私には、従兄弟のようで従兄弟じゃないふわふわピンクの身内がいる   作:KSM

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彩&蒼「「オープニングトークのコーナー」」
千聖「今回で「一応」本編は完結ということであってるかしら?」
K「それで合ってる。そのあとは1回読み切りサイズのものを番外編で出していくってことで。あと一応を強調しないで()」
日菜「さてさて蒼くんのお父さんは納得したのかなー?」
麻弥「それでは本編最終回」
イヴ「始まります!」


蒼の決意・ワタシトアナタ

「…ついに来た」

 

自分が朝、目覚めた時、一番最初に発した言葉はこれだった。

パスパレ大型ライブ・パステルドリームライブ、彩姉はこの日のために7日間練習を重ね、自分はひたすら装飾の作業をしていた。

パスパレの全てを、このライブにかける覚悟がある。千聖先輩が昨日言っていた言葉だ。ついでに、彩姉にもその覚悟は既にある。とも言っていた。

 

「あ、蒼くんおはよう!」

「あぁ、うんおはよう。」

 

今こうして顔を合わせてみても、本当に彩姉はこのライブに全てをかけているのかはわからない。顔を見る分にはいつもの彩姉と何ら変わらないからそう見えるだけかもしれない。でも千聖先輩は確かに言った。彩姉はこのライブに全てをかけていると。

だったら、自分はとるべき行動はただ1つ。

 

「自分は…彩姉に全てを賭ける…」

「……うん、わかった。蒼くんのサポートも努力も想いも、全部無駄にしたりしないよ、だから…」

 

「パスパレに…私に全て任せて、ね?」

 

そういった時の彩姉は、今まででいちばん頼もしく見えた。

 

球場の前は、開場前にもかかわらずかなりの人が列を作っていた。自分と彩姉はここで一度別れ、自分は列の中へ、彩姉は別の入口から楽屋へ向かっていった。

列に入った自分は、なるべく怪しまれないように周りを見てみた。

目的はもちろん、父親がいるかどうかを確かめるためだ。父親にライブをみてもらわないと、自分にとってこのライブの準備を入念に行った意味が薄れてしまう。

 

「あ…居た。」

 

列の前の方に、父親の後ろ姿があった。無駄に和装で周りより浮いているので、見つけるのに苦労はしなかった。

 

「それでは今より開場致します…」

 

スタッフのその言葉を合図に、長い列が少しずつ前に動き始める。自分も周りと同じようにチケットを財布から取り出してスタンバイする。ちなみに自分が持っているのは関係者チケットなので、スタッフの人に誰から貰ったものなのか報告しないといけない。自分の場合は当然彩姉から貰ったやつなんだけど()

とかなんとか言っている間にも列は進んでいき、あっという間に自分の番になった。

 

「はい、これで」

「お預かり致します。あ、関係者チケットですね。誰からですか?」

「あ、丸山彩です」

「丸山彩さん、はい、奥へとお進み下さい。」

 

スタッフの人に身振りで促され、自分はチケットの切れ端に書かれている座席番号を頼りに自分の座るべき席を見つけ出して座ってみる。

さすが彩姉、近すぎず遠すぎない席を事前に手配してくれていたようで、席からステージがよく見えるのがすぐにわかった。

さて、これであとは開演までゆっくりできるかn

 

「ピピピピピ(携帯の着信音)」

 

どうやらゆっくりする暇も無いらしい、半ば呆れながら携帯を睨むと、画面に丸山彩と書かれていた。

 

「あーもしもし彩姉?どうした?」

『あ、蒼くん?ちょっと楽屋に来てくれないかな?』

 

心なしか電話の向こうの彩姉の声が上ずっている気がする。彩姉の声がおかしい時は大抵泣いた後か極度に緊張している時のふたつだが、今回の場合はおそらく後者の方だろう…と予測しつつ実は違ったなんてことがあったら嫌すぎるのでひとまず理由を聞くことにした。

 

「なぜに?」

『ちょ…ちょっと緊張が解けなくて蒼くんと話したら収まるかなーと思って…えうぅ』

 

主に理由がおかしいのだが、自分の予想自体は間違っていなかったので渋々楽屋に行くことにした。楽屋の場所は準備の時にまりなさんから聞いていたので特に迷う事なくたどり着くことが出来た。

 

「えーっと失礼しm「あーおーくーんー!」むぎゅ!?そ…の声は日菜先輩?いきなり抱きつくのまじダメですって、衣装にシワがついてまいますって()」

「あら蒼くん、この時間にここに来たということは、彩ちゃんに呼ばれたのかしら?」

「あら千聖先輩、ええそうなんですよ。彩姉がなんか極端に緊張してるから来てくれーみたいに言ってきて…」

 

なんとか日菜先輩のホールドから逃れつつ、服についたホコリを払って彩姉の傍まで行ってみる。

横の椅子に腰かけるやいなや、さっきまで俯いていた彩姉が無言で抱きついてきた。

 

「わぶっ…なんだよ彩姉…」

「んー?もう少し、このままで居させて欲しいなーって」

「おーあつあつだーでも彩ちゃんだけずるい!あたしもあたしもー!」

「ちょ…日菜先輩背中にひっつくのやめてください。暑苦しいから!あと千聖先輩は何そこでこっちみてにやにやしてるんですか!?」

「いいえ?なんでもないわよ?」

「なんでもないわけないでしょう!?あと日菜先輩は離れて貰えますか?まじで暑いんで!」

「やーだもーん!ぎゅー♪」

「あーやめろ!死ぬ!」

 

