仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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第38話 戦場に一筋の光

「一美、大丈夫だったか?」

 

 

変身を解いた彼は一美に聞く。

 

 

「私は特に…というか、なんで逃げたし。」

 

彼女は、康介の目を見た。

 

「戦略的撤退と言って欲しいな。どちらにしろ、今の俺達と絶王は力の差がありすぎる。勝ち目はない。」

 

「確かに、残念だけどそれもそうね。せめてサファイアキーとスペシャルキーが有ればね…」

 

絶王、あの世界で2人がそれぞれ強化された姿で協力して初めて倒せた相手だ。今、バックルが一つしかなく、尚且つ使えるキーも限られている。格上の彼に勝てる道は無いも同然だった。

 

「せめてこいつ(バックル)が2つ有れば話が多少変わるんだけどな…」

 

康介は、手に持ったバックルを、一美に返すと言って右手に持たせた。

 

 

「…ところで、さっきから気になってるんだけど…」

 

一美は、康介の顔を覗く様に目を見開いて肝心な事を聞く。

 

「なんであの世界の記憶を取り戻しているの?」

 

それもそうだ。彼はついさっきまでここまでの記憶が無かったはず…

 

「…俺も、なんで思い出したのかは分からない。ただ、ウォーズキーを手にしたら、泉が湧き出す様に感じた覚えのない…というより元の未来で感じた事が蘇ってきた。」

 

「そういえば、私もエレクスキー触ったら記憶が戻ったのよ…もしかして、自分が使ってきたキーを触ると記憶が戻るのかな?」

 

「という事だろうな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら彼らは記憶を取り戻した様だな。」

 

玉座に座る男がそう言った。

 

「はい、ですがバックルは一つで強化アイテムもない様なので作戦に支障はないかと。」

 

立膝をついた北川光司は、そう言い放った。

 

「分かった。後は任せる。」

 

そう言うと玉座の男は闇の中に姿を消した。

 

 

「大言壮語して、大丈夫なのかしら?」

 

彼の後ろから西本鷲花が言った。

 

彼女の後ろには南条翔と東雲早苗の姿もあった。

 

「俺はこの任務を成し遂げ、あんた達を超えてやる。」

 

光司は鷲花と翔を睨みつけ、その場を後にした。

 

「貴女も、そんな所で立っている余裕はないんじゃない?」

 

鷲花は振り向きもせず、後ろの早苗に言った。彼女はその言葉には何も反応しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、康介は月明かりに照らされるベランダでウォーズキーを眺めていた。

 

何故ウォーズキー含め4種のキーとサバイブバックルは一美の部屋に現れたのか…俺じゃなかったのは何故か…

 

そんな事を考えているうちに、身体が冷えてきたのか、鼻がムズムズしてきた。久々の寒さで風邪をひきそうだ。

 

部屋に入って灯りをつけるのと同時に、自分のスマホから着信音が鳴った。ディケイドの変身待機音にしてある為時々玩具が誤作動しているのと勘違いしそうになるが、今日は電話だと気づいた。

 

相手は非通知だった。最初は切ろうかと考えたが、直感がそれを許さなかった。

 

通話ボタンを押し、スマホを耳に当てた。

 

「もしもし。」

 

「……サバ、、…。」

 

そこで聞こえたのは、酷いノイズ音とサバという言葉だった。

 

「サバ…?おい。いたずらか?」

 

「明日の10……公園……、。待ってい…。」

 

悪戯と思い切ろうとした時、声が聞こえた。酷いノイズで具体的な事が全くわからない。強いて言うなら声が男であった事くらいしか分からなかった。

 

「おい、待て!」

 

そう声を出したのと同時に電話が切れてしまった。

 

「まさか…財団か?」

 

康介はこの少ない情報から敵の誘導作戦ではと思った。明日の10時?にどこかの公園で決闘でも申し込んだのだろう。

 

彼はそう推測すると、すぐ様一美に連絡をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝早くから2人は地域中の公園を手分けして探し回った。しかし、いくら探し回っても財団どころか怪しい人間は1人も居なかった。

 

そして、いよいよ10時になろうとしていた。残るは後一つ。

 

その公園近くの神社にて合流した2人は一緒に捜索しようとしたその時、彼らは現れた。

 

「ようやく見つけたぞ…」

 

絶王は、多数のホッパーとダークホッパーを引き連れ彼らの前に現れた。

 

「誘導作戦とは、よく考えた割には伝え方が雑なんじゃないか?」

 

「誘導?なんの話だ?」

 

絶王は、誘導についてどうでもいい素振りをし槍を振り下ろした。

 

「康介、下がって!」

 

エレクスに変身した一美は、剣で氷を纏った突きを跳ね返した。

 

「こいつを使え!」

 

康介はマッハキーを取り出し、エレクスに投げ渡した。

 

「サンキュー!」

 

それをうまく手に取った彼女は、そのまま滑る様に剣にキーを装填した。

 

[full open!][Sonic slash!]

