Jojo/Grand DIOrder OVER HEAVEN 作:ユフたんマン
『
そんな町に俺達は拠点を置くことにした。ここを療養所としたことには理由がある。ここには刑務所が建てられている。そこには犯罪者という凶悪な人間が多いからだ。この道中、吸血鬼になった自分を調べたことで新たに分かったことがある。それは、凶悪な人間のほうがよいゾンビになりやすいということだ。
そしてもう一つがこの町にある騎士たちの墓場。そこには英国人なら誰もが知る伝説の騎士、タルカスとブラフォードの墓場があるからだ。
少しだけ彼らの歴史について語るとしよう。まあ教科書にも載っているんだがな。
タルカスはその剣で岩をバターのように切ることの出来る勇者だった。ブラフォードは30kgもの甲冑を身につけたまま5kmの湖を泳ぎきり敵を奇襲した男だ。
タルカスとブラフォードという騎士は、約300年前の王位継承候補者のメアリー・スチュアートの忠実なる家来だった。
その忠誠を誓っていたメアリー・スチュアートに、同じく王位継承候補者のエリザベス1世に『夫殺し』の容疑がかけられる。
そしてメアリー・スチュアートに貴族という貴族が反旗を翻す。戦場で勝つのはタルカスとブラフォードの軍のみ。あっという間にメアリー側は敗北した。
エリザベス1世はメアリー・スチュアートを人質に、タルカスとブラフォードに降伏するように促し、2人は拘束され処刑となった。
そして処刑される寸前に、彼らは見た。既に処刑され、首だけになったメアリー・スチュアートの姿を…
最後に処刑された際にはこのような逸話が残っている。
タルカスは筋肉が怒りで硬直し、首を切り落とすのに処刑人は斧を何本も折った。
ブラフォードは長髪が処刑人の足に絡みつき肉まで喰い込んで死んでいった。
そんな鳥肌が立つような妄執が気に入ったッ!人を恨み、世を呪い!死んでいった墓がこの町にあった!そしてその墓を暴き、その屍体に生命を与え屍生人として蘇らせたのだッ!!
そして今、その伝説の騎士はメアリー・スチュアートに代わり、このディオに忠誠を誓っている!そしてその副産物として大量の屍生人の軍勢が用意出来た!!これでもう何も怖いものなど無いッ!!このディオがジョジョを正面から叩き潰してやるッ!!!
それに俺の体の傷も既に治りかけている。あと少しの生気を吸えば完全に回復するだろう。そしてこの町を、いずれはロンドンを、更には世界中を支配下に置き頂点に立つ。それが我が『目的』にして『天国』へと行く道なのだ。
「おとうさん!帰ったよ!」
突如隣に現れたジャック。口の周りに赤い液体が付いていたので拭き取ってやると、嬉しそうに笑いながら礼を言う。
「んー…!ありがとう、おとうさん!」
何故か最初はお兄さん呼びだったのが、徐々に行動を共にする度にお父さんへと変わっていった。その前に、愛してくれるからおかあさんと呼ばれた際には鳥肌が立った。俺は別になんとも思わなかったが、この身体が、ディオ・ブランドーが受け付けなかった。恐らく『与える者』だった母を嫌悪していたのだろう。
俺からジャックに4日程言い聞かせてお父さん呼びに収まった訳だが…俺はそんなにジャックを甘やかしているのか…?ジャックには少し甘いのは自分でも自覚しているが…そこまでなのか?
解体してきたことを楽しそうに報告するジャックの頭を撫で、朗らかに、年相応の笑顔を浮かべるジャックに仕事を依頼する。
「帰ってきたばかりで疲れているだろうがこれを解体して片付けておいてくれ」
首をへし折られた老婆の死体をジャックに渡すと、嬉しそうな声で「任せて!」といいさっさと死体を引き摺りながら退室した。
それと同時に、ジャックと入れ替わるようにジョジョの抹殺を命令していたワンチェンが部屋に入ってきた。
「ディ、ディオ様…」
ワンチェンの声色から恐怖、困惑、怒りが感じられる。ワンチェンの頬は何かで炙られたように爛れており、その傷の不自然さが際立っていた。後の世界なら強力な科学兵器でこのようなことが出来るかもしれないが、現代でこのようなことが出来る者は限られてくる。
「フヒー、ひ…必死に逃げてきたんですゥ…!」
逃げてきた…ジョジョから…ワンチェンから話を聞くと、どうやら奇怪な呼吸音を鳴らし、殴られた部位が夏場のアイスクリームのようにドロドロと溶けたという。
そこで俺は呼吸が怪しいと憶測を立てる。根拠はある。ワンチェンの言っていた奇怪な呼吸音。これはジョースター邸で戦った時にはしていなかった。それに妙だ。俺を瀕死までに陥れたジョジョが満足なまでに動けるようになるまでの期間が短すぎる。ジョジョはかなりの重傷を負っていたはずだ。それなのに何故五体満足で動ける…?
ここで二つの憶測が飛び交った。一つは魔術師による魔術での医療。そして二つ目が奇怪な呼吸音という魔術ではない技法。
前者であるならば魔術師に気を付ければいい話だが、後者だとすればそれ相応に警戒しなければならない。屍生人を溶かすということは吸血鬼である俺にも効くということだ。それを防ぐためには呼吸を止める。それか弱める、阻害するといった方法がいいだろう。
そこで思いついたのは、肉体を自在に操れるという吸血鬼の特性を活かした技。その名も《気化冷凍法》だ。
この技は、触れた相手の水分を気化させることで、同時に周りの熱を奪うという特性を利用し、瞬時に相手の血液を凍らせ、呼吸を阻害し、同時に腕を壊死させる対ジョジョの使った謎のエネルギーだ。
さて…そろそろジャックの出番が来たようだな…
ジョジョが仲間を連れてこのウインドナイツロットに向かって来ているという報告を受けた。何故ここがわかったかは不明だがまあいい。町はまだ完全に支配下に置けていないが既に傷は癒えた。さっそくペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナムという、パズルやブロック遊びのような感覚で手を出した人体実験擬きで『合体』に成功した合成キメラ達を刺客として送り出した。
アイツらでは足止め程度にしかならないだろうが、ある程度手傷を負わせることが出来るかもしれない。
無いよりはマシ…と言ったところだろう。
元々はジャックを刺客として送ろうと思っていたが、万が一のことがあればこちら側の戦力が大幅に下がってしまう。そしてこのディオが敗北するなどあってはならない。
ジョジョ…今度こそ…石仮面との因縁を『受け継ぐ者』よ…今宵が決着の時だ…!
ペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナムがジョジョにやられたと報告があった。期待はしていなかったため別になんの心配もない。可愛い女の子に催眠術をかけて○○するのが好きだとかいう催眠術士を名乗る胡散臭い中年の男を屍生人にし、町のまだ屍生人にしていない少年に催眠術をかけさせる。
ジョジョ達の荷物を奪い指定のポイントに誘き出すという催眠を…
そうしてまんまと罠にかかったジョジョと占い師と…えっと…誰だったか…そうそう、スピードワゴンとかいう奴と催眠術が解けた少年の4人に、地面に潜っていた先走り襲いかかる屍生人共が群がっていく。
「こ、これは!!?」
「どうやら誘き出されてナイスキャッチされたのはわしらの方らしいぞ!その少年、催眠術をかけられとったようだ!!」
それを軽々と撃退していくジョジョ達を見下ろす形で俺の姿を見せる。この完全に癒された俺を見て奴らはどのような反応をするのだろうか。
ジョジョはすぐに俺の存在に気づく。
「ディオッ!」
「陽は落ちた……貴様の生命も没する時だ!!」
「お…おれは!おれはこの瞬間に対する心の準備はしてきたッ!だがやはりドス黒い気分になるぜ!汗が噴き出すッ!あの野郎があんなにいい気になってピンピンと生きてることによッ!ディオッ!
人間として許しちゃあいけねえ!!」
「黙れ、貴様のような話すだけが取り柄の群れることしか脳がないドブネズミのような小汚らしい男が…容易にこのディオの名を口にするんじゃあないッ!」
次の瞬間、屍生人共が一斉に、全ての屍生人がジョジョ達に迫る。それは正に数の暴力。最初は撃退していたジョジョ達だったが、数十体倒した頃にはキリがないと、大元である俺に狙いを定めた。
「ヘイ、ベイビー!そんな不安定なところで戦う気か?降りてこい……」
チェック柄のシルクハットが特徴的な占い師が俺に言う。…貴様はこのディオを舐めているのか?
