ギャラクシーエンジェルⅡ ~失われた英雄と心に傷を負った天使~   作:ゼクス

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「ふぅ~、結構良い気晴らしになった」

 

 ピロティに向かうエレベーターに乗りながら、カズヤはルクシオールの中を散歩していた時の出来事を思い返す。

 

(宇宙コンビニの『シャンクス』に言ったら、ナノナノと会ったんだよなぁ)

 

 カズヤが最初に向かった場所は、ルクシオール内に設置されている宇宙コンビニ『シャンクス』。

 丁度其処では『デリシャスバー』と言うお菓子の無料試食期間が開催されていて、ナノナノはそれに惹かれてコンビニに来ていたのだ。

 懐かしいお菓子にカズヤも惹かれて試食に参加し、沢山の種類があるのと初めて見るせいで中々選べなかったナノナノには……。

 

(チーズ味を勧めたんだよね。他のナットウ味は通には好みだけど、ナノナノは苦手そうだったし。辛いのも苦手だって言っていたからメンタイコ味も駄目だと思ったから)

 

 その選択は正しかったらしく、ナノナノは嬉しそうにチーズ味の『デリシャスバー』を食べていた。

 

(その次には何と無しにトレーニングルームに行ったんだなぁ。そしたらそこでは、アニスとランファさんが手合わせしていたんだっけ)

 

 カレーショップでの約束を果たすと言うように、ランファとアニスはトレーニングルームで勝負を行なっていた。

 勝負の結果はアニスの敗北。この結果にアニスの実力を知っているカズヤは驚いたが、同時に流石は元『ムーンエンジェル隊』の一人だとランファの実力に感心した。

 

(でも、勝負の後にアニスがランファさんの事を『姐さん』って呼びだしたのは、本当に驚いたな)

 

 それだけアニスがランファの事を慕っていると言う証拠ではあるが、複雑そうな顔で苦笑いをしていたランファを見たので、カズヤも苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

(他にもティーラウンジでリコやナノナノと楽しくケーキを食べながらお茶したりとかもしたし、楽しかったなぁ)

 

 そう思い返している内にエレベーターが止まり、カズヤはピロティに足を踏み入れた。

 

(あれ? みんなだ?)

 

 ピロティを見回してみると、其処にはリコ、ナノナノ、アニス、ミモレット、そしてランファが集まって何かを話し合っていた。

 

(何やってるんだろう?)

 

 気になったので足をカズヤが向けると、彼方も気が付いたのかミモレットが声を掛けて来る。

 

「あっ! カズヤですに」

 

「随分と大勢で何やってるの?」

 

「ご主人様の事で話し合っていたんですに」

 

「カルーアの事で?」

 

 まさか、皆が集まっていた理由がカルーアの事でとは思ってなかったカズヤは驚いた。

 

「ええ、あんな事があってかなりショックを受けてると思うの。ちとせの方はさっき様子を見て来て、まだ眠ってるって医務官のモルガンさんって人に言われたんだけど」

 

「ち、ちとせさんの様子を見に行ったんですか!?」

 

「ええ、勿論よ。どうしてそんなに驚くの?」

 

「ああ、いえ……何でもありません」

 

(弱った……流石にちとせさんがディータに呪われてしまったなんて皆に言えないよ)

 

 明日には解呪できるとは言え、リコ達が知れば大騒ぎになるのは目に見えている上に、ランファが知ったらどうなるの想像するだけでカズヤは怖くなった。

 

「シラナミさん? どうかしたんですか?」

 

「ああ、うん。何でもないよ、何でも!? そ、それよりもカルーアの事だよね」

 

「ええ、ちとせの方も心配だけど、マジョラムさんの方もね」

 

「だから、皆でどうしたら元気になるか相談していたんです」

 

「いたわるのだ!」

 

「焼け死にそうになったわけだしな……」

 

「あ、あの、それは僕もなんだけど……」

 

 元気ではあるが、確かにカズヤも危うく焼死しかねない状況にあった事には変わりはない。

 

「うるせぇ! お前はピンピンしてんじゃねぇーか!」

 