 

疾風の如く走る剣先が、絶王の装甲に次から次へと攻撃を繰り出す。

そして、最後の攻撃を繰り出そうと剣を突き出した。

 

が…

 

「そんな攻撃、見破る事など容易い。」

 

絶王は剣が自身の胸を貫くよりも早く槍を彼女の左肩に突き出した。

 

その攻撃にエレクスは悲鳴をあげ、生えている大木の一つに身体を打ち付けられた。

 

「一美!」

 

康介は、その様を見ていられなかった。

 

「俺にも…力が有れば…」

 

彼は拳を強く握った。

 

その間にも絶王は彼女にじわじわと近づいていた。

 

槍を構え、その喉元に突きつけようと。

 

その時、康介にはあるものが見えた。

 

 

絶王はついに彼女の前で立ち止まった。そして身体を大きく振りかぶった。

 

やられる…そう覚悟した彼女は仮面の中で目を瞑った。

 

 

キン…

 

 

 

その時、目の前で鳴り響いたのは剣と槍が交わる音だった。

 

そこでは康介が先程エレクスが落とした剣を使って、槍を塞いだのだ。

 

「ふざけた真似を!」

 

「ふざけているのはそっちの方だ。散々人の命を弄んでおいて今度は時間を巻き戻してなかった事にしようとするなんて…」

 

康介は、両手で剣を持った。

 

「俺達はお前らには二度と屈しない…この平和を守るため…二度と自分達の様な人達を出さない為に!!」

 

その言葉に逆上した絶王は、槍を地面に突き、氷柱を2人の立つ地面に発生させた。

 

しかしこれも塞がれた。氷は叩き割られ、2人の目の前にはローディの姿があった。

 

「遅くなった。」

 

「道永!」「兄さん!」

 

ローディは、左手に持っていたものを康介に渡した。ウォーズ用のサバイブバックルだ。

 

「これを。」

 

「ありがとな。」

 

康介は、それを腰に巻き、キーを構えた。

 

「変身!!」

 

[WAR-Z key!]

 

彼はキーを回転させ、変身を発動した。

 

[open!][Masked warrior!KAMEN RIDER WAR-Z!]

 

グリーンのラインが彼の身体を覆った。そして、顔は青の複眼と翠の仮面、黒のアンテナへと変化し、左胸には特徴的なZのラインが浮かんだ。

 

仮面ライダーウォーズの登場だ。

 

「これ以上、お前達に運命を弄ばせない!」

 

「私達のプレイにシビレなさい!!」

 

3人は、それぞれが得意とする技で攻めかかった。

 

まずローディが空間に道を作り、回避する方向をなくし、背後に回った。

 

そのローディに夢中になっている絶王は、エレクスの電撃を纏った手刀を受けてしまう。更にローディが回し蹴りし、絶王はウォーズの元まで転がってしまう。

 

「これでも喰らえ!」

 

両手にサバイブソードガンを持ったウォーズが次々と絶王の身体を斬り裂いていく。

 

ついに絶王は立ち上がるのが精一杯なところまで追い詰められてしまう。

 

「一気に決めるぞ!」

 

3人はそれぞれキックの態勢に入った。

 

[再展開!][ROAD-Y exceed!]

 

[Re open!][ERE-X lightning!]

 

[Re open!][WAR-Z drop!]

 

 

絶王が顔を上げると、すでに3人は空中にいた。ローディは左から、エレクスは正面から、ウォーズは右から迫ってきた。八方塞がりの彼はそれを喰らうしかなかった。

 

 

 

そして、彼はその攻撃を喰らい爆発した…

 

 

 

 

 

 

「奴は死んだのか?」

 

玉座の間でこの様子を見ていた翔が呟いた。

 

「いや…彼はまだ生きている様だ。」

 

 

その事を示すかの様にウォーズ達が必殺技を放った場所には、氷の結晶が降り注いでいた。必殺技を受けるコンマ1秒の間に氷の身代わりを作り逃亡したのだ。

 

 

「残念だ…実に都合が悪い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「道永、なんでこんな所にいるんだよ?」

 

変身を解いた3人は、向かい合った。

 

「昨日連絡しただろ?サバイブバックルがなくて大変だから10時にこの神社の近くの公園で待ってるって。」

 

「えっ…」

 

一美は康介を見た。

 

康介は、確かに言われてみれば、そんな事を言っていたかもしれないという顔をした。

 

「でも、ノイズがひどくて…」

 

「ああ、それは俺がスマホに慣れてなくて、うまく話せてなかったからだ。もしかしてよく聞こえてなかった?」

 

「はぁ…しょうがないか。」

 

「しょうがなくないわよ!そのせいで朝早くから起きて無駄に走らされたんだから…」

 

 

3人はその後、いろんな事を和気藹々と話しながらその日を過ごした。

 

 

 

 

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