仮面ライダーツルギ   作:大ちゃんネオ

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?+1ー36 SURVIVE

「燐くん……」

 

 一人部屋に取り残されたキョウカは膝から崩れ落ち、声を上げないで泣いていた。

 ツルギへと変身した燐はギガントと戦闘に入り、この部屋にはもういない。

 

「どうあっても、燐くんは仮面ライダーになる運命だというの……?」

 

 その運命は、絶望。

 何故、彼が仮面ライダーにならなければならないのか。

 何故、戦わなければいけないのか。

 ただ、彼には笑っていてもらいたいのに。

 私ではついぞ、彼を救うことは出来なかった。

 もう手立てはない。

 その事実にキョウカはただ、絶望するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァリアス=真里亞はグリズ=陽菜と共にアリスを捜索しており、例の廃墟の近くまでやって来ていた。

 隠れるなら絶好の場所だろうと足を踏み入れようとした瞬間、二階の壁を突き破りギガントが落下してきた。

 

「どうしたの!?」

 

 ヴァリアスはギガントに駆け寄り抱き起こすと、ギガントが突き破った壁から純白のライダーが地上へと舞い降りた。

 

「なに、あのライダー……」

「男だ……男が、変身して……。くそ、強ぇ……」

 

 男が変身と聞いて真里亞が思い浮かべたのは二人。

 一人は現在ライダー達を取りまとめている鐵宮武。

 そしてもう一人は先日出会い、言葉を交わした男子、御剣燐。

 

「ツルギ……!」

 

 グリズが白きライダーの名を告げる。

 ツルギ。

 それが、あのライダーの名。

 グリズが両手に装備した鉤爪付の手甲でツルギに襲いかかる。

 一撃一撃を全て見切り、回避するツルギは腰に差している剣型のバイザーで居合一閃。

 グリズは火花と共に倒れた。

 

「このくそぉ!!!」

 

 ギガントが赤い銃型のバイザーでツルギに向かって発砲。

 しかし避けられるものは避けられ、直撃に至るだろうという弾丸はスラッシュバイザーにより切り裂かれた。

 

【SWORD VENT】

 

 天より現れる太刀、リュウノタチを掴んだツルギ。スラッシュバイザーは納めて太刀を構える。

 

【SHOOT VENT】

 

 ギガントの両腕にガトリングガンが装備され、ツルギを狙う。

 

「ぶちまけやがれぇ!!!」

 

 乱射される弾丸達。

 ツルギは姿勢低く弧を描くように駆ける。

 弾丸はツルギには当たらない。そして……竜が吼える。

 宙へと飛び上がったツルギ。ギガントはガトリングをツルギに向けようとするが重く、取り回しの悪いガトリングが動くよりもツルギの方が早かった。

 神速の突きが、ギガントのデッキを破壊した。

 

「そん、な……!」

 

 このままではギガントの変身者、栗栖が死ぬと判断したグリズが栗栖を抱えミラーワールドから脱出。

 残ったライダーはツルギとヴァリアスの二人。

 ツルギの緑光に輝くバイザーがヴァリアスを捉える。

 蛇に睨まれた蛙のようになったヴァリアスだが、恐怖を誤魔化し短剣を構えて走り出す。

 

「はあぁぁぁぁ!!!!!」

「……」

 

 太刀と短剣がぶつかり合う。

 リーチではツルギが勝る。

 なんなら戦闘技能もツルギの方が上だ。

 それでもヴァリアス、真里亞は思いを胸にぶつかっていた。

 何度か打ち合い、鍔競り合う二人。

 

「あなた、燐なんでしょ! 御剣燐!」

「その声は……真里亞さんか……!」

 

 鍔競り合いを制したのはツルギ。

 ヴァリアスはバックステップで距離を取り、燐との対話を試みた。

 

「燐! 私達の邪魔をしないで! みんなの願いが叶って戦いは終わるのよ! それが一番いい終わりでしょう!?」

 

 語るヴァリアスに向けて、一瞬で間合を詰めたツルギの剣閃が迫る。

 短剣での防御が間に合わなければ、上半身と下半身が分断されていたであろうと冷や汗が出る。

 そのまま再び鍔競り合う。

 

「……そのために」

「え……」

「そのために、僕の大切な人達を犠牲にするのか……!」

 

 燐の言葉に困惑したヴァリアスの力が一瞬弱まる。

 その隙に押し切られ、ヴァリアスはバランスを崩してよろけてしまった。

 そうしてヴァリアスの全身に剣が叩き込まれる。

 太刀だけでなく、納刀していたスラッシュバイザーも片手で引き抜き二つの刃でヴァリアスは切り裂かれたのだ。

 倒れ伏すヴァリアスにツルギは背を向け、歩き出す。

 

「待っ……」

「……貴女の願いを、妹さんを蘇らせたいという願いを僕は知っている。だけど、譲ってやることは出来ないんだ」

「あ……」

「すごい辛い思いをさせるだろうし、貴女を傷つけることになるとも思う。それでも、僕の願いのためにも貴女の願いを……斬り捨てなくちゃならないんだ……」

 

 そう言い残して、ツルギは再び歩き出す。

 そこへ、ヴァリアスの仲間のライダー達が現れ再び戦闘が始まる。

 6対1。

 それでも、ツルギは圧倒した。

 戦場の片隅、痛む身体を動かして上半身を起こしたヴァリアスは呼吸を整える。

 全身に走る痛みが思考をかき乱す。

 

(そのために、僕の大切な人達を犠牲にするのか……!)

