ギャラクシーエンジェルⅡ ~失われた英雄と心に傷を負った天使~   作:ゼクス

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黒百合大好き様、誤字報告ありがとうございました!


8-4

「会談は明日の昼頃だそうよ」

 

 早朝の時間帯。

 ノアに呼び出されたちとせは、司令官室で『白き月』での会談の日時をタクトと共に聞かされた。

 

「明日の昼頃……ですか」

 

『すぐに来いって、言われるかなって思っていたんだけど……』

 

 思っていた以上に時間があることに、ちとせとタクトは驚く。

 

「別に驚く事じゃないでしょう。そもそも、アンタ達の帰還自体が私達にとっては予想外なのよ。皇国内での情報の分析や何やらでシヴァもルフトも大忙し。シャトヤーンは比較的に大丈夫でしょうけど、渡すにしても渡さないにしてもシャープシューター予備兵装は『白き月』の兵器工場部分の倉庫に仕舞われているんだから、引っ張り出して点検とかもしないといけないでしょう?」

 

『あっ、そういえばそうか』

 

 よくよく考えて見れば、ちとせはタクトに再会するまでトラウマで『紋章機』に乗れず、肝心のシャープシューター自体も大破して失われてしまっている。

 予備兵装こそ『白き月』に残されていたが、ちとせ用にカスタマイズされている兵装なので他の者では使用できないので倉庫に仕舞われるのは当然の事だった。

 

(いや、それよりも分解されずに済んでいて良かった)

 

 もしも予備兵装が保管されていなかった時の事を考えて、タクトは内心で冷や汗を流す。

 そうなっていれば、ファントムシューターは間違いなくタクトとちとせが()()()()()()()()()で新たな兵装を手に入れていた。

 タクトが内心で幸運を噛み締めていると、ノアは話を続ける。

 

「という訳で、今日一日はアンタ達は休んでいなさい」

 

「分かりました……あのシミュレーションルームとトレーニングルームの使用は可能でしょうか?」

 

 今後ちとせはパイロットに戻るつもりでいる。

 今のところは『H.A.L.O.(ヘイロゥ)システム』と『紋章機』の真の力を解放しているファントムシューターの性能のおかげで誤魔化せているが、パイロットとしての実力はかなり落ちている。

 ヴェレルに囚われているミルフィーユを救出するために加え、何れどんな形にしても訪れるであろう『ウィル』との争いを考え、ちとせは少しでもブランクの解消に務めたかった。

 

「まあ、良いけど……無茶だけはしないでよね。今、無茶をして怪我なんかすれば、それだけ体内のナノマシンが活発化するんだからね、ちとせ」

 

「分かっています。決して無理はいたしません」

 

「……アンタの無理しないって言葉ほど、信用がないものはないわよ」

 

「うっ……」

 

 四年間無理をし続けただけに、ノアの指摘にちとせは反論できなかった。

 

『大丈夫だよ、ノア。ちとせが無理しそうだったら、俺が止めるよ』

 

「だと良いんだけどね……ああ、それと『白き月』には私も一緒に行くから」

 

『えっ?』

 

「ノ、ノアさんも『白き月』に!? では、もしかして私達と一緒に!?」

 

「それ以外にないわよ」

 

 何でもないようにノアは平然と答えた。

 それを見たタクトは、ノアが意見を変えるつもりが無い事を察してファントムシューターに確認してみる。

 

(ファントムシューター。今の状態で、ちとせ以外を乗せても大丈夫かい?)

 

(可能。しかし、多少の出力低下の恐れは在り)

 

(それぐらいなら許容範囲さ)

 

 全く動かなくなるのならばともかく、多少の出力の低下ぐらいならば充分に問題はない。

 

『ファントムシューターに確認したけど、ノアが乗る事に問題はないそうだ。ただ出力低下の恐れが在るから、『アナザースペース』に入ったら出来るだけ早く出るようにしよう』

 

「ええ、構わないわ」

 

 ノアとしては出来ることならば、じっくりと『アナザースペース』の様子を確認したいが、『ウィル』という未知の脅威がいる以上、留まる危険性は理解しているので問題は無かった。

 

