仮面ライダーツルギ   作:大ちゃんネオ

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?ー3 日常と戦い

 ミラーワールドから現実世界へと戻り、鎧が鏡が割れるかのように消える。

 そうして、ライダーに変身していた人物が露になるが……やっぱり美玲先輩だった。

 美玲先輩は僕を見るとため息をついてから話し始めた。

 

「まさか、あなたがライダーになるなんて。イレギュラーもイレギュラーよ」

「美玲先輩こそ、なんでライダーに……」

「それを含めて話をしましょう。あの子……宮原鏡華にも聞きたいことがある」

 

 鏡華さん……。

 そうだ、あのアリスという人のことを聞かなきゃいけない。

 関係、あるのだろうか。

 

「それにしても、こんなことになったというのにあまり動じないのね」

 

 言われてみればそうだ。

 鏡の中に入っただとか、仮面ライダーに変身しただとか、戦っただとか……。

 どれも日常から乖離したことだというのに、当たり前のことのように受け入れている自分がいる。

 変身した時にも感じたことだが、知らないのに知っている。

 そんな妙な感覚に支配されている。

 一体どうしたというんだ僕は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御剣君!無事でよかったです……」

 

 客間に戻ると鏡華さんが駆け寄りそう言った。

 無事でよかったですと言いながら本当に無事かどうか確認しないといけません!と言って身体検査が始まりそうになったが丁重に断っておいた。

 鏡華さんに身体中触られるなんて絶対大変なことになる。

 

「ところで、あの、咲洲さん……」

「分かっているわ。話すつもりだし、あなたにも聞きたいことがある」

 

 ソファに腰を掛け、青いカードデッキをテーブルに置く美玲先輩。

 そして、美玲先輩は語り出した。

 仮面ライダーとはなんなのか。

 ミラーワールドとは、モンスターとは。

 

「仮面ライダーは都市伝説で語られているようにミラーワールドのモンスターと戦っているわ。けれど、それだけじゃない。ライダーはライダーとも戦っている。殺しあっているのよ、私達ライダーは」

「ライダー同士で殺しあう……?どうしてそんなことをするんですか!?同じ人間じゃないですか!そんな人の命を奪うような真似をどうして……」

 

 美玲先輩の言葉に憤る鏡華さん。

 普通の人の感覚であればそうだろう。

 だけど……。

 殺しあう。

 そうだ、ライダーはライダーと戦わなければならない。

 それぞれの願いのために。

 あれ?どうして僕はそんなことを知っているのだろう……?

 さっきから、記憶が混乱している。

 知っているのに、知らない記憶が次々湧いて出てくる。

 

「他人を殺してでも、叶えたい願いがあるからよ」

「叶えたい、願い?」

「そう。この戦いは普通では……。自分の力では叶えられない、どうしようもない願い。他の誰かを犠牲にしてでも叶えたい願いを持った者達の戦いよ」

 

 他の誰かを犠牲にしてでも叶えたい願い。

 普通では叶えられない願い。

 そんなものを持つ人間にとって、ライダーバトルはまさにまたとない機会。

 藁にもすがる思いでライダーになる者は多い……。

 

「それじゃあ、咲洲さんも何か願いがあるんですか?」

 

 ライダーバトルに参加するということは例外なくそういった願いがあるということ。

 美玲先輩の願いって一体……。

 

「……それは、言えないわ」

「……咲洲さんは、既に人を……殺しているんですか?」

 

 鏡華さんの追及は続く。

 美玲先輩はライダーを……人を殺したのだろうか?

 だとしたら……。

 そうだとしたら僕は……。

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 なんだ、今の……。

 自分ではない、自分が出てきたかのような感覚がした。

 

「……いいえ。他のライダーと戦いはしたけど、まだ仕留めたことはないわ。……そういえば、今この場にいるライダーは私だけじゃないわ。ね、燐?」

 

 今ここで僕に振る!?

 絶対美玲先輩は鏡華さんの質問責めが面倒になったんで話題をすり替えたんだ。

 美玲先輩はそういうことをする……。

 

「えっ……。御剣君も、仮面ライダー……?」

「えーっと……。ははっ。仮面ライダーに、なっちゃった……」

 

 デッキをポケットから取り出し、なんとか愛想笑いを浮かべながらそう言った。

 愛想笑い……。上手く笑えてるかな……?