急激に騒がしくなった空間の中で、さっきまで黙っていた彩姉がおもむろにくすくすと笑い始めた。

 

「…彩姉?」

「ふふ…ふふふ…ごめん、さっきまで緊張していたけど、蒼くんと日菜ちゃんを見ていたらなんだか行けそうな気がしてきたよ。ありがと♪」

 

気づいたら、彩姉は目で見てわかるくらい元気になっていた。まあこれならパフォーマンスの方は問題は無いだろう。

 

「ところで、大和さんとイヴちゃんは?」

「えっとー麻弥ちゃんは音響機材の最終チェックするっすって言って出かけて、イヴちゃんはブシドー!って言いながら麻弥ちゃんについて行った。」

 

うん、前者はともかく後者が意味不明すぎる、まあいつものことといえばそうなのかもしれないが。

 

「あ、ていうことはそろそろ開始時間やし移動しな不味くね?」

「あ、た…確かに」

 

彩姉がそういった時、楽屋の扉が勢いよく開かれ

 

「すいません遅くなってしまって。」

「オンキョウキザイのチェックが思った以上に長引いてしまいました。」

 

大和さんとイヴちゃんの2人が楽屋に駆け込んできた。

そこからは状況を理解出来ていなかった大和さんとイヴちゃんに事の顛末を伝え、5人をステージへと見送った後に自分は席の方へ戻ることにした。

 

「皆さんこんにちはー!私たち、せーの…」

「「「「「パステルパレットです!!」」」」」

「今日は私たちの大型ライブ・パステルドリームライブに来てくださってありがとうございます!早速1曲目聴いてください!しゅわりんどりーみん!!」

 

…パフォーマンスが始まった。メンバーがステージでステップを踏みつつそれぞれの楽器を演奏し、彩姉はそれに合わせてダンスしながら歌う。電飾が彼女達の演奏に呼応するかのように明滅し、装飾がその光を浴びてキラキラとひかる。

その場一帯がパスパレの色へと染め上げられ、観客は1人、また1人と彩姉の歌声によって魅了されていく。

彩姉の歌声を聴いていると、自然と自分の中でパスパレのデビューライブから今までのことがフラッシュバックされて行くような気がした。

 

デビューライブで大コケし、SNSで強烈なバッシングにあいながらも、土砂降りの雨の中で、紙を配り続けた彩姉のこと。傘を渡そうと玄関まで行った時には既に彩姉はおらず、やっと駅前で見つけた時には、既に日も暮れかけていた上、彩姉も千聖先輩もズブ濡れだったので自分が早く帰るよう促したこと。

 

続くセカンドライブで、デビューライブ後の彩姉と千聖先輩の努力がSNSで評価され、前回の反省から生歌、生演奏でのパフォーマンスだったことが更なる追い風になったこともあり、パスパレの名は一躍雑誌やテレビで取り上げられ有名になったこと。彩姉の努力が報われたんだと身をもって実感したこと。とりとめのないパスパレのそんな思い出を思い返しているうちに…

 

「あーやべ、泣いてもうてるやん自分…」

 

気づいたら自分は泣いていた。彩姉の努力が報われたことに対して感動を覚えていたのかもしれないし、もっと別の要因だったのかもしれない。

 

「以上、パステルパレットでしたー!」

 

最後の1曲を彩姉が歌い終わったことによりこれで全てのプログラムが完了、パステルドリームライブは大成功で幕を閉じた。

その後はよく覚えていないが、父親にお前の志を見誤ってしまったと土下座され、バンドサポート活動の続行を正式に認めてもらえた。自分より先に彩姉が号泣したのはなぜか覚えている。

 

その後、興奮冷めやらぬ日菜先輩と彩姉と3人でファミレスに行ってミニ打ち上げをし、月明かりが照らす帰り道を彩姉と一緒に歩いていた。

 

「蒼くん」

 

帰り道を歩いている途中、おもむろに彩姉に声をかけられ、自分は反射的に横を向いてしまった。

瞬間、自分は物理的にも感情的にも言葉を失ってしまった。

 

「なんだ彩nむ…んう…?………!?」

「む…んぅうう…んー……ぷはぁ」

「何…してんだ?」

「んー…キス?」

「現役バリバリのJKアイドルがこんなどこの馬骨の輩とも分からん奴とキスしていいのかい」

「馬骨じゃないもん!私にとって蒼くんは馬骨の輩なんかじゃないもん!」

「そういう事じゃねーんだよこのドアホ()」

 

これ以上言い争うのもバカバカしいので黙ったまましばらく歩き、程なくして玄関前に着いたタイミングでまたも彩姉に呼ばれた。

 

「ねえ、蒼くん」

「なんだ?彩姉」

 

 

「おかえり、そしてありがとう」

「ただいま、それと、おおきに」




蒼「本編長かったな。」
K「まあ最終回だしこんなもんでしょ」
彩「最後まで読んでくださり、ありがとうございました!」
千聖「処女作での投稿となりましたが、楽しんでいただければ幸いです♪」
日菜「このSSが面白いと思ったらお気に入り登録してね!」
麻弥「何度も言っておりますが、次回からは番外編での投稿となります。」
K「具体的には、ガルパピコの話に蒼くんが入ったらどうなるか?とか、バンドリの他バンドとの出会いとかを書いていくつもりです」
イヴ「それでは皆さん、また番外編でお会いしましょう!」
「「「「「「ご愛読、ありがとうございました!」」」」」」
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