「ま、まあね……ははははっ」

 

 そう言われてしまうと何も言い返せず、カズヤは笑うしかなかった。

 他の面々も少しだけ笑い、空気が軽くなった。

 

(あっ! そうだ! せっかくランファさんが居るんだから……)

 

「あ、あのランファさん」

 

「何かしら、カズヤ」

 

「……その差し支えなければ良いんですけど……マイヤーズさんってどんな人だったんですか?」

 

「……っ」

 

 ランファの顔に険しさが浮かんだ。

 

「その……僕、資料と教官の話でしかマイヤーズさんって人は……皆さんの、『ムーンエンジェル隊』の指揮官で、『EDEN(エデン)』で英雄って呼ばれていて、それと……ちとせさんの恋人だったことぐらいしか知らないんです」

 

「私もお姉ちゃんからとても良い人ぐらいしか分からなくて……」

 

「ナノナノもママから暖かくて優しい人って教えられたのだ……でも、ちとせを悲しませているのは赦せないのだ!」

 

「俺も姐さんの指揮官だった奴の事は気になるな……」

 

「……そうね……この先、アンタ達がアイツと関わりがあるかも知れない『ファントムシューター』って言う機体に関わるなら、少し話しておくべきね」

 

 ゆっくりとランファはピロティに設置されているベンチに座り直し、カズヤ達もそれに習ってベンチに座った。

 

「最初にタクトと会った時は、冴えない奴って思ったわ。顔もレスターの方がずっと良かったし。アイツの下でこの先大丈夫なのかって不安だったわね」

 

(ええっ!? いきなり辛口!?)

 

「トランスバールの貴族出身って事もあって警戒していたし、仕事もレスターにかなり押し付けていたし、ブリッジにいる時間よりも艦内を歩き回っていた時間の方が多かったわよ、タクトの奴は」

 

(な、何か、凄く想像していた人とイメージが違う)

 

 『EDEN(エデン)』宇宙の危機を救った英雄のイメージが音を立てながら崩れていくのをカズヤは感じる。

 

「だけど、普段はともかく、一度戦闘になれば指示は的確で戦いやすくて、私達の事もちゃんと見て気遣ってくれた。何時の間にか私達はタクトを信頼して、アイツなら命を預けて良いと思えた。その期待もアイツはずっと応えてくれた……まぁ、最初の戦後に辺境任務に就いて半年も姿を見せなかった事にはイラッて来たけどね」

 

 当時の事を思い出したのか、ランファは微かに拳を鳴らし、カズヤ達は思わず震える。

 

「そして次の戦いが始まりそうになって、タクトを迎えに当時入隊したばかりだったちとせが迎えに行ったの……あの頃のちとせって、今よりもずっと硬くて真面目で、私達と距離があったのよね」

 

「ああ、それは前にフォルテ教官から聞きました。確かマイヤーズさんが取りなして、皆さんとちとせさんお距離が埋まったんですよね?」

 

「そっ。そんな事もあって二人は惹かれていったの」

 

「へぇ~。あの真面目な女が、そんな不真面目な男にね」

 

「逆に相性が良かったのかも知れないわ。真面目過ぎて力が抜けなかったちとせと、不真面目で力の抜け方を良く知っていたタクト……傍から見ていれば、じれったい関係でさっさとくっついたらなんて何度も思ったわね」

 

「ラ、ランファさん」

 

 完全に野次馬根性でタクトとちとせの関係を見ていたランファに、リコは苦笑いするしかなかった。

 

「……だけど、結局私達はそんな二人に最後の最後で全部背負わせたの」

 

 その声は心の底から後悔していると感じる声だった。カズヤ達は思わず息を呑んでしまう。

 

「今でも思うの。あの時、あたしにもっと力が二人があんな行動をする必要が無かった筈なのにって……それに戻って来てるなら、どうしてあたし達を頼らないのよ、アイツは!?」

 

 ランファはソレが赦せなかった。

 ちとせほどではないが、タクトとの間には強い信頼が結ばれていた。だが、まるでそれは幻想だったと言うように『ファントムシューター』の背後にいるであろうタクトは何も言わない。

 傷ついているのが分かっている筈であるちとせさえも置いて、『ファントムシューター』と共に今も何処かで戦っているかもしれない。

 それが何よりも悔しくて仕方が無かった。頼られば必ず力になると言うのに、頼ろうとしない今のタクトが赦せなかった。

 

(こんなにも想ってくれる人達が居るのに……どうしてマイヤーズさんは姿を見せないんだろう?)

