仮面ライダーツルギ   作:大ちゃんネオ

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?ー4 生まれ落ちる願い達

 放課後、部活に行こうとして……鏡華さんに引き止められてしまった。

 肩にかけたバッグを両手で挟んで掴む鏡華さんはどこかで見た、魚を両手で掴む猫のよう。

 

「御剣君。昨日のお話の続きです」

「ああ……うん、そうだね。美玲先輩も話したいことあるって言ってたし……」

 

 スマホを取り出してLINEで美玲先輩に『昨日の話の続きどうしますか?』と送信。するとすぐに既読がついて返事がきた。

 

『とりあえず部室まで来て』

 

 『分かりました』と入力して送信。

 

「部室まで来てだってさ。一応、顔だけは出しとかないとね」

「そうですね。無断欠席はいけません。えっと新聞部の部室は……」

「地学室だよ。それじゃ行こう。待たせると美玲先輩の機嫌が悪くなる」

 

 分かりましたと言って鏡華さんはバッグから手を離し、僕の後ろについて歩く。

 そんな僕達の前に立ち塞がる男が一人。

 スポーツ刈りの頭にこんがり焼けた黒い肌。

 彼を見た人は十人が十人、運動部に所属しているだろうと言う。

 しかし、彼は文化部である新聞部所属。

 その名も「勝村秀夫」

 僕とは中学の時からの付き合いである。

 

「待てよ燐……!お前、同じ新聞部である俺を差し置いて宮原さんと部室に行くのか!?」

「人聞き悪いこと言うな……。今時昼ドラでもそんなセリフ出てこないって」 

 

 勝村はこの手の冗談をよく言う。

 おかげで中学時代は、現在もだけどできてると言われている。

 そのせいで僕の中学時代は薔薇色とは程遠かった。

 楽しかったけど、いろいろと悲しかったのだ。

 それはそれとして、この冗談を真に受ける人物がこの中に一人。

 

「えっと、あの……。お、お二人はそういう関係なんですか?」

「違うよ鏡華さん。こいつの冗談を真に受けないで」

「そうそうジョークジョーク」

「そうでしたか……」

 

 鏡華さんは真面目だからジョークに騙されやすいのだろうか?

 将来、詐欺の被害にあわないことを祈っておこう。

 

「そんで、何故宮原さんがついてくんだ?まさか……入部希望!?」

「ちょっと取材に協力してもらってて……」

「あーあれだろ?仮面ライダーの。部長から聞いた。それより、早く行こうぜ。今日は大事な会議だからな」

 

 会議?

 そんなのあったかな……。

 

「お前その反応は知らなかったな?今日は文化祭一ヶ月前会議だぞ」

「そうだったんだ……」

 

 知らなかった。

 だって、誰も教えてくれなかったんだもん。

 しょうがない。

 そう考えればさっきの美玲先輩の部室まで来てというのもそういうことか。

 

「とにかく行こうぜ。早く行かないと部長にどやされる」

「そうだね。鏡華さんは……」

「私は教室で待ってますね。終わり次第合流しましょう」

「え、いいんじゃね?連れていっても」

 

 なにを言い出すんだこいつはと一瞬思ったけどすぐに勝村の考えを理解した。

 本来なら部外者を会議に出席させるのは部長曰くいけないのだけど……うん。多分、いや、十中八九大丈夫だろう。

 

「宮原さん部活入ってないし、部活見学って言っとけば尚更いいっしょ」

「えーと……本当にいいんでしょうか?」

「大丈夫だよ。なんたってうちの部長は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れさまでーす」

「でーす」

 

 地学室のドアを開けて先輩達にご挨拶。

 大体メンバーは揃っているようだ。

 

「おう来たか!よしそれじゃあ早速だが……」

「ああ、部長すいません。ちょっと……」

「ん?どした?」

「あの……部外者なんですけど会議参加させてもいいですか?」

 

 こういうと予想通り、部長の顔はしかめっ面になった。

 

「ダメだダメだ!この会議は部外秘なんだ!たとえ神様仏様校長先生だろうと入ることは許さん!」

 

 これまた予想通りの言葉。

 いやー部長は分かりやすくていい。

 

「そうですか……あーあ。折角、鏡華さんが部活見学したいって来てるのにな~。しょうがないお断りするか~」 

「な~。しょうがないな~」

 

 わざとらしく、棒読みで喋る。

 チラチラ部長のほうを見ながら喋ると表情が一瞬で変わった。

 

「なにっ!?鏡華さんだと!そうなれば話は別だ!今すぐご案内するんだ!丁重になッ!!!」

 

