、教室二つ分くらいの大きな待合室があった。

 

しかし、椅子は全て片付けられ、液晶パネルもボロボロになっている。

 

殆ど何もない薄汚れた壁の部屋ばかりで、手がかりになるような物は何もない。

 

彼は、一階の奥にある電気室に入った。そこも、他の部屋と同じようにそこにあったであろう配電盤などは全て撤去されている。

 

やはりというべきか…そう思った彼の前に、更に扉があった。

 

「電気室の奥にも部屋が…?」

 

金属製のドアノブに手をかけた時、一瞬背筋が凍った。そのドアノブは、予想以上に冷たかった。

 

「何もないといいけどな。」

 

そう言うと、ドアを開けた。

 

 

そこには、小さな黒いソファーと機材が置かれた机と小さな窓があった。

 

そして、そのソファーに女が座っているのが見えた。

 

「ストーカーかしら?そういうのは嫌われるわよ。」

 

女は、立ち上がり、康介を見た。鷲花だ。

 

「悪いが、俺にそう言う趣味はない。それに、お前は俺に散々色目使ってたみたいだが、正直興味なかった。」

 

「それは大胆な告白ね。まぁ、あれは演技だもの、好かれようが好かれまいが構わない。」

 

「演技か…あんた女優志望か?」

 

「南条と同じ事を言うのね。」

 

鷲花は、キーを構えた。

 

「仇は、取らせてもらうわよ。」

 

「仇…お前がそれを言うのか。」

 

康介は、ノヴァバックルを装着した。

 

「お前らは、俺達を使って散々命を弄んできただろ。その行い、悔い改めてもらおう。」

 

[NOVA…SET!]

 

ノヴァバックルの右側のツマミを回し、力を解き放った。

 

[NOVA open!]

 

「変身。」

 

[Destiny more than the space!KAMEN RIDER WAR-Z・NOVA!]

 

 

凄まじい爆発と光と共に、康介はその姿を変える。星雲が、ウォーズの身体を形成していく。その雲が徐々に晴れていくと、青の瞳を持つウォーズの最終形態、ウォーズ・ノヴァを誕生させた。超新星の如く現れた彼に対抗すべく、鷲花も怪駕へと変身する。

 

 

「最終決戦と行こうじゃないか…」

 

 

 




こうして、終わりへの火蓋が切って落とされた…と。2人とも、相打ちになれば、都合がいいのだけどね。
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