夜明け前、東側の空が少し明るい頃、康介は1人どこかへ向かおうと西へ歩いていた。
「どこ行くの?」
それを止める声がした。
後ろには朝日に照らされる一美がいた。
彼女は、康介の後ろ姿をずっと見ていた。そして、その影に徐々に迫っていく。
「また、一人で行くの?」
「そういうことだな。」
康介はここで初めて口を開いた。
「一美は、もう大丈夫なのか。」
「うん、それよりも今日は兄さんを偽っていた奴を…?」
「そういうことだな。」
康介は、一美を見た。彼女の泣き疲れた目を見て、言った。
「一美、お前は…」
「私は行くよ。」
康介の言葉を一美は遮った。
「止めても行くよ。私わがままなんだから…」
そういうと先導して歩き始めた。
康介はその様子に、少し口元を緩めた。
「しょうがない。来るなら勝手にしろ。」
昨日と同じように、康介は総合本部の中へと入っていった。一美も置いていかれないよう後ろをしっかりとついていった。
待合所を抜け、奥の電気室へと足を踏み入れた。
「ここに…」
一美はそう呟いた。
康介は前と同じように奥の扉をゆっくり開けた。
そこには、ソファーに座る男の姿があった。
「久しぶりだね、康介君に一美ちゃん。」
「火神麒麟…お前が…」
康介は、気色の悪い彼の目を睨んだ。
赤と黄色の服を組み合わせている彼は、黒い部屋にいてもよくわかった。
「僕は、今までの戦い。全部見てきて。特にウォーズ、あんたは誰よりも多くライダーを倒してきた。すごいよ。ホント」
「お前には分からないだろうな、俺の気持ちは。」
康介は、麒麟にそう言った。
「別に、どうでもいいし。そんなこと。君達は、ゲームのコンピュータに過ぎない。コンピュータ同士で戦わせて、その中で強いのが僕と戦える。そして、君は選ばれた。」
「俺は、そんな児戯の為に仲間を殺した訳じゃない。生き残る為に、そして生き残って彼らの無念を晴らす為に…」
「そういうのはつまらないよ。人殺しはどんな理由があろうと人殺しだし、君の気持ちとかどうでもいいし。」
そういうと麒麟は、前に康介達を襲ったあの錠前を手にした。
「それは…」
「僕の為に作られたロックサバイブバックル。これで僕は最強の仮面ライダーになれる。」
彼はそういうと錠前にキーを差し込み、開いた。
[降魔ノ錠前…]
「変身。」
[激施錠…][降リユク魔ノ力…仮面ライダー降魔…]
彼はバックルにロックサバイブバックルを装填、錠前を閉じた。
そして、恒久の闇が彼の身体を覆う。そして、赤、青、緑、銀の道化師のような面を被った仮面ライダーが姿を表す。仮面ライダー降魔、闇を操りし、最後の仮面ライダー。
「行くぞ、一美。」
2人はそれぞれベルトを装着、キーを回した。
「「変身!!」」
[Destiny more than the space!KAMEN RIDER WAR-Z・NOVA!]
[Blue flame!Brave fire!KAMEN RIDER Sapphire ERE-X!]
ウォーズ・ノヴァとサファイアエレクスはそれぞれ剣を構えた。
「さあ始めよう、闇の最終決戦を。」
降魔は、両手から『闇』を出現させ、2人を掴み上げる。
ウォーズとエレクスはその闇を払い除けようと剣を振るうが、逆にその闇が分裂し、身体に纏わりつく。
纏わりついた闇は、降魔の拳が閉じると同時に爆発、2人の体力を一気に削る。
「一美、大丈夫か?」
「なんとか。」
2人はすぐさま立ち上がり、剣を降魔に向け走らせる。
降魔は闇の攻撃を次々と出すが、彼らは、それらを次々と掻い潜り、懐まで一気に迫る。
ノヴァセイバーが降魔の左腕を斬り裂く。
しかし、降魔は欠けた左腕をすぐさま再生させた。
「何!」
「僕はあの4人のように怪人態を持たない代わりに、闇の力へ極限まで対応した。甘く見ないで欲しいね!」
後ろから迫るエレクスの剣撃を降魔は、闇になり避けた。
エレクスはそのまま光を遮った窓に激突。ガラスが割れ、外の光が差し込み、エレクスのサファイアの身体に反射した。
降魔は、エレクスの居る場所とは反対側に立っていた。
「危ないな…」
そう降魔は呟いた。
ウォーズは、降魔に間髪入れず次から次へと攻撃を仕掛ける。剣では遅すぎる為、格闘術で攻撃を仕掛ける。オレンジのエネルギーを纏った拳を降魔に突き出すが全て避けられ、攻撃が一切当たらない。
「くそっ!何か攻略法は無いのか!」
その時、部屋中に強い光が輝いた。
「なんだ?」
ウォーズは攻撃の手を止めた。
その光はエレクスが発生していた。
スパークキーを使い自ら発光していたのだ。
「康介!今よ!」
その声で再び降魔を見ると、彼は光に狼狽していた。
「光に弱いのか!」
降魔は先程窓から光が刺した時、慌てて奥へ逃げた。その様子を一美は見逃さなかった。
光で彼の動きを止めて、弱体化させれば勝機は訪れると。
[NOVA reopen!][WAR-Z drop NOVA!]
ウォーズは、キックの体勢に入った。身動きの取れない降魔の元まで一気に走り右脚を突き出した。
「これで終わりだ!」
その勢いにエレクスも必殺技を発動させる。
[Re open!][Prism ERE-X lightning!]
「はあっ!!」
エレクスも左脚で降魔を攻撃した。
2人の攻撃が、凄まじい爆発を起こし、闇をも焼き尽くす炎へと変わった…
「フフ…ハハッ…」