[ただいま!!]
俺はいつも通り家に帰ってきた。いつもなら母が「お帰り」と言ってくれるが、その気配は全くなかった。
俺は、二階にある自分の部屋にランドセルを置き、下に降りた。そしてリビングでテレビを見ようとドアを開けた。そのドアの先では、母がテレビを前に涙を流していた。
俺は最初、メロドラマを観て泣いていると思った。しかし、そのテレビ画面を見ると、ある山の一角が削れ、無くなっている様子が映し出されていた。
[今、何が起きたか理解できません。ただ唯一わかることは、科学実験都市アトランティスが消えてしまった事です。]
アトランティス、それは俺にも聞き覚えがあった。そこでは俺の父さんが責任者として働いていた場所だ。
俺はこの状況がようやく理解できた。
「父さん…]
「はっ!…ん?」
俺が目を覚ますと、部屋の窓から朝日が差し込んでいた。
「康介、うなされていたぞ。」
俺の隣にいた鮫島が言った。
「ああ、悪い夢を見ていたさ。父さんの…」
俺は父さんのと言いかけた。
「…アトランティスの夢さ…」
「アトランティス…あの科学実験都市か。俺もあそこにはあまりいい思い出はなくてね。」
鮫島は、少しだけ過去の話を始めた。
「俺の祖父母がさ、アトランティスに住んでいたんだよ。だが、あの惨劇に巻き込まれて生死不明。まぁ、気にしてることではないけどな。」
鮫島は鼻で笑う様に話した。
「そうか…」
俺は布団から抜け出し、洗面台に向かった。
今日、私はいつもより早く起きてしまった。いつもは9時まで寝てるのが普通。だが、今日は何故か目が覚めてしまった。私はふと目に違和感がある様に感じ、目を擦った。すると、目の周りが少し湿っていた。
「汗かな…」
私は身体を起こし、窓を開けた。そして、服を寝巻きから普段着に着替え、一階に降りようとした。
その時、窓の外から視線を感じた。
「誰!!」
私は咄嗟に後ろを振り向いたが、誰も居なかった。
私は改めて下に降りると、丁度康介が洗面台に向かっていた。
「おはよう。」
康介が私に言った。
「おはよう。」
私は、康介に言い返し、リビングに入った。
「アトランティス…か」
鮫島はそう呟いた。
アトランティス…どこかで聞き覚えがあった。ただ、思い出したくなかった。何故か分からないが。
太陽がが南東の空に見える頃、鮫島は、康介達に「夕方までに帰る」とだけ伝え拠点を離れた。
鮫島は、常に人と距離を置く。人との関わりがどちらかと言えば苦手であり、人と話すとどうしても辛く当たってしまう。そんな彼の高校生活が始まってから最初に友人になったのが康介だった。互いに変わり者同士であるためか引き寄せられ、今では鮫島が心を許す人物となっている。
今日出掛けたのも、1人になりたかったからだ。
鮫島は全く気がついていないが、鮫島の後ろを怪しい人影が横切った。
その人影は、気弱そうな男であり、目の色が黒目ではなく灰色だった。
「メガロドン…その終焉は近い。」
その男の声は高く、明らかに女の声だった。
鮫島は、ただひたすら道を歩いて進んだ。
「…にしても、本当に何もないな…」
鮫島は辺りを見回した。周りの建物のほとんどが植物に覆われ、壁にヒビが入っていたが、そんな中に一際目立つ建物があった。その建物だけは、明らかに手入れされているほど綺麗なものだった。
「なんだ…?」
鮫島はその建物に少しずつ近づいた。
その建物の札にはこう書かれていた。
[A-SEC総合本部]
「A-SEC…まさか…そんなことがあり得るのか?」
鮫島はA-SECの名を見て、信じられないという顔をした。そして、目の前の総合本部に入っていった。
中は、ほとんど何もなかった。机や椅子があったであろう場所や、何か重要な物が保管してあったであろう場所全て何もない空っぽの部屋になっていた。ただ一部屋を除いて…
「…物が消えてる…ここはもう何もないのか…ん?」
鮫島は、二階の奥に扉が少しだけ空いている部屋があるのに気がついた。
「あそこは、見てないはず。」
鮫島は、その扉の前に立ち止まった。
鮫島はふと、嫌な予感がした。扉のドアノブを手にする前にバックルを装着した。
「誰も…居ないよな。」
鮫島はそう呟くと、扉を開けた。
「な…なんだこれ…」
扉の中には、様々な物が保管されていた。
その中でも特に目立っていたのは赤のバックルだった。基本の構造は彼らがつけている水色の物と同じだが、どこか禍々しく感じる物だ。それに、周りには銀、翠、紅、蒼のスタイルチェンジキーと、カードキー型のアイテムが金と青でそれぞれ一つずつあった。
「まさか、ここで作られて…、」
その時、鮫島は初めて後ろに人が居るのに気がついた。
「…これはなんだ!」
鮫島はそう言いながら振り返った。鮫島の後ろにいたのは先程から追いかけていた青年だった。鮫島はその姿を見て一瞬安堵した。
「…お前か…居るなら言ってくれれば…」
「変身…」
[open!][Sky calamity!KAMEN RIDER WHETHER!]
