エイリアン支配領域日本召喚   作:レシプロ至上主義者

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 やっと出したい兵器を出せたので初投稿です。


 それとちょっとした解説をば

 機械化歩兵師団・戦車を保有しない機械化された師団。装甲車両は軽、重装甲車のみ。
 
 装甲擲弾兵師団・軽戦車、中戦車が配備された機械化歩兵師団。

 機動砲兵旅団・自走砲と小型航空機で運搬可能な砲を専門に取り扱う、火力より機動力を重視した砲兵部隊。


見参する超空母

 中央暦1639年4月19日 13:30 ロウリア王国 王都ジン・ハーク

 

 開戦より1週間、東方征伐軍の壊滅を知ったロウリア王国上層部は阿鼻叫喚となった。

 最初の報告は誤報と判断し、次にギムからジン・ハークまでにある都市からの断末魔めいた救援要請を受けてただならぬ事態と理解し、救援の軍勢を用意していたところでジン・ハークの目の前まで敵が侵攻していた。

 これで狼狽えないほうがどうかしている。

  

 「敵について何か情報はないのか!?」

 

 指揮を執る将軍、パタジンが吠えるが、周囲の幕僚は答えられず狼狽えることしか出来ない。

 

 「日本はムーで開発されたという飛行機戒、戦車と思われる兵器を用いております。ですので日本の背後にはムーがいると考えるべきかと……」

 「そんなことは分かっている!!! 私が知りたいのは日本がどれだけムーの兵器を保有しているのか!? その性能はどれほどのものかということだ!!!」

 

 上に立つ人間が狼狽えればそれは周囲、特に下の人間に伝染する。

 ロウリア人の常識を粉砕した第2日本帝国への恐怖に呑まれたパタジンによって、もはやこの場は会議の体裁すら保てなくなっていた。

 

 「かっ閣下! 緊急連絡です! 北の港から、日本の飛行機戒が……!」

 

 駆け込んできた伝令が報告を終える前に会議室が激しい振動に襲われる。

 

 「何事だ!」

 「攻撃です! 飛行機戒が爆弾を!!!」

 

 別の伝令の報告を聞いて会議実の面々はバルコニーに飛び出る。

 聞き慣れぬ爆音につられて顔を上げると、そこにはこちらに向かって降下してくる敵がいた。

 

 「――危ないっ!!!」

 

 隣にいた幕僚に突き飛ばされたパタジンは会議室のテーブルに背中から勢いよくぶつかり、爆発音と共に視界が暗転する。

 そこでパタジンの意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 中央暦1639年4月19日 14:40 ロウリア王国 王都ジン・ハーク近くの荒野

 

 快晴、と評するのが相応しい天気。遮るものがない故に爆撃精度も期待できる日にジン・ハーク攻略戦は開始された。

 500Kg通常爆弾2発を搭載した100式中爆銀河は2機1組となって1つ1つの目標へ急降下爆撃を行い確実に潰していく。ときおり地上へ向けて機銃掃射していく機もいる。

 見晴らしの良い場所だから離れた位置に展開している地上部隊――第1装甲師団を先陣にした、大和田のいる第2日本帝国陸軍の陣地からでも空襲の様子が細かに伝わってきている。

 爆弾の尽きた銀河がジン・ハークから離れたところで更なる爆炎がジン・ハーク各所で巻き起こる。

 

 「後方に展開している重砲兵師団か」

 「それと近くにいる機動砲兵旅団ですね。輸送機で急いで展開したそうです」

 

 大和田の呟きに追加情報を加える成田。

 2人が会話している間にも重砲兵師団の150mm、203mm砲と機動砲兵旅団の105mm砲による砲撃で城壁と市街地は見るも無惨な瓦礫とかしていく。

 

 「閣下、そろそろ攻撃を指示されては? 制空権の確保も終了していますし」

 「そうだな。ではジン・ハーク攻略部隊全軍に通達、砲撃が終了し次第攻勢に移れ」

 