 

「笑ってる場合じゃありません!どうしてそんなことになるんですか!?仮面ライダーになるということはさっき咲洲さんが言ったみたいに殺しあいに巻き込まれるということですよ!今すぐ仮面ライダーなんてやめてください!」

 

 肩を揺すられながら怒られる僕……。

 同い年に怒られるとは情けない。

 鏡華さん母親みたい……。

 息子とチンピラの交友を心配する母親みたいな。

 

「だ、大丈夫だよ鏡華さん……。僕はライダーとは戦わないよ」

「本当ですか?絶対ですよ!約束ですよ!」

 

 鏡華さんが詰め寄り僕は壁に追い詰められた。

 すごく、近い……。

 鏡華さんの大きな目が僕を捕らえて離さない。

 ここで断る!とか約束は出来ないなんて言おうものなら更に激しい追及が……。

 事は穏やかに済ませよう。

 

「う、うん……。約束するよ……」

「はい。約束ですよ」

 

 にっこりと笑顔を浮かべる鏡華さん。

 こんな間近で鏡華さんの笑顔を見られるなんて……。

 

「……あなたがライダーとは戦わないつもりでも、他のライダーはあなたを狙ってくるわ。願いを叶えられるのは最後に生き残った一人のみ。ライダーになった時点で、他のライダーとの戦いは避けられないわ」

 

 美玲先輩の言葉によって現実に引き戻される。

 いくら自分が戦わないつもりでも向こうは戦いを仕掛けてくる。

 

「そんな!?じゃあやっぱりやめるべきです!御剣君はそんな……人殺しをするような人じゃありません!」

 

 鏡華さんの声が響く。

 その目には、涙を浮かべて僕を見つめている。

 

「……今日はもう遅いからここまでにしましょう。また、明日。行くわよ、燐」

「えぇ!?ちょっ!美玲先輩ッ!」

「待ってください!まだ話は……!」

 

 出ていこうとする美玲先輩を鏡華さんは呼び止める。

 ドアノブを回した手を止めた美玲先輩は、鏡華さんのほうを見るとこなく、そのまま語り出した。

 

「今日はいろいろあって頭が混乱しているでしょうから、気持ちを整理してからにするべきでしょうね。私もあなたに聞きたいことがあるしそれに……。門限が近いのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の住宅街を美玲先輩と歩く。

 少し、風が出ている。

 美玲先輩のサイドに纏めた髪が揺れている。

 

「あの、美玲先輩」

「なに?」

「美玲先輩と僕は、敵ですか?」

 

 さっきから気になっていたことを口にした。

 ライダー同士は殺しあう。

 ならばライダーである僕と、ライダーである美玲先輩は殺しあわなければいけないのだろうか。

 

「……燐。ライダーになるということは願いを持っているということ。願いのない人間はライダーにはなれないわ。デッキを見せなさい」

 

 促されるままデッキを美玲先輩に渡すと美玲先輩はデッキからカードを抜いていく。

 そして、最後に出したカードは今までの物とは趣きが違うものだった。

 

「これはメモリアカード。このデッキの所有者の願いが記録されたカードよ」

「願いが、記録されたカード……」

「これはデッキと同じくらい大事なカードよ。これを失うということは命を失うことと同義。もし、このカードを破かれるなり焼かれるなりしたら、どうなると思う?」

 

 どうなると思う?

 命を失うことと同義だというなら……。

 

「これを破かれるだけで、死ぬ?」

「……死ぬというのは、ある意味そうよ。けど、死ぬよりももっと惨い。このカードを失ったライダーは()()()()()()()()()()()願いの逆転が起きて、願いと真逆の事が起こってしまう。そして、たとえライダーバトル以外の場で願いが叶うチャンスがあったとしてもその願いが叶うことはない。願いを失ってしまうのよ」

「そんな……」

 

 願いを叶えるために参加した戦いで、その願いを失ってしまうなんて……。

 それは、本人からしたら死よりも残酷なことだろう。

 

「それにしても、あなたの願いは()……。似合わないわね」

 

 メモリアカードに書かれたStrengthの文字。

 日本語訳はさっき言われたとおり力。

 

「力……」

 

 そんなもの、いつ願っただろうか。

 あの空間から脱け出す時か?

