ギャラクシーエンジェルⅡ ~失われた英雄と心に傷を負った天使~   作:ゼクス

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今話で漸くこの作品のタクトの状態が分かります。


6-4

「一体何事ですの?」

 

 急に騒がしくなった艦内の様子に、医務室でちとせの見舞いをしていたミントが疑問の声を出した。

 テレパシー能力を持っているが故に、ミントは人の動きに敏感。そして何かあったのか知る為に目を閉じて、周囲の人々の心の声を聞く。

 

(おい! ほんとかよ!)

 

(マジか! こんな偶然なんてあるのかよ!)

 

(ルーンエンジェル隊の一員が戻って来ただけでも大ニュースだってのに!)

 

(損傷したゴーストがルクシオールの傍に、現れたってマジかよ!?)

 

「っ!?」

 

「ミントさん。どうされました?」

 

 ベットの上で身体を起き上がらせて、ナノナノやカルーアがデパートシップからお土産として買って来てくれた物を眺めていたちとせが顔を向けた。

 

「ああっ、いえ、随分と急に慌ただしくなったと思いまして」

 

「……そのようですね。一体何があったのでしょう?」

 

 ちとせもミントの言葉に疑問を覚えて医務室の出入り口の方に目を向けた。

 その隙にミントは先ほど聞こえた乗組員の心の声について考える。

 

(本当にゴーストがルクシオールに? この事をちとせさんに……いえ、どの程度の損傷か分からない以上、中途半端な情報を与えるのは危険ですわね……最悪の場合、シャープシューターや七番機のように使用不可能になってしまっている可能性も……)

 

 ぬか喜びは今のちとせにとって最大の危険。

 もしも、これでファントムシューターが再起動できない程に大破していたら、ちとせにとっての最後の希望が本当に失われてしまう。

 故に此処はレスターから詳細な連絡が来るまで待とうとミントが考えていると、その頭についている動物の耳のようなものが震えた。

 

(まさか、こんな形でレスター達が乗るこの艦に乗るなんて思ってなかった)

 

「っ!? ……ま、まさか……」

 

 聞こえて来た心の声にミントは身体を震わせた。

 その声は懐かしくて温かな声。自分に人を信じられる切っ掛けを作ってくれた信頼していた上官の心の声。

 

(おっ! レスターが来たか。いや~、結構老けたかな? あの子達が新しいエンジェル隊の子達か。いや~、皆やっぱりかわいい子達だな~)

 

「そ、そんな……」

 

(……ちとせは居ないか……大丈夫かな? 前に見た時は少し痩せていて心配だったけど……話せないよな……対応は全部任せるしかないか……ちとせ)

 

「あっ……あぁぁぁぁっ!」

 

 ミントは涙が抑えられなかった。

 自らに寄生しているテレパスファーが伝えて来た相手の声。それは四年前に失われた筈のミントにとっても、いや、エンジェル隊全員が慕っていた人物の声だった。

 

「ミント先輩!? どうされました!?」

 

 急に顔を押さえて泣き出したミントを心配して、ちとせが声を掛けた。

 その声にミントは自身がしなければならない事が分かり、医務官のモルデンに話しかける。

 

「医務官の方! ちとせさんを格納庫に連れて行きたいのです! 力を貸して下さい!」

 

「ミ、ミントさん! 急に何を!?」

 

「急にどうされたのですか? 何故私が格納庫に?」

 

 突然のミントの発言にモルデンだけではなく、ちとせ本人も戸惑った。

 涙を拭いたミントは、ゆっくりとちとせの痩せてしまった手を握る。

 

「良いですか、ちとせさん……私はたった今声を聞きましたの……とても懐かしく、もしかしたら二度と聞こえないと思っていた方の心の声を」

 

「っ……ミ、ミントさん……それはまさか……」

 

 信じられないと言うように、ちとせは震えた声で呟いた。

 ミントが言う相手が誰なのかがちとせには分かった。分かったからこそ信じられなかった。

 最悪の想像さえ浮かび、諦めかけていた相手がすぐ傍に来ているかも知れない。他ならぬミントの言葉。

 涙が自然とちとせの瞳に浮かび、その可能性を期待してしまう。

 そんなちとせに、ミントも目尻に涙を浮かび上がらせながら微笑む。

 