 

 カズヤがそう疑問に思うと同時に……。

 

 ドンッ!

 

「ぬわ!!」

 

 突如としてルクシオール全体が揺れた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

「なんですかにー!?」

 

 突然の揺れに誰もが驚いて周囲を見回す。すると、何処からか空気の抜けるような音が響く。

 

「うぐ! み、耳が……」

 

「耳が痛い!!」

 

「あ、頭が……」

 

 その場にいる全員が耳や頭に痛みを感じて手を当てた。すると、緊急警報を告げるアナウンスが艦内に鳴り響く

 

『フロア3外壁破損、減圧警報レベル5』

 

「げ、減圧警報だって!?」

 

 艦内の空気が外部に漏れる緊急の警報に、カズヤ達は騒然となる。

 

『本フロアのドアは全て機密ロックされました』

 

「外壁に穴が開いたんだわ!」

 

「レ、レベル5じゃ、このフロアから出られません!」

 

 最悪の事態。このままでは空気がどんどん漏れてしまい、機密ロック外の場所にいるカズヤ達は何れ窒息するどころか、圧力で身体が破裂してしまう。

 すぐさまカズヤはクロノクリスタルに手を伸ばして、ブリッジと連絡を取ろうとする。

 

「シラナミよりブリッジ! シラナミよりブリッジ!? 駄目だ、通信が通じない!」

 

 ブリッジから緊急ロックを一部でも解除出来ないかと考えたカズヤだったが、問題が起きているのはこの場だけではないのか、クロノクリスタルによる通信が出来なかった。

 そうこうしている間に更に空気が漏れたのか、アニスがふらつきだす。

 

「ちくしょう……耳鳴りが強くなって来てるぜ」

 

「このままじゃ、私達破裂しちゃいます!」

 

「な、何とかしなきゃ!?」

 

 窒息死も破裂死も嫌なので、カズヤは何か助かる手段はないかと周囲を見回す。そんな中……。

 

「ご、ご主人様は!? 危険ですにー!」

 

 一人自室にいるカルーアの事が心配なのか、ミモレットが慌て出した。

 

「いや、カルーアは大丈夫だ。部屋は完全に密閉された筈……そうだ! 外からは無理でも、部屋の中からなら開けられるかも!」

 

 一か八かではあるが、部屋の外から扉が開けられない以上、このままではどの道助からない。

 

「皆! 急いでカルーアの部屋に!?」

 

「行くのだ―!」

 

 ナノナノの号令と共に一同はカルーアの私室の扉に向かって駆けだした。

 

「カルーアッ! カルーアァ!! 起きてくれ!」

 

 カルーアの私室の前に辿り着いたカズヤは、先ず扉に備わっている緊急時に中と連絡が取れるインターホンを押して扉を叩いた。

 幸いにも通信機能は起動したままだったのか、騒ぎに気が付いたカルーアの声が装置越しに聞こえてくる。

 

「カズヤさん? い、一体、どうしたんですのぉ~?」

 

「カルーア! お願いだ! 急いでドアを開けてくれ! 廊下の気圧が下がっていて、僕らが危ないんだ!」

 

「えええ~っ!? 警報化で開くのかしら~!?」

 

 事態を知ったカルーアが部屋の中で操作をしている音が聞こえてくる。

 

「早く頼むぜ! こっちはやべぇんだ!!」

 

「ご、ご主人様ーー!!」

 

「ええと、これではなくて~!」

 

「ゲホゲホッ! な、何だか胸が苦しくなって来たのだ」

 

「不味い!」

 

 どんどん空気が無くなって来ている事をカズヤは悟る。望みはカルーアだけだが……。

 

「だ、だめですわぁ~!! 緊急ロックが掛かっていて中からでも開きません~!!」

 

「駄目か!」

 

 ルクシオールは『EDEN(エデン)』軍の最新鋭艦。

 緊急時のセキュリティは万全だった。だが、それは今のカズヤ達にとっては最悪な事態。

 最早手がないのかと思う中、ランファが扉の前にいるカズヤを退かす。

 

「退いて! うりゃぁ! メガトンキーック!!」

 

 ランファの渾身の蹴りが扉に向かって炸裂した。だが……。

 

 ガァンッ!

