ギャラクシーエンジェルⅡ ~失われた英雄と心に傷を負った天使~   作:ゼクス

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今回は独自設定があります。


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『シールドの発生を確認。フロア内の空気圧が正常値に達しました。機密ロック解除されます』

 

「全員無事か!?」

 

 アナウンスが鳴ると共にレスターが飛び込んで来た。急いで駆け付けたのか、息が荒くピロティ内を見回している。

 

「あっ! クールダラス司令!」

 

「レスターさん!」

 

「そっちか!」

 

 聞こえて来た声に向かってレスターは駆け出し、カズヤ達全員の無事を確認した。

 

「……全員無事なようだな」

 

「ええ、全員無事です」

 

「かなりヤバかったけどな」

 

「カルーアが魔法で助けてくれたのだ」

 

「そうか……とにかく無事で何よりだ」

 

 全員の無事をしっかりと確認出来た事でレスターは漸く安堵の息を吐いた。

 

「それで一体何があったのよ? こっちは寿命が縮むところだったんだからね!」

 

「……実は宇宙港のスタッフの中に破壊工作員が紛れていた。ソイツが原因だ」

 

「ええっ!?」

 

 ただの事故ではなく明確なテロ行為が行なわれていた事を知ったカズヤ達は、目を見開いて驚愕した。

 

「破壊工作員って、マジークの人なんですか?」

 

「そうだ。的確にこのフロアの外壁を一枚破壊してくれた。他にもシールドシステムや通信システムにも仕掛けて、連絡が取れなくなっていたんだ。今は応急修理で回復したシールドで気密を保っているところだ」

 

「マジークの人だなんて……」

 

(やっぱりテキーラの言った通り、ディータの協力者がマジークには居たんだ)

 

 カレーショップでの一件に続き、今度はルクシオールへの明確なテロ行為。しかも相手は的確にカズヤ達が居住しているフロアを狙って来た。

 

「これも例のハッキング放送の影響かぁ?」

 

「他のフロアは無事なんでしょうね!?」

 

「ああ、幸いにも他のフロアは無事なんだが……実は捕まえる事が出来た工作員たちの様子がおかしいんだ」

 

「おかしい? どんな風にですか?」

 

「捕まえる事が出来た工作員達は口をそろえって、『身体が勝手に動いた』。逃げた連中に言われたら、勝手に身体が動いて、自分の意思では無かったと揃って証言している」

 

「なんだそりゃ? 言い訳じゃねぇのか?」

 

「いいえ、そうとは限りませんは~」

 

 話を聞いていたカルーアが否定の声を上げた。その声にレスターはカルーアに顔を向ける。

 この場で尤も魔法に関して詳しいのは、他ならぬ魔女であるカルーアなのだから。

 

「何か心当たりがあるのか?」

 

「恐らくディータさんの仕業ですわ~。彼女は暗示や呪いの分野を得意としています~。逃げられた方々を除いて、強力な暗示を掛けられたものと思います~」

 

「そんな事も出来るのか魔法は……」

 

 人を操る機械の類は知っているが、完全に門外漢である魔法でも同じ事が出来ると知ってレスターは溜め息をついてしまう。

 

「あのやろう。そんな汚ねぇやり方しやがって」

 

「勿論、そのような行ないはマジークでも重罪ですけど~」

 

「なりふり構わずと言う訳か……実際、ディータは更に仕掛けて来ている」

 

「まぁ~!」

 

「ええっ!?」

 

 テロ行為以外にも更なることを行なっていると言うディータの所業に、カズヤ達は騒然とした。

 

「現在宇宙港を含めて、マジークの動力が一斉に停止し、現在は予備動力しか起動していないそうだ」

 

『っ!?』

 

「現在、マジーク政府とも連絡が取れていない。無論、起動テレポーターも動いていない」

 

「予備動力を除いて一斉にですか?」

 

「ああ、そうだ。カルーア。何か覚えはないか?」

 

 この場で尤も魔法に詳しいカルーアならば何か知っているかもしれないと、レスターは期待を込めて質問した。

 