 さっきの言葉はどこへやら。

 手のひらがドリルのように回転した部長に命じられた通り、丁重に鏡華さんを案内するとしよう。

 

「はい。ご案内してきます!」

 

 いやー本当に部長は分かりやすくていい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新聞部のメンバー十人が各々席に座ると部長は教壇に立ち話し始めた。

 

「さて、遂に文化祭が一ヶ月前に迫った。みんなも各クラスの出し物のほうでも忙しいと思うが我々新聞部も例に漏れず文化部。文化部らしく文化祭には出展しなければならない。文化祭では三日間、号外を出すことにしているがその前に!文化祭特集として文化祭前にも新聞を出さなければいけない。まあ書くことは毎年決まりきっているから楽な部類にはなるが面倒なのはこの学校の部活の多さだ。各クラスの出し物や委員会などを含めて役割分担をしても一人あたり4から5つの部活を取材、記事にしなければならない。なのでみんなには早めの行動をしてほしいというわけだ」

 

 4から5……。

 もともとこの学校には部活が多いなとは思っていたけどそんなになるとは。

 部長の言うとおり早めにやっておこう。

 

「というわけでそれぞれ役割分担なんだが……こっちで割り振っておいた。苦情、クレームは受け付けんぞ」

 

 部長の言葉に若干不満の声が上がるが僕としては別に文句はない。

 やることは一緒だし、どこを取材するとか決めている時間も惜しいし。

 

「まず一年。燐には調理部、演劇部、科学部、図書委員、それと生徒会だ。あの生徒会長自ら新聞部で取り上げてくれと来たもんだ。頼んだぞ~!」

「生徒会長……鐵宮 武(くろがねのみや たける)さんでしたっけ?あの政治家一家の」

「そうそう。現職の財務相がおじいさん。父親も衆議院議員。親戚筋も県議会議員だとかそんなんばっかの政治家一族。鐵宮も将来はそっちの道に進むんだろうな……。けど、なんでうちの高校来たんだろうな?別に進学校ってわけでもないのに。奴の成績ならそういう学校でもトップになれるだろうに……と、脇道に逸れたな。とにかく任せたぞ。放課後なら予定空けておくからいつでも来たまえだそうだ」

「分かりました」

 

 なんだかすごい相手を任されてしまったな……。

 普通こういうのは先輩が相手するもんじゃないのかと思わないでもないけど、任されてしまったならしょうがない。

 やるっきゃない!

 

「なんだか、すごい相手を任されてしまいましたね」

 

 隣の席に座る鏡華さんが小声で話しかけてきた。

 

「うん。けど、やるしかないよ。それに、ただ取材するだけだしね」

「そうですね。なにも悪いことしに行くわけじゃないですからね」

 

 そうして、部長の話を聞き流しながら時間が過ぎるのを待った。

 この会議が終わり次第すぐにライダーのこととか聞きたいことが山程あるのだ。

 しかし……。

 

 

 

「いや~どうですか鏡華さん!うちの新聞部、楽しそうでしょう?是非ね、この新聞部で青春を謳歌しませんか?」

「あはは……。そう、ですね……とても楽しそうでいい部活だと思います……」

 

 部長による勧誘が始まってしまった。

 これには鏡華さんもたじたじだ。

 まあ、先輩からこう迫られては鏡華さんも断りづらいだろう。

 

「そうでしょうそうでしょう!あ、体験入部からというのはどうです?体験入部を通して新聞部の素晴らしさをより味わうことが……」

 

 部長の舌が回る回る。

 次々と言葉の矢が射られる。

 しかし、ここで救いの手が差し伸べられた。

 

「部長」

 

 美玲先輩の感情をあまり感じさせない平坦な声。

 この声ほど部長を止めることが出来るものを僕は知らない。

 

「は、はい……」

「後輩にそんなに迫っては駄目よ。特に、女子なんだから。最近はハラスメントのことがよく話題になっているけれどこのままじゃ部長も……」

「ひえっ!?鏡華さん違うんです!決して私そういうつもりは一切なくてですね……」

「い、いえ!大丈夫ですよ!気にしてませんから!」

 

 歳上の男に謝られてたじろぐ鏡華さん。

 ぶっちゃけ、見ていて面白い。

 

「面白がっている場合じゃないでしょう。部長、私と燐は昨日の続きに行くわ。それじゃあ」

 

 そう言って美玲先輩は地学室を後にした。

 え、ちょ、早すぎ。

 

「鏡華さん僕達も行こう!部長それじゃあ失礼します!」

「部長さん今日はありがとうございました!」

 

 地学室を出て美玲先輩の後を追う。

 あの人、先に出てどこに行くつもりなんだ?

 

「えぇ!?あー!おい!行っちゃったよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖山市中央の繁華街『屋戸岐町』。

 江戸時代には遊廓として栄え、屋戸岐町という地名も夜伽が屋戸岐に転じていったと言われている。

 夜になればサラリーマン達で賑わう場所であるが、まだそれには早い時間。

 その時間ここを歩くのは学校終わりの学生達。

 片月瀬那は一人、この街を歩いていた。

 まわりには自分と似たようで全く別種の存在達が跋扈している。

 集団で歩くそれは下品な大声で笑い、やれゲーセンだカラオケだとか話している。

 そんな連中に興味を示すこともなくアタシは暗い裏路地へ。

 自分がここを歩く意味。それは、ここがいい狩り場だからだ。

 自分にとっても、モンスターにとっても。

 人の多く集まるここはモンスターにとってしてみればバイキングのようなもの。

 特に裏路地は入り組んでいて、ここにたむろする連中なんていなくなっても誰も気付かない。

 そんな連中を狙うモンスターを狙うのがアタシ。

 別に人間を守ろうなんて考えちゃいない。

 その場で喰われようが関係ない。

 アタシはただ戦って、強くなって、そして……。

 

「おいおいなんだお前?女がこんなとこに来てあれか?ヤらせに来てくれたのか?」

 

 迷路のような裏路地を曲がると嫌な連中と鉢合わせてしまった。

 四人組。

 顔に似合う品のない言葉と笑いが狭い路地裏に響きわたる。

 

「けどよーこいつガリガリだし抱き心地悪そうだぜ……。けどあれか。俊哉は穴さえあればいいもんな!」

「そうそう、俊哉は性欲の塊だから女だったらなんでもいいもんなぁ!」

「ふぁーー!!!マジウケる!!!」

「うっせ!お前らだってなんやかんやヤるくせによ。ほら、ちょっとこっち来いよ……」

 

 俊哉と呼ばれている男が迫る。

 思っていたよりも大柄で、太い腕が伸びてくる。

 それをアタシは払い除けた。

 

「痛っえなぁ!なにしやがんだ!!!」

 

 こんな私の痩せ細った手で払われただけで男は痛がり、激昂した。

 見た目よりもか弱いのかもしれない。

 そう思うと笑えてきてしょうがない。

 

「てめえなに笑ってんだよ!責任取れよ責任!」

「責任?どこも怪我してないじゃん」

「うっせえぞクソアマッ!!!折角優しくしてやろうと思ったのによ、ボコって無理矢理ヤってやるよ!」

 

 男は指を鳴らして喧嘩の準備に入った。

 他の三人はスマホのカメラをこちらに向けて撮影している。

 相変わらず、下品な笑いと言葉を発しながら。

 それにしても……どうする?

 生身で普通に喧嘩しても勝てるわけじゃない。

 逃げるか……。

 幸い、この辺りはかなり歩いているので詳しい自信はあるがそれは向こうも同じと見たほうがいいだろう。

 ここを根城にしているんだ、それにアタシより長い時間ここにいるだろうから詳しいのは向こう。それに、四人で追いかけられたら挟み撃ちされるだろうし……。

 意外とピンチだ。

 サクッと逃げてミラーワールドに逃げ込むか。

 恐らくそれが手っ取り早い。

 男が近づくのにあわせて少しずつ後退する。

 すると、背後から声が響いた。

 それも、女の声。

 

「女の子相手に無理矢理とかよくないよ?そういうことしてるとモテないぞ」

「なに……ガッ!?」

 

 声の後に空気を裂く音。

 私の頭上を何かが通りすぎて、男の眉間に命中した。

 音の正体は、石。結構デカイ。

 眉間に石をぶつけられた男はそのまま地面に倒れた。

 

「俊哉ッ!?てめえなにしやがる!?」

 

 男に駆け寄った仲間は声の主に向かって吼える。

 女はゆっくりと歩いてこちらに近付いてきた。

 暗い路地裏の影でよく見えなかったが、近くに来た今ならその姿がよく分かる。

 ボサボサの銀髪の少女。

 着ているのはたしか……聖山の制服。

 

「なにって、喧嘩だよ。そこの子はこの喧嘩買う気がないっぽいからわたしが買ったんだよ!」

 

 そう啖呵を切った少女は三人の男に向かって駆け出し、一番手前にいた男を殴り、続く二人目、三人目も殴りつけた。

 そのまま乱闘。

 銀髪の少女はとにかく暴れていた。

 それも、楽しそうに。

 男相手、それも多勢に無勢。

 だけど少女は笑っていた。

 イカれてる。

 それが、少女に対する第一印象だった。

 