「行きましょう、ちとせさん。貴女の比翼の翼。タクトさんがいる格納庫に」

 

 そのミントの言葉に、ちとせは涙を溢しながら頷くのだった。

 

 

 

 

 

(まさか、こんな形でルクシオールにファントムシューターが来るなんて)

 

 格納庫内で運ばれて来たファントムシューターが、ハンガーに固定されているのをカズヤは呆然と眺める。

 

「こりゃひでぇな」

 

「ああ、私を助けてくれた後に相当な激戦を繰り広げたようだ」

 

 傷だらけのダークブルーの装甲と武装の大半を失ったファントムシューターの状態に、アニスとリリィは険しい声を出した。

 特にリリィは自分の身代わりとなってクーデター軍と戦ってくれた果てに、此処まで酷い状態になってしまったファントムシューターに苦い気持ちを抱かずにはいられなかった。

 

「完全に壊れていないと良いのですが~」

 

「そ、そうですね……」

 

「修理出来ると良いのだ……」

 

 こうして手に入れることが出来ても、肝心のファントムシューター自体が壊れてしまっては何の意味もない。

 それどころか、最後の希望さえも断たれてしまう。祈るような気持ちで損傷を負ったファントムシューターをカズヤ達と格納庫に来てからずっと険しい顔をしているレスターに、整備班の班長であるクロワがやって来る。

 

「艦長」

 

「班長か? どうだ、コイツの状態は?」

 

「どうもこうもねぇ。俺達が出来る事なんざありゃしねえですぜ」

 

「それって、まさか!?」

 

「ファントムシューターは、もう動かないんですか!?」

 

 クロワの報告にカズヤ達は絶望を感じた。だが、クロワは首を横に振って報告する。

 

「いや、そう言う意味じゃねえんだ。奴さん、もう勝手に修理を始めちまってるんだ」

 

「なに? どう言う意味だ」

 

 修理を始めている。しかもそれを行なっているのはファントムシューター自身。

 意味が分からずにいるとクロワは、ナノナノに顔を向けて説明を始めた。

 

「簡単に言っちまえば、あのファントムシューターって機体には、其処にいるナノナノの嬢ちゃんのファーストエイダーと同じ機能。『リペアウェーブ』が備わっている見てぇなんだ」

 

「何だと!?」

 

「『リペアウェーブ』を使ってるのだ!?」

 

 『リペアウェーブ』とはナノナノの『紋章機』であるファーストエイダーと、ヴァニラの『紋章機』である『ハーベスター』に備わっているナノマシンによる機体の修復、修繕を行なう特殊兵装。

 クロワの報告は、ファントムシューターにもその機能が備わっている事を知らせる報告だった。

 

「俺達整備班が確認した時には、もう装甲の修復が始まってやがった。だから、下手に手を出せねぇんだ」

 

「そうか……元々ナノマシン研究施設と思われていたフェムトに秘密格納庫があったぐらいだ。ナノマシンを扱えてもおかしくはないか」

 

《……肯定……》

 

『っ!?』

 

 突如、格納庫内に男性とも女性ともつかない合成音声が響いた。

 同時にファントムシューターの機首部分に備わっている鳥の目のようなセンサーが輝く。

 

《外部音声機能……修繕完了》

 

「なるほど……お前がフェムトでちとせを自分に乗せようとしたAIだな?」

 

《肯定。本機の乗り手である烏丸ちとせの引き渡しを要求》

 

「な、何を言ってるんだ!?」

 

「そうです! ちとせさんをアナタみたいな得体のしれない機体に乗せる訳がないじゃないですか!?」

 

 いきなり要求を突き付けて来たファントムシューターのAIに、カズヤとリコは思わず叫んでしまった。

 

《疑問? マジークで情報を獲得したのでは?》

 

「悪いがマジークでは大した情報は得られなかった。お前が『全ての終焉』とやらに関わってる事ぐらいしか俺達は知らない」

 

《……情報の喪失……想定以上と認定……》

 

(まるで、出会った頃のノアのようだな)

 

 今でこそ協力と言う行為を理解している嘗ての『黒き月』の管理者であるノアだが、出会った当初は一方的に要求を告げるだけで、同格の相手である『白き月の聖母』であるシャトヤーン以外とは話もする気が無かった。