「……あの~、その状態になる前に何か変わったことはありませんでしたか~」

 

「ああ、あった。連絡が取れなくて報告が出来なかったが、直前にマジークの周りに複数の敵艦隊が現れた。俺からすれば戦略的には何の意味のない布陣を敷いているようにしか見えないが、何か別の意味があるのか?」

 

「まぁ~! そんな~!? どうしてディータさんが『魔封結界』の事を知っているんですの~!?」

 

 あり得ない事実を聞いたと言うようにカルーアは目を見開きながら驚愕した。

 

「魔封結界?」

 

「何だそりゃ? それがマジークの動力が停止したのと関係があるのか?」

 

「ありますぅ~! 恐らく戦艦の配置を魔法陣に見立てて、魔封結界を張ったのでしょうけど~。魔封結果は公認A級クラスの魔女や魔法使いで漸く閲覧できるマジークでも最重要禁忌魔法に指定されている結界ですわ~! その効果は結界内での一切の魔法行使及び魔力の使用不可ですの~! 魔法動力で成り立っているマジークにとっては致命的過ぎます~!!」

 

『っ!?』

 

 カルーアが告げた結界の効果に、その場にいる全員が言葉を失った。

 魔封結果内での魔法の行使と魔力の使用不可など、魔法技術で栄えているマジークにとっては致命的どころの騒ぎではない。それこそ入念に準備を行ない、今のようにマジークと言う惑星を囲むように魔法陣が形成されてしまえば、最早マジークは陥落したも同然。

 幸いにも予備動力は機能しているが、それも何時まで持つか分からない。早急に対処しなければ、惑星全体で無数の被害が発生するのは目に見えている。

 だからこそ、魔封結界は禁忌指定にされていた魔法結界であり、その存在は選ばれた者しか知らされないようにされて来た。

 その選ばれた者達こそ、カルーアを含めた公認A級と言うマジークで僅か12名しかいない称号を持つ者達。

 つまり、惑星全土から見ても12人しかその存在を知られないようにされていると言う事だ。幾ら候補に挙がっていたとはいえ、本来ならばディータが知る事さえも許されない禁忌の魔法結界。

 

「魔封結界はそもそも、遥か昔にマジークを支配した悪しき魔法使いの一族が編み出したものと言われています~」

 

(そうか!? キャラウェイさんの話でどうしてマジークが簡単に支配されたのかって気になったけど、こんな魔法があったからだったんだ!)

 

 魔法技術によって成り立っているマジークで、魔法を奪われてしまえば、それだけでマジークは陥落したも同然だった。

 

「予備動力が動いているなら、まだ魔法陣は完成し切れていないはずですが~。このまま魔法陣が完成してしまったら、予備動力も停止してマジークは陥落してしまいますわ~!!」

 

「くっ! エンジェル隊は至急ブリーフィングルームへ集合! 敵の目論見を防ぐぞ!」

 

『了解!!』

 

 レスターの指示に全員が即座に返事を返し、ブリーフィングルームへと急ぎ向かった。

 

 

 

 

 

 ブリーフィングルームに辿り着いたレスターは、すぐさま敵艦隊の布陣を映像に映してカルーアに確認させた。

 

「これが敵艦隊の資料だ」

 

「やっぱり……この陣形は、以前御師匠様や他のA級の方に見せて貰った『魔封結界』の陣ですわ」

 

 映像に映し出された敵の陣形を確認したカルーアは、以前に資料で確認した魔封結界と同一に近い形でマジークを中心に陣が張られているのを確信した。

 その言葉を横の席に座っていたカズヤが、気になったので思わず質問してしまう。

 

「でも、良くカルーアは知っていたね。この結界って、すごく危険なものなんでしょう?」

 

「はい~。ですが、公認A級魔法使いや魔女は必ずこの結界に関して教えられるんです。勿論悪用の為ではなく、対抗の為ですけど~」

 

 魔封結界は魔法技術で支えられているマジークにとって、天敵どころから相手にさえならない『セルダール』騎士団以上に危険なもの。

 故に万が一、それに対抗する術も人格と実力が共に認められた者達。即ち公認A級の魔法使いと魔女のみに存在と対抗手段が伝わっていた。

 マジーク出身ではないが、カルーアとテキーラはその実力と人格を認められて、魔封結界に対抗する術を知っていた。

 

