仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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第33話 クローズ・ユートピア

風の如く俊敏な斧は、ウォーズの左肩の装甲に力強く降り注いだ。

 

怪駕は、その斧を手前へと引き抜いた。ウォーズの左腕を狙ったその攻撃は、効き目があった、そう錯覚した。

 

ウォーズは、肩の装甲が抉られていた。しかし、すぐにそれは修復され、元の状態へと戻る。

 

「何!」

 

今度は剣を引き抜くと、ウォーズの脇腹を貫くように突き出した。ウォーズはそれを直前のところで刃を握り、剣を手刀で切断した。

 

そして大剣を召喚し、サバイブバックルをその大剣に装着、ノヴァバックルの左側にあるキー、ノヴァリンクキーを引き抜き、サバイブバックルの左側に装着。刃に星のような光が瞬き始める。

 

[NOVA LINK][NOVA・SABRE!]

 

ノヴァ・セイバー、余りにも強大な力を持つ為、ウォーズ・ノヴァでないと操ることのできない剣。星座を象ったようなその剣を右手に軽々と持ち、怪駕を十字斬りをする。

 

怪駕は、後ろに下がり、斧を再び構える。それとほぼ同時にウォーズが大剣に怒りを込めた一撃がぶつかり、火の粉を散らす。

 

「お前達さえ…お前達さえ居なければ、俺達がこんな思いすることはなかった!」

 

大剣で、斧を振り飛ばした事で2人とも素手になったが、間髪入れずに今度は殴り合いを始めた。

 

「勘違いしないでもらえるかしら。どちらにしろ、アトランティスの消失は、私達が関わらなくても起きたのよ。全てこちらに罪をなすりつけないで貰えるかしら!!」

 

「どういう事だ。」

 

康介は腕を止めた。

 

「あの装置を起動したせいで、私達の人生がめちゃくちゃにされた。あれがなければ、家族を失って、悲しむこともなかった!」

 

鷲花は、一息置くとウォーズを見た。

 

「…全部、あんたの父親のせいよ。」

 

「…」

 

「これは、私にとってこの瞬間は復讐のチャンスなのよ。あの時私から全てを奪った白夜総三への…」

 

「だったら…その復讐は、もう終わりのはずだろ。もう父さんは死んだ、これ以上なんの意味があるんだ。」

 

白夜総三は、既に死んでいる。それは紛れもない事実だ。

 

「言ったでしょ、仇だって。南条は、口の軽い奴だったけど、全てを失った私を唯一しっかりと見ていてくれた…ライバルよ。」

 

怪駕は、斧を再び手に持った。

 

「ここでお前を殺して、私は復讐を遂げる!」

 

怪駕は一直線に斧を振り下ろす。

 

「…ざけんなよ…」

 

ウォーズは何かを小声で言うと、怪駕の腹部を容赦なく殴り飛ばした。

 

「ふざけんなよ!!たった復讐如きで、関係ない命まで奪うなよ!鮫島が!恵理が!レイが!忍が!昭彦が!香が!関係ない仲間が、みんな死んでいった!」

 

ウォーズが怪駕の胸ぐらを左腕で掴み上げた。

 

「お前達が苦しい思いをしていたことはよく分かる。でも、それは人を殺していい理由にはならない!」

 

「そう言うあんただって、その何人もの仲間を生き残る為に葬ってきただろ!」

 

怪駕も言い返す。

 

「確かに、それはそうだ。だから分かるんだよ…人を殺して生きる残酷さが…彼らがどれだけ無念だったがな!!」

 

黒い光を纏った拳で、怪駕の顔面を殴り、放り投げた。

 

「だから決めたんだ。あんたを倒し、この戦いを終わらせる!」

 

[NOVA reopen!][WAR-Z drop NOVA!]

 

ウォーズ・ノヴァは、必殺技を発動させた。

 

怪駕はもはや立ち上がるのに精一杯で、防御すらまともに出来ない。

 

「死んで後悔しろ。」

 

超新星の力を纏った拳が、怪駕のベルトを貫いた。

 

その衝撃で変身が解けた彼女の口から、鮮血が吐き出された。

 

そして、捨てられた人形のように地面に倒れ、風でかき消されるように身体が消滅した…

 

最後の幹部の呆気ない最後に、康介はただ立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一美は康介がバイクを降りた場所にたどり着いた。

 

走ってきたため、息を切らしていた。疲れた身体を休める為に彼女は木陰に座り込んだ。

 

 

「この辺りに、いるのかな…」

 

水を少し飲むと、彼を探す為に再び立ち上がった。

 

その時、彼女の後ろの木陰から誰かが顔を出しているのが見えた。

 

「康介?」

 

最初は、違う可能性を考え身構えた。しかし、その正体を知ってから、その緊張を少し解いた。

 

「兄さん…?」

 

そこにいたのは、頭の頂点から足先まで紛れもなく黒夜道永だった。

 

彼は、ベルトを装着しいつでも変身できるようキーが装填してあった。

 

その様子を不審に思った一美は、彼に4、5m離れたところから話しかけた。

 

「なんでここにいるの?」

 

「ダメじゃないか、お兄ちゃんの言うこと聞かなきゃ…」

 

一美の質問に彼は答えない。

 

道永は彼女に近づきながら右手を伸ばし、掴もうとした。

 

「…答えになっていないわ!」

 

一美は、その手を振り払った。

 

「酷いな…お兄ちゃんにそう言うことするんだ…」

 

「するわよ…本当の兄さんじゃないから…」

 

一美は徐々に近づく彼から必死に離れようとする。不気味なその視線に、恐怖を感じた。

 

「そっか…ダメな妹には、しっかりとしつけをしないとね。」

 

ローディに姿を変えた彼は、剣を構えた。

 

「さぁ、まずはどうしようか…大人しくあそこで待ってれば、遊んでから殺してあげようと思ったのにね…一美ちゃん。」

 

「近寄らないで!」

 

ちゃん付けで呼ばれた事に、鳥肌が立った一美は、エレクスに変身、銃を構えた。

 

「これ以上近づくと、撃つわよ!」

 

 

しかし、ローディはその警告を無視して近づく。

 

壁際に追い詰められた彼女は身動きが取れない。引き金を引こうにも、兄と同じ姿であるが故に引けない。身体が震え、力もまともに入らない。

 

このままだとやられる。

 

 

 

彼女は、心の中で助けを願った…

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