 

 真里亞の脳裏には燐の言葉が反響していた。

 自分が蘇らせようとしている妹は自分にとって大切な存在であることに間違いはない。

 ただ、妹を蘇らせるという願いのために誰かの大切な人を犠牲にしてもいいのか。

 

「小夜……ごめんなさい……。私、分からなくなっちゃった……」

 

 6人相手に退くことのないツルギの戦いを横目に、真里亞は仮面の下で涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 相手は6人。

 負けはしないが……人数が多いのが面倒だ。

 

「あらあら、ライダーがこんなにたくさん。皆、我が神の下へと送ってさしあげなければ」

「ふふふっ」

「なに!? こいつら!?」

 

 新たにライダーが2人追加されるが彼女達はこの6人の仲間というわけではないようだ。

 この2人は……強い。

 黒いボロボロのドレスを纏っているかのようなライダーの長い爪が他のライダー達に襲いかかる。

 

「いや……来ないで!」

「ふふふ……ッ!」

 

 黒いライダーが緑色のライダーに爪を突き刺そうとする。

 容赦のない一撃。

 確実にライダーを殺すことが出来るだろう。

 ……そんなことさせない!

 振り下ろされる爪を横入りさせた太刀で受け止める。

 

「邪魔を……」

「わ、私を守った……?」

「退け! 死にたくなかったら全員連れて逃げるんだ!」

 

 黒いライダーを押し返すと、今度は赤いライダーが両刃の剣で斬りかかる。

 パワー型の敵か……。

 何度か打ち合いそう判断する。

 

「ふふふ……あなたも送ってあげましょう。神の下で、その罪を赦していただくのです」

「赦しなんていらない。僕の罪は、僕が背負うものだ!」

 

 相手の突きを叩き落とし、刃を返して斬りあげる。

 しかし、盾がその斬を防いで弾かれ隙が生じる。

 

「くっ……」

「もらった」

 

 黒いライダーの爪が迫る。

 あれは躱せないが、ダメージ覚悟での反撃ならば仕留めることも可能か。

 

「やあぁぁぁ!!!!」

 

 横槍が入る。

 いや、正確には槍ではなく剣だったが。

 爪を弾いた小型のチェーンソーのような剣は見覚えがある。

 そのライダーの登場には大いに驚かされた。

 だって、そのライダーは……。

 仮面ライダーグリム、影守美也。

 

「美也さん! 元に戻れたんだね!」

「まあ色々あって! 燐君、こそデッキ取られたって聞いたけど!」

「さっき返してもらったんだ!」

 

 ライダー達の猛攻を掻い潜りながら言葉を交わしていく。

 退けというこちらの勧告を無視するライダー達。

 現状は僕と美也さん、黒と赤のライダー、そしてその他大勢の三つ巴となっている。

 黒と赤のライダー二人は特に積極的にライダーを殺しに来ている。

 この人達を退かせるにはやはり……。

 

「美也さん。デッキだ。デッキを狙う」

「なんのこ……ちょっ!?」

 

 槍と鎌で襲いかかる二人。

 長物二本で突きと薙ぎが繰り出される。

 長物であれば、内側に入り込んでしまえばいい。

 

「なっ!?」

 

 鎌の斬をすり抜け、槍の刺突は槍に沿ってくるりと回りながら回避し槍のライダーの懐へと入る。

 そして、太刀の柄の先でデッキを静かに、それでいて強く打ち付ける。

 

「えっ」

 

 槍のライダーの声が漏れる。

 デッキがひび割れ、静かに崩れ落ちていく。

 鎧も砕け、生身を晒した少女は突然のことに呆然と立ち尽くすのみ。

 

「早く彼女を連れてミラーワールドから出るんだ!」

 

 鎌のライダーとその仲間達にそう告げて、再び黒と赤の二人組との戦いに挑む。

 赤いライダーは両肩にアーマーを装備し、美也さんの攻撃をまったく寄せ付けない。

 そして黒いライダーが美也さんを攻めたてる。

 すかさず黒いライダーの前に立ち塞がり、爪の一撃を太刀でいなす。

 

「とにかくこいつらを退ける!」

「うん!」

 

【SWORD VENT】

 

 太刀に続いて召喚したドラグダガー。

 逆手に構えた二振りが、黒い凶爪とぶつかり合い火花を散らす。

 だが、この距離はツルギの距離。

 

「ぜあぁッ!!!」

 

 速く、鋭い斬撃が黒いライダーを切り裂いて、近距離からの飛び蹴りを黒いライダーの胸に打ち込んだ。

 地面を転げた黒いライダーは立ち上がろうとするが力が入らず、再び地面に伏した。

 