「という事は、何処を攻めれば良いのか分かるんだな?」

 

「勿論です~。マジークの方位から考えますと~、この一際数が多い艦隊が重要な位置にいますわ~」

 

 言いながらカルーアが示した地点には、確かに他の艦隊よりも多くの艦隊がレーダーに映っていた。

 

「結界を維持する()が設置されていない以上、恐らくこの位置にディータさんが居るはずですわ~」

 

「なるほど、確かに他の艦隊よりも艦の数は多いな。分かった、カルーアの意見に従い、これよりルクシオールはこの艦隊を攻める。言うまでもなく、今回の目標は敵旗艦の沈黙だ」

 

『了解!!』

 

 ミッションの内容にルーンエンジェル隊の全員が返事をした。それと共にブリッジにいるアルモから通信が届く。

 

『ブリッジよりクールダラス司令へ!』

 

「俺だ。どうした?」

 

『敵旗艦より通信が届いています』

 

「なに!? 分かった。すぐに行く!」

 

 まさかの敵旗艦からの通信にレスターは驚きながらも、ブリーフィングルームを飛び出してブリッジに向かった。カズヤ達もその後に続く。

 一体何を話すのかと疑問を覚えながらブリッジに入ったレスターは、ココに指示を出す。

 

「ココ。すぐに通信を繋いでくれ! アルモは逆探知だ!」

 

『了解!』

 

 どんな事情があるにしても、敵旗艦の位置を正確に知る事が出来る状況を逃さず、本来はちとせの座っているオペレーター席に座っていたアルモが指示に従い逆探知を始めた。

 ココが通信を繋ぐと、すぐにメインモニターの画像にディータの姿が映し出された。

 

『あら、ごきげんよう。レスター・クールダラス』

 

「随分とやってくれたな」

 

『うふふっ……このままマジークは壊滅さ』

 

(えっ!? 壊滅? 侵略じゃなくて?)

 

 話を聞いていたカズヤは疑問を感じた。

 クーデター軍の目的は、『NEUE(ノイエ)』宇宙の支配だった筈。当然その中にはセルダール並ぶマジークの支配も入っている筈。

 なのに、ディータはハッキリと『マジークの壊滅』を口にした。

 

「分からんな? お前達クーデター軍の目的は『NEUE(ノイエ)』の支配だった筈だ。こんな馬鹿げた事をするよりも支配下に置くのが当然の筈だ」

 

『なぁに、簡単な事さね。()()()はマジークの処遇を私に一任された。だから、私がどうしたって自由って事さ……うふふっ』

 

(コイツ! 何て事を!?)

 

 予備動力がまだ動いているとは言え、マジーク全体の動力が機能停止している事に変わりはない。今こうしている間にも地上は大変な事になっている筈なのに、ディータは全く気にせずに笑っていた。

 寧ろ当然の報いだと言う様子に、カズヤは聞いていて怒りを覚えた。

 

「お前に一任か……どうやらクーデター軍はさぞ人材不足のようだな。俺達に散々敗北しているのに、重要拠点である筈のマジークを任せたんだからな」

 

 挑発するような物言いをレスターはしながらディータに話しかけた。

 これでディータが怒りに任せてくれれば、この後の戦いがやりやすくなるし、情報を吐いてくれるかもしれない。

 そんな期待も込めて挑発したレスターだったが、ディータは怒る様子もなく笑みを向けていた。

 

『なぁに、ソレに関しては()()()()のおかげさね』

 

「俺達のおかげだと?」

 

『そうさ。アンタら……いや、アンタらと手を組んでる『ゴースト』の奴がセルダール方面で暴れるらくてね』

 

「『ゴースト』だと!?』

 

(えぇっ!? どうして此処で『ゴースト』……いや、『ファントムシューター』の話が出て来るんだ!?)