「あと他には……ああ、そうそう。ちとせ、これを渡しておくわ」

 

「えっ? これはまさか!?」

 

 手渡された見覚えるのあるカードキーに、ちとせは驚く。

 そのカードキーは紛れもなく、ちとせがムーンエンジェル隊を除隊した時に返還した筈のエルシオールでの自室のカードキーだった。

 

「昨日は普通の船室で過ごして貰ったけど、清掃班から部屋の掃除が終わったから今日はそっちで休みなさい。内装は当時のままだから、アンタには過ごしやすいでしょう」

 

「で、ですが、私はもう除隊した身の上です! それなのに此方の部屋を使うのは、恐れ多いというか、その……」

 

『……良いんじゃないかな、ちとせ』

 

「タクトさん!? ですが!?」

 

『此処はノアの心遣いに乗ろうよ』

 

「あっ……」

 

 タクトの指摘にちとせは気が付いたように、ノアに顔を向けた。

 当のノアは何でもないと言うように平然とした顔をしながら口を開く。

 

「別に深い意味はないわよ。ただ『紋章機』のパイロットに戻るなら、少しでもテンションが上がりやすい空間で過ごして貰った方が良いと思っただけよ」

 

「………ありがとうございます、ノアさん。お心遣い感謝いたします」

 

「感謝なんていらないわよ。じゃあ、私は明日向かう為に司令官代行を決めたりと忙しいの。アンタ達はエルシオールの中を見回ってみたら」

 

「そうさせて頂きます。では、失礼します」

 

 ちとせは敬礼をノアに行ない、それを終えると共に司令官室から退出した。

 

「では、先ずは部屋に行ってみましょうか?」

 

『うん。そうしよう。内装は変わってなくても、ちとせの私物とかはないんだから、足りないものを確認して必要だったら宇宙コンビニに買いに行けばいい。とは言っても、一日ぐらいだからそんなに必要な物はないかな』

 

 懐かしきエルシオールに戻ってきたとはいえ、肉体が無いタクトには特に必要な物はない。

 ちとせにしても着替えの類はファントムシューターに載せて来たので問題はなく、特に必要な物はタクトには思い浮かばなかった。

 

「あっ……」

 

『ん? 何か必要な物はあった?』

 

「はい。ですが、後で良いので今は部屋に行きましょう」

 

『ああ、そうしよう』

 

 ちとせとタクトは方針を決めると、昨日休んだ船室から荷物を取りに行って、そのまま嘗てムーンエンジェル隊だった時に与えられていたちとせの私室に訪れた。

 

『いやー! 懐かしいなぁ!』

 

 ノアの言った通り、部屋の中は私物こそ無い物のちとせがムーンエンジェル隊に所属していた頃のままだった。

 ちとせの私室は洋風が主と成っている他のムーンエンジェル隊の面々と違い、和風系の部屋だった。

 床は畳み張りで、奥の方には小さいながらも砂利が敷かれた庭まである。ちとせの故郷の家屋を模した内装は、タクトも気に入っていたので、センサー越しではあるが見られて嬉しそうだった。

 

「私も嬉しいです。また、この部屋にタクトさんと一緒に来られて」

 

 荷物を置くと、ちとせは奥の縁側に腰かけて小さいながらも用意されていた庭を眺める。

 

「やっぱり懐かしい……タクトさん。覚えていますか、この部屋で一緒にした事……」

 

『ああ、よく覚えてるよ。最初にこの部屋に上げて貰ったのは、ちとせが俺にエンジェル隊の皆の事を相談した時だったね』

 

「はい。あの頃は先輩方との付き合い方が分からなくて……タクトさんが相談に乗ってくれて本当に助かりました」

 

『俺は何もしてないよ』

 

「いえ、相談に乗ってくれるだけで本当に嬉しかったんです。弓で悩んでいる時にアドバイスもしてくれましたし」

 

『弓か。懐かしいなあ……その弓道とかは……』

 

「……此処四年間、ずっとやっていません」

 

『ごめんなさい……』

 

 ちとせが精神集中の鍛錬として弓道をやって居る事をタクトは知っているだけに、それさえもやらずにいた事実を知って申し訳なさから謝罪した。

 