 いや、もっと前。

 それでいて、最近のような気もする。

 既視感というかなんというか……。

 

「それと、最初の質問の答えは保留にしておきましょう。戦う気がないというなら、私はあなたとは戦わないわ」

「……けど、他のライダーは狙うんですよね」

「当然でしょう。ライダーなのだから。……それじゃあ、私はこっちだから。それと、他の人にデッキを見せなさいと言われても見せたらダメよ」

 

 デッキを僕に返しながら美玲先輩はそういった。

 メモリアカードのことを知った今なら他人にデッキを見せるということがどれだけ恐ろしいことかよく分かった。

 だけど、僕の願いの反転ってどうなるんだろう。

 弱くなるとかなのかな?

 

「それじゃあ、また明日」

「はい。また、明日」

 

 そういって美玲先輩と別れた。

 時刻はもう9時を回っている。

 あらかじめ遅くなるとは連絡しているから大丈夫だけど早く帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただいまーとリビングに入ると母さんと妹がドラマを見ている真っ最中だった。

 テレビの画面の中では人気俳優と最近売れてきた若手女優『瀧まなか』のキスシーンだった。

 

「お帰りなさい。遅かったわね」

「うん。部活でね」

「そうね~来月には文化祭だものね。懐かしいわ~私もかつては聖山高校演劇部のスター女優としてステージに立ったものよ」

「でた、お母さんの持ちネタ」

「なによ美香。お母さんの話信じられないの?」

「だって、ねえ?」

 

 僕を見て同意を求める美香。

 これには文句無しで同意だ。

 

「なによ燐までー!明日からおかず全部シーフードにするわよ」

「それだけは勘弁を……。ところで父さんは?部屋?」

「今、お風呂入ってるわ。お父さん出たらちゃっちゃと入っちゃいなさい」

「はーい」

 

 返事をして二階の自分の部屋に。

 制服をハンガーにかけて部屋着に着替えてベッドに寝転んだ。

 カードデッキを見上げて今日のことを振り返る。

 ミラーワールドのこと、仮面ライダーのこと、戦ったこと、そして、自分の願いのこと。

 力……。

 力ってなんだろう。

 あの時、僕を導いた声が言っていたあの言葉。

 

『ここから出ることが、本当の願いなのか?思い出せ、己が抱いた願いを』

 

 己が抱いた願い。

 それが、力?

 抽象的過ぎて分からない。

 一体なんのための、誰のための力なのか。

 そのことを考えるだけで、今日の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学生の本分は勉学である。

 世間一般の常識に対して反旗を翻す気のない僕は世間一般の通りに学校へ行く。

 昨夜あんなことがあったがそんなこととは関係なしに授業は進むし、遅れを取り戻すのは面倒だ。

 というわけでしっかりと出席。

 鏡華さんも休まずに来ている。

 しかし、なんというか様子がおかしい。

 ずっとモジモジとしているというか、何か言おうとして言わないなんてことを繰り返すうちに三限の古文の時間。

 あの佐々木先生が教壇に立っているので少しばつが悪い。

 というか佐々木先生。さっきから僕を当てすぎじゃないですか?

 確かにあの記事を書いたのは悪いと思ってますけど、そんなに根に持たれるなんて思ってなかったですよ……。

 若干の恨みを込めながらノートを取っていると、ミラーワールドで聞こえるあの環境音が耳をつんざいた。

 かなり近くでモンスターが現れたようだ。

 こんな時に……!

 どうするか悩んでいると二の腕を小さく叩かれた。

 鏡華さんだ。

 鏡華さんにも聞こえていたらしい。

 

「御剣君。ライダーですか……?」

「いや、モンスターみたい」

「モンスター……。ということは誰か狙われて……」

 

 そうだ。

 モンスターは人間を襲って捕食する。

 恐らく狙われているのはこの学校の人か、近隣住民か……。

 とにかく、誰かが危ないというなら。

 

「僕、行ってくるよ。佐々木先生!」

 

 挙手して佐々木先生を呼ぶとチョークを動かす手を止めて振り返った。

 ……やけにいい笑顔なのが気になる。

 

「んーどうしたの御剣?みんなの前で土下座して謝罪する気にでもなった?」

 

 そこまで怒ってる!?

 あんなに謝罪したのに!

 ええい!この際無視だ無視!