 その時のノアと同じ印象をレスターは、ファントムシューターから感じていた。

 

(アイツが背後にいるにしては、随分と傲慢な印象だな)

 

「おめえ、良くコイツの言う事を信じて此処に来れたな?」

 

「いや、私が通信で話した時とは印象が違う。それに音声も、もう少し男性寄りだった筈だ」

 

 リリィも戸惑うようにファントムシューターを見つめる。

 間違いなく自分を助けてくれて、通信越しにルクシオールの居場所を教えてくれた機体。

 だが、今話しているのは合成音だとしても通信越しに温かさを感じられた声ではなく、何処までも機械的で冷たさしか感じられなかった。

 

《………検討の結果。情報のすり合わせが必要と判断……本機の保有する情報を()()()に提供する……》

 

「良いだろう。此方としては聞きたい事が山ほどあるが……」

 

(全部の情報を聞き出すのは、恐らく不可能だろうからな)

 

 何せ、レスター達は知らない事ばかりなのだ。

 限定的でも情報を得られるのならば、レスターとしては好都合だった。

 

「先ず聞くが……お前は『アナザースペース』を自由に行き来出来るんだな?」

 

《肯定。本機には『クロノドライブ』システムがない代わりに、『アナザースペース』内を行き来できる機能が備わっている》

 

「やはりか」

 

 興奮しそうになる気持ちを必死に抑えながら、レスターは呟いた。

 これまでの検証で、ファントムシューターがレスター達が行く事を望んでいた『アナザースペース』を自由に行き来できることは可能だと分かっていたが、こうしてハッキリと告げられる事で確証を得られた。

 

「……確認するが、それは他の機体も一緒に行けるのか?」

 

《現状では不可能。『アナザースペース』内に本機以外が入る為には、本機の()()()()()()()の解除が必要》

 

()()()()()()()だって!? まさか、ファントムシューターは幾つもリミッターが付いているのか!?)

 

 これまで『紋章機』に匹敵するほどの戦闘能力を示していたファントムシューターが、リミッターを付けたまま戦っていた事にカズヤは驚く。

 だが、質問をしたはずのレスターは驚いた様子が無かった、それは『紋章機』がリミッターを外し、その真の性能を発揮した時の戦闘力を知っているからだった。

 

「……お前に課せられたリミッターは全部で幾つある」

 

《本機に課せられたリミッターは三つ。第一リミッター解除の条件。『本機の搭乗資格者の搭乗』》

 

(そうか!? それでコイツはちとせさんを狙ったのか!?)

 

 フェムトで執拗なまでにちとせをファントムシューターが狙った理由。

 それは自らに、課せられているリミッターの解除が目的だった。

 ()()を持っているちとせが乗り込む事で、ファントムシューターの一番最初のリミッターは解除され、機能は圧倒的なまでに向上する。

 執拗なまでにフェムトでちとせを狙った理由をカズヤ達は知るが、険しい顔を浮かべずにはいられなかった。何故ならばファントムシューターは搭乗者と言いながらも、ちとせの気持ちをまるで考慮していない。

 自身の性能を発揮する為の道具扱いに近い印象をカズヤ達は感じる。

 

(やはりこいつは『紋章機』に似ていても、思想は『黒き月』のものだ)

 

 レスターは、何故以前通信越しにタクトと思われる人物が、ちとせと自分達にファントムシューターに乗るなと告げたのか分かって来た。

 ファントムシューターは人の可能性を信じて製作された『紋章機』と同じ形状をしながらも、その内部に備わっているAIの思想は、人を否定し、最後には道具として扱った『黒き月』そのものだった

 もしそんな思想を基に造られた機体がファントムシューターだとすれば、ちとせが乗るなど危険極まりない。

 

「……他のリミッターの解除条件は?」

 

《回答拒否》

 

「話す気はないという事か……では、質問だ。お前は四年前、『EDEN(エデン)』で俺達の前に現れる前は何処にいた?」

 

《本機が其方に接触する以前……『アナザースペース』内で待機状態にあった》

 

「『アナザースペース』だと!? フェムトではなく、お前は『アナザースペース』にいたのか!?」

 

《肯定。本機は製作後。経年劣化及び時の流れへの変化を恐れ、『アナザースペース』に送り込まれ、長い間ステルス待機状態にあった。しかし、四年前、突如として『アナザースペース』内に別の『紋章機』の反応を確認。本機は待機状態を解除した》

 

(それって、つまり!?)