「ぐっ……」

「退け! これ以上やっても無駄だ!」

「ぐ……ふふふ……ふふふ……」

 

 不気味に笑う黒いライダー。

 こいつは、一体なんなんだ……。

 

「あぁ……やっぱり、これが……」

「麗美さん!」

 

【GUARD VENT】

 

 美也さんと戦闘中だった赤いライダーが戦闘を切り上げガードベントを使用。

 背に盾とは思えない翼が装備され、飛行。

 黒いライダーを抱え飛び去っていった。

 

「燐君!」

「美也さん……。平気?」

「ああ、うん。あいつメチャクチャ堅くて攻撃全然通らなかった……」

 

 やはり強豪。

 その盾を崩すのは難しいだろう。

 それより今は捕まったという美玲先輩を助けに行くのが最優先だ。

 

「美也さん。美玲先輩が捕まった。僕は今から助けに行く」

「美玲さんが!? なにが起こってるの!?」

「美玲先輩とアリス……キョウカさんの二人を殺せばライダー全員の願いが叶うって話らしい」

「……待って待って頭が追いつかない。え? その言い方だとアリスが鏡華ちゃんってこと? 嘘でしょ?」

「詳しい話はまた後で。今は美玲先輩を助けるのが僕の最優先だ」

 

 民家の窓ガラスから現実世界へと戻る。

 美也さんも僕の後を追って来る。

 どうやら、状況を飲み込めてはいないが僕について来てくれるようだ。

 ……強い人だ。

 

「……御剣、燐」

「……真里亞さん」

 

 左腕を押さえ、息が荒い真里亞さんが立ち塞がった。

 先程のダメージが残る身体で、今にも倒れてしまいそうな彼女を無視して先を行くことは容易い。

 

「……鐵宮、別邸。月見の、古い国道を行った先よ……。そこに、あなたの大切な人がいる……」

「え……」

「助けに、行くんでしょう……。闇雲に探すつもりだったの……?」

「……ありがとう。けど、どうして」

「分からないのよ、自分でも……。私の願いを斬り捨てた貴方を許せない。だけど……貴方はきっと、正しいことをしようとしていると……。そう思えたから……」

 

 いよいよ限界が来た真里亞さんは倒れ、慌てて抱き止めた。

 

「……ありがとうございます、真里亞さん。美也さん、彼女を頼みます」

「分かった……。って、一人で行く気なの!?」

「私のことはいいから、行きなさい……。鐵宮に付き従ったライダー達が大勢いるから……」

「……大丈夫。切り札ならある」

「切り札……?」

 

 二人を置いて、美玲先輩がいるという鐵宮の別邸を目指す。

 変身して、ミラーワールドを通っていくか……。

 そう考えていると、ミラーワールドから聞こえた駆動音。

 とても、聞き覚えがある。

 

「久しぶりだね、スラッシュサイクル」

 

 白い、オンロードバイクが鏡の中にいる。

 スラッシュサイクル。

 ツルギの初期装備のひとつ。

 モンスターのもとへ急行するために開発された高性能バイク。

 君もキョウカさんに隠されていたのかとため息をついてから変身。

 月見の旧国道に着くまではミラーワールドを通っていこう。そうすれば5分もかからず到着する。

 スラッシュサイクルに跨がり、美玲先輩を助けに駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マリアさん?に肩を貸してどこか落ち着ける場所を探して歩いているとパトロール中のお巡りさん二人組を見つけた。

 そして見つかった。

 

「あ! おまわりさーん!」

「どうかしましたか?」

「えーと……この人、体調が悪いみたいで。私、スマホ持ってなくて救急車呼べなくて……」

 

 流石に、友達の御剣燐って男子にボコボコにされたみたいですとは言えなかった。

 

「それじゃあ救急車呼ぶから。……ところで、君」

「はい?」

「名前を聞いてもいいかな?」

「影守美也、ですけど……」

 

 私に名前を尋ねた中年のおまわりさんが若いおまわりさんと一言二言やり取りすると、中年のおまわりさんが改めて私と向き合うとこう言った。

 

「影守美也さん。君に捜索願が出ているんだ。一緒に来てくれるかい?」

「あ……はい……」

 

 しまった。

 そりゃそうなっていてもおかしくないだろうと今になって気付いた。

 この人を警察に任せたら燐君に合流しようと思ったのに……。

 ごめんなさい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの白い奴、強い……!」

 

 ミラーワールドを脱した十羽子と麗美は橋の下で息を整えていた。

 

「麗美さん大丈夫ですか?」

「……大丈夫」

 

 ツルギと戦い、少なくないダメージを負った麗美を気遣う十羽子。

 麗美をあそこまで圧倒したライダーとの遭遇は初めてだった十羽子は内心、ツルギに恐れを抱いた。

 自身の盾すら、切り裂かれてしまうのではないかと。

 

「……戻りましょう。あれだけのライダーと闘うのなら、私達も準備が必要です」

「……そうだね」

 

 立ち上がり、十羽子について歩く麗美。

 

「……やっぱり、愛は……」

「なにか、言いましたか?」

「……ううん。なんでもない」

 

 そうですかと再び歩き出す十羽子の背後、麗美は妖しい笑みを浮かべていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミラーワールド内の鐵宮別邸。

 手入れが施されていた庭園は荒れに荒れていた。

 

「ふはははは! 大乱闘だ!」

 

 喜多村遊が変身する仮面ライダーレイダーが無数のライダーを相手取る。

 刃舞い、銃弾飛び交う戦場で遊の味方はいない。

 たった一人で数十人のライダー達のいる場所へ襲撃してきたレイダー。

 そんなレイダーに襲いかかる獣の影、吼帝。

 

「出てきたね、殴らせてもらうよ。いや、殴り殺す」

「ふん。この間、無様に私に敗北した口でよく吠える」

「あっはっはっ! 生きてる限り負けじゃない!」

 

 レイダーの剛腕が吼帝目掛けて放たれる。

 それらを余裕気に紙一重で避けていく吼帝。レイダーの仮面に一発裏拳を決め、レイダーを後退させる。

 

「あはは~☆ なっちゃんも混ぜて~☆」

 

 レイダー目掛けて飛び掛かる、テュンノス=玄汐夏蜜柑。

 二振りのナイフが煌めいて、レイダーを切り裂かんと迫る。

 振り下ろされるナイフの刃。

 レイダーは、その刃を掴み取りへし折った。

 

「嘘でしょ!? 馬鹿力!?」

「これは返すよ」 

 

 握る刃をテュンノスに突き立てる。

 だがその刃は吼帝の蹴りで弾き飛ばされ、レイダーも蹴り飛ばされる。

 

「力の差は分かっただろう」

「だとしてもぉぉぉ!!!!!」

 

 鐵宮の瞳に映る、未来の景色。

 攻撃パターンを理解、回避し、その拳を受け止める。

 

「なぜ挑む? この私に。勝てぬと分かっていながら!」

 

 吼帝の拳が放たれる。

 レイダーはその拳を自分がされたように受け止めた。

 

「なんでって、そりゃ気に食わないからさ!」

 

 殴り返すレイダーの拳は空を打つ。

 それでも終わらない。

 それだけで終わらせない。

 吼帝に攻めさせないとラッシュを続けていく。

 

「気に食わない? 願いが叶ってライダーバトルが終わるというのに?」

「そう! 私はぁ! ライダーバトルを! この戦いを! 永遠に続けていたいッ!」

「チッ……。蛮族が」

 

 殴り付けるレイダーの腕を蹴り飛ばし、バックステップで間合いを取った吼帝はデッキからカードを引き抜いて左手の召喚機に装填し、読み込ませた。

 

【FINAL VENT】

 

「ッ!」

 

 レイダーもまた召喚機へカードを読み込ませる。

 二人の最大火力が、ぶつかる……!

 

【FINAL VENT】

 

 二体の巨獣が現れる。

 黒き獅子、レオキマイラ。

 知と剛の大猿、ガッツフォルテ。

 

「いくよ!」

 

 ジャンプしたレイダーをガッツフォルテが掴み、回転。

 その勢いはどんどん強くなっていく。

 

「ふん……」

 

 駆け出す吼帝。

 その背にレオキマイラを侍らせて。

 飛び上がる吼帝は両足でのキック。

 レオキマイラの放った火炎を纏い、レイダー目掛けて加速する。

 

「おりゃあああああ!!!!!」

 

 ガッツフォルテの回転速度が最大に達した時、レイダーが砲弾として放たれる。

 拮抗する吼帝とレイダーのファイナルベント。

 数値としては拮抗。

 だが、コアによりブーストされたスペックがこの拮抗を打ち破った。

 

「はあぁぁぁ!!!!」

 

 闇を照らす爆炎。

 地に降り立つ吼帝。 

 背後では、レイダーが落下していた。

 レイダーは地面に踞り、立ち上がろうにも身体に力が入らない。

 

「諦めろ、私には勝てん。……こいつを捕らえて咲洲と同じく牢に入れておけ。私が全てを手に入れる瞬間をお見せしよう」

 

 レイダー戦闘不能。

 鐵宮の配下であるライダー達がレイダーを捕らえ、ミラーワールドから退出していく。

 

「まったく馬鹿の考えることは分からんな……ッ!?」

 

 目に突然走った痛みに仮面を押さえた。

 鐵宮の未来視に映るものが、痛みの正体。

 ノイズが走る未来の景色。

 それは以前も見たもの。

 

「御剣、燐……だと……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 暇過ぎて音楽配信サービスで曲を漁っていた。

 コアも先程からはだんまり……だったのだが。

 

『黒峰樹』

 

「……なに、急に」

 

『願いを叶えたいのなら、ここから離れた方がいいわよ。……嵐が来る』

 

「はぁ?」

 

 どういう意味かと訊ねようとする前にコアは鏡の中から姿を消した。

 願いを叶えたいのなら、ここから離れた方がいい?

 今、まさに王手がかかっているような状況だというのに?