 

 フェムトでの一件以来、再びその姿を消していた『ファントムシューター』。

 それがディータにマジークを任せる件に繋がっていた。

 

『他の星に侵略しようとしているアタシらの軍の邪魔ばかりしていて、侵略が遅々として進まないどころか、臆病な連中はセルダール近辺に出るのも怖がり始めたのさ。まぁ、そんな奴らのおかげでセルダールから離れていたアタシにお鉢が周って来たって事だよ』

 

 失敗ばかりを繰り返していたディータ―に、マジーク侵攻の任が周って来た理由。

 それはセルダール方面で次々と侵略を進めようとしていたクーデター軍を、レスター達の前から去って行った『ファントムシューター』がゲリラ戦を仕掛けていたからだった。

 結果、新たに人材をセルダールを支配しているクーデター軍内から他の星の侵略に派遣しようにも、その度に『ファントムシューター』に阻まれてしまう。今ディータが率いる艦隊は、何とか他の星の侵略するように仕掛けようとしたところを阻む『ファントムシューター』の隙をついて、新たに派遣できた無人の艦隊と他の遠方に出ていた艦隊を纏め上げたものだった。

 

(なるほど……これで、フォルテが進んで今回の企みに参加した訳じゃない事がハッキリとした)

 

 もしもクーデター軍の首謀者だと放送されたフォルテが相手だったのならば、幾ら『ファントムシューター』でも一方的に勝って敵を追い込める筈がない。

 それはフォルテと、そして『ファントムシューター』の背後にいるタクトを良く知っているレスターには分かる。

 何よりもフォルテが首謀者ならば、自ら戦場に出て『ファントムシューター』と戦うだろう。

 

(だが、今は其方を気にしている場合ではない)

 

「ディータさん!!」

 

 遂に耐えきれなくなったのか、カルーアが二人の会話に割り込んで来た。

 

『んっ!? なんだい生きてたのかい!? さっき仕掛けたテロで死んだと思ったんだけどねぇ。しぶといねぇ!』

 

「もう、こんなことは止めましょう! マジークは貴女の故郷でしょう? 今すぐに止めないと惨事が広がって行きます!」

 

『うるさいねぇ。こんな星どうなろうと知ったことじゃないんだ』

 

「そんな!?」

 

 全く悪びれるどころか、寧ろそうなるのが当然だと言うようなディータの物言いにカルーアは信じられないと言うように目を見開く。

 

『アタシじゃなくて、アンタなんかを公認A級に選ぶような星さ。滅んじまえば良いのさ!』

 

「お前最低だな……」

 

 話を聞いていたアニスは、思わず口を挟んでしまった。

 だが、それはブリッジ内にいる誰もが話を聞いていて思っていた事だった。嫉妬の果てに、自らの生まれた星を滅ぼすなど正気とは思えない行為。

 借り物とは言え、力を得たからといってやって良い筈がない。

 

「そういうの、逆恨みって言うんです!」

 

『なんだい! なんだい! アンタ達まで生きてんのかい!? はぁ、おかしいね。仕掛けた連中の話だと、全員固まったところでやったってきいていたんだけどねぇ……』

 

「それだ!? マジークのお前の協力者達は、皆こんな事を望んでるのか!?」

 

『うふふっ、連中も今頃はさぞ驚いているだろうさねぇ。まぁ、アタシには連中がどうなるともう関係ないけどねぇ』

 

「なんて野郎だ!」

 

「親分の言う通り、最低なのだ!」

 

 やったことは赦せないが、それでもディータに唆された果てにマジークを滅ぼそうとした一味にされ、そして見捨てられた者達には僅かに同情を感じた。

 

『でも、いいさ……今はあの忌々しい『ゴースト』もいないし、アンタらはボロボロ。直接これまでの借りを返してやるよ!』

 

 言い終えると共にメインモニターからディータの姿が消えた。

 

「通信が切れました」

 

「アルモ。逆探知の方は?」

 

「成功しました。一番艦隊が多い位置からの通信です」

 

 これでカルーアの報告が正しいことが証明された。

 レーダーを確認すれば、敵艦隊の一部が何隻かルクシオールが停泊している宇宙港に向かって来ている。

 

