仮面ライダーツルギ   作:大ちゃんネオ

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長くなりそうだったので分割。
前回、13話の裏の話。瀬那目線です。
当初の予定より激闘になってしまった……。 
EPISODE Xも執筆中!
今年中には出せるかな……


?+1ー13/2 闘争狂い

 少々時間は遡り、ゲームセンターCR。

 茜のマジックショーはなんやかんやで続行され、瀬那は終わるのを待つ羽目に。

 

 壁に凭れながら、あいつのショーが終わるのを待った。

 人が去っていくのを横目で見ているとあいつが駆け寄ってきた。

 

「……気は済んだ?」

「うん。最高のショーだったよ」

「それはよかったな」

「瀬那、怒ってる?」

 

 そりゃ怒りもするだろう。

 30分も待たされた私の身にもなってみろ。

 

「まあまあ。家に帰ったら美味しいご飯作ってあげるからさ。ところで、なんの用でここに来たんだっけ?」

「お前……ここによくいるライダーを倒しに来たって言っただろ」

「ううん。言われてない」

 

 こいつ……!

 

「だって私集まれとしか言われてない!」

「大体想像つくだろ! なんのためにお前と組んだと思ってるんだ!」

「私のことなんてどうせ家事をするだけの女としか思ってないんでしょう!?」

「うるさい! こんな時にふざけるな!」

 

 こいつ……!

 ああもう!なんでこうなる!

 

「ちょっと、そこの女子~私のゲームの邪魔しないでもらえる~?」

 

 ふと唐突に響いた私達を制止する声。

 この声には聞き覚えがあった。

 

「……やっぱり、ここにいたか。金草」

「ん? その声は……あんたか。ちょうどいいね、やろっか。……そっちの子もライダー?」

 

 金草の表情が曇った。

 

「どうも~瀬那の飼い主やってます。撒菱茜でーす。以後、お見知りおきを」

 

 大げさな礼の後に何処からともなく小さなバラをその手に出現させ、金草に手渡した。

 というか、飼い主とはなんだ飼い主とは。

 

「ふーん……。片月、あんたも堕ちたね。勝てないからって仲間連れて来るなんて」

 

 挑発的な笑みを浮かべる金草。

 なるほど、やり合う前にまずは舌戦がお望みか。

 

「別にあんたぐらい一人でも勝てるんだけどね。楽に勝ちたいから二人がかりで来たってだけ。あんまり自惚れない方がいいんじゃない?」

 

 目を細める金草。

 なかなか効いているようだ。

 相手を怒らせ冷静さを欠かせるなんてのは当然の行い。基本中の基本の戦術である。

 なのだが……。

 

「ちょっとちょっと。喧嘩するなら外でやってくれたまえよ~って、君か……関心しないなぁ」

「喜多村……。あんたには関係ない」

「そうそう。これからやるのは特別な喧嘩だからさ。一般人は引っ込んでな」

 

 特別な喧嘩。

 ライダーバトル。

 ただの人に止められようもない戦い。

 だが、妙な感覚が背中を走った。

 こいつは……喜多村は……。

 

「特別な喧嘩って、これのこと?」

 

 なんの特別感もなく、デッキをジーンズのポケットから取り出した喜多村。

 やっぱり、こいつ……。

 

「へぇ、あんたもライダーなんだ。混ざる?」

「いいよ。やろうか」

 

 こいつは根っからの戦闘狂。

 やらないわけがない。

 

「そっちが二人で来るなら、私はそっちにつこうか?」

「いいや、ろくに知りもしない奴と手は組めないよ。それに私、ソロプレイだから。なんなら三対一でもいいけど?」

 

 強気な発言。

 だけど、そんな風に言えるくらいにはこいつは強い。

 これまで幾度となく戦い、決着がつかなかった。その決着をつけようと今日は来たのだが……。

 喜多村、遊……。

 

「ま、なんでもいいから早く始めようよ」

 

 あいつがそう口火を切った。

 こいつもなかなかのバトルジャンキーだ。

 だけど、ここでウダウダしていてもしょうがない。

 

 

 

 

 

 建設途中のビル。

 休工中なので誰もいないことが幸いし、立ち入るのは容易だった。

 それぞれ、鏡となる物の前に立ちデッキを構え一斉に変身した。

 

「「「「変身ッ!」」」」

  