 ……しかし、コアのような存在がわざわざそんなことを言うということは……。

 

「……従うわけではないけど」

 

 甲賀へと変身した樹はコアがいた鏡を使ってミラーワールドへと消えていく。

 少し様子見に徹すると、反転した世界に溶けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう為す術はないかと諦めていた時だった。

 どこか、遠くから聞き慣れた、懐かしい音がした気がした。

 頼もしい、英雄の足音。

 

「燐……」

 

 まさか、燐が来ているというの?

 デッキを奪われた燐が?

 死にに来るようなものだ。

 止めなければ。

 けれど、なにも出来ない自分がもどかしい。

 

「どうして、こんな時に……私は……」 

 

 デッキは取り上げられているので状況はなにも分からない。

 今はただ、祈ることしか出来ない────。

 

 

 

 

 

 

 喜多村遊を連行する少女達。

 彼女達の耳に届く音。

 遠くから響き、どんどん近づいてくる駆動音。

 その、正体は門を飛び越え現れた。

 

「バイク!?」

 

 鐵宮も現実世界へと戻り、その光景を目にする。

 白いバイクは庭園の中央に停まり、燐はヘルメットを取ると鐵宮を真っ直ぐと見据えた。

 

「御剣、燐……」

「鐵宮……」

 

 宿敵、相対す。

 そして燐は捕らえられている人物が見知った人達であることにも気が付いた。

 一層、燐の中の怒りが滾る。

 

「君もまた私の邪魔をしようと言うのかね」

「そうだ!」

「大多数のライダーとなった少女達の願いが叶う! 幸福が待っているのだぞ! 私は正義を為している!」

「正義だって? ……僕の願いは、大切な人を守ること。あんたは僕の大切な人達を殺そうとした。だから、あんた達は僕の悪だ! 僕は、あんた達の願いを斬り捨てる……!」

 

 デッキを取り出す燐。

 屋敷の窓ガラスからベルトが現れ、燐の腰に巻かれる。

 

「……聞け! この男は君達の願いを破壊しようという悪だ! 正義の名の下にさあ、討ち取れ!」

 

 取り囲まれる燐。

 自分達の願いを邪魔しようとする者への敵意が燐に向けられるが、その程度で今の彼を止められようか。

 

「────変身ッ!」

「変身!」

「「「「「変身!」」」」」 

 

 舞い踊る虚像達。

 色彩溢れる騎士達の中央、純白の仮面ライダーツルギがいる。

 始まる乱闘。

 ライダー達の攻撃をいなし、ミラーワールドへと戦場を移す。

 

「くっ……」 

 

 物量に押されていくツルギ。

 だが、ツルギには切り札があった。

 ライダー達の攻撃を躱し、デッキから引き抜いたそのカードはこれまでのツルギのデッキには存在しなかったもの。

 

「戦う嵐になってやる────!」

 

 白い無地のカードに金色の翼が描かれていく。

 その背景では白い風が吹き荒ぶ。

 他のカード達とは一線を画す特別な力が宿ることは目にも明らか。

 

「くっ……!」

「なにこの風!」

 

 風が、巻き起こる。

 ツルギを中心に、風が。

 徐々に強くなっていくその嵐は地に落ちていた葉などを浮かび上がらせ、切り裂く。  

 燐の剣気を纏った嵐にライダー達は気圧されていく。

 

「一体……一体なんだと言うのだ!?」

 

 スラッシュバイザーがカードの力によって鍛え上げられる。

 西洋の細剣を思わせる姿は、白と金で飾られた鞘に納まった太刀となる。

 銘は、スラッシュバイザーツバイ。

 鍔にあたる部分は龍の顔で象られており、ツルギは龍の口を開かせるとそこへカードを装填し太刀を腰に差す。  

 そして、燐の戦う覚悟が目覚めさせたカードの名が告げられる。

 

【SURVIVE】

 

 嵐は更に強くなり、進化した姿の虚像が重なることでツルギの新たなる変身が完了する。

 

 全身に走る2本の金色のライン。

 風にたなびく一対の長く白いマフラー。

 頭部の三本の角は大きく、より鋭くなり、中央には緑色の宝玉が飾られる。

 鎧の形状は変化し、陣羽織を思わせるシルエットとなった。

 

 仮面ライダーツルギ サバイブ烈風。

 

 嵐と共に現れた、悪を切り裂く嵐の剣。

 

「姿が変わったところで……! やれ!」

 

 吼帝から指示が出て、真っ先に動いたライダーが銃型バイザーでツルギを撃つ。

 ツルギに動きはない。

 放たれた三発の弾丸は間違いなく命中するはず、であった。

 

 宙で制止する銃弾達。

 見えない壁でもあるかのようだが、最終的に銃弾は何かに押し返されて地に堕ちた。

 今のツルギに飛び道具は効かない。

 身に纏う嵐が障壁となっているのだ。

 

「なんだ……その力は……!」

「……ッ!」

 

 砲弾が放たれたかのような音と共に消えたツルギ。

 次の瞬間、吼帝の目の前に現れたツルギが右ストレートを放つ。

 永遠のような一瞬。

 殴り飛ばされた吼帝は地面を抉った。

 

