Jojo/Grand DIOrder OVER HEAVEN 作:ユフたんマン
「さて、諸君!改めてご機嫌よう!危ないところを助けてもらったんだ、お礼の言葉とか、雨のように浴びせて欲しい!」
そういいジョジョ達の前に現れたのは白い格好をした怪しい青年。スピードワゴンは即座に警戒する。
「気をつけてくだせぇ、ジョースターさんッ!!こいつからはダメ人間のにおいがプンプンするぜーーーッ!!いったいテメーはなにもんだッ!!このアヤシー奴めッ!!」
それをジョジョが手で制し、マーリンに歩み寄る。
「ひとまず、助けていただきありがとうございます。…えーと、マーリンさん…でしたっけ…?」
「やあやあそうだよ!みんなの頼れるマーリンお兄さんだ!私も君達と色々と話していたいが時間がない。用件だけでも言うとしよう」
スッと真剣な顔になるマーリン。それに続き、ジョジョ達の顔も険しくなる。
「ジョジョくん、君は聖杯という物をご存知かな?いや、魔術師、魔術を知っているかな?」
「はい、ツェペリさんから教えてもらいました。魔術は秘匿された神秘、そして根源への到達を求める者が魔術師。聖杯はどんな願いをも叶える願望機と…」
「君の敵、ディオはその存在を知っている。そして手に入れようとしている」
話に追い付けないスピードワゴンが何か言うも、ジョジョの耳には入ってこない。ディオに聖杯が渡るということは、ディオの野望を食い止めることが難しく…いや、食い止める可能性が無くなると言っても過言ではないということを瞬時に理解したのだ。
「まぁ彼が聖杯を手に入れると言ってもまだ大分先のことになるんだけどね…彼に聖杯が渡れば世界は彼に支配されるだろう。私はバッドエンドが見たいってわけじゃあない。ハッピーエンドが好きなのさ。まあ私と君達は元々交える運命になかったんだけどね。そもそも私は楽園にある幽閉塔で引きこもりの身だ。
そんな私が偶然、偶々うたた寝をしてここに来て、君達と出会ったんだ。これは本当に偶然に起こった出来事だ。君の運命が私を呼び寄せたのだろうね。
おっと…、そろそろうたた寝から目覚めそうだ。申し訳ないけど私に出来る手助けはこのくらいだ」
そぉーれ!、と間の抜けた声を出すマーリン。するとジョジョの、粉砕されていた腕が、傷ついていた身体が癒える。
「こ、これは…!?貴方は…一体…?」
「最果ての島から世界の全てを見る者だ。そう、全てを見る。…ま、そんなわけだから後は頼んだよ!ディオを打ち倒し、君がハッピーエンドを創るんだ!じゃあね!」
そう言って、マーリンは花びらとなりその場から姿を消した。
疑問は残るがディオをここで倒さないといけないのは事実。ハッピーエンドにしたいのも事実。
何よりツェペリから、ジョージ・ジョースターから黄金の精神を受け継いだのだ。
「ディオ…ッ!!君の野望は…僕が打ち砕くッ!!」
「ジョースターさぁん!俺にもわかるようにおせーてくれよゥ!!」
▽▽▽
ジョジョ達が消え去り、自分の屋敷に戻った俺は、マーリンについて調べていた。
しかし彼はアヴァロンに幽閉され、まだ死んでいないという、英霊にとっては致命的な欠落をしていた。
ではあれは…英霊ではなく本人なのか…?英霊は死んだ後に魂が昇格されることでなれる存在だ。しかし何故今、マーリンが出てくる?
「ディオ様ァッ!!夜道に出歩いていた若い娘を連れて参りましたァッ!!」
頭が人間、身体が犬という人面犬が、尻尾を振りながら、1人の女を連れてくる。しかし俺には今、そんな時間はない。
「来い、ドゥービー!」
「ウシュー…」
現れたのは、頭に麻袋を被った巨漢。粘液が体に付着しており、下品な声で笑っている。
「好きにしていいぞ」
と言うと、悲鳴を上げる娘をぬるりとした手で掴み、この部屋から出て行った。部屋の外で楽しむつもりだろう。まったく…悪趣味な奴だ。
数分後、外からドゥービーの悲鳴が聞こえた。ということはジョジョが来たのだろう。さて、一番警戒しないといけないのがやはりマーリンだろう。
奴は何をしでかすかわからない。先程のようにピンチになれば撤退もするだろう。花の魔術師…侮れん男だ…
「地獄から戻って来たぞ…ディオッ!!」
「やはり…来たか」
ドアが開け放たれ、ジョジョが部屋に入ってくる。腕は回復している。マーリンが治したのだろう。そして後ろにジョジョの仲間が続くが、その中にマーリンはいない。何処かでよからぬことをしているのか…それともアヴァロンに帰ったのか…
「ディオ…僕の気持ちを聞かせてやる。紳士として恥ずべきことだが正直なところ今のジョナサン・ジョースターは…恨みを晴らすために!ディオ!貴様を殺すのだッ!!」
くだらん…とも思ったが、ほんの僅かに嬉しくも思った。あのジョナサンに……常に紳士であることを旨に生きていたであろうあのジョナサンに、そんな台詞を言わせたことは、俺にとって、ひとつの達成感があった。
「ジョジョ!お前は下がっていろッ!奴への恨みならこのダイアーが先に晴らす権利がある!ツェペリさんとは共に苦行を乗り越えた20年来の親友だったのだッ!」
と言いでて来た男は俺の前に立つ。初めて見る顔だ。ツェペリ……えーと、そうだ。あの占い師の名前だったな。その親友ならコイツも波紋を使えるのだろう。しかし占い師に止めを刺したのはジャックなのだが…
「ジャック、あのダイアーとかいう奴を解体しろ。どうやらアイツは君に用があるらしい」
「わたしたち、こんなおじさんに会ったこともないんだけどなー。まぁいいや。解体するね!」
音も無く出て来たジャックに驚くジョジョ達だが、後ろの老人は平然としている。かなりの修羅場を乗り越えて来たのだろう。
「ダイアー、アイツと戦うなら私も手を貸そう。アイツの放つ『悪』は尋常ではない。それにあの体型では得意技の
「…うむッ!助かる!此奴の相手をこのダイアーだけでやるには悔しいが無謀だ…!手を貸してもらうぞストレイツォッ!」
「2人がかりでも結果はおなじだよ!じゃあ…虐殺…始めるよッ!!」
「「ハァッ!!」」
ダイアーとストレイツォ、そしてジャックの戦いが始まった。まぁ勝敗は見えているがな。ジャックは吸血鬼、そして屍生人ではない。悪霊なのだ。決してジャックに波紋は効かない。つまり負ける要素がない。
「ではこちらも始めるとしようか、ジョジョ。貴様をここで惨殺処刑してくれよう!」
「同じこと!お前を葬るのに罪悪感なし!」
これは…ダメだな…
俺の体に、ジョジョがブラフォードから『受け継いだ』剣が貫く。気化冷凍法で凍らせ、波紋を通せなくしたまではよかったが、背後にある火で刀身を炙り、溶かしていたことに気づかなかった。
これもさっさと、油断せずにジョジョの頸動脈を千切っていればこのようなことにはならなかっただろう。まさかまた、自分の油断で窮地に立たされようとは…!!
「くおおああ!
ジョジョの拳が俺の頬に迫る。俺は咄嗟に気化冷凍法で身を守り、ジョジョの波紋が流れ込む前に腕を凍らせることに成功した。
大丈夫だ、まだいける…!!
「
「違う!信念さえあれば人間に不可能はない!人間は成長するのだ!してみせるッ!!回ッ…転ッ!!うっしゃああああッ!!」
炎を手に纏ったジョジョの拳を、気化冷凍法で受け止めようとするが、ジョジョの拳は突き抜け、俺の腹を突き破り波紋が流し込まれる。
「GUAHHHH!!!こ…この激痛!!この熱さッ!WOOOOOOORRRREEYYYYYYYY!」
余りの激痛に叫んでしまう。身体が溶けていく。こんな…はずでは…
「おとうさん!!!ダメダメ…ダメ…!!わたしを置いていかないでッ!!もう1人は嫌なの、もうやなのッ!!おとうさん!!おとうさんッ!!」
俺の側に、ダイアーを仕留めたジャックが帰ってきた。もう1人はまだ仕留め切れていないようだ。向こうから走る足音が聞こえてくる。
波紋が身体を溶かしていく激痛に耐えながら、泣き噦るジャックを抱く。
「ジャック…お前は…俺がいなくてもやっていけるさ…貴様はこのディオの娘だ…そのくらいは容易いだろう?なんた…って…自慢の…」
視界が急に変わったことにより、俺は首元で波紋により、飛散したことを理解する。そのまま俺の首は夜の深い森の中に落ちていった。そして同時に意識も薄くなって…いっ……た……
▽▽▽
「おとうさんッ!!おとうさんッ!!」
ジョジョは悲痛な面持ちで、ディオの亡骸を抱きしめ泣き噦るジャック・ザ・リッパーに、自分の師であるツェペリの仇である少女に同情してしまう。
ディオの身体は波紋で塵となり、夜風により撒き散らされ、それを泣きながら拾い集めるジャック。
「ジョジョ…君には彼女を殺せないじゃろう…ワシが止めを刺す。忘れてはいかんぞジョジョ。彼女は我が弟子、ツェペリ、そしてダイアーを殺しおった…見た目に騙されてはいかん…此奴はこれまでにも多くの人間を殺して来た最大の殺人者、極悪人じゃ。
しかし…この少女も被害者なんじゃ…理不尽な大人達のな。
哀れな少女よ…救いあれ…!!」
こうして1888年、歴史の裏で起きたこの世界をも揺るがすこの事件は幕を下ろした。そしてこの物語は、ジョジョと一緒にいたポコにより、英雄譚として語り継がれるようになり、ポコは世界的に有名な著作者となる。
この物語は完結している…しかし、まだ!この物語は終わっていない!ディオはまだ…生きている…!!
▽▽▽
負けた…また負けてしまった…
敗因としては『覚悟』の差だろう。俺はジョジョと比べると、やや弱かった。『正直に言えば』、俺はあの時、ジョジョをこの手にかけたくないとさえ思っていた。殺さなければならないと思っていた。彼が波紋法でを使って邪魔をする以上は、殺さないといけないことは重々わかっていた。
しかし始末は部下に任せるつもりだった。幼馴染みでもあり、共に同じ家で兄弟同然に育ったジョジョを殺しても、アンデットにしても、面白くもなんともない。だから処刑は部下に任せるつもりだった。
そんな俺に比べ、ジョジョのほうがよっぽど決意を固めていた。このディオを葬るのに罪悪感などないとまで言い切った。
すごいことを言うものだ。だが実際はそうだったのだろう。
あれはもう、正義と悪、『受け継ぐ者』と『奪う者』との単純な対立というわけではなかった。石仮面によって捕食者となったこのディオから、生命体として身を守らんとする人類との戦い。
彼らには俺が邪悪と見えていたかもしれないが、ならば俺には、彼らが食糧に見えていたというだけの話で、そこには善もなければ悪もなかったのだ。
生物間の抗争と言って差し支えない。
だから逆にジョジョがあそこで正義やら道徳を恥ずかしげも無く口にしていたら、俺はくだらないとも思わず、相手にする価値も無いと見切って姿を消していただろう。
俺はあの時、ジョジョが感情的に怒鳴ったからこそ、彼との勝負に応じたのだ。
その結果、無残にも敗北したわけだが。
……まあ無残でもない、首は残ったのだから。
町で屍生人をつくらせていたワンチェンが騒ぎを聞きつけ、俺の頭を森から見つけてくれなければ俺は太陽を浴びて死んでいただろう。本当に危機一髪だった。これも『運命』という奴だろうか。
この不死身の身体が、首だけでも生きれるというのは実験済みだった。そして誰かと接合するという技術も既にキメラで実験済みだ。
そして機会を待った。他の波紋戦士やスピードワゴン達に邪魔されることなく、ジョジョと一対一で向き合える機会を。
勿論、首だけになった惨めな姿をなるべく人前に晒したくなかったというのもあるが、一対一で、ジョナサン・ジョースターと話したいという気持ちもあった。
彼と、立場や関係を超えた、素直な気持ちで話したかった。
ワンチェンからジョジョが結婚し、アメリカへ新婚旅行するという情報が入った。俺はワンチェンに、太陽光と外敵から守る丈夫な箱を造らせるように命令した。それにワンチェンと共に、ジョジョが乗るクルーズ船へと乗り込んだ。
ワンチェンに、箱のある地下室へとジョジョを誘き寄せさせた。そしてジョジョに目から高圧水流のように体液を圧縮させて放つ技を二発、くらわした。殆ど不意打ちのような攻撃だった。俺はジョジョを嬲る、苦しませるつもりは一切なかった。俺が唯一認めた好敵手への礼儀だったからだ。
そうして波紋が使えなくなったジョジョの身体を乗っ取ろうとする時に、エリナがこの船室に現れた。
そしてジョジョが『爆発』した。残る波紋を振り絞り、ワンチェンを波紋で操り、船のスクリューシャフトを止めたのだ。
俺が初めから『恐れていた』ジョジョの爆発力が発揮された。
俺の最大のミスはエリナを軽んじていたことだ。気高く誇り高い、聖女のようであり、母のようであったあの女が…ジョジョにとってどれほどの存在感を持っていたのか、認識しておくべきだった。
「ディオ…君の言うように…僕らはやはり2人で1人だったのかもしれないな。奇妙な友情すら感じるよ…そして今、2人の運命は完全に1つとなった…そして…爆発で消える…」
ジョジョに考え直すように叫ぶが、既にジョジョは息絶えていた…
そして俺の意識は船の爆発と共に途絶えた…
これからの進路
-
オリジナル特異点
-
幕間からのオリジナル特異点
-
第二特異点以降
-
時間神殿
-
幕間から第四特異点