 小気味良い音をたてデッキがバックルへと装填される。

 

【仮面ライダージャグラー】

 

【仮面ライダーカノン】

 

【仮面ライダーレイダー】

 

【仮面ライダースティンガー】

 

 そして、四人の闘士が闘技場へと勇ましく入場していった。

 

 

 ミラーワールドには相変わらず、あの耳鳴りのような音が響いている。

 一対一対二。

 数では私達が有利。

 だが、戦いとは不確定要素が多い。

 当初の予定通り、二対一ならともかく喜多村が追加されたことで何が起こるか分からない。

 とにかく、気を引き締めるしかない。

 四人がそれぞれ間合いを計り、ちょうど菱形のような形に。

 最初に動いたのはカノン。

 銃型のバイザーを引き抜き、早撃ちをレイダー目掛けて繰り出した。

 

「おわっ!?」

 

 早撃ちは直撃。

 レイダーの胸部から大きな火花が飛び散っていく。

 しかし、当の本人は直撃してもけろっとしていた。

 

「ま、私は硬いからそれくらいじゃ問題なし!」

 

 両腕を挙げて自分は無事だと謳うレイダー。

 なるほど、頑丈さは確からしい。

 

「一番危険度高そうな奴から撃ったけど、正解みたい」

 

 しかし、私達を忘れてもらっては困る。

 

「余裕かまして大丈夫?」

 

 ジャグラーの鞭がカノンの腕に巻きつく。

 動きを制限されたカノンに向かい、ジャンプして勢いをつけた拳を放つ。が、その攻撃は軽くいなされてしまった。

 

「ぬるいぬるい」

 

 変わらず減らず口を叩くカノン。

 そのお喋りな口を黙らせようと拳を打ち続ける。

 だが、どれもカノンを捉えることは出来ず、逆に零距離からの弾丸を胸に穿たれた。

 

「ぐあっ!?」

 

 地面を転げ回る。

 仮面が、土に汚れた。

 

「瀬那ッ!?」

 

 あいつの声が聞こえる……。

 そのあとすぐに銃声とあいつの悲鳴が聞こえて、あいつも倒れたのが分かった。

 

「あれ? 調子悪いんじゃない?」

 

 カノンの口は止まらない。

 私の頭は血が昇ったなんてものでは済まされない程に滾ってしまった。

 こいつ……!

 

「おらぁ!!!」

 

 勢いよく立ち上がり、再び拳のラッシュを繰り出していく。だが、冷静さを欠いた拳は当たらない。

 空ばかりを殴って、苛立ちが募る。

 

「どこ殴ってんの? これまで勝ち残ってきたのが不思議なんですけど」

 

 こいつ……!

 こいつッ!!!

 身体中に力が入り強張る。

 硬いパンチを放つ瞬間のことだった。

 

「……口閉じないと、滅茶苦茶痛いよ?」

 

 横から、物凄い速さと勢いをもった拳がカノンの黒い仮面に直撃した。

 まるで、弾丸。

 いや、砲弾。

 あれを食らってよく砕けないものだと思う。

 仮面は砕けはしなかったが、中身まではどうなったかは分からない。何故なら、糸が切れた操り人形のように生命感無く倒れたカノンがその後ピクリとも動いていないから。

 

「あれ~? のびちゃったかな? まあいいや。本命は君だから」

 

 メタリックグリーンの拳を私に向けてそう言い放ったレイダー。喜多村遊。

 こいつは、マジに狂っている……!

 戦いたくて戦いたくて仕方ないタイプの人間。

 だけど……それは、私だって同じのはずだ!

 

「いいよ。やろうか……」

 

 カードを抜き、レイピアのようなバイザーへと装填。

 レイダーも拳に装備されたメリケンサックのようなバイザーへとカードを装填した。

 

【STRIKE VENT】

 

 二重に響いた電子音声。

 私は雀蜂の腹のような格闘武器を右手に装備し、構える。

 レイダーは大猿のような巨大な拳を装備し、構える。

 ここから先は何も考えない。

 野性の戦い。

 強い方が勝つ。

 ただ、それだけ。

 

「はあぁぁぁッ!!!」

「ぜやぁぁぁッ!!!」

 

 同時に駆け出した。

 そして、拳を突き出した。

 ぶつかり合う拳と拳。

 意地と意地。

 だけど……。

 

「ぐっ……」

 

 砕けて、しまいそうだ……。

 なんて、硬い拳。

 武器の上から伝わる脅威。

 もしこれをただの拳で受けていたなら拳どころか腕まで砕けていただろう。

 それにまだ、戦いは始まったばかりだ……!

