Jojo/Grand DIOrder OVER HEAVEN   作:ユフたんマン

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ランキング効果ってすごい(小並感)

というわけで、まさかの日間ランキングで12位になったので急いで仕上げました。それではどうぞ!





第6話

承太郎が我が屋敷に辿り着いた。中に入ってきたということは、既にペットショップを撃ち倒しているのだろう。ペットショップの『ホルス神』。氷を操るというシンプルな能力だが、シンプル故に強いスタンドだ。更にペットショップ自身の機動力もあるため、俺が相手にしても苦戦は免れないだろう。

しかしそれがやられたとなればもう、承太郎達一行を『その程度』と呼ぶに得ない存在となってしまった。何故俺はまた油断し、ジョースターの血統を『甘く』見ていたのだろうか。『三つ子の魂百まで』とはよく言ったものだ。正にその通りではないか。俺は太陽を聖杯により完全にとは言えないが、『克服』したことに『油断』、そして『慢心』していたのだろう。

承太郎達一行『程度』、エジプト九栄神を送れば簡単に倒せるだろうと。彼らは確かに強力だ。彼ら全員が手を組めば、このDIOでさえ圧倒するだろう。

 

しかし、だ。いかんせん彼らは我が強い、否、強すぎるのだ。ボインゴオインゴの二人のような血を分けた兄弟は別だが、他のスタンド使い達は組むという行為は、逆に自分の持ち味を打ち消してしまうのだ。彼らは『組めない』のではない。『組まない』方が強いのだ。結局、それで承太郎達一行に敗れたのだが…

 

しかし、ホル・ホースのような「一番よりNo.2」という、コンビを組むことによって真価が発揮されるスタンド使いは貴重だった。それに、俺に媚びない態度には共感が持てる。俺は犬が嫌いだ。子供の頃からそれは変わっていない。

しかし、猫はそうでもない。猫は人間につかず、家につく。そしてしたたかさを持っている。人間に媚びず、状況が変わればたちまち猫は何処かに行ってしまうだろう。それがホル・ホースという男だ。彼は、俺が太陽を克服していなければ、承太郎側についていた可能性がある。彼には人の才能を見抜く才気があり、その精度はこのDIOと同等のものだろう。

 

そして二度、承太郎に敗れたというのに、彼は生き残っている。なんという強運を持っているのだろうか。いや、悪運と言った方がいいのか…。

 

 

「なんだと?」

 

 

ヌケサクから連絡が入った。テレンス・T・ダービーがやられたという。これでエジプト九栄神は全て敗れた。残るはケニーGとヴァニラ・アイスのみ。この戦いが終われば、また部下を補充しないといけない。しかし魂を操るスタンドを持つダービー兄弟が二人ともやられたのは痛い。大打撃だ。

それにまだ『友』は見つからない。まるで、太陽を『克服』したのと引き換えに、まだ見ぬ友との『縁』を失ったのかも知れない。そうなれば非常にマズいが、承太郎、ジョセフ、ホリィ、そして最近新たに判明したジョセフの子、東方仗助。奴らが消えれば、このDIOを止める者は消え去り、他の天国に行く方法を探す時間が増えるだろう。

 

そしてもう一つの不安要素は我が子の存在だ。この身体…DIOという吸血鬼と、ジョナサンの人間の肉体。この身体と、交わった人間の女から産まれた子はどうなるのか…吸血鬼のまま産まれてくるのか、人間のままなのか。実験、のような過程で女を拐い、孕らせたのだ。そして産まれた後、後に我が手足として動かせるように…

しかしこの身体はジョナサンのものだ。ジョースターの血統を強く引いた子が生まれないとは限らない。そうなれば俺の障害となるだろう。もし、そのような存在が産まれたとすれば……

 

 

「ムッ……」

 

 

ヴァニラがやられた。奴は俺の血を得たことにより、屍生人となったため、現状倒すにはジョセフ・ジョースターの波紋か太陽の光しかない。ジョセフがテレンス・T・ダービーと戦っていたのはヌケサクから聞いていたため、恐らく太陽にやられたのだろう。