「いえ、タクトさんが謝罪する事ではありません。それに集中力だけならば以前よりも付いたと思います」

 

 その集中力を身に付けたやり方をちとせは言わずにいた。

 タクトは何となくそのやり方を察するが、ちとせが言わないのならばと追求はせずに話を続ける。

 

『銀河展望公園で、ミルフィーやランファ、それにヴァニラと一緒にピクニックもしたなぁ』

 

「ええ、アレはとても楽しいひと時でした。知らなかった先輩達の一面も分かって、漸くタクトさんの言いたかったことも分かりましたし。何よりあの時、私は初めて……」

 

『俺の事をマイヤーズ司令じゃなくて名前で呼んでくれたんだよね』

 

「はい……ちゃんと覚えてくれていたんですね」

 

『勿論さ。俺にとっても掛け替えのない思い出なんだから。他にも皆でこの部屋に集まって線香花火をやったりもしたし……うっかりこの部屋で眠っちゃってちとせに抱き着いたこともあったっけ』

 

「はぅっ!!」

 

 ちとせも思い出したのか、顔を真っ赤にして慌てた。

 

「そ、そそそんなことまで、おおおお覚えているんですね!!!」

 

『ああ、落ち着いてちとせ。ペンダントが揺れて視界というかセンサーがブレて、そのね……』

 

「はっ! 申し訳ありません!」

 

 慌ててちとせは首から下げているペンダントを押さえた。

 そして何度か深呼吸を繰り返して気分が落ち着いたところで手を放す。

 

「では、そろそろ行きましょうか」

 

『そうだね。先ずは何処に行く?』

 

「シミュレーションルームへ行くつもりです。自分の今の実力がどれほどなのか知りたいので」

 

『訓練は良いけど、余り無理し過ぎないでくれよ」

 

「分かっています」

 

 笑顔でちとせは返事を返し、シミュレーションルームに向かった。

 

 

 

 

 

「……やはり、かなり腕は落ちていますね」

 

 シミュレーション機器に表示された結果を見たちとせは、暗い顔をしながら落ち込んだ。

 

『そうかな? 久々にやった結果としては良い方だと思うよ』

 

 表示結果を一緒に見ていたタクトにはそれほど悪い結果には思えなかった。

 だが、ちとせは結果が不満だったのか、顔を暗くして俯く。

 

「いえ、以前の私でしたらもっと良い結果が出ていた筈です」

 

『……ちとせ』

 

「はい、何でしょうか?」

 

『君がこれから乗る機体は?』

 

「? ファントムシューターですが、それが何か?」

 

 何が言いたいのか分からないと言うように、ちとせは困惑してペンダントを見つめる。

 

『そう。ファントムシューターだ。今君がシミュレーションで使ったシャープシューターじゃない』

 

「はっ!?」

 

 指摘されてちとせは気が付く。

 今後許可さえ貰えば、シャープシューターの予備兵装がファントムシューターの新たな兵装となるが、そもそも前提としてシャープシューターとファントムシューターは機体性能が違う。

 純粋な機体としての性能はファントムシューターの方が上であり、ステルス機能など、シャープシューターにはなかった機能もある。

 

『ミルフィーの事で焦るのは分かる。だけど、新しい機体に乗るんだから、一から始めるようなもんさ。なら、いっそ心機一転。最初から始めるつもりでやって行こう、二人で』

 

「心機一転……はい、その通りですね。ありがとうございます、タクトさん。曇っていた目が晴れるような心地です」

 

『良かった。それじゃあ、次はちとせが得意な遠距離戦が主な作戦行動でやってみよう。先ずは其処から勘を取り戻していくのが良い筈だ』

 

「分かりました。では、この作戦ミッションで」

 

 タクトに言われた内容と一致するミッションを設定して、ちとせはシミュレーションを開始した。

 それから暫らく二人は意見を交し合いながら、二時間ぐらい訓練をした後にシミュレーションルームから退出した。

 

「少しですが、勘を取り戻せたような気がします」

 

『うん、最後の方では良い操縦が出来ていた。作戦行動でもミスはなかったよ』

 

「恐縮です……では、次は……」

 