「ほらほらどうしたぁ!張り合いないぞー!」

「てめえ……ぐひゃっ!?」

 

 少女に向かって行こうとした男の股を蹴りあげた。

 男との喧嘩ではまずここを攻めればいい。

 

「ありゃかわいそうに。……君も喧嘩買う気になったのかい?」

「別に……。ただ、面倒に巻き込んじゃったからね。手助けくらいは、ね!」

 

 残り二人。

 私と少女が一人ずつボコって終わりだった。

 

「ふう……。今日もヤったヤった。君、大丈夫?怪我とかしてない?」

「別にしてない。そういうあんたこそ、結構殴られてたろ?」

「いいのいいの。これは怪我の内に入んないから。それにしても駄目だよ君~。女の子がこんなところに来たら。こんなのがうじゃうじゃいるんだから早く帰んなさい」

 

 あんたも女だろうと言おうと思ったけど、彼女なら大丈夫だろう。

 だいぶ喧嘩慣れしているようだし。

 それにしても気になることがひとつ。

 

「あんた……こんなところでなにしてんの?ただ喧嘩ってわけでもないんでしょう?」

 

 そう訊ねると彼女はばつが悪そうに頭を掻きながら言った。

 

「それがさぁ……。ただの喧嘩なんだよねぇ」

 

 思わず、は?と言ってしまった。

 だけど彼女は気分を害することもなく話を続けた。

 

「わたしさぁ、なんていうか戦いを求めてるんだよね~。他人との競争、みたいな」

「それだったら部活かなんかでいいでしょ。柔道とか空手とかボクシングとか……」

「スポーツじゃあルールがあるでしょ!なんていうの?わたしはルール無用の……。それこそ、殺し合いがしたいんだ」

 

 殺し合いという単語に思わずドキッとしてしまった。

 もし、彼女がライダーバトルのことを知ったら真っ先に飛びつくだろう。

 いや、もしかしたら既にライダーかもしれない。

 仮にライダーだとして、ライダーになったとして……。彼女は恐らく、強敵になるだろう。

 純粋に戦いを求め、楽しむような奴とアタシは出会ったことはない。

 そんな奴がいるなら一瞬でアリスのお気に入りとなるはずだ。

 戦う奴は……殺す必要のある奴は出来る限り少ないほうがいい。

 そのほうが疲れない。

 

「まあとにかく帰った帰った。ここは危ないからね。それと、わたしはあんたなんて名前じゃないよ。わたしは喜多村遊。まあ、もう会うこともないだろうけどね」

「喜多村遊……。そうだね、もう会わないだろうけど……。アタシは片月瀬那。それじゃ、帰るとするよ」

 

 こうしてアタシは銀髪の少女と別れた。

 もう二度と会わないだろうと。

 しかし、すぐにアタシ達は再会することになってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 さて、今日も今日とて鏡華さんのご自宅にやって来て昨日と同じ客間に通される。

 今日はこちらから聞きたいことがあるわけだが、早速美玲先輩が質問をぶつけた。

 

「宮原さん。あなた、アリスという少女に心当たりはないかしら?」

「アリス……?いえ、私の周りにそんな名前の方はいらっしゃいません。それが、何か関係あるのですか?」

「……私に。いえ、ライダーにカードデッキを渡してきたのがそのアリスという少女よ。そして、その姿はあなたと瓜二つ」

「えっ……」

 

 驚きから目を見開く鏡華さん。

 それもそうだろう。鏡の中に自分そっくりな人間がいて、そいつがライダーバトルに関わっているなんて。

 

「それは、本当なんですか?」

「本当よ」

 

 美玲先輩は短く、そう答えた。

 そして、僕も言わなければならない。

 

「僕もミラーワールドで会ったんだ。デッキはもらってないけど、黒い空間に僕を閉じ込めてどこかに行ってしまって……」

「御剣君まで……。けど私は本当になにも知らなくて……」

「……どうやら、そのようね。それより燐。アリスからデッキを貰っていないって本当なの?それじゃあ一体誰からデッキを貰ったというの?」 

「誰からって言われても……。アリスがいなくなった後に声がして、多分、その人からだと思うんですけど……」

 

 あの時、聞こえてきたのは男の声だった。

 アリスが声を変えてとかしてきたらあれだけど、捕まえといて逃がすような真似しないだろうし……。

 本当にあの声の正体は何者なんだろう?

 

「あの、私からも質問いいですか?」

「ええ、なにかしら」

「はい。あの、私を見守ってくれていた黒い仮面ライダーさんなんですけど……御剣君の変身した仮面ライダーにそっくりなんです!色違いなんです!」

 

 ツルギの色違い?

 まさか鏡華さんを見守っていた黒い仮面ライダーがそんな奴だったとは……。

 ツルギと関係あるのだろうか?

 

「ライダーの姿は十人十色。似ている姿のライダーなんて見たこともない。これもまたイレギュラー?それともこういうこともあるの?」

 

 美玲先輩は顎に手を当て考える。

 けど、そんな簡単に答えが出るわけでもなく悩んだまま。

 

「まあ、折角ライダーになったんだしミラーワールドで会えるかもしれないからその時にでも聞いてみるよ。なんで鏡華さんを見守っていたのかとか似てる理由とか」

「話をする前に襲いかかってくる可能性の方が高いけれどね。向こうもライダーなわけだし、願いのために戦っていると見たほうがいいわ」

「うっ……。それでも同じ人間なんですから話くらい出来ますよ。多分……!?」

 

 言い終えた瞬間、あの音が響いた。

 僕達をミラーワールドへ、戦いへ誘う音……。

 

「美玲先輩」

「ええ、行くわよ」

 

 美玲先輩と共にガラス扉の棚の前へ。

 モンスターなら倒すし、ライダーなら。

 ライダーなら……。

 

「御剣君、咲洲さん。お気をつけて……」

「ありがとう鏡華さん」

 

 鏡華さんにそう言ってガラスに向かってカードデッキを突き出す。

 ベルトが巻かれ、居合のように腕を振るう。

 美玲先輩は一度、胸の前で腕を交差させて鳥が翼を広げるように腕を広げる。

 そして───。

 

「「変身ッ!」」

 

 デッキをバックルに挿入。

 二人の鎧の虚像が踊り、それぞれ重なる。

 白い騎士と青い騎士が並び立ち、それぞれ鏡の中へと、戦場へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人は皆、「願い」を持っている。

 だが、この願いを叶えることが出来る人間は限られる。

 権力、財力などの力あるものは願いを叶えることが出来る。

 小さな願い、常識的な願いであれば大人になれば叶えることが出来るが……。

 まだ願いを叶える術を持たない子供達。

 彼等にどんな願いでも叶えることが出来ると言えばどうだろうか?

 それも、並大抵の願いではない。

 常識では叶えられそうもない願い。

 そんなものを持つ子供。ここでは少女に限定するが、少女達の願い、欲望を刺激すれば容易く……。

 

 ───ライダーは、生まれる。

 

 夕闇に沈む校舎。

 音楽室のピアノの前に佇む少女。

 人のいない図書室で黄昏る少女。

 誰もいなくなった部室で項垂れる少女。

 スポットライトで照らされたステージに立つ少女。

 家庭科室で料理本を眺める少女。

 裏庭で寝転ぶ少女。

 武道場で瞑想する少女。

 自身の教室で医学に関する書物と格闘する少女。

 空き教室で机に行儀悪く座る少女。

 生徒会室で書類の山を乱暴に崩した少女。

 

 少女達の前に、少女は現れた。

 

「はーい皆さんこんばんは~!私はアリス。鏡の国からやって来ました~♪ところで皆さん。願いって、ありますか?」

 

 少女は笑みを浮かべる。

 新たな、ライダー達の誕生の喜びに。

 新たな戦いの幕開けに。

 

「さあ、皆さん戦いましょう。美しく!醜く!儚く!図太く!願いを、命をぶつけ合ってください。ふふふ……ははははっ!!!」

 

 鏡の世界に、少女の笑いが木霊した。




次回 仮面ライダーツルギ

「あはは……。すいません美玲先輩」

「結構動けるもんだね、変身しただけで」

「さあ、喧嘩の始まりだよっ!」

「さて、楽しい戦いになるといいなぁ」

願いが、叫びをあげている────。


キャラクター原案
喜多村遊 マフ30様
鐵宮武(今回は名前だけ登場)はっぴーでぃすとぴあ様

ADVENTCARD ARCHIVE
STRIKE VENT(仮面ライダースティンガー)
クインニードル 2000AP

スティンガーのメイン武装。
スズメバチの腹部を模した格闘武器でこれを右腕に装着して殴る、殴る、殴る。
また、隠し針が仕込まれており、針には毒が付着している。この毒で相手をじわじわと侵し、戦いを有利に運ぶ。

女王は猛々しく、強くあらねばならない────。
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