Jojo/Grand DIOrder OVER HEAVEN 作:ユフたんマン
あれから何年経っただろうか…もう感覚が麻痺している…目を覚ませばそこはワンチェンに用意させた棺桶だ。ジョジョの身体を乗っ取り逃れ、既に何十年と経っただろう。
そんな俺が入った、海底に沈む棺桶を、間抜けにも宝箱か何かと勘違いして引き上げたトレジャーハンター達は、当然の如く俺の餌となったわけだが、しかしそれでもほんの数人程度の栄養素でしかなく、俺の長年の空腹を癒せるような量とは言えなかった。
それに場所は大西洋のど真ん中。船に部屋はあるが、それでは日中、照り盛る太陽からは隠れ切れるものではないだろう。
途方に暮れていると、近くに大きな貨物船が通り過ぎる。と思っていると、貨物船は近くで止まり、中から小さな老婆と1人の女が降り、この船へと乗り込んできた。
「ディオ様…お迎えに上がりましたわ!」
聞き覚えのある声だ。顔を見ると、姿は以前あった時から一つも変わっていなかった。
「貴様は…魔術師の…!」
そう、俺が一つも期待せずに聖杯について調べてくるように命令し、送り出したあの屍生人が生きていたのだ。まさかまだ生きているとは…
「しかし何故このディオの居場所や、こうして棺桶から解放された日を知ることが出来た?」
そう、そこが不可解なのだ。何故、大西洋のど真ん中という果てしないこの海でちっぽけな船に乗る俺をこうジャストなタイミングで迎えることが出来たのか…
「それはあたしのタロット占いの結果ですじゃ」
そう言ったのは長い白髪の老婆。エンヤと名乗ったこの老婆はそう言うが、目覚めたての頭で考える。そしてエンヤの言うことを俺は信じられなかった。
俺が海底に沈んだ百年前、俺と言う怪物があのあたりの海に沈んだということは、魔術師の女を含め、知っている者ならば知っていることなのだ。
その情報を得た上で網を張っていたと考えるのが妥当だろう。
占いなどではなく、エンヤはきっと野心があって機会を待っていたのだろう。しかしこのディオを自分の欲の為に利用しようというのは些か気に入らないが、エンヤがいなければ俺は空腹でミイラになるか、太陽で消滅するだけだっただろう。
内容にもよるが、出来る限りのことはして見せよう。借りを作りっぱなしというのはもっと気に食わん。
「お前の望むモノはなんだ?」
そう聞くと、エンヤは少し驚いたような表情をするがすぐに顔を歪めて嗤う。
「それはあなた様のおそばにいるのが望み……このオリビア様からお聞きになったあなた様の悪運の強い変わった人生……あたしはあなたの人生を見てみたい!それだけでいいのじゃ…!」
なんだこいつは…
俺はその後、カイロに拠点を置き、現在の地球を学習する。エンヤ婆や、屍生人のオリビアというらしい魔術師がいなければ、俺はきっと『百年後の世界』に対応できなかっただろう…それだけ、『世界』は変わった。
百年の間にーーーー『時』は『加速』した。
この激変した『世界』に対応する傍らに、『天国』への行き方を模索する。昔のように頂点に立つことが天国への行き方ではないことはわかっている。
しかしまだ『足りない』。行き方がわかったとしても今の俺には決定的な何かが『足りない』のだ。
身体はジョナサン…だが俺は俺だ。ディオという誇りある自分だ。たとえ人間でなかろうと…身体がジョナサンのモノだとしても…誇りある自分であり続けられるのならば。
ディオ・ブランドーでもなく。
ディオ・ジョースターでもなく。
D・I・O。
俺は純粋なるDIOであり続ける。
天国にはまだまだ辿り着けそうにないが、俺には時間がある。有り余る程に…
第三次聖杯戦争の方は、オリビアが参加したと言っていたが、どうやら手に入らなかったらしい。ならば仕方ない。次の第四次聖杯戦争にはこのDIOが参戦してやろうではないか…!聖杯は天国への道のりとなる願望機だ…!必ず手に入れるッ!!
オリビアに聞いた話では、吸血鬼を超える存在、『柱の男』なる者が存在していたらしい。既に討伐されたらしいが、生物界の頂点は、その『柱の男』とやららしい。昔の俺が聞けば憤怒しただろう。あの頃の俺は、頂点に立った者が勝者だと考えていたからだ。
しかし今は違う。『天国』を見たものが、たどり着いた者こそが、真の勝者である。
1986年、エンヤ婆が不思議な弓と矢を手に入れ、俺に献上してきた。名は『スタンドの矢』というらしく、エンヤ婆からスタンドについての説明をさせる。
『スタンド』とは『パワーを持った像』であり、持ち主の傍に出現してさまざまな超常的能力を発揮し、他人を攻撃したり持ち主を守ったりする守護霊のような存在らしい。
そしてスタンドにはルールがあり、それは1人につきスタンドは一体。
スタンドを見ることが出来るのはスタンド使いだけ。
スタンドに触ることが出来るのはスタンドだけ。
スタンドは本体の意思によって動く。
スタンドが傷つけば本体も傷つき、その逆もある。
射程距離がある。
スタンドは成長する。
「『スタンドの矢』…この矢に射抜かれた者の運命は二つに分かれる。スタンドが発現し、大きな力を手に入れるか…もしくは死ぬか…
ふふふ…面白い話ではないか、エンヤ婆。いいだろう。その矢でこのDIOを射抜いてみるがいい」
そうして俺は新たな力を手に入れた。名は『ザ・ワールド』、そしてスタンド能力は『時を支配する』。
歯車が噛み合うように、その、我ながら恐るべき能力を自覚した時、俺は同時に確信した。これが『天国』に行くのに欠けていたピースだということを…
しかし残念なことに、俺は天国には行けないだろう。このままでは行けないだろう。
そこへ行く方法を模索し、今の俺は半ば見つけているけれど…、『ザ・ワールド』というスタンド、天国に行くための片道切符を、既に手に入れているけれど、しかしこのままでは、今のままでは、行けそうもない。
そう結論づけざるを得ない。
諦めるわけではないが、現状、難しいということは認めざるを得ない……自分の力だけでそこに辿り着くことは難しい。
必要なものは信頼出来る友である。
それは欲望をコントロール出来る人間でなくてはならない。権力欲や名誉欲、金欲、色欲のない人間で、人の法よりも神の法を尊ぶ人間でなくてはならない。
いつかそのような者に、このDIOが出会えるだろうか?
俺の対極とも言える、そんな人物に。
いや、出会わなければならない。
そのような友と、出会わなければならない。
真の勝利者とは『天国』を見た者のことだ。どんな犠牲を払っても俺はそこへ行く。
組織や己のスタンドさえ犠牲にしてでも。
面白いスタンド使いを見つけた。ダニエル・J・ダービーという名前の博打打ちだ。
ギャンブラーとして生きている男で、少し話しただけで、彼がスタンド使いだとわかった。
奇妙なことだがなんとなく、本当に『なんとなく』だが、スタンド使いと、その才がある者が『はっきり』とわかるのだ。
組織を形成する仲間集めはエンヤ婆に任せているが、『天国』に行くための仲間集めは、このDIOが、自信をセンサーとして、自らが動かなければならない。
しかしギャンブラーである彼は、高潔なる精神の持ち主というわけではなさそうだ。彼は友とはならないだろう。
しかし、天国に行くための道しるべにはなってくれるかもしれない。
予想通り、と言ってしまえばあまりに悲観的過ぎるだろうが、やはりこのダービーは『まだ見ぬ友』ではなかった。『心から信頼出来る友』ではなかった。
ただ、まるっきりの無駄足ではなかった。ダービーと接触出来たのはやはり収穫だった。彼を部下に引き抜くことができたということはもちろんだが、彼のスタンド能力は『ヒント』になった。
彼のスタンドは『オシリス神』。俺の『ザ・ワールド』や、エンヤ婆の『ジャスティス』といった、タロットカードの暗示ではなく、エジプト9栄神の暗示のスタンド使いだ。
『オシリス神』にパワーはない。だが、彼のスタンドは、使い方によっては、このDIOも圧倒しかねない。
というも、『オシリス神』は特殊な能力を持っていたからだ。
彼のスタンドは『魂』を『操る』ことが出来るのだ。自分とのギャンブルに負けた相手の魂を、相手の肉体から引き抜くことが出来る。
ギャンブラーゆえに、引き抜いた魂を『チップ』に変えてしまうという、なんというか…なんとも余計な真似だが…
そして驚いたことに、彼の弟も『魂を操るスタンド』の持ち主であるらしい。
彼らは『弓と矢』に基づかない、生まれついてのスタンド使いだそうだ。
それについて調べる必要はあるが、取り敢えず魂だ。彼らのスタンドがあれば、36の魂を集めるのも可能かもしれない。
天国に行くために必要なものは『極罪を犯した36名以上の魂』である。
百年前、凶悪な罪人ほど、強い屍生人になったことからわかるように、罪人の魂には強いパワーがある。それはきっと、『天国に行きたい』、『幸せになりたい』という気持ちが、恐らくは魂のステージを上げるのだ。
とにかく、これで前進した。重要なのは、このことを誰にも知られないことだ。エンヤ婆達にはもちろん、ダービー兄弟にも…
俺は部下を探す為に世界を見て回った。俺の時代になかった自動車等を見て、懐かしいと思いながらも、飛行機に乗り他国へと渡る。
そして様々なスタンド使いを部下に加えてきた。
『ゲプ神』ンドゥール
『クヌム神』オインゴ
『トト神』ボインゴ
『アヌビス神』キャラバン・サライ(故人)
『パステト女神』マライア
『セト神』アレッシー
『オシリス神』ダニエル・J・ダービー
『ホルス神』ペットショップ
『アトゥム神』テレンス・T・ダービー
『クリーム』ヴァニラ・アイス
『マンハッタン・トランスファー』ジョンガリ・A
この他にも何十人と部下に加えてきたが、強力かつ忠実な部下はこいつらだろう。
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『
彼らは強力なスタンドを持っているが、『肉の芽』を使用している為、忠実ではあるがスタンドパワーがいくらか目減りしてしまったことは否めない。理由として恐らく、石仮面と同じように脳に、つまりは精神に直接的に関与するからだろう。
それでも彼らは十分有用なスタンド使いであり、基本的にあくまで誤差の範囲だが…、そんな誤差が『天国へ行く方法』を実行する上で生じることは避けなければならない。
そして天国に行く為にはある14の言葉が必要になってくる。これは合言葉であり、また同時に、文字通りのキーワード。天国の扉を開けるための、鍵となる言葉でもある。
『らせん階段』
『カブト虫』
『廃墟の街』
『イチジクのタルト』
『カブト虫』
『ドロローサへの道』
『カブト虫』
『特異点』
『ジョット』
『天使』
『紫陽花』
『カブト虫』
『特異点』
『秘密の皇帝』
必要なものは『14の言葉』である。
まあこれに関しては言葉自体にさしたる意味はない。このディオ・ブランドーとして覚えている母の子守歌だ。うわ言のような天国へと行くための子守歌。
それは同時に鎮魂歌でもある。
今、俺は日本の冬木市に来ている。ここは第三次聖杯戦争が起きた決戦の地。『まだ見ぬ友』を探すがてら、この街を観光もとい、地形を把握する。
そしてその過程で1人の黒髪の青年に奇襲を受けた。恐らく聖堂教会の『代行者』だろう。黒鍵という武器を使い切りかかってくる。
それを気化冷凍法で凍らせ、そのまま手も凍らせようとするが、刃の部分は砕け、男は新たな黒鍵を取り出す。魔術には詳しくないが、恐らくそういう魔術がかけられているのだろう。
攻防の内、一瞬の隙をつき、青年の腹に重い一撃が入るが、青年は口から血を大量に吐き出すも腹を貫通するに至っていない。相当な手練れだ。
接近戦は不利と見たか、黒鍵を俺周りに向けて投げつける。それは軌道をずらし、四方八方から俺に襲いかかる。
「小賢しいッ!!」
それをはたき落とした瞬間、俺の視覚外から青年が迫る。そしてゼロ距離からの寸勁。
その凄まじい衝撃に吹き飛ばされるが、空中で体勢を取り直し、波紋使いが名付けたらしい『
それを青年が驚愕しながらも、身体を捻り躱した時点で俺は動いた。
「ザ・ワールド…時を止まれッ!」
その瞬間、世界は止まる。人も…機械も…生物を…風を…光をも止まる。
その中で動ける者…それはこのDIOだけだ…。
しかし時は長く止めることは出来ない。出来てまだ2秒しか止めることが出来ない。
いずれは何分と、何時間でも止めれるようにするがな…
俺は先程叩き落とした青年の黒鍵を拾い、青年に投げつける。そして近くにあった車を持ち上げ、止めとばかりに投げつける。
しかしそれは制限時間に間に合わず、当たる前に時が動き出してしまうだろう。だがそれで十分だ。突如目の前に車と、回避出来ぬように逃げ道に放たれた黒鍵が迫っていれば確実に奴は死ぬだろう。死ななかったとしてもこのDIOが隙をそうそうと見逃すわけがない。
そう、奴はチェスでいうチェックメイトに嵌ったのだッ!!
「時は動き出すッ!!」
次の瞬間、目の前で大爆発が起きる。思っていた以上に爆発し、奴の姿が見えない。しまったな…
煙の中を注意深く確認するが、青年の姿はない。消し炭になったのだろうか、いや、あの程度の爆発で消し炭になる筈がない。警戒しながらも爆心地に近寄ると、マンホールが不自然に開いていることに気づく。
「…逃げられたか」
しかし顔は覚えた。次にあった時には全力で葬ってやろう。
爆発音を聞いた近隣の人間共が集まって来た為、俺はその場を去る。御三家とやらを見てみたかったが、代行者に逃げられたとなれば、聖堂教会から増援が来るだろう。そうなれば土地勘のない俺には流石に不利だ。いや、取るにたたない相手だが、数が増えては面倒くさい。人間共のいうところ、ゴキブリのようなものだろう。しぶとく数が多い…屍生人にも言えるがな。
遺憾だが、今回はカイロに戻った方がいいだろう。正体がバレれば、俺の不在時に拠点を襲われる可能性が出てくる。俺も彼らが負けるとは思わないが、被害は確実に出るだろう。それは避けたい。
聖杯を使った後は聖堂教会を滅ぼすことも考えねばな…
少し厄介なことになった。
ジョースター家の末裔が生きている。そしてこのDIOの存在に気づいている。
『見られている』という感覚が以前からあった。
最初は気のせいかと思っていたが今は確信している。見られている。いや、正確に言うなら『写されている』。『念写』という能力によって。
実のところ、俺には『ザ・ワールド』の他に、もう一つのスタンドを持っている。その名を『ハーミットパープル』そいうのだと、エンヤ婆は言っていたが…。
自分のスタンドを他人事のように言うのを不自然だと思われるかもしれないが、しかし厳密にはこれは、俺のスタンドではなく、俺が乗っ取った肉体の持ち主、ジョナサン・ジョースターのスタンドであるらしい。
そしてこれと同じでなくとも、似たようなスタンドを、ジョナサン・ジョースターの孫も持っているというのだ。
理屈はわからないが、この肉体はどうやら、親子の絆のようなものでジョジョの子孫と通じているらしい。
ジョジョの子孫。
ジョセフ・ジョースター。
空条ホリィ。
空条承太郎。
奴らは…このDIOの存在に気づいている。
ジョナサンの肉体を得たことによって、そして『弓と矢』に貫かれることによって身につけたスタンド。
『ザ・ワールド』、そして『ハーミットパープル』
ジョナサン・ジョースターの、このスタンドも子孫の身体に影響を与えている。長所と短所は表裏一体……ままならないものだ。
幸い、と言うべきなのか、彼らは今、花京院典明の故郷である、日本に滞在しているらしい。ならば先手を打つとしよう。『肉の芽』によって弱体化しているとはいえ、あの少年のスタンド能力ならば、十分に彼らを始末できるはずだ。
根絶やしにせねば。
ジョジョの一族…ジョースターの血統は…排除せねばならない。
これからの進路
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オリジナル特異点
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幕間からのオリジナル特異点
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第二特異点以降
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時間神殿
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幕間から第四特異点