 

「お腹痛いのでトイレに行って来ていいですか!」

「えー。許可しようかな~どうしようかな~」

 

 普通そこ悩むところじゃないですよね!

 生徒が教室で脱糞してもいいと仰るのですか!?

 

「先生ー!ここで漏らされたら堪らないから行かせてあげろよー!隣の宮原さんに迷惑かかっちまうぜー」

 

 ここで廊下側の遠くであるが、中学からの付き合いで同じ新聞部でもある勝村が援護してくれた。

 やっぱり持つべきものは友だな。

 スポーツ刈りがよく似合ってる!

 

「うーんしょうがないですね……。早く行って来なさい」

「はい!」

 

 教室を出る時に勝村に敬礼をして感謝を伝える。

 向こうも分かってくれたようだ。

 あとでジュース一本くらいは奢ってやろう。

 とにかく、急がないと……。

 

 

 

 

 トイレに入って、個室とかに誰もいないことを確認して鏡に向かってデッキを突き出す。

 ベルトが巻かれて、僕は居合のような動きをして叫ぶ……とばれるかもしれないから少しボリュームを抑えて……。

 

「変身!」

 

 バックルにデッキを入れて、ツルギへと変身する。

 

「よしッ!」

 

 気合いを入れてミラーワールドへ。

 被害が出る前にモンスターを倒すんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミラーワールドの聖山高校のグラウンドには人型のハリネズミのようなモンスター「ニードランチャー」が獲物を仕留めようと狙っていた。

 校舎の窓、一階の廊下を歩く男性教員に向かって背中の針を撃とうとしたが…砂煙を上げて走るライドシューターに轢かれて地面を転がった。

 車体のフードが上がって、ツルギがライドシューターを降りる。

 

「うわぁトゲだらけ。刺さったら痛そう。早く終わらせよう、うん」

 

 授業の時間もあるし。

 デッキからカードを引いてスラッシュバイザーに装填する。

 太刀のような武器が空から降ってきたのを掴んでモンスターに向かって駆け出す。

 

「はあッ!」

 

 モンスターの左肩から右腰まで袈裟斬りで斬りおろす。

 怯んだモンスターに向かって更に攻撃を続けるとモンスターは黒い針を大量に生やした背中をこちらに向けると、その針がミサイルの如く発射されて胸部装甲に命中。

 予想外の攻撃に防御する暇などなく直撃してしまい地面を転がる。

 

「いってぇ……。針飛ばすなんて思わなかった……」

 

 今のでモンスターとの距離が開いてしまった。

 遠距離の敵を相手にするのが苦手な僕にとってこれは死活問題。

 再びモンスターは針を飛ばしてくる。

 二度目は回避するが、この針を掻い潜って接近しなければならない。

 さて、どうするか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モンスターを倒しに行った御剣君のことが気になってしょうがない。

 さっきから戦いの音が聞こえてくるのが余計にそうさせる。

 御剣君の席は窓側一番奥の席。

 そして、その隣が私。

 音から考えると戦いが起こっているのはグラウンド。

 窓から見下ろせば見られるが、私の席からは見えない。

 御剣君の席からなら見れるんでしょうけど……。

 正直、すごく見たい。

 無事なのかどうかも気になるけど、御剣君の仮面ライダーとしての姿が見たいのだ。

 咲洲さんの変身した姿は間近で見たけれど、御剣君のはまだ見ていない。

 ものすごく、気になる。

 どうしたら見れるだろうか……。

 先生は今、黒板に向かっている。

 そーっと、見れば恐らく大丈夫。

 というわけで隠密行動開始。 

 なんだかスパイのようでハラハラするのが楽しいですが、ただ窓の外を見るだけ。

 席から離れて、体を低くしてそーっと、そーっと動いて窓から外を見下ろす。

 これで、見えた。

 黒い針をたくさん飛ばしている人型のモンスター…怪人と言ってもいいかもしれない。

 そして、その針を回避する白い仮面ライダー。

 あれが、御剣君の……。

 

「あれ、あの姿って……」

 

 似ている。

 あの黒い仮面ライダーにそっくりな姿だ。

 色違い。

 昔遊んだゲームにも色違いがありましたが仮面ライダーにも色違いは存在するんですね。

 

「あの、宮原?」

「え?」

 

 後ろを見れば佐々木先生が背後にいらっしゃいました。

 

「えーと……なにをしているのかしら?」

「え、あ、そ、その!消しゴム!消しゴムを落としてしまったんです!どこに行ったんでしょう消しゴム……。あはは……」

「消しゴムなら、あなたの机の上にあるけど」

 

 私はこの時、ある言葉が脳裏に過りました。

 好奇心猫を殺す。

 今の私は、正しく猫でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 針をなんとか回避しているが……このままじゃジリ貧だ。

 ミラーワールドにいられる時間のうちに倒さないといけないというのに……。

 しかし、今の状況を打破するカードはあるのか?