 大した気負いもない口調で、ロウリア王国終焉を意味する命令が下された。

 

 

 

 

 

 中央暦1639年4月19日 15:05 ロウリア王国 王都ジン・ハークより北の港

 

 黒煙で包まれた港を忙しく駆け回る男達。彼らの今の仕事は勇ましく出撃することでも、その準備でもなく、生存者の救出である。

 既に4400隻の内1000隻が沈んでいるために死傷者の数も手に負えないほど多い。

 

 「出撃は、やはり無理か」

 

 海将シャークンの問いに彼の副官は悔しげに答える。

 

 「……無理です、提督。本来、出撃はもう少しあとの予定でしたので、食料や飲み水などの必要な物資がまるで足りません」

 「それ以前に沈められた船が障害となって出撃できない船が少なくありません。それらを撤去するだけでも何ヶ月かかるか……」

 

 副官とは別の幕僚の報告で出撃が不可能であることを理解するシャークン。

 

 「やむを得ぬ、海軍は全力で負傷者の救出に当たれ。少しでも多くの兵を救うのだ」

 「ハッ!」

 「それと、ワイバーンの援護はどうなった?」

  

 シャークンの問いにワイバーン基地から派遣された将校が答える。

 

 「司令官は12騎ならば回せるとおっしゃっておりました」

 「12騎か……覚悟はしていたが、やはり少ないな」

 

 ワイバーン12騎。真正面から戦えば日本どころかクワ・トイネにも負ける程度の戦力、それがロウリア海軍が動かせる航空戦力の全てだった。

 

 「まあ愚痴を言っても始まらん。ではその12騎にローテーションを組んで警戒に当たるよう伝え……」

 

 話し終える前に外から鐘の音が響いてきた。それは空襲を知らせる警報だった。

 

 「考える時間さえ与えてはくれんか…………飛竜将校、基地に全力出撃の命令を伝えてくれ。その間に兵士達には避難命令を」

 

 諦めの混じった顔で命令を下すシャークン。彼の命令に対し、意見する者も反対する者もいなかった。

 

 

 

 

 

 港の上空を12騎のワイバーンが飛び越えていく。その勇ましく、そして猛々しい姿に地上の人間は勇気づけられているだろう。

 

 「たった12騎だけど、されど12騎だ。相手がムーの飛行機戒だからって易々と負けるわけがない」

 

 編隊の中で最も若手であるケコは編隊の最後尾で呟く。まだ実戦を知らない彼は先輩達にどれほど口酸っぱく第2日本帝国を侮るなと言われても下に見ることを止めようとはしなかった。

  

 『敵編隊接近中! 各騎、迎撃に移れ!』

 「ッ! 来たか!」

 

 青い空の一画に黒い影が見える。状況からして間違いなく敵の編隊だった。

 ケコは相棒に上昇するよう命令する。敵より高度をとって優位に立とうとしたのだ。敵もケコ達に気がついたのか、上昇し始める。

 

 「今更気づいても遅い!」

 

 先に上昇を始めたケコ達は既にワイバーンの限界高度まで上り詰めた。ワイバーンはこれ以上上昇できず、飛行機戒も同様であろう――そう考えていた。

 

 「なっ!?」

 

 ケコの予想に反して敵はワイバーンの限界高度を超えてグングン上昇していく。こちらが上昇できないために敵との高度差はどんどん広がっていく。

 

 「そ、そんな!? どうやって昇って……!?」

 『ケコ! 後方上空に敵だ!』

 「え!?」

 

 先輩からの警告でとっさに相棒を横に滑らせる。先ほどまでケコの居た空間を多数の光弾が通過する。

 

 「い、いつの間に!!?」

  

 警告がなければ撃墜されていただろう。ケコは思わず想像し、大量の冷汗が流れる。

 背後から攻撃した敵は再度上昇してケコ達の目の前でゆっくりと旋回する。それが攻撃の機会を窺うための行動だとすぐ分かった。

  

 「くそっ! どうすれば…………」

 

