仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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第34話 クローズ・ロード

「さぁ、まずはどうしようか…大人しくあそこで待ってれば、遊んでから殺してあげようと思ったのにね…一美ちゃん。」

 

「近寄らないで!」

 

 

「これ以上近づくと、撃つわよ!」

 

 

壁際に追い詰められた彼女は身動きが取れない。引き金を引こうにも、兄と同じ姿であるが故に引けない。身体が震え、力もまともに入らない。

 

このままだとやられる。

 

 

 

彼女は、心の中で助けを願った…

 

 

 

その時、グサッと何かが刺さる音がした。

 

 

それは、ローディの腹部を貫くように刺さっていた。

 

ウォーズのサバイブソードガンだ。

 

「酷いな…康介、仲間だろ?」

 

ローディは言う。

 

後ろには、紛れもないウォーズの姿があった。

 

「悪いな、手が滑っちまった。」

 

彼は、剣を引き抜きローディを一美から遠ざける為に蹴り飛ばした。

 

「で、お前は誰だ?道永じゃないな…」

 

「さぁ、誰でしょうね!」

 

ローディは、剣をウォーズに振り下ろした。

 

2人は、それを避けて下がった。

 

「お前は誰だ!本物の道永をどこへやった?」

 

「本物なら、今頃君のお父さん達と一緒にいるよ。」

 

ローディは残酷な一言を面白おかしく言い放った。

 

「それはつまり…」

 

「そ、もう彼は死んだよ。あの後、君たちが怪駕達に夢中になっているときに…気を失ってたから、抵抗すらしなくて、楽だったよ。」

 

「…」

 

一美は、絶望の余り言葉に詰まった…

 

「お前…一体誰なんだ!あいつらの仲間か!」

 

「…どちらかと言えば、あいつらは仲間じゃなくて、駒の一つだよ。」

 

「何」

 

「まさかウォーズが勝つなんてね。正直怪駕と相打ちになって欲しかったよ。そうすれば簡単に彼女を始末できたのに…ね。」

 

「ふざけるな!」

 

ウォーズは、剣をローディに振り下ろした。

 

「お前も敵なら、ここで殺すだけだ!」

 

ウォーズは、バックルをノヴァバックルに変えた。

 

[NOVA…SET!][NOVA open!][Destiny more than the space!KAMEN RIDER WAR-Z・NOVA!]

 

ウォーズ・ノヴァへと変身した彼は、ノヴァ・セイバーをローディに突き刺した。

 

「道永の姿声を偽って話すのをやめてもらおうか。」

 

ノヴァ・セイバーを突き刺したまま、剣に刺さっているキーを回転させた。

 

[WAR-Z Bigbang!]

 

「僕は死なないよ…」

 

「黙れと言っているだろうが!!」

 

容赦ないウォーズ・ノヴァの必殺技、ウォーズビックバンは、周囲を焼き尽くしながらローディの体も全て消し去った。

 

 

「明日、君が怪駕と会った場所で待っているよ…」

 

 

そう声が2人にははっきりと聞こえた…

 

 

 

 

 

 

 

「一美、大丈夫か?」

 

全ての難が去った後、康介は一美に手を差し伸べた。

 

「あの男は…」

 

「逃げられた…というより、あれは分身だった。」

 

燃え盛る木々を後ろに、2人はその場を後にした。

 

 

 

しばらく無言の間が過ぎていった。兄が死んでいた事を唐突に突きつけられた彼女になんと声を掛ければいいか康介には分からなかった。

 

 

「…」

 

一美も、何かを話そうと口を開くが、思うように言葉に出来ずに時間だけが過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

「面白いものを見せると言っておきながら、やられたじゃないか。」

 

玉座に座っていた男が、前に跪いている男に言った

 

「まさか、怪駕がやられるとは思っていなかったので…」

 

「まあいい…時間は少ない、早急にあの2人を抹殺しろ。」

 

「承知いたしました。」

 

 

跪いていた男は、玉座の間を後にし、右手に握られた錠前を開く。それは、あの時ウォーズ達に使ったものと全く同じものだ。

 

彼の前には、ワープホールのようなものが開かれ、その中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

一美は、実験場に帰還すると、すぐさま兄の部屋へと向かった。

康介は、罠が仕掛けられているかもしれないと一緒に行こうとしたが、彼女の「1人にさせて」の一言で彼はそれ以上何も言わなかった。

 

 

 

彼女は、彼の部屋に入った。そこには、彼の趣味のサスペンス小説の本と一美の幼い頃の写真をまとめてあるアルバムが立てかけてある本棚とモダンカラーのデスクがあった。

 

部屋は何か荒らされている様子もなく、綺麗に整頓されていた。

 

一美は、デスクチェアーに深く腰掛けた。

 

その時、机の右脇にある引き出しに鍵がかかっていた事に気がついた。

 

その鍵はどこかにある様子はない。

 

彼女は、まさかね…と思いながら、エレクスキーを取り出した。

 

エレクスキーをその鍵穴に差し込んだ。

 

エレクスキーはしっかりと奥まで刺さった。

 

「まさか!」

 

キーを回すと、施錠が解除される音がした。

 

その引き出しを開けると、ノヴァバックルとはまた違う新たなバックルと書き置きが入っていた。

 

彼女はその書き置きを読み始めた。

 

 

『一美へ

これを読んでいると言う事は、俺は死んだのだろう。最期まで隣に居てあげられなくてごめんなさい。そのかわり、これを託します。本当は自分で使う予定だったけど、使い所が無さそうなので。これはきっと一美の役に立ってくれるはずだ。最後に、こんな俺を最後の短い間兄として慕ってくれてありがとう。 道永』

 

 

一美の目からは、綺麗な涙が流れていた。

 

そして、そのバックルを見た。

 

「どう見たって…私に使わせる為に作ったでしょ…」

 

泣きながらそう呟いた。

 

そのバックルは、ローディにはないライフバックルを経由して使わなければ使用できないものだ。つまりローディでは使えないと言う事だ。

 

「馬鹿……

 

 

 

 

ありがとう…」

 

 

 

 

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