「図にのるなよ…たかが虫ケラがッ!!」
静かに怒る。決して感情を戦いに出してはならない。少年期に学んだ。俺の悪いところはすぐに血が昇るところだ。落ち着いて冷静になればどのような存在でも、何人たりともこのディオに敵う者はいないッ!!
攻防は一瞬だった。俺が何人人間を喰ったかと聞かれ、覚えていないと答えれば激昂し襲いかかる。では貴様らは今まで食ったパンの数を覚えているのか?悪戯に殺した生命の数を覚えているのか?食べてきた牛肉や豚肉の数を覚えているのか?
そしてあの呼吸は俺の予想通りだった。血管ごと凍らせることでエネルギーを送れないようにさせる。これで俺に波紋が通ることはない!
ジョジョも乱入し、2人分の波紋とやらを送ってきたが、我が気化冷凍法の前には無駄無駄無駄無駄ァアッ!!効かぬわ間抜けがァッ!!
「愚か者共がァアアッ!!」
両腕を捻り、圧倒的な力の本流で2人を吹き飛ばす。
「ええいッ!!貧弱貧弱ゥ!!『波紋』?『呼吸法』だと?フーフー吹くなら…この俺のためにファンファーレでも吹いているのが似合っているぞッ!!」
ゴゴゴゴッ!と地響きが鳴り響き、岩盤から2つの人影が現れる。
「タルカス!黒騎士ブラフォード!!もはや俺の出るまでもない!出てきてこいつらにファンファーレという悲鳴を吹かしてみろッ!!」
崩れた岩盤から現れたのは3mはあろうかといいほどの巨体を持つ勇者タルカス。もう1人は長い長髪を持ち、歴戦で培った威圧を放つ黒騎士ブラフォード。俺が作った最高傑作の屍生人達がジョジョに襲いかかる。
「貴様の血をいただくぜッ!!」
ブラフォードの髪がジョジョの腕に突き刺さり、髪から血を吸い取る。そして髪に気を取られている内にタルカスの剛腕より放たれる、ジョジョが小さく見える程のビッグサーベルがジョジョに迫り来る。それをジョジョは全力で腕を引き、肉が切れるのも気にせず引くことで、タルカスのサーベルがブラフォードの髪を切り裂く。
「この小僧、少しはやるなァ」
「300年ぶりのウォーミングアップにゃちょうどいいィ相手だァ!!」
その隙を狙い一体の屍生人がジョジョに襲いかかるが、ブラフォードは間に入り、その屍生人の鼻を抉り取る。
「このブラフォードにこの者の生命の幕を引かせていただきたいィ……」
ブラフォードが俺に一騎打ちの許可を求める。死して尚、騎士としての誇りだけは残っているとはな…まあこのディオにとっては忠誠さえあればどうでもいいことだが…
好きにしろと言うとブラフォードは水を得た魚のように力強く飛び出し、髪を使い巧みに剣を扱う。それに驚愕し、ギリギリで回避することに成功したジョジョだが、体勢を崩してしまい湖に落ちてしまう。それをブラフォードが追いかける。
フン…勝負はついたな…水中はブラフォードの独壇場。俺がここにいる必要はないに等しい。だが…万が一にも…可能性があれば俺はその可能性を潰す…!
「タルカス、何をボーッと突っ立っている。貴様はそこの占い師を殺せ」
「ハッ、仰せのままに…!」
「俺はジャックを念のために連れてくる。勝つのはいいが…負けることは許さんッ!」
「かしこまりました…」
俺はあの場から離れた、町が一望出来る岩の上に立つ。
ジャックの奴…あれ程言ったというのに今日も何処かで解体している。まったくしょうがない奴だ。ジャックを見つけることは容易い。高台からまだ屍生人を作っていない場所付近で霧が出ている場所に必ずいる。
「おとうさん、どうしてこんなところにいるの?」
音も無く背後に現れるジャック。別にいつものことなのでいちいち驚かない。
「今日は早く帰ってこいと言っていただろう。今まで何処をほっつき歩いていた?」
「ご、ごめんなさい…解体に夢中になってて…」
「まあいい、いくぞ」
「うん!」
解体に夢中になるのはいつものことだ。注意しても治らないならもうそれでいい。迎えに行けばいいだけだからな。
そろそろブラフォードの方は決着が付いている頃か?もしかしたらタルカスの方が早いかもしれんなぁ!
先程の場所にジャックと戻ってきたが、そこには誰もいなかった。崖の一部は欠け落ちており、どうやら崖の下に落ちていったようだ。湖の側にはブラフォードが身につけていた甲冑がペチャンコになり、錯乱している。ブラフォードが敗れた。これを意味するのはジョジョ側が勝利する確率が非常に高くなったということだ。
急いで崖を下る。今ここでジョジョとの奇妙な因縁を終わらせるッ!!
そして俺が見た者は上半身だけになった占い師と、それから正しく『受け継ぐ者』のジョジョが占い師の意思を、波紋を受け継いだ瞬間だった。
また受け継ぐ…また受け継いだ…ここで奴を仕留めなければさらにジョジョは他人から『受け継ぎ』力を付けていくだろう。
そうなさせない。俺は『奪う者』だ。ジョジョからまた全てを奪い尽くしてやる…ッ!!
「URRRRRRRRRYッ!!!!!!」
ジョジョのいる場所の真上から天井を突き破り、ジョジョに奇襲を仕掛ける。
「KUAッ!!」
「どぉうああ!?」
咄嗟にジョジョは右腕で身を守るが、その上から俺の強力な蹴りがジョジョの腕を砕く。
そして吹き飛ばされたジョジョに投げナイフが暗闇から迫る。
「うおッ!?」
それをジョジョは間一髪で避ける。
「ウオォォォオオッ!!悲しむ時間さえも与えないというのかッ!!」
天井の穴からジャックが飛び出し、ジョジョの後ろで占い師を泣きながら抱いているスピードワゴンに迫る。
「波紋………カッターァアアッ!!パパウパウパウッ!!」
上半身だけになった占い師はしぶとくもまだ生きており、口から出した波紋のカッターでジャックを牽制する。
「ツェ、ツェペリのオッサンッ!!」
「ツェペリさんッ!!」
「JoJo……き…きさま…大…馬鹿者が…悲しんどる場合か!今のお前は!
お前はわしの希望だ!わしの意思を…力を…受け継いで…ディオを倒し…石仮面を破壊するのだ…!」
そこでツェペリとかいう占い師の喉にジャックの投げナイフが突き刺さり、占い師は息絶える。
「フンッ…飛んだ茶番だったな。トドメを刺すのだ。ジャック・ザ・リッパーよ」
「はぁーい!」
「ツェペリのオッサン……ッ!!!貴様は!!!そんなに幼い子供まで利用し…ッ!!もう生命の灯火が消えかけているツェペリのオッサンさえにもトドメを…ッ!!限られた時間でさえも消すというのかッ!!貴様をッ!!生かしておくわけには行かねえッ!!!人類の為にもッ!!ツェペリのオッサンの為にも…ッ!!」
「うるさいよ…おとうさんを悪く言うやつは…死んじゃえ!!
『此よりは地獄。わたしたちは炎、雨、力。殺戮をここに…マリア・ザ…』ッ!?」
ジャックがスピードワゴンに迫ると同時に、スピードワゴンは花びらとなり姿を消す。
そしてスピードワゴンのいた場所には白いフードで顔を隠した青年が姿を現した。
ジャックの一撃を、光る剣のようなもので軽く弾いた青年は楽しそうに笑いながら話し出す。
「ちょっとうたた寝しながら歩いていたらそこは見知らぬ廃墟の建物。これは夢の続きか、それとも単なる幻か。まあ、どちらでもいいんだけどね」
急に現れた青年を観察する。白いローブを羽織り、大きい杖を持つ。急に現れたことも考えれば、こいつは恐らく魔術師だろう。ジョジョの驚愕した顔を見るに知人ではないようだが…
青年は警戒する俺を見ると、笑いながら話しかけてきた。
「おはよう。そしてこんばんわ、諸君。みんなの頼れる相談役、マーリンさんの登場だよ。そしてさようなら」
青年が杖を地面に刺すと、ジョジョが、ガキが、上半身だけだった占い師が…先程のスピードワゴンと同じように花びらとなり姿を消していくではないか。先程の青年も姿を消している。
そこに残ったのは俺とジャック、そしてタルカスの着ていた甲冑だけだった。
マーリン…魔術師…まさか…ブリタニア列王伝の…
聖杯戦争、英霊同士を戦わせる儀式。そして勝者が聖杯を手に入れる…まさか近くに…聖杯があるというのか…!?
これからの進路
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オリジナル特異点
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幕間からのオリジナル特異点
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第二特異点以降
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時間神殿
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幕間から第四特異点