「よし! 本艦は宇宙港を出て、敵旗艦がいる艦隊に向かって全速前進!」

 

「はい!」

 

「ルーンエンジェル隊出動!」

 

「了解! 皆、行こう!」

 

「はい!」

 

「了解なのだ!」

 

「よし! みてやがれー、これまでの全部纏めて返してやるぜ!」

 

「あ、あの、司令!」

 

 突然カルーアが声を上げた。何事かとレスターが目を向けると、カルーアは強い決意を固めた目をしながら進言する。

 

「今回の戦闘。是非わたくしの『スペルキャスター』とカズヤさんの『ブレイブハート』を合体させて下さい! 皆さんを危険な目に何度も遭わせ、あまつさえマジークまでこんな目に、もう許せません! ミモレットちゃん!」

 

「はいですにー! いくですにー!」

 

 ポンとミモレットは口からチョコレートボンボンをカルーアに向かって吐き出し、躊躇う事無くカルーアはソレを呑み込んでテキーラへと変身した。

 

「あの性悪女! 例の件もあるし! 叩き潰してやるわ!」

 

「分かった。俺は魔法は門外漢だから頼りにしているぞ、テキーラ」

 

「任せなさい!」

 

「カズヤ! 今回の合体はテキーラの『スペルキャスター』とだ!」

 

「了解! 行こう、テキーラ!」

 

「ええっ!」

 

 すぐさまカズヤ達は格納庫へと向かって走り出した。

 

「あ~んっ! 元撃墜王の血が騒ぐ~! アタシも戦いたい! レスター! 予備の紋章機とかないの!?」

 

「ある訳ないだろう。良いから大人しくしていてくれ」

 

 

 

 

 

 宇宙港を出たルクシオールは、真っ直ぐに一際艦隊が多いカルーアの報告と逆探知で判明した敵旗艦が居る地点に向かった。

 本来ならば幾ら紋章機が四機あるとは言え、ルクシオール一隻でどうにかなる筈のない戦力差だったが、実を言えば敵艦隊は配置された位置から離れられないと言う弱点があった。

 魔封結界と言うマジークにとって致命的な結界が張られているとは言え、魔法技術など一切使われていない科学技術の結晶であるルクシオールには関係なく、妨害も殆どなくあっさりとディータが潜む敵艦隊の位置に辿り着いた。

 

「なっ!? ど、どうしてこんなに私の位置がバレたんだい!?」

 

 自らの旗艦である『ディスト・ディータ』の艦長席で、真っ直ぐに自分のいる位置に向かって来ている、ルクシオールにディータは驚いた。

 それは無意識の内にカルーアとテキーラが魔女として自分とは同格とは見ていない驕りであり、同時に()()()()()()の解析など出来る筈が無いと言う油断だった。

 

()()()が教えてくれた魔法結界は、マジークの連中にだって未知の陣の筈なのに、こんな短時間で見抜いたって言うのかい! そんな筈がないよ!)

 

 それを認める事は、ディータにとってカルーアとテキーラが自分よりも上だと認めてしまう事に他ならない。

 そんな事をプライドの塊であるディータが死んでも認められるはずがない。

 

「すぐに迎撃だよ!」

 

 自らが従える無人艦隊に指示を送り、ディータは最後の戦いに挑むのだった。

 

 

 

 

 

 

「行くわよ、シラナミ!」

 

「うん!!」

 

 テキーラの気迫のこもった掛け声に通信越しで返事を返すと共に、カズヤはブレイブハートを操作してスペルキャスターのジョイント部分と合体させた。

 合体により出力が一気に増したのと、ディータへの憤りの数々によってテンションがこれ以上に無いほど上がっていたテキーラにスペルキャスターは反応し、他の紋章機よりも速度が上がった。

 

「テキーラ! 気持ちは分かるけど、皆と離れ過ぎるのは駄目だよ!」

 

「分かってるわ!」

 