 

「ちとせさんとマイヤーズさんが『紋章機』に乗って『アナザースペース』に来たから、あなたは目覚めたって事ですか!?」

 

《肯定》

 

 リコの質問に対し、ファントムシューターは答えた。

 

「では、お前は『アナザースペース』内に取り残されたタクトを助けたから、ちとせの事を知っていたのか!?」

 

 そうだとすれば全ての辻褄が合う。

 何故接触した事もないちとせの事をファントムシューターが知っていたのかも、そしてその背後でタクトが協力しているのかも全てが。だが……。

 

《否定》

 

 ファントムシューターが返した返答は、レスター達の考えが間違っている事を示すものだった。

 

《本機は、タクト・マイヤーズという個体の救助を行なっていない》

 

「では、何故お前の背後にタクトが居る! アイツが貴様に関わっていないとは言わせんぞ!」

 

《否定。本機の背後にいる者など存在せず。本機はあくまで本機が製作された目的の為に自立行動。また、タクト・マイヤーズという個体は、『アナザースぺース』内で、()()()()()()()を本機は確認している》

 

『………っ!?』

 

 一瞬、格納庫内やブリッジから話を聞いていた者達はファントムシューターが告げた事実を認識できなかった。

 全く感情のこもっていない機械的な音声。時報を告げる音声のように、何気なく続く音声でファントムシューターは、レスター達が最も否定したい現実を発した。

 

(生命活動の停止って……それって、まさか!? マイヤーズさんって人はもう!?)

 

「ば、馬鹿な……アイツが……アイツが死ぬはずなど無い!?」

 

 告げられた現実を拒否するようにレスターは、普段の冷静さをかなぐり捨てて叫んだ

 

《疑問? 『アナザースぺ―ス』内での脅威を知りながら、タクト・マイヤーズという個体が無事である保証が不明》

 

「……もう、やめて」

 

 リコは格納庫の床に膝を着いて両手で顔を覆う。

 

《本機に於ける生命活動の有無は、()()()()()が揃っている事》

 

「もう止めてください!!」

 

 最後の希望も断たれた事実に、カルーアはリコと同じように膝を着いて聞きたくないと言うように両手で耳を押さえる。

 

 ()()()()()()が離れた時点で死亡と判断』》

 

「聞きたくないのだ!!」

 

 知りたくもなかった現実を拒否するように、ナノナノはファントムシューターに向かって叫ぶ。

 

《故に……》

 

「おい! もう止めやがれ!」

 

「いかに助けられた恩があるとは言え、これ以上の狼藉は見過ごせんぞ!」

 

 最早一瞬即発。アニスは拳を振り上げ、リリィは剣を鞘から引き抜いてファントムシューターに向ける。

 

《タクト・マイヤーズという個体は……》

 

「其処にいらっしゃいますのね、タクトさん」

 

 突然、格納庫内に声が響いた。

 その声と共に足音が鳴り、レスター達が振り向いてみると、其処にはミントが不機嫌そうな顔をして立っていた。

 

「随分と皆様を怒らせて。これは後で大変になりますわよ、タクトさん」

 

 この場には居ない筈の相手に、しかし、居る事を確信していると言うようにミントはファントムシューターを見ながら語り掛けた。

 

「ミント。今の言葉はどう言う意味だ?」

 

「言葉通りですわ、レスターさん。タクトさんは其処にいらっしゃいますのよ」

 

 何気ない様子で、ミントはファントムシューターを指差した。

 だが、その意味がレスターやカズヤ達には分からない。ファントムシューター内には生命反応がない。

 加えて、アレだけの損傷を受けて、誰かが乗っているのならばその相手の救助をファントムシューターが依頼する筈。以前に救助されたアルモのように。

 しかし、ミントは最早確信していると言う様子でファントムシューターに親し気な笑みを向けている。

 

《…………》

 