 あと二枚あるソードベントの内一枚は盾にはなるが物が物なのでそれを持って素早く動くことが出来ないので状況打破とは言えない。

 撃ち続けていればやつの針が無くなるかと思ってその隙を突こうと考えていたけれど抜けたらすぐに針が生えてくるのでこの作戦は却下。

 こういう時は、頼みのドラグスラッシャーだ。

 なんとかしてくれよ……。

 

【ADVENT】

 

 電子音声が響くと空から咆哮をあげながら空を切り裂きドラグスラッシャーが現れる。

 ドラグスラッシャーはモンスターを睨むとそのモンスターに向かって刃のような小さな鱗を飛ばし始めた。

 針と鱗がぶつかり合い弾け飛び、グラウンドには針と鱗が大量に突き刺さり剣山のようだ。

 この撃ち合い合戦をしている今がチャンスだ。

 モンスターに向かって回り込みながら駆けて接近する。

 二方向からの迫る敵にモンスターはどうしたらいいか迷う。

 その隙が命取りだ。

 

「でやあぁぁぁ!!!」

 

 太刀で上段から切り裂き、鳩尾を突く。

 モンスターに対して人間の弱点が適用されるか分からないが。

 だが、弱点でなかろうが攻撃が直撃したことには変わらない。

 吹き飛び、地面を転がり、ふらふらの足取りで立つモンスターに対してとどめを刺すために切り札を切る。

 

【FINAL VENT】

 

「ふっ……はぁ……!」

 

 スラッシュバイザーを抜き、剣舞する。

 ドラグスラッシャーが僕の周りを飛び回り、僕が地面を蹴り跳躍すると同時にドラグスラッシャーも空に向かって飛び立つ。

 空中で飛び蹴りの体勢を取るとドラグスラッシャーが羽ばたき、光の刃が二つ重なり×字を描く。

 その刃を足に纏わせ、モンスターに向かって加速する。

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 モンスターは逃げようとするがもう遅い。

 斬撃を纏った蹴りがモンスターを切り裂き貫いた。

 地面に着地すると背後で爆発が起こる。

 振り返り、残心すると光の球が空へと上がるのを見た。

 その球をドラグスラッシャーが捕食したのを確認して、現実世界へと戻る。

 一応、今は授業中なのだ。

 トイレにしては長過ぎと思われて不審がられるのも嫌だし佐々木先生に色々言われそうなのも嫌だ。

 早く戻ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 校舎の窓ガラスに吸い込まれるツルギを監視するものがいた。

 近くの民家の屋根の上からライフルを構えスコープ越しにツルギを監視する黒いライダー。

 

「へぇ。面白そうなライダーがいるじゃん。だけど、まあ……」

 

 銃口を空に向けたライダーは引き金を引いた。

 独特な環境音を塗り潰す銃声。

 それと同時に、空を飛んでいた鳥人型のモンスターが爆ぜる。

 

「剣じゃ、銃には勝てないけどね」

 

 新たな仮面ライダーが、参戦しようとしていた。




次回 仮面ライダーツルギ

「早く行かないと部長にどやされる」

「い、いえ!大丈夫ですよ!気にしてませんから!」

「なにって、喧嘩だよ」

「宮原さん。あなた、アリスという少女に心当たりはないかしら?」

願いが、叫びをあげている────。



ADVENTCARD ARCHIVE
SWORD VENT(仮面ライダーツルギ)
リュウノタチ 2000AP

淡い雪のような色の美しい刀身を持つ太刀。
鍔はなく、刃と柄のみのシンプルな構造で反りが深い。
ツルギの数ある剣の中でも最も使用率が高い剣である。

美しき白刃舞う時、獣の骸が積み上がる。
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