第37話 それは二度繰り返す
「お手を煩わせて申し訳ございません…」
「有能な部下に、手助けするのが正しい上司の在り方だ。」
部下らしき人物が部屋を出てから、上司の外国人の男は窓の外を見た。
「1ヶ月前と同じ景色だな。濁った…汚く混ざり合う…」
「俺は、何故ここに…」
暗闇の玉座の前に北川光司は再び姿を現した…というより、『未来を思い出した』。
「絶王…君は誰に殺されたか、分かるかい?」
玉座に座る男は、身体を前のめりにして聞いた。
「山田康介…清宮一美…」
「そうだ。今から、その2人を討伐しろ。それが、作戦成功の基盤となる。」
「承知致しました。」
そう言うと、光司はその場を後にした。
ピピピ…ピピピ…
デジタル時計のアラームが、彼女の部屋に鳴り響いた。
「んん…」
うるさいアラームを止めようと布団の中から手を伸ばし、時計を手に取ろうとするが、中々届かない。
諦め、布団から出た清宮一美は、ようやくアラームを止め一息ついた。
デジタル時計の時刻は9時2分、日付は2月1日土曜日になっている。
彼女は、いつもならそこからもう一度布団に入るが、今日は珍しくベッドから降り、手鏡を見ながら髪を整え始めた。
それもそうだ。今日は数日遅れとはいえ、親友である康介の誕生日を祝う日だった。
本来なら1月25日の予定だったが、冬の時期に似合わない大雨のせいで延期になってしまった。
待ち合わせの時刻は11時。余裕を持って準備を殆ど前日に終わらせておいた彼女は、朝食を食べ終え、着替えると、再び自室に戻りゲームを始めた。
そこから1時間以上、時計を気にする事なくゲームに没頭していた。そんな彼女が画面から目を離したのは、スマホの通知が鳴った時だった。今日待ち合わせている康介から「寝坊するなよ。ちゃんと11時に来いよ」というメッセージだった。
そのメッセージを見た彼女は、時計を見た。指す時刻は10時40分、すでに待ち合わせの時刻まで20分を切っていた。
「やば!」
彼女は、持ち物が全て入った手提げ鞄を持ち、部屋を飛び出していった。
自転車を漕ぎ、急いで待ち合わせの駅前公園まで風の如く走った。
駅前公園の近くの駐輪場に自転車を停めたのが2分前、そこから大急ぎで走って、待ち合わせ時刻の10秒前にギリギリ到着した。
待ち合わせの場所では、康介がやっぱりなと言う顔でぜぇぜえ息を吐く彼女を見ていた。
「おつかれ、水買ってこようか?」
康介は、彼女に気遣いで水を買おうとしたが、「いらない」と言う返事に少し残念な顔をした。
鞄の中から水を取り出し、それを一気に半分くらいまで飲み干すと、ようやく呼吸が戻った。
「じゃあ、行こっか。」
一美は、立ち上がり彼を見た。
しかし、そこで彼の動きがまるでマネキンの様に動かなくなった。康介だけじゃない。周りをゆく人皆。空に浮かぶ雲も、冬の乾いた風も…
「…」
そして一美も……
ピピピ…ピピピ…
デジタル時計のアラームが、彼女の部屋に鳴り響いた。
「んん…」
うるさいアラームを止めようと布団の中から手を伸ばし、時計を手に取ろうとするが、中々届かない。
諦め、布団から出た清宮一美は、ようやくアラームを止め一息ついた。
デジタル時計の時刻は9時2分、日付は2月1日土曜日になっている。
彼女は、いつもならそこからもう一度布団に入るが、今日は珍しくベッドから降り、手鏡を見ながら髪を整え始めた。
それもそうだ。今日は数日遅れとはいえ、親友である康介の誕生日を祝う日だった。
本来なら1月25日の予定だったが、冬の時期に似合わない大雨のせいで延期になってしまった。
待ち合わせの時刻は11時。余裕を持って準備を殆ど前日に終わらせておいた彼女は、朝食を食べ終え、着替えると、再び自室に戻りゲームを始めようとした。その時、机の上に水色の箱と何に使うか分からない鍵が四つほどあった。
「何これ?こんなものあったっけ?」
彼女は不意に金色の鍵を手に取った。
その時、彼女の脳に響く様に『記憶』がのめり込んできた。
アトランティス…黒夜道永…サバイブバックル……
そして仮面ライダーエレクス。
「えっ…私…なんで
彼女は、前回の記憶を思い出した。まるでゲームを前回のクリアデータを引き継いで始めたかの様に…
サバイブバックル、スパークキー、ウォーズキー、マッハキー。エレクスとウォーズが使っていたキーが何故ここに…
彼女は、怖くなった。なんで自分が生きているのか、なんでキーやバックルがここにあるのか、なんで『2月1日』に戻っているのか…
一美は急いで鞄を持つと家を出た。前よりも焦った。大量の冷や汗で額を濡らし、自転車を漕いだ。
彼女が待ち合わせの場所に着いたのは10時にも満たない時間だった。
とにかく康介が生きているか確かめたかった。こんな早くに来てでも…