 カズヤの声にテキーラは映像越しに頷く。

 相手は因縁のあるディータ。しかもどう言う訳か、マジークにとって致命的な魔封結界まで何処かで習得している。前回と違って今回ばかりは逃がす訳にはいかない。

 此処で確実に沈黙させて、出来れば背後関係などを深く知りたいところ。そう思いながらカズヤとテキーラは、目の前に敵駆逐艦に攻撃を開始した。

 

「食らいなさい!」

 

 スペルキャスターから独特な軌跡を描く遠距離誘導レーザー『ボルト』が、同時に多数発射されて駆逐艦を射抜く。

 通常時よりも威力が引き上がっているそのレーザーは、本来ならば頑強なはずの装甲をまるで紙のように射抜き、そのままクリスタルビットから発射された近距離ビームファランクスに艦橋を撃ち抜かれて爆散した。

 

『俺達も負けてられねぇぜ!』

 

『行くのだ!』

 

『行きます!!』

 

 先行して早くも駆逐艦を一隻撃墜したスペルキャスターに続くように、アニスのレリックレイダーが巡洋艦に遠距離誘導レーザーである『スター』で攻撃を開始した。

 ナノナノもファーストエイダーの『チャクラム』で、リコもクロスキャリバーの『フレイル』で護衛艦や駆逐艦を攻撃していく。

 

「くそ! クソッ!」

 

 次々と自身の旗艦が操作する無人艦が破壊されていく現実に、ディータは叫ぶ事しか出来なかった。

 そしてルクシオール内でもほぼ一方的な戦闘の様子に、モニターを見ていたランファは感心する。

 

「へぇ、やるものね。新しいエンジェル隊の子達も」

 

「ああ。今日まで無人艦を相手に戦い続けて来たからな。増援も来ないのならば、もうカズヤ達が負ける事は無いだろう」

 

 それでも油断はしないと言うように高速リンクシステムを使って、逐一戦況を把握して的確な指示をレスターは送っていく。

 一方的とはいえ、それに油断をしてしまえば撃墜されてしまう恐れがある。

 

(エンジェル隊全員のテンションは問題ないようだな)

 

 紋章機の搭乗者が力を発揮する為には、乗り手のテンションが重要。

 だが、タクトとは違い、レスターはその手の事が不得意だった。しかし、カズヤと言うルーンエンジェル隊の女性陣に良い刺激が加わったことで、その問題は解決し、これまでの戦闘の経験もあって最早ディータが指揮する艦隊では相手にならなくなっていた。

 気が付けば、敵旗艦である『ディスト・ディータ』を護衛する護衛艦二隻を除いて全ての艦艇が破壊されていた。

 

「そ、そんな……馬鹿な!」

 

 最早敗北は必定。魔封結界が効果を失えば、マジークから艦隊が出動してディータは終わる。

 その現実を悟って呆然とするディータが見つめるモニターを中で、怨敵であるテキーラが操るスペルキャスターがクリスタルビットを操作し、二隻の護衛艦を巨大な六芒星魔法陣で拘束する。

 

「これで終わりよ! ヘキサクロスブレイク!!」

 

 テキーラの宣言と共にスペルキャスターに備わる特殊兵装『ヘキサクロスブレイク』が発動し、二隻の護衛艦は巨大な六芒星魔法陣で一瞬の内に圧壊して爆散した。

 

「マジョラムゥゥゥゥーーーッ!?」

 

 ディータは絶叫を上げた。だが、最早エンジェル隊は止まる事無く、スペルキャスターが引き越した護衛艦の爆発の隙をついて、レリックレイダーとクロスキャリバーが攻撃を行ない、武装と推進装置が破壊されてしまう。

 

「……まださ……まだ、私は終わらないよ……うふふっ」

 

 最早逃げる事も戦う事も出来ない筈なのに、ディータは目を爛々と輝かせてコンソールを操作するのだった。




原作で『魔封結界』って、マジークに致命的過ぎるのと、二部の設定を利用して、元々は悪しき魔法使いの一族が禁忌の魔法結界と言う設定にしました。
ディータがそれを知っているのは、スポンサー関係です。

『無限回廊の鍵』で登場のロゼルの役割

  • リコに接近
  • ちとせに接近
  • 別ヒロインと結ばれる
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