その青年は、仮面ライダーへと変身した。その姿はウェザーの名に相応しく天候を司るゼウスの様な姿をしており、オレンジと金の中間の色をしていた。
「ぐっ…騙されたか!」
鮫島は、メガロドンに変身した。そして、ファングキーをセットし、ここにあった6つのキーを奪い取った。そして、壁を突き破り、外に脱出した。
日が暮れた地上をメガロドンは水中を泳ぐサメの如く駆け抜けた。
しかし、それ以上に早くウェザーが迫った。
ウェザーは、メガロドンに追いつくと、すぐさまサバイブソードガンのソードで攻撃を仕掛けた。ウェザーの剣は光を帯びると、メガロドンを斬り裂いた。
「ぐはっ!」
メガロドンは咄嗟に手に取ったキーをウェザーの攻撃で落としてしまった。ウェザーはそれを一つ一つ手に取った。
「鮫島拓真、お前のストーリーは終わりだ。」
ウェザーはそういうと、ベルトにシアンカラーのキーを挿した。
[Blizzard key!]
メガロドンは本当に終わりだと感じ取り、その場を去ろうとした。
が、その足をウェザーはブリザードキーの力で凍結させた。
「俺は、まだ死なない…死にたくない!」
鮫島はそう叫んだ。しかし、その言葉はウェザーには響かなかった。
[Re open!][Freeze storm!]
ウェザーは氷の竜巻をメガロドンに放った。
「遅いな…」
その頃、康介は鮫島が日が暮れても帰ってこないことを不審に思った。
「どうせ一人でいたいからわざと帰ってこないんじゃない?」
一美はそこまで彼のことは気にしていなかった。
「…だとしてもおかしい!」
康介は勢いよく立ち上がった。
「一美、探しに行くぞ。」
康介は一美に探しに行くことを提案した。
しかし、一美はとても嫌そうな顔をした。
康介はやはりと思ったが、流石に夜に女を一人残していくのは危険だと感じた康介は一美の手を無理矢理引っ張って外に出た。
「ちょっと…」
一美は立ち上がるときだけ抵抗したが、玄関を出る頃にはなんだかんだで康介について行っていた。
康介はマシンウォーリアーを召喚すると、一美を後ろに乗せて常闇の中を走り出した。
しばらく走ると、康介達の前の方で動く影があるのを見つけた。
「なんだ?」
康介は確認のためにバイクを止めその影の方へ行くと、鮫島が倒れていた。鮫島の身体は凍傷がたくさんあり、顔色も青冷めていた。
「鮫島!」
康介と一美は駆け寄った。
「…もう無理そうだ…お前にこれを渡す…」
鮫島は、康介にある物を渡すと消滅してしまった。
「鮫島…」
一美が残念そうな声で言った。
康介の手には、あの部屋にあった金色のカードキーとファングキーが固く握り締められていた。