 

「いたたたた……。だ、だめだわ」

 

 頑丈な扉はビクリともせずに、逆にランファは足を押さえて痛がった。

 

「何やってるんですか!? 蹴破ったって意味ないですよ!!」

 

 カルーアの私室に入ろうとしているのが、安全な場所に避難する為。

 もしもランファが扉を蹴破り、そのまま破壊してしまったら、カルーアの私室まで空気が下がり、廊下と同じ状態になってしまう。

 

「そ、それもそうか……ああ、ちとせが居ればロックを開けてくれたかもしれないのに」

 

 思わずランファはこの場にはいないちとせを頼りたくなってしまう。そんな中、カズヤにランファが顔を向けるとあることに気が付く。

 

「あっ! カズヤ! アンタ鼻血が!?」

 

「えっ!?」

 

 言われてカズヤが自身の鼻の下辺りを拭ってみると、ランファの言う通り手に赤い血がついていた。

 いよいよ本格的に身体が不調を訴え始めた事実に、カズヤ達は焦り出す。

 

「み、みなさん!? 何か対策はないんですか~!?」

 

「も、もう、手の打ちようがねぇ……」

 

 フロアの扉は、一つ残らず機密ロックされてしまっている。その上に空気が無くなって来た影響で、意識が朦朧とし出していた。

 

「なんか、ボーっとするのだ……」

 

「私も……だめ……」

 

「ナノナノ!? リコ!?」

 

 先ず最初に倒れたのはナノナノとリコだった。慌ててカズヤは駆け寄ろうとするが、息苦しさを感じて立ち止まってしまう。

 

「うぐっ! 呼吸が……」

 

「わ、わちしも、もう駄目ですに~……」

 

「な、何よ、これくらい……」

 

「こ、こんな所で、死ぬのか……」

 

 どさどさっと音を立ててカズヤ、ミモレット、ランファ、アニスも床に倒れてしまった。

 

「皆さん!? 皆さん!? みんな!!」

 

「め……目が……」

 

「カズヤさん!! しっかり!」

 

 カルーアが部屋の中から扉を開けようとしている音が、朦朧とする意識の中でカズヤの耳に届く。

 

「カ、カルーア……」

 

「カズヤさん!! みんな!! 返事をして!!」

 

(せ、せめて、カルーアだけでも助かって……よかっ……)

 

「あ……い……いや……駄目ぇ!! いやぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 バキィン!!

 

 カルーアが絶叫を上げると共に、何をやっても開かなかった筈の扉の鍵が音を立てて壊れた。

 同時に扉が勝手に開き、中から異様な気配を纏ったカルーアが出て来る。

 

「大気に宿りし精霊達よ。我が二つなる心を糧とし、理を覆す法を此処に現しめよ!!」

 

 目を輝かせながらカルーアが両手を広げると共に、廊下に倒れ伏していたカズヤ達を囲むように魔法陣が出現した。

 

「うぅ……」

 

「あ、頭が……」

 

「ゴホゴホッ!」

 

「んんっ!?」

 

「ゲホッ! た、助かったのか? あっ! カルーア!」

 

 急に呼吸が楽になったことで意識を取り戻したカズヤ達の前には、詠唱を行なっているカルーアが立っていた。

 

「インペリウム! シルフィデリリィッ!!」

 

 詠唱が完了すると共に光が消え、舞い上がっていたカルーアの金髪とマントが降りた。

 誰もが呆然とカルーアを見つめる中、彼女は口を開く。

 