 右足でレイダーの足にローキックを浴びせる。

 大したダメージではないだろうが、意識はそちらに削がれただろう。

 一瞬の隙。

 空いた左手で腰に提げていたバイザーを逆手で抜き、レイダーを斬りつけた。

 しかし、これは右の巨腕にガードされる。

 攻撃も重ければ防御も硬い。

 とても、とてもやりづらい。

 

「いいね……その足掻く感じ。もっと足掻いておくれよ!!!」

 

 弾かれたバイザー。

 がら空きとなった胴。

 一秒が、永遠のようだった。

 これは……これは……!

 

「ふんッ!!!」

 

 目の前が、突然暗くなった。

 足に力が入らない。

 身体が言う事を聞かない。

 なんて……。

 なんて……重い……。

 

「瀬那ッ!!!」

 

 ……私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 この声は……あか、ね……。

 

「はあッ!」

「んん? 君には興味ないんだけど……殴っていいなら殴るよ」

「殴ってみやがれゴリラ女ッ! 瀬那は私が守るんだ!」

 

 声だけが聞こえた。

 声のあとに響いたのは何かが空を切る音。

 そして、鈍く、何かを叩いたような音と悲鳴。

 茜の、悲鳴……。

 

「……? 変な感触」

「へへ……私、打撃には強いんだよね……。あんたとは相性最悪? みたいな?」

「へぇ……じゃあ、いっぱい殴れば君に届くかなっ!」

 

 ボンッと砲弾が飛び出したような音の後に、再び茜の悲鳴。

 やめ、ろ……。

 

「まだ……まだ耐えられるもんね!」

 

【CLEAR VENT】

 

 茜がカードを切った。

 クリアーベント。

 ライダーを透明化させるカード。

 見えない相手はさぞ脅威となるだろう。

 

「見えない……」

 

 いいぞ茜……。

 このまま、やってしまえ……。

 

【FINAL VENT】

 

 響く死刑宣告。

 これは、仕留めただろう。

 

 

 空から伸びたジャグラーの鞭。

 そして、ジャグラーの契約モンスターである【マジシャンズオクトパス】の触手。

 それらがレイダーの全身を絡みとっていく。

 

「ぐっ!? こ、これは……!?」

「あんた……強いよ。強いから、ここで倒す!」

 

 透明化を解除しながらジャグラーは言い放つ。

 仮面の下、茜の目には確かな光が宿っていた。

 しかし……。

 

「ぐ……がが……ふ、ふふふ……あははっ! いいね! 君も強い! 強い子は好き! だから……」

 

 レイダーは、腰を据えた。

 そして……全身に力を込めていく。

 

「なにを、する気……?」

「……ふん……ふんッ!!!」

 

 レイダーは更に力を込めていく。

 ジャグラーは、レイダーが何をしようとしているかを察してしまった。

 

「まさか……拘束を解くつもりッ!? そんなこと、出来るわけ……」

「……ぜあぁぁぁッ!!!」

 

 ブチブチと嫌な音をたて千切れるマジシャンズオクトパスの触手。

 悲痛な叫びを上げるマジシャンズオクトパス。

 拘束がほどけたレイダーはまずモンスターへと飛び掛かった。

 

「私を締め付けた悪い子にはお仕置きが必要だね」

 

 モンスターへと馬乗りになったレイダー。

 掴みかかり、マジシャンズオクトパスを八つ裂きにしようと力を込める。

 

「なっ……!? オクトパス!」

 

 自身の契約モンスターを助けようとレイダーへ接近するジャグラー。

 それは、悪手である。

 むざむざレイダーの得意とする距離に入っていくのだから。

 

「殴られにきたかッ!!!」

 

 初撃、鋭い左。

 速さと鋭さの合わさった拳がジャグラーの顔面を揺さぶった。

 続けて左が連射される。

 的確にジャグラーの顔面を打ち、脳を揺らしていく。

 そして、ジャグラーがよろめいた瞬間。レイダーの強力な右ストレートが繰り出された。

 ジャグラーの顔面を捉えた右手。

 ───だが、それを阻むものがあった。

 スティンガーのストライクベント。

 クインニードル。

 