「ば、馬鹿な……。この、私が……!」

 

 吼帝はカードを使用し、身の丈ほどある両刃の剣を召喚する。

 ツルギもまた、得物を抜く。

 腰に差した召喚機スラッシュバイザーツバイに手をかける。

 鯉口を切るような動作でカード装填口のカバーをスライドさせ、カードを読み込ませる。

 

【SWORD VENT】

 

 抜かれる、スラッシュバイザーツバイ。

 白刃の美しさに思わず、ライダー達は美惚れるほど。

 

「うおおおおお!!!!!!」

 

 吼帝の剣が迫る。

 上段からの振り下ろしをスラッシュバイザーツバイの刃で流し、背後へと回ったツルギは吼帝の背に斬りかかる。

 

「チッ!?」

 

 だが、ツルギの斬は回避される。

 吼帝の未来視がギリギリで発動し、回避に至ったのだ。

 

「そうだ、私にはこの目がある!」

 

 ツルギの剣は吼帝に届かない。

 ツルギが優勢のはずなのに、押し切れない。

 

「……厄介な力だ。だけど……」

 

 カードを引くツルギ。

 スラッシュバイザーツバイに読み込ませる。

 

【TIME VENT】

 

 タイムベント。

 それはキョウカが保有していたカードで時間を巻き戻す能力を持つものであった。

 だが、それはキョウカのタイムベント。

 ツルギのタイムベントは……。

 

「────未来超越」

 

 燐に流れ込む、無数の未来達。

 未来という名の枝葉が広がり、そして繋がっていく。

 敗北などという未来は斬り捨てる。

 現在と勝利した未来とが結び付き、ツルギの勝利が今、確定する。

 

「なにをしようと、私には敵わんよ! 未来視!」

 

 未来を視ようとする鐵宮。

 だが、未来は砂嵐。

 なにも視ることは出来なかった。

 

「なんだ……なにをしたッ!? なにをした御剣燐!?」

「────お前が視ていた幻想(未来)は、嵐の中だッ!」

 

 繰り出される斬撃の嵐が吼帝を切り裂いていく。

 圧倒的な力の差。

 鐵宮の配下達は怯え、竦み、震えていた。

 

「なにを、なにをしているッ!!! お前達も戦え! こいつを殺さなければ願いは叶わんぞ!!!」

 

 願いが叶わないという言葉に触発され、ライダー達が動き出す。

 空より飛び掛かる青い影がツルギに迫る。

 両手に構えたナイフで斬りかかるテュンノスである。

 だが、ツルギに届くことはなかった。

 

「チッ!? なんだよ!?」

 

 テュンノスを地に叩き落とした白い鞭。

 そして、テュンノス目掛けて駆けてくる黄と黒に彩られたライダー……仮面ライダースティンガー。

 

「お前ッ!」

「さっきぶりだな! でやぁぁぁ!!!」

 

 テュンノスに勢いよく殴りかかるスティンガー。

 テュンノスは回避してナイフで斬りかかるが、スティンガーを守るように再び白い鞭が打ち付ける。

 

「私もいるよ!」

 

 茜が変身したライダー、ジャグラーの鞭が振るわれる。

 トリッキーな機動に翻弄されるテュンノス。ここにスティンガーも加わってテュンノスの形勢は不利。

 

「さっきの続きだ! てめぇの相手は……アタシだッ!」

 

 テュンノスの顔面に次々とスティンガーの拳が決まっていく。

 

「くそが……。おらお前ら! ボーッと突っ立ってんじゃねえよ! こいつらも殺れ!」

 

 突然のライダー達の乱入に呆然とし、動きが止まっていたライダー達に命令する。

 

「瀬那~! 数が多いよ~!」

「見りゃ分かる! なんとかしろ!」

「天才マジシャンでも流石にこれはなんとかならないよ!」

「口じゃなくて身体動かせ!」

 

 無数のライダー達を掻い潜り戦うスティンガー、ジャグラー。

 多勢に無勢とは正にこの事。

 更に、鐵宮陣営のライダーが次々と集まってくる。

 アリス捜索に出ていた者達が帰投してきたのだ。

 

「うじゃうじゃと……!」

「何人いるの!!!」

 

 次々と増えるライダー。

 だが、現れたのは鐵宮陣営のライダーだけではなかった。

 空から降ってきた、金色の何か。

 煙が晴れると、それがモンスターであることが判明する。

 金色の巨大なヘラクレスオオカブトのようなモンスター、プラチナムヘラクレス。

 その背には北津喜が変身するライダーリーリエが立ち、笑い声を戦場に響かせた。

 

「あーはっはっはっ! 多勢に無勢とは卑怯だぞ!」

 

 プラチナムヘラクレスを前進させるリーリエ。

 その見た目以上の機動力と見た目通りのパワーにライダー達は怯む。

 さながら、戦車が現れたかのよう。

 

「大丈夫!? 燐君!?」

 

 伊織、ピアースもまた契約モンスターであるユニコーン型モンスター、ユニコブースターに騎乗し、塀を飛び越え戦場へと赴く。

 ランスを振るい、ライダー達を蹴散らしていく。

 