『少し休憩しよう。根を詰めすぎるのは身体に悪いし。そうだ! 銀河展望公園に行こう!』

 

「銀河展望公園にですか?」

 

 エルシオールはルクシオールの基になった艦艇なだけに、艦内に展望公園がある。

 タクトも其処に良く通い、エンジェル隊の面々とピクニックもした事がある思い出の場所。

 

『青空こそ映像だけど、あそこには噴水もあるし、涼むには良い場所だから。クジラルームも良いけど……今はね』

 

「宇宙クジラが、まだタクトさんが帰って来た事に喜んでいるみたいですからね」

 

 精神だけとはいえタクトの帰還にいち早く気が付いた宇宙クジラは、今が喜びが治まらないのか、クジラルームのプールで大はしゃぎしている。

 おかげでクジラルームの担当官であるクロミエは、クジラルームで飼っていた宇宙ウサギを始めとした動物達と一緒に一時避難しなければならなくなってしまった。

 これでタクトとちとせが直接赴いたりすれば、宇宙クジラは喜びの余りプールから勢いの余り上がって突撃しかねないので暫らくはクジラルームへの出入りは禁止になっていた。

 

『俺が帰って来た事を、宇宙クジラが喜んでくれるのは嬉しいんだけど』

 

「さ、流石にあの巨体で突撃されるのは、怖いですよね」

 

 宇宙クジラが突撃して来る光景を想像したのか、ちとせは思わず身体を震わせた。

 二人は一先ず銀河展望公園で休憩するのを決めると、通路を歩きだす。途中、エルシオールの中にある宇宙コンビニに立ち寄って飲み物と元々買いたかった物をちとせは手に取る。

 

『ちとせ。それは?』

 

「日記のノートです。今日からまた書き始めようと思いまして」

 

 四年前から書かなくなってしまったが、ちとせは日記を書くのが趣味だった。

 今日からまた再び書く為に、ちとせは飲み物とノートの支払いを店員に済ませて、予定通り銀河展望公園に訪れた。

 

『うーん、やっぱりエルシオールの銀河展望公園は良い天気!! 映像だって言うのは分かってるけど、青空を見るなんて久しぶりだから気分良いなぁ!』

 

「……やはり星には降りたりしなかったのですね?」

 

『流石に単独での大気圏突破は機体に負担が掛かるからね。ピコにアルモを運んだ時だって、衛星軌道にある発着ステーションだったし……映像でも青空を見られるのは気分が落ち着くよ』

 

「……タクトさん。芝生の方に行きませんか」

 

『良いね。行こうか』

 

 二人は公園の中を歩き、芝生が敷かれているエリアに辿り着いた。

 芝生の上にちとせは座り、首からペンダントを外して芝生の上に置く。

 

「いかがでしょうか、タクトさん。良く見えますか?」

 

『うん、ありがとう、ちとせ……青空かぁ……』

 

 何処かしんみりした様子でタクトは呟く。

 その様子を見ていたちとせも、映像ではあるが青空を見上げる。

 

「青空を見ていると、気持ちが落ち着きますね」

 

『本当にそうだ……』

 

「それにポカポカして温かい気持ちにもなって来ますし」

 

『……ポカポカかぁ』

 

「あっ! 申し訳ありません!!」

 

 何処か寂しげな声を聞いて、今のタクトが体温を感じられないことを忘れてしまっていたちとせは、慌てて謝罪した。

 

『い、いや、謝るような事じゃないよ。それに何というか気持ち的には俺もポカポカしているからさ』

 

「……あ、あの、タクトさん?」

 

『何かな?』

 

「……そ、その、タクトさんはファントムシューターの事をどう思っているんですか?」

 

『ファントムシューターの事を?』

 

「はい……その先輩方はファントムシューターの事を危険だと思っています」

 

『まあ、実際にそうだからね』

 

 人を己の機能を十全に発揮する為の生体素子に変えて、パーツとして扱うなど、人から見れば倫理的にも人道的にも許される事ではない。

 『黒き月』が未だに嫌われているのも、人を否定するような思想が存在し、現に『ダークエンジェル』というファントムシューターと同様に人を生体素子に変えた機体が存在しているからだ。