「皆さん……もう大丈夫……この結界の中は暫らく安全です」

 

 そう言いながらカズヤに振り返ったカルーアの目には涙が浮かんでいた。そして涙が零れたと思うと、カルーアは両手で顔を覆い、その場に膝を着いてしまう。

 

「ま、また見られてしまいました……。うっ……うぅっ……み、見られたくなった……皆さんには……」

 

『………』

 

 その場にいる誰もが呆然と泣き崩れるカルーアを見つめる。やがて……。

 

「す、すごい……」

 

 ランファが感嘆の声を溢した。

 

「えっ?」

 

 聞こえたランファの声に、泣いていた筈のカルーアが両手を退かして顔を上げる。

 

「あ、あぁ! すげぇ! すげぇぜ!」

 

「カルーア! 凄いのだ!」

 

「わぁーん!! ありがとうございます!!」

 

 ナノナノは笑顔で、リコは涙を流しながらカルーアに抱き着き、命を助けて貰った事を涙を流しながら感謝した。

 

「命の恩人ですにー!! ご主人様には改めて忠誠を誓わせていただきますですにーー!!」

 

「助かったよ! カルーアァ!!」

 

 その場にいる誰もがカルーアに笑顔を向けて命を助けて貰った事を感謝していた。

 

「み、みなさん……」

 

 カルーアは信じられないような気持ちで、自身の周りにいるカズヤ、リコ、ナノナノ、アニス、ミモレット、そしてランファを見回す。

 彼女にとって魔法を使う自分は恐れられるものだと思っていた。だが、カズヤ達は誰一人として恐れている様子はなく、ただカルーアに感謝を命を助けられた事への興奮を向けていた。

 

「み、見ちゃった! 目の前で! この目で! マジョラムさんの魔法を!?」

 

「さすが、ご主人様ですにー!!」

 

「わぁーん! ありがとうございますぅー!!」

 

「とにかく助かったぜ! ぜってぇ死んだと思ったもんな!!」

 

「凄いのだ! こんなことナノマシンでも出来ないのだ!」

 

 その場にいる誰もが口にするのは感謝の言葉。それが信じられず、カルーアは恐る恐る質問する。

 

「あ、あの……怖くないんですか? わたくしが……?」

 

「怖い? 何でですか! あんな凄い魔法でたすけてくれたのに!!!」

 

 ランファは興奮しながら感謝の言葉をカルーアに告げた。その姿はからは恐怖を感じている様子など見えず、寧ろ尊敬に近い感情をカルーアに向けていた。

 

「カルーア! かっこよかったのだ!」

 

「わぁーん! ありがとうございますぅー!!」

 

「おめぇ、同じ事しか言ってねぇぞ?」

 

「わぁーん! だって! だって! うわぁーん!!!」

 

「泣き虫ですにー」

 

 それでも泣いているリコの様子からはカルーアを恐れている気配は微塵も感じられなかった。

 

「みなさん……」

 

「カルーア!」

 

「は、はい……何でしょうか、カズヤさん?」

 

「どんなことがあったって、僕達はカルーアの友達だよ!」

 

「カ、カズヤさん……」

 

 カズヤの言葉にカルーアは胸の奥が温かくなるのを感じた。

 

「いつまでも、いつまでも、ずっと、ずっと友達さ! カルーアから離れたりしない! 絶対に!」

 

「絶対なのだ!」

 

「いつまでもご主人様ですにー!!」

 

「弟子入りさせて下さいーー!!」

 

「この借りは返すぜ!」

 

「み、みなさん……うぅ、わぁーん!! あぁぁぁっ!! わぁーん!」

 

 遂にカルーアも耐えられなくなったのか泣き出した。

 だが、その涙は悲しみの涙ではなく嬉しさの涙。子供の頃からずっと胸の奥にあった心を縛る鎖が解けていくのを実感しながら、カルーアは仲間達に囲まれて嬉しくて泣き続けた。

『無限回廊の鍵』で登場のロゼルの役割

  • リコに接近
  • ちとせに接近
  • 別ヒロインと結ばれる
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