「伊織さん……北さんも……」

「一応もう一人いる! 上谷さん! 無理しないようにね!」 

「は、はい!」

 

 リーリエの後ろに、上谷真央が変身した姿で隠れていた。

 仮面ライダージュリエッタ。

 青と銀の騎士。

 各部にヒレのような意匠が施され、鋭利な印象を見るものに与える……が、とんび座りしてびくびくしているのでなんとも頼りがない。

 それでもなんとかと槍型のバイザーでプラチナムヘラクレスの上から敵ライダー達を牽制していく。

 ライダーと思われる女子学生達を尾行していた三人はつい先程ここに到着。

 ツルギが、燐が戦っていると迷うことなく助太刀に入ったのだった。

 

「燐君は……なんだいその姿は!? パワーアップ!? パワーアップかい!?」

「え! パワーアップ……!」

「あとにしなさいそういう話は!」

 

 北の声を無視してツルギは戦闘に集中する。

 薙刀でツルギに斬りかかる緑色のライダー。だが薙刀を掴み取られ、奪われる。

 ツルギは奪った薙刀で緑のライダーとその他、襲いかかるライダー達を薙ぎ払うと薙刀は捨て、カードを切る。

 

【SWORD VENT】

 

 舞い降りる、6つの金色の刃。

 リュウノゲキリン。

 龍の鱗のような形状をしている。

 ツルギから発せられる風に乗り、ツルギの周囲に浮遊して侍る。

 

「いけ」

 

 ツルギがそう命じると、リュウノゲキリンは風に乗り空を駆け、ライダー達を切り裂いていく。

 ツルギの意思に従い、自律行動する。

 それが、リュウノゲキリン。

 

「む、無理だよ! こんなの勝てないよ!」

 

 圧倒的な力の差にライダーの一人が敗走する。

 一人が敗走すれば二人、二人が敗走すれば四人と鐵宮陣営は崩壊していく。

 

「雑魚がッ!」

 

 敗走するライダー達に舌を打つテュンノスの腕にジャグラーの鞭が絡みつく。

 動きが制限され、ジャグラー渾身の力で振り回される。

 

「さあ、君はこっちで私達と楽しいショーだよ!」

「離せッ!」

 

 庭園から戦場を移すスティンガー、ジャグラー、テュンノス。

 残ったライダーは30人ほど。

 

「あなたは鐵宮を!」

「他のライダーは私達が引き受ける! いくよ上谷さん!」

「は、はいっ!」

「この無能共がぁ!!!」

 

 剣を振り回す吼帝。だがその剣閃は全て見切られている。

 余裕綽々と回避するツルギはリュウノゲキリンに集合するように号令。

 飛び上がるツルギ。

 振り上げたスラッシュバイザーツバイの周囲にリュウノゲキリンが集まり、合体。

 スラッシュバイザーツバイは大剣と化し振り下ろされる。

 剣で受けた吼帝であったがそれは間違い。

 剣は砕かれ、唐竹割り。

 風の力も合わさり大剣も軽々と扱うツルギは次々と斬撃を繰り出していく。

 吼帝がこの斬の嵐を防ぐことは不可能。

 

「ぜあぁぁぁッ!!!」

 

 トドメは風を纏ったキック。

 吼帝の胸を直撃し、吹き飛んだ先はガラス戸でそこから吼帝は現実世界へと退去させられてしまった。

 

「がはっ……! こんな……こんなことが……!」

 

 目の前に落ちたカードデッキに手を伸ばす鐵宮。

 だが、そのデッキは既に砕けていた。

 

「う……うあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 吼帝は倒れた。

 だが、ツルギの戦いは終わらない。

 未だ、願いのために戦おうとするライダー達がいる。

 仲間達が戦ってくれてはいるが、多勢に無勢。

 この戦いを一気に終わらせるため、更なるカードを使用する。

 

「……これを使うか」

 

 新たに手に取ったカードはドラグスラッシャーに似た龍に無数のモンスター達が挑む様子を描いたカードであった。

 

【CALL VENT】

 

 カードが読み込まれるとドラグスラッシャーが現れるが、サバイブのカードの影響でドラグスラッシャーもまた進化を遂げる。

 ワイバーン型の体型からドラゴンのような体型へ。

 巨大な刃である翼と、背中にはブースターにもなっている巨大な剣が二本備わった。

 

 聖剣嵐龍ドラグブレイダー。

 

 聖剣竜ドラグスラッシャーの進化した姿である。

 

『ゴガァァァァァァァ!!!!!!!!!!!』 

 

 龍が叫ぶ。

 大気が震え、嵐が巻き起こる。

 そして、コールベントの効果が発現する。

 

「えっ……」

 

【ADVENT】

 

 一人のライダーが、アドベントのカードを使用していた。

 だが、そのライダーはアドベントを使うつもりなど一切なく、無意識で行ってしまったのかと考えたが周囲を見渡して気が付いた。

 

【ADVENT】

【ADVENT】

【ADVENT】

【ADVENT】

【ADVENT】

【ADVENT】

 