「あらあら、ダンマリだなんて悲しいですわ、タクトさん。私、悲しさの余り貴方が今、何を考えているのか口にしてしまいそうですわ」

 

「おい、お前、大丈夫か?」

 

 傍から見れば精神異常者にしか見えないミントに、アニスは思わず口を挟んでしまった。

 しかし、ミントはアニスや周りの様子など気にせずに、口を開く。

 

「『ミントが居るなんて聞いてない!? アレ? もしかして俺の心の声が聞こえてる!? 不味い! このままだとレスター達に気付かれる!? 何とかならない? えっ? テレパシー能力への対処機能停止中。修復即座に不可能。あちゃ~』だそうですわよ、レスターさん」

 

「ほう、そうか」

 

 米神をヒクつかせながら、レスターは腕を組んでファントムシューターを睨んだ。

 

「忘れていたぞ。お前があの手この手で、俺から隠れて仕事をサボる常習犯だったという事を」

 

(ええぇーーーっ!?)

 

 完全に英雄のイメージが崩壊するような発言に、カズヤは思わず内心で叫んだ。

 

「あっ、因みに『いや、今回はサボっているどころか、四年間ずっと働かされているんだけど』だそうですわよ」

 

「ほう、働いているか。詳しくその働きの内容を聞きたいところだな……ミント」

 

「ええ、どうやら『NEUE(ノイエ)』製の『紋章機』を()()捜索する為に、あっちこっちと飛び回っていたようですわね。レスターさん、そのまま質問を続けて下さいませ。私のテレパシー能力で、このまま彼方が隠したい事を全て明らかにして差し上げますわ。特にちとせさんの事を放っておいた理由を……」

 

『止めてくれ!!』

 

『っ!?』

 

 突然、ファントムシューターの外部音声から先ほどまでと違い、今度は男性寄りの電子音声が格納庫内に響いた。

 

「この音声だ!? この音声が私がファントムシューターとの通信で聞いた音声だ!」

 

 そうリリィは叫んだ。

 その声を聞いたミントは、漸く表に出来て来た懐かしき上官に声を掛ける。

 

「……漸く隠れるのを止めましたわね、タクトさん」

 

『っ……ああ、アレをちとせに知られるぐらいなら、隠れるのを止めるよ……レスター、ミント、久しぶりだ』

 

「タクト!? お前どうして今まで!? いや、それよりも何処にいる!? 『アナザースペース』からファントムシューターを介して通信して来ているのか!?」

 

 この場で考えられる一番の可能性。だが、その可能性を否定したのは……。

 

「いいえ、レスターさん。それは違いますわ」

 

 ミントだった。

 何処か悲し気にファントムシューターをミントは見つめる。

 最初にタクトの心の声を聞いた時は、ファントムシューターに乗ってタクトがルクシオールにやって来たとミントも思った。

 だが、それは間違いだったと、こうして格納庫に来てミントは分かってしまった。

 

「タクトさんは()()にいらっしゃいます。『アナザースペース』ではなく、今この場に、私達の目の前にいるのですわ」

 

「どう言う事だ、ミント。俺達の目の前にあるのは、ファントムシューターしか……」

 

『レスター。ミントの言う通りだ。俺は()()にいるんだ』

 

 他ならぬタクトがミントの言葉を肯定した。

 そしてタクトは告げる。自身が今、どんな状態なのかを。

 

『俺は()()にいる。正確には俺の精神。タクト・マイヤーズの精神は、ファントムシューターのシステムの一部として組み込まれているんだ』




タクトが最後の状態になった理由は次回で。

『ウィル』にファントムシューターの存在がバレなかったのは、送り込まれて即座に時空震が現実で発生していたので、少なからず『アナザースペース』内にも影響が出ていたので、その反応に紛れていたからです。ステルス状態で待機していたので、以後タクトとちとせが来るまで休眠状態でいました。

因みにファントムシューターの存在が『ウィル』にバレていたら、即座に当たりの世界だと大喜びして即侵攻し、時空震後の衰退状態を見てやっぱり外れかと判断されて乖離されて全て終わっていました。

後、例の二人組はファントムシューターの存在を知って大歓喜しています。

『無限回廊の鍵』で登場のロゼルの役割

  • リコに接近
  • ちとせに接近
  • 別ヒロインと結ばれる
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