しかし、まだ康介はいない。流石にまだ来るわけないかと一呼吸おいた。
「一美にしては早いじゃん。」
その時、後ろから聞き覚えのある声がした。
彼女が後ろを振り向くと、いつもの姿をしている康介だった。
「なんでこんなに」
康介は、彼女が何故こんなに早く待ち合わせ場所に来ていたのか気になり、聞こうとするよりも早く一美は康介に人目も憚らず彼に抱きついた。
「よかった…よかった…」
何がよかったのか…唐突に抱きつかれた康介は完全に困惑していた。周りの人もその様子をじーっと見ていた。
「か、一美ちょっと離して…苦しい…」
「あ、ごめん…つい…」
彼女はある事を感じた。「康介は記憶を取り戻していない」という事だ。もし知っていたら今の意味が分かるはず…
「ついって…まぁいいや。せっかく早く集まったんだから早く行こう。」
「そうだね。」
2人は、目的の場所へ向かおうとしたその時、背後から悲鳴が聞こえた。
何事かと皆悲鳴を上げた1人の女性を見た。
そこには、彼女に手を伸ばし襲い掛かろうとするホッパーの姿があった。
その光景を目の当たりにした市民は、他人の事など考えずスーパーボールが弾ける様に逃げ惑い始めた。
「一美、俺たちも逃げるぞ…?」
康介も、一美の手を引き逃げようとした。
しかし、彼女は動こうとしない。彼女の手には、サバイブバックルが握られていた。
「康介は先に逃げてて!」
サバイブバックルを装着した一美は、康介の前に立ち、逃げる様促した。そして、キーを構えた。
誰もが未知の生物に怯えて、逃げ惑う中、彼女はそれに動じず、まるで歴戦の勇者の様な立ち姿で、「変身!」と叫んだ。
[ERE-X key!][open!][Lightning goddess!KAMEN RIDER ERE-X!]
彼女の身体は、黄金色の光に包まれ、雷鳴の女神の異名を持つ戦士、エレクスに姿を変える。
サバイブソードガンを取り出した彼女は、増殖するホッパー達に向けた。
「行くわよ…」
電撃を帯びた剣は、ホッパー達を次々と薙ぎ倒していく。剣を振るうたびに、雷が落ちた時の様な轟音が鳴り響く。
そして、その様子を建物の陰から康介は見ていた。今の彼には一美が見たこともない姿で戦っている事が信じられなかった。
「一美…まるで仮面ライダーみたいだな…」
彼がそう例えた直後、彼女の後ろからホッパーとは別の敵が現れた。氷の様な透き通った青の装甲を身につけた仮面ライダー、仮面ライダー絶王だ。
「久しぶりだな…エレクス。」
その氷の様に冷たく暗い声にエレクスは彼に目線を向ける。
「…何故こんな事を?」
「当然さ、俺たちの計画を無茶苦茶にしたお前らを始末する為にはな!!」
絶王は、そう言うと身の丈ほどの槍を構えた。エレクスはそれを剣を構え、対抗しようとする。
その槍は、剣が振るわれるよりも早くエレクスの身体を貫く。
いくら一度戦った相手とはいえ、武器のリーチがこちらの方が不利、こちらの剣が届くよりも早く槍が振われる。
そしてついにエレクスの装甲が耐えきれず、変身が解除されてしまう。
彼女が持っていたキーが地面にばら撒かれ、一美は、タイルに叩きつけられた。
「これであの時の復讐は果たせるな。」
絶王は、槍を彼女の心臓に向けた。
「…このキー、どこかで…」
一方、康介は自分の目の前に落ちたウォーズキーを手に取った。
「さぁ、死んでもらおうか!!」
一美は死を覚悟した。絶王は、槍を突き刺そうと腕を振り下ろす。
しかし、その直後、ドスンと何かがぶつかる音がした。絶王は、一瞬ふらつき、地面に足をついた。
彼女の目の前には、ウォーズキーを握りしめた康介が立っていた。
「康介…逃げてなかったの?」
「…男が、女を置いて逃げれるか…それに、コイツらは俺たちにとって因縁の相手だ。だったら尚更逃げる気はないな。」
「ぐっ…貴様も記憶を取り戻したか…」
絶王が、再び立ち上がった。
「一美、バックルを!」
その康介の声で一美はバックルを康介に投げ渡した。
「変身!」
[WAR-Z key!][open!][Masked warrior!KAMEN RIDER WAR-Z!]
緑の装甲が現れ、それらが装着されていく。康介の身体は、仮面の戦士、仮面ライダーウォーズへと姿を変えた。
「誰が変身しようが、殺すだけだ!!」
絶王は、槍を再び突き出す。
ウォーズは、それを華麗な身のこなしで後ろへ避ける。
そして、残りのキーを拾い上げると、ベルトにマッハキーを装填した。
拳を構え戦う素振りを見せたウォーズ。しかし、その脚は次の瞬間一美を抱え風の様にその場を去っていった。
追いきれないスピードで逃げられた為、絶王は追跡をやめた。
「次こそは、必ず…」
そう誰もいない公園で捨て台詞をはいた。