 他のライダー達も全員アドベントを使用している。

 そして、皆一様に戸惑っていた。

 いつの間に、カードを使用していたのかと。

 まるで全員、催眠術にでもかけられてしまったかのよう。

 使用されたアドベントは正常に作動し契約モンスターが現れ、ツルギに襲いかかる。

 だが、これはツルギの思惑通りなのだ。

 

【FINAL VENT】

 

 ツルギの後方に立つドラグブレイダー。

 翼を大きく広げ、背負っていた二本の剣を肩に移行させ前方へと鋒を向ける。

 ドラグブレイダーの口内と、剣先に力が集まっていく。

 ツルギはスラッシュバイザーツバイを天へと掲げ、その刃の周りをリュウノゲキリンが回転しており、その回転は徐々に速度を増していた。

 ツルギ達の周りは暴風域となり、向かってきていたモンスター達を近付けさせない。

 ツルギとドラグブレイダーの力が最大まで高まった時、ツルギはスラッシュバイザーツバイを両手で持ち、振り下ろす。

 

「はぁぁぁ……ぜあぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 放たれる、龍の嵐。

 

 ドラグブレイドホワイトストーム。

 

 四つの嵐がモンスター達を巻き込み、切り裂き、天へ向かって翔けていく。

 この場にいたツルギに敵意を抱くライダー達のモンスターは一掃され、ライダー達はブランク体となった。

 

「なによ……あいつ……勝てるわけないじゃん……」

 

 失意に飲まれる少女達。

 ツルギはそんな彼女達に目もくれず、ミラーワールドを後にしたのだった。

 

「なんて強さだ……」

「……現状、彼に勝てるライダーはいないでしょうね」

 

 戦場に残るリーリエとピアース、ジュリエッタは絶望の中に立っていた。

 契約モンスターを失くしたライダー達は色を失い、モノクロの中に金と青二人。

 デッキを失ったわけではないので再びモンスターと契約すればライダーバトルに復帰出来るだろう。

 ただ、そうなれば再びツルギと戦うことになるだろう。

 あの、次元の違う存在と。

 人に対する嵐。

 今のツルギはこのライダーバトルという戦いを終わらせてしまう災害。

 災害に、人は敵わない。

 それゆえの、絶望。

 

「……行こう」

「ああ、そうだね……」

「……はい」

「……貴女達も、いつまでもここにいたら死ぬわよ」

 

 最後、ピアースはライダー達にそう言い残してミラーワールドを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……何か、音がする。

 荒々しい、乱暴な音が。

 それもどんどん近付いてきているようだ。 

 逃げられるわけもない私はただ音の主が近付いてくるのを待つのみ。

 そして、それは現れた────。

 

「美玲先輩!」

「り、燐……?」

 

 いつもと少し姿が違うが、変身した燐が現れた。

 

「邪魔だ!」

 

 木で造られた格子を太刀で切り裂き、隔てるものを無くした燐はこれもまた太刀で私を縛る縄を斬ってほどいた。

 正直、間違って斬られるかもしれないと思えて怖かった。

 

「美玲先輩、大丈夫ですか?」

「え、ええ……だいじょう……ッ!?」

 

 立ち上がろうとしたら立ち眩んで、バランスを崩す。

 前のめりに倒れた私を、鎧を纏ったままの燐が受け止めた。

 ……こんな鎧、邪魔。

 

「ごめんなさい……」

 

 燐から離れようとする。 

 だけど、燐が離してくれなかった。

 なにを思ったのか燐は、私を抱えあげた。

 いわゆる、お姫様抱っこ。

 

「燐……! 降ろして……」

「降ろしません。美玲先輩、大丈夫そうじゃないので」

 

 仮面の下の燐の顔が真面目なものだというのはなんとなく分かった。

 こうなった燐に抵抗するのは無駄だと判断して、身を任せる。

 忌々しい牢から、清々しい夜空の下。

 秋の足音を感じる涼しい風が吹いていた。




次回 仮面ライダーツルギ

「皆さん、デッキを渡してください」

「……ッ! ざっけんなぁぁぁ!!!!!!」

「……馬鹿ね。全然似合ってなかったわ……」

「お前はここで脱落だ。あたしが殺す」

願いが、叫びをあげている────。

ADVENTCARD ARCHIVE
SURVIVE-烈風-(仮面ライダーツルギ)

燐が獲得したサバイブカード。
黄金の翼が描かれており、背景では白い風が吹き荒んでいる。
ライダーを強化させる効果を持ち、使用すると仮面ライダーツルギサバイブへと強化する。
ライダーであれば誰でもサバイブに到達することは理論上は可能である。
だが、到達条件はそれぞれ異なり燐の場合は大切な人々を守るために戦うという信念を思い出したことにより発現。
カードに描かれる翼はライダーを次のステージへと至らせる、上位へ引き上げる、飛び立たせるという意味のようだ。
また、サバイブに至ったライダーにはタイムベントが付与されこのタイムベントもライダーにより能力が異なる。

嵐と共に現れる、悪を切り裂く嵐の剣。
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