私には、従兄弟のようで従兄弟じゃないふわふわピンクの身内がいる 作:KSM
こんな可愛い身内が欲しい…蒼くん羨ましいなこの野郎
蒼「知るか()」
ふわふわピンクと織り成す日常。
自分…「山茶花蒼」は、玄関前で困惑していた。
家でくつろいでいたところ、突然チャイムを連打された。慌てて玄関へ行くと、ハガキ入れの穴から二つの目が見えた。
普通ならホラーもいいところだが、自分はいたって冷静だった。
なぜなら自分は、その目に見覚えがあったからだ。
「…彩…姉?」
しばしの困惑と沈黙の後に、自分はその人の名を呼んだ
「あんた…鍵は?」
昼飯を食べている途中、自分は目の前にいるピンク髪…名を「丸山彩」にふと聞いてみる
「つ…ついうっかりしてて…入れたと思ったら入れてなくて…その…」
その言の葉に対し、自分はため息をひとつついて昼飯を食べ進める
丸山彩…今や人気のアイドルバンドへと登り詰めた「パステルパレット」のピンク枠にして、自分の二つ上の又従姉妹である
又従姉妹というのは、親同士が従兄弟の関係であり、その子供同士のことである。
自分の場合は、自分の母親と彩姉の父親がそれにあたる。
「ねえ、蒼くん」
「ん?」
「お昼ご飯食べたら、映画に付き合ってくれない?」
そう言って、彩はとある映画のチケットを見せてくる。
「気圧の子…か…最近話題になってるやつやんな。」
「そう!バイト先の店長が子どもたちと見に行くつもりだったんだけど、急に研修に行くことになったからって2枚もらっちゃって!」
「まあ…いいけど」
「ほんと!?ありがとう!」
彩姉は、そう言うと目を輝かせ、子供のように喜んだ。
そんな彩姉を知り目に自分は昼餉を適当に平らげ、そそくさと2階へ上がって出かける準備をする。
「あー!蒼くんちょっとまってよおおー!」
下の階からなんか聞こえた気がするが気にしないでいよう。うん。
10数分ほどして、お互いに出かける準備が出来たことを確認し、映画館へと向かう。
彩姉と二人で出かけるのっていつ以来だろうと、電車に乗りながら考える。多分小学校以来だ。
中学に入ったあたりで反抗期が始まり、彩姉と出かける回数もそれに比例して減っていったため、かなり久しぶりに感じる。
彩姉も自分と同じ気持ちのようで、道中うるさいくらい鼻歌を歌っていた。自分と出かけるのがそんなに楽しいものなのか、些か理解に苦しむ。
「3番スクリーンになりまーす」
「「ありがとうございまーす」」
映画館の人からミシン目から半分に千切れたチケットを受け取り、乱雑にポケットの中へ放り込むと、彩姉と一緒に3番スクリーンにはいる
10分ほどして、本編の上映が始まった。内容は、気圧を操る人柱になった少女とひょんなことから一緒に過ごすことになった少年の物語。
クライマックスの部分で、少年が少女の名前を大声で叫ぶシーンはなかなかクるものがあった。
あ、彩姉はクライマックスシーンが来る前から顔を涙でくちゃくちゃにしていました。はい。
「うぅ…ぐずっ…うえぇん…」
「彩姉…いい加減泣き止んだらどうなん?」
今は映画館のそとの休憩スペース的な場所にいる。彩姉が号泣して移動するにできない状態だからだ()
「うぅ…だっでぇー…」
彩姉は涙もろい…が、それにしたって泣きすぎではないか?と素朴な疑問を抱いてしまう。
数分たって泣き止んだ時には、既に日が暮れ始めていた。
「夕餉(夕ごはんの意)…どうする?」
「んー…もうここで済ませちゃう?」
「…そう…やな…そうするか…」
そうして2人で適当に夕餉を済ませ、現在は帰路に着いたタイミングで、彩姉が不意に話しかけてきた。
「いいデートだったね♪」
「なんだ気持ち悪い」
「酷っ!?」
おっとつい条件反射でキツイ言葉遣いになってしまった。
彩姉は…あーしょんぼりしてる。結構本気で凹んでるやつやこれ
「冗談やって…自分も楽しかったで」
そう言って頭を撫でてみる。彩姉はどうにか機嫌を治してくれたようで、肩に顔をちょこんと乗せてきた。
「またどこか、遊びに行こうね。」
「…うん…」
月明かりに照らされた彩姉は、いつもより5割増で美人だった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
それなりに省略したつもりだったのに読み返したら全然短くなってなかった(´・ω・`)
次回もお楽しみに