「ふふ。また、立ち上がってくれた」

 

 仮面の下で笑みを浮かべる遊。

 対して、スティンガー。瀬那はボロボロであった。

 だけど、それでも……。

 立たなければいけない───。

 

「喜多村……殴り合おうよ……!」

 

 レイダーの拳を払ったスティンガーはまずは顔面へと一発、左。

 先程レイダーがジャグラーにしたように、左のジャブを連発する。

 

「さっきよりキレがいい……!」

 

 殴られながらも笑う喜多村。 

 彼女はとても、楽しそうだった。

 

「瀬那……」

「ちょっと休んでろ」

 

 背後の茜にそう声をかけた瀬那。

 その声はいつもより棘がなかった。

 

「ほらほら! 今度はこっちからいくよ!」

 

 レイダーが再び拳を繰り出す。

 猛烈なラッシュ。

 的確に防御し、カウンターを放つスティンガー。

 再び、拳と拳のぶつかり合い。

 だが、ライダーバトルの武器は身体だけではない。

 

【ADVENT】

 

 いつの間にセットしていたのだろうか、レイダーの契約モンスター【ガッツフォルテ】を召喚する。

 緑色のゴリラのようなモンスター。

 建築途中のジャングルジムのような足場を掴み、ジャングルを駆けるかのように戦場へと躍り出た。

 野性を剥き出しに暴れ狂う【ガッツフォルテ】

 このままレイダー諸ともスティンガーを叩き潰すような勢いであった。

 しかし、それは一瞬のことである。

 

【CONFINE VENT】

 

 鏡が砕け散るように【ガッツフォルテ】は消滅した。

 コンファインベント。

 敵のカード効果を無効化する能力を有したカード。

 この強力な切り札を切ったのは……。

 

「やっちまえ! 瀬那!!!」

 

 ジャグラー。

 撒菱茜。

 

「ッ!? まだ切り札はとってあるけどね!」

「使わせるかッ!!!」

 

 スティンガーが殴る、殴る、殴る。

 レイダーに何もさせないように。

 これ以上、レイダーの暴力を許さないように!

 

「でやぁぁぁぁぁッ!!!!!」

 

 渾身の一撃がレイダーを殴り飛ばした。

 そして、切り札をデッキから引き抜く。

 

「これで、最後だ……」

 

 バイザーへと装填し、そのカードの名を告げる。

 

【FINAL VENT】

 

「え……」

 

 茜の声が漏れた。

 瀬那は手を止めた。

 喜多村もまた動きを止めた。

 

 何故なら、今の音声は瀬那のバイザーからのものではなかったからである。

 

「はははッ!!! 私抜きで楽しかった? ……みんな仲良く、楽しく吹き飛んで死になッ!」

 

 ビルの上、夕陽に照らされた仮面ライダーカノン。

 黒き銃撃手と契約モンスター【カノンリザード】がその銃口にエネルギーをチャージしていた。

 見るからに、明らかに。

 直撃してはまずいということを三人は理解した。

 

「瀬那ッ!!!」

「あか……」

「吹っ飛べ」

 

 引き金が引かれた。

 カノンのファイナルベント【ハイパーカノン】

 極太の二本の光線が、三人のいた大地へと降り注ぐ。

 

「まだまだこんなもんじゃないよッ!!!」

 

 更に威力を増した光線が地面を穿つ。

 そして、周囲を光が包み───。

 

 鏡の世界に、爆炎が噴き上がった。




次回 仮面ライダーツルギ

「なんで、お前に膝枕されてんの」

「だって、私は弱いから」

「燐君は美玲のために今日なんでもするんだよね?」

「うん、枯れ専だね」

願いが、叫びをあげている────。


ADVENTCARD ARCHIVE
FINAL VENT(仮面ライダーカノン)
ハイパーカノン
6000AP

仮面ライダーカノンとその契約モンスター=カノンリザードが絶大な威力の光線を放つ。
カノンは銃型召喚機、カノンリザードは口腔内の砲口から射撃する。
敵を一掃することに長け、ビームで薙ぎ払うことも可能。

二条の光を目にした時には、もう遅い。
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