 高高度にいる敵に対し何もできずに悪態をつくが、それで事態が好転するわけではない。

 次の攻撃が始まり、ケコは必死に相棒を動かして避けるも、避けきれなかった何人かが血しぶきをまき散らしながら墜ちていく。

 

 「先輩! 先輩! ちくしょう!!! ちくしょう!!!」

 

 尊敬すべき先達たちが敵に手傷もつけられないまま殺される。ケコの考えていた戦場とはまるで違う。一方的な殺戮の場だった。

 

 「ちくしょおおおおおっ!!!!!」

 

 複数の方向から撃ち込まれた光弾を浴びてケコは意識を失った。

 

 

 

 

 

 第2日本帝国海軍の神保留大尉は1式戦闘機疾風の操縦席から自身が撃墜したワイバーンが落ちていく様を眺めた。

 航空機とは違い大量の血と肉をまき散らしながら墜落するというのは、記憶と言えば脳にすり込まれた情報しかない神保から見ても違和感を覚える光景だった。これが火だるまになるか、オイルに塗れながら落ちていくというのであれば、特に気にすることはなかったのだろうが。

 ふと、想像してしまう。ワイバーン乗りになった自分が撃墜される瞬間、そのあとの事も。

 自身が操縦する疾風のような射出座席などなく、古き時代の飛行機乗りが身につけていたパラシュートすらなく、ただ愛機とともに重力に導かれて真っ逆さまに落ちていく。

  

 (考えただけでもぞっとするな)

 

 考えを振り払うように周囲を見ると先ほど撃墜したのが最後の1騎だったようで、味方は編隊を組み直している最中だった。

 慌てて神保は編隊に加わる。電波で母艦の位置を知らせる無線方位指示器がついているとはいえ、母艦の位置からして1人で帰るのは少しつらい距離だ。

 

 (いくらデカいって言っても、水平線に隠れちゃあ見つけられないからな)

 

 これが雲ぐらいならば問題ないのだが、とぼやきながら神保は母艦まで燃料が持つかどうかの計算を始めた

 

 

 

 

 

 中央暦1639年4月19日 16:25 ロウリア王国より500Kmの洋上

 

 レーダーによって捉えた編隊がポツポツと肉眼でも見える距離まで近づいてきた。2度の攻撃成功を聞いた乗組員の内、手空きの者は出迎えのために飛行甲板近くに集まっている。

 

 「お祭り騒ぎだな」

 

 艦隊司令官を務める習志野武大中将は艦橋から見下ろした先の光景を見て苦笑する。

 

 「仕方がありませんよ。何せこの船の居住性を考えれば」

 

 習志野の呟きに隣の航空参謀も苦笑しつつ相づちを打つ。

 

 「これでも当初の予定よりは良くなっているんだろう? 実際、私も少し肌寒く感じるくらいだ」

 「それでもCICのように冷暖房完備の部屋でなければ涼しい、じゃなくて寒いと感じますからね。騒げるときに騒いでしまうのは仕方が無いかと」

 「……まあ、これで乗組員の士気が上がるのなら構わんが」

 

 艦橋にも届くほどの歓声を上げる乗組員たちは春だというのに真冬の海にいるかのように震えている。

 それもそのはずで、この船の周囲の温度は基本-6℃。習志野たちのいる艦橋でも10℃程度しかない。そうしなければ船体を維持できないからだ。

  

 天照級氷山空母 天照

 

 全長2.8Km、つまり2800mにも達する地球では絶対に建造不可能なまさしく動く島と言うべき軍艦。

 エイリアンたちの技術なくしては生まれることさえなかった氷の怪物は自分から飛び立った機械仕掛けの怪鳥たちを再び腹の中に収めていく。

 

 「空軍機でも発着艦可能というのはありがたいがね。おかげで航空部隊の展開が楽だ」

 「空軍連中は面白くないでしょうが……、まあ我慢してもらいましょう」

 

 習志野と航空参謀は攻撃隊の収容が終わるまで談笑を続けた。

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