 

「それにタクトさんはご存知ないかも知れませんが、『NEUE(ノイエ)紋章機』もファントムシューターを警戒しています」

 

『それも仕方がないさ。『NEUE(ノイエ)紋章機』からすれば、本来は自分達のパイロットとそのパイロットと相性が良い相手をファントムシューターは奪って利用する筈だったんだから』

 

 それこそが『NEUE(ノイエ)紋章機』が、ファントムシューターを警戒、いや嫌っている最大の理由。

 本来、ファントムシューターは何れかの『NEUE(ノイエ)紋章機』のパイロットと、親密性が高い『ブレイブハート』のパイロットを自らの搭乗者として登録する筈だった。

 当然ながら『紋章機』からすれば、自らのパイロットを生体素子に変えてパーツ扱いするファントムシューターの存在を認める事は出来ない。

 だが、タクトとちとせというファントムシューターを製作した者達でさえも想像だにしなかった自力で『アナザースペース』に辿り着いた二人が現れた事によって、『NEUE(ノイエ)紋章機』のパイロットの中から搭乗者を選ぶ必要はなくなった。

 

『……ちとせや皆は怒るかも知れないけど、俺はファントムシューターの事を嫌いじゃないんだ』

 

「それは分かっています」

 

『あっ、分かってた?』

 

「はい。タクトさんがファントムシューターの話をする時、嫌っている様子は感じられませんでしたから」

 

『ランファやフォルテが聞いたら怒りそうだけどね。まぁ、とにかく俺はファントムシューターを嫌いじゃない。俺にとっては、恩人、いや恩機って言うのべきなのかな、この場合?』

 

「恩機ですか?」

 

『ああ、そうだよ。だって、ファントムシューターがいなければ、俺は今も『アナザースペース』に誰にも気づかれずに浮いていたかも知れないから』

 

「っ!!」

 

 ファントムシューターは確かに『黒き月』の思想を宿した『禁断の紋章機』。

 だが、同時にタクトにとっては精神だけとは言え救って貰い、『アナザースペース』から此方側へと帰還させてくれた機体だった。

 

『ちとせの事で言い争いもしたりしたけど、俺の頼みも結構聞いてくれたりした。『ABSOLUTE(アブソリュート)』での戦闘の時だって、俺が殿したいと思ったら、ファントムシューターはソレに答えようとしてくれた。結局殿は別の艦が務めてくれて、アルモだけしか救助出来なかったけど……そんな事もあるからちとせの事があってもファントムシューターを嫌いになれないんだ』

 

 ちとせを自らの生体素子に変えようとしているファントムシューターの事は、本来だったら嫌悪すべき。

 だが、四年間一緒に過ごし、こうして此方側の宇宙に帰還することが出来たのも、ファントムシューターのおかげ。

 その事をタクトは忘れられる筈が無かった。

 

『ちとせや皆のところに行かないように誘導していたのは俺の方だし。『ABSOLUTE(アブソリュート)』での戦闘やフォルテの操る無人艦隊の戦闘の時だって、俺の無茶な指示に従ってくれたんだ……だから、俺はファントムシューターを嫌いになれない……怒るかい、ちとせ?』

 

「いえ、私も実はファントムシューターの事は嫌いじゃないんです。こうしてどんな形でもまた、タクトさんと一緒に過ごせる。私にとっても恩機です」

 

 ちとせもまた、ファントムシューターに対して不思議と嫌悪の気持ちはなかった。

 

「それにファントムシューターはこれから私とタクトさんの命を預ける機体です。機体を嫌っていたら戦えませんから」

 

『ハハハハッ! 確かにそうだね! ありがとう、ちとせ。これからも頼むよ』

 

「はい、タクトさん」

 

 笑顔でちとせは返事をし、銀河展望公園の芝生で明るい二つの笑い声が上がった。

 

(……タクト・マイヤーズ……烏丸ちとせ……理解不能……何故本機を……理解不能……)




次回漸くあの方々の登場です!!

『無限回廊の鍵』で登場のロゼルの役割

  • リコに接近
  • ちとせに接近
  • 別ヒロインと結ばれる
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