彼との連絡手段はない。それなのに何故わかったのか。それは屍生人と吸血鬼の関係にある。まぁ難しく考える必要はない。簡単に言えば、魔術の『使い魔』のようなものだ。魔力の代わりに血だ。俺の血が消滅すればそれ即ち、ヴァニラが消滅したことになる。

 

ひとまず…だ。ポルナレフを勧誘するとしようか。部下がいなくなった今、肉の芽のせいでスタンド能力が弱まったとしても大変有用な戦力となり得る。出来れば花京院も部下に加えたいところだが、承太郎とジョセフが近くにいる時点で、可能性はゼロに近いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポルナレフ……我がスタンド『ザ・ワールド』の能力の片鱗を見せ、この力を恐れてさえも……このDIOの誘いを断るとは……どこまでも虫唾が走る…!!ジョースターの血統めッ!!ジョナサンの時もそうだったッ!!スピードワゴンはジョナサンに出会っていなければ、そのまま食屍鬼街の頂点に立ったまま、その人生を終えていただろうッ!!しかしジョジョと出会ったことにより、アイツは『汚染』されたッ!!そして奴は俺の目論見を邪魔したのだ。

 

今回もそうだ。既にポルナレフはジョースターに『汚染』されている。恐らくだが花京院もだろう。彼らに汚染された者は皆、少なからず『黄金の精神』を手に入れるのだ。そして逆に俺と関わり、心酔した者には、目的のためなら殺人も厭わないという『漆黒の意思』を持つことになる。しかしこの意思はこのDIOのものではない。この意思さえも、俺の身体、ジョナサン・ジョースターの『呪い』いや、『願い』なのかもしれない。

 

承太郎達が壁を突き破り現れる。しっかりと背後に夕日を纏いながら…それが一番正しい選択だろう。実際に屍生人や吸血鬼、柱の男と戦ったジョセフ・ジョースターがいるのだ。その行動、行為は正しい。普通ならば…だ。

 

「ザ・ワールドッ!!」

 

「ッ!?スタープラチナッ!!」

 

二つのスタンドがぶつかり合う。しかし出し遅れたスタープラチナは押し負け、承太郎ごと外へと押し出される。

 

「承太郎ッ!!?まさか……!!DIOの奴……!!あのカーズのように太陽を克服したというのかーーッ!!?」

 

「ここでは奴の思う壺だッ!!逃げろォォォォオオッ!!!!」

 

花京院が叫んだ瞬間、ザ・ワールドの拳が花京院の腕を穿つ。しかしその直後、ジョセフのハーミット・パープルが花京院に巻き付き、衝撃を利用して窓の外へと引っ張り出す。逃げるのを躊躇っていたポルナレフも同じように引っ張り出し逃走する。

 

 

ふむ…このまま追いかけてもいいが、やはり太陽下では充分な力が出せない。これも不完全な聖杯を使ったが為だろう。このまま深追いし、やられるとなっては元も子もない。なにせ相手はジョースターの血統だ。慢心していては勝てない。何かしら、どう行動しても修正が入るように、『運命』によって『決定』付けられている。

 

しかしそれを破り、乗り越え、『運命』すらも『支配』する。それが『天国』への足掛かりになるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日は没した…」

 

時は来た。今日で100年以上にも渡るジョースターとの因縁の終焉の日だ。屋敷から飛び降り、ジョースターが乗っていると思われる、猛スピードでここから遠ざかるトラックを見定め、道路の端に寄せてあった車に乗り込む。何やら虫ケラが話しかけてきたが軽くあしらい、そこに乗っていたウィルなんとか上院議員とか言う男に車を運転させ、ジョースターを追う。初めは上院議員も抵抗したが、少し脅せばすぐに従順な僕と成り果てた。まぁこのような汚らしい僕はいらないが。

 

しばらくジョースターを追っていると、花京院のハイエロファント・グリーンによる遠距離攻撃が行われる。放たれるエメラルドの一つを弾くことで、俺に迫っていた全てをおはじきのように逸らすことに成功する。

またもや攻撃態勢に入るが、俺が悠長に同じ技を二度、撃たせる筈もない。

 

「時よ止まれ」

 

時を止め、ザ・ワールドをハイエロファントの目の前に展開し、殴り付ける。

 

チッ…距離がちと…離れすぎていたか…。射程距離外にすっ飛んでいった…しかしこれでは拉致があかん…奴らに遠距離から長々と攻撃されるのもシャクだ。

 

前で運転していた上院議員の首根っこを掴み、ジョースター達が乗り込んだトラックへ投げ付ける。見事にヒットしたトラックは建物へと衝突し、爆発する。

煙をモウモウと上げるトラックに近づき、中を確認するが、その中には死体となった上院議員しか姿がない。上を見ると、そこにはジョセフと花京院が、スタンドを巧みに使い、屋上から屋上へと移動している姿が。

 

その場から飛び上がり、花京院達がいる建物と、同じ高さの建物に立つ。

 

前方に…花京院とジョセフしかいない…なるほど、二手にわかれて挟み打ち……背後からは承太郎とポルナレフが尾けて来ているというわけか…フンッ、まったく無駄なことを…

 

花京院達を追う為に、次の建物へと飛び、着地すると同時に何かを踏んだことに気付く。

 

「ヌゥ!?」

 

足元から何かが猛スピードで迫る。それを腕で弾きながら花京院を睨む。

 

「花京院のハイエロファント!!」

 

その場から飛び上がり、残りのエメラルドを躱した次の瞬間、空中で何かに触れる。次の瞬間、先ほどと同じように、ハイエロファントのエメラルドが迫り来る。

 

「『法皇(ハイエロファント)』の『結界』かッ!!」

 

それを、空中で身体を捻り蹴り落とすが、間に合わず一発被弾してしまう。ダメージはないがウザったい。荒ぶる感情を抑えながら周りを見渡すと、そこら一帯に『法皇』が展開されていた。それも360°全てだ。見事に誘い込まれた…

 

「触れれば発射される『法皇』の『結界』はッ!!既にお前の周り、半径20m!お前の動きも『世界』の動きも手に取るように探知出来るッ!!

くらえッ!DIOッ!!半径20m、エメラルドスプラッシュをーーーーーッ!!!」

 

360°、全てからエメラルドが迫る。逃げ場はない。避けれない。捌き切れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通ならば………だ。

 

   

「フフフッ…間抜けが……知るがいい…ザ・ワールドの真の能力は…まさに!『世界を支配する』能力だということをッ!!

 

 

世界(ザ・ワールド)』!!」

 

時は止まり、全てが止まる。灰色の世界で結界として張られていたハイエロファントを全て破壊し、花京院の腹を貫く。花京院は何も気付かない。気付くはずがない。勇ましい顔をしながら、腹を貫かれ、尚且つその顔を変えない、変えれない花京院を見ながら呟く。

 

「時は動き出す」

 

時が動き出したと同時に花京院は吹き飛ばされる。致命傷だ。もう奴は戦えない。助からない。終わりだ。

 

花京院の魂の灯火が消える…消える…消える…

 

 

 

 

「エメラルド……スプラッシュゥゥゥウウッ!!!!!」

 

エメラルドスプラッシュは此方には向かわず、時計台を破壊する。そして花京院の魂の灯火は消え去った。

なんだ?何故あらぬ方向を撃った?断末魔……最後の雄叫びをあげ、花々しく散ろうということか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否、『黄金の精神』を持ったこの男がこのような無意味な行為をするとは限らない。撃ち込んだのは時計台。何故時計台を破壊したのか…

時計台……撃ち抜かれたのは時計……時計は壊れ、既に『止まり』秒針は刻まれていない……

 

……そういうことか。やられた。花京院はあの一瞬で俺のスタンド能力を暴いたというのか…なんたる洞察力。自分が死して尚、未来に向けて仲間にメッセージを残すとは…。しかし、まだジョセフは気付いていない。これは幸いだ。奴が気付く前に仕留める。

 

「時よ止まれッ!!」

 

逃げるジョセフを追いかけ拳を振り上げる。

 

「ッ!!?」

 

すぐに下がる。時間は動き出し、世界は色彩を取り戻す。

 

「なっ!?いつの間に……!!?しかしどうした?打ってこないのか…DIO…」

 

「フン…連続して自分の体に波紋を流してガードしているな。波紋入りのハーミット・パープルを高圧電線のように体に巻きつけているだろう。

策士だな、老いぼれめ…」

 

「それはお互いのようじゃの…波紋を見破りうっかり触らなかったとは用心深いやつ……

しかし…二つ見つけたぞ。貴様のスタンドの特徴を……ようやく花京院のメッセージを理解出来た…!!貴様のスタンドの能力は『時を止める』ことじゃッ!!DIO…そしてお前は『時を止める』といってもほんの短い時間しか止めていられないようだな。ほんの3秒か4秒だけじゃろう?

長時間止めてられるなら我々はお前の館の中で既に一気に全滅していたはずだし、お前はこうやって追って来たりしないはずだ。

そしてもう一つ、貴様はどうやってかは知らんが太陽を克服しているようじゃが、『完全』には克服していないと見えるッ!!消滅はしないが太陽下では思い通りのパフォーマンスが出来ないといったところじゃろう?

館からすぐに追ってこなかったからわかったッ!!貴様の落ち度じゃなDIOッ!!よって、太陽を完全に克服出来ていない貴様には波紋が脅威に変わりないッ!!」

 

だから厄介なのだ…ジョースターは…1を知ればすぐに10を理解する。知らなくていいことも即座に…だ。

ジョナサンもなかなか鋭かったが、ジョセフはさらに鋭いようだ。 

 

 

ジョセフは波紋を纏わせたハーミット・パープルを繰り出すが、それはもう既に見た。くどいッ!!既に…!!100年前は脅威だったが、今となっては過去の技術ッ!!

 

「『波紋』なんぞ触れなくても攻撃は出来るわッ!!」

 

屋根を破壊し、瓦礫がジョセフに向けて飛来する。それはジョセフにいくつかが当たり、吹き飛ばされ地面に墜落する。

ジョセフを追って下に降りると、ジョセフの前にはジョナサン……いや、承太郎が立っていた。

 

なんだ今のは……一瞬承太郎があの頃のジョナサンに…いや、気のせいだ。しかしいい所に現れた…しかしあいつまでは射程距離外…まずはジョセフから…

 

 

 

始末するッ!!

 

時を止める。近くの店のテーブルからナイフを数本奪い、ジョセフの首に向けてナイフを一本投げる。そして残り数本を突っ立っている承太郎へ向けて投げる。

 

「ジョナサンの孫…ジョセフ。これで貴様は死んだ!1秒前………ゼロ」

 

「うぐっぁぁ…!!」

 

ナイフはジョセフの喉元に突き刺さり、多量の血を噴き出す。

これで波紋も使えまい。

 

「花京院は既に始末してやったぞ。ポルナレフはどこぞに潜んでいるな……まあどうでもいいがな。次は承太郎!貴様だ!」

 

「……………野郎、DIO……!!」

 

ナイフを全て叩き落とした承太郎は此方に歩み寄る。その顔はまるで…

 

「ほう…向かってくるのか……逃げずにこのDIOに近づいてくるのか……」

 

「近づくかなきゃてめーをブチのめせないんでな……」

 

 

 

 

 

 

100年前から続くジョースターとDIOとの因縁、今ここで決着をつけるッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

「オラァッ!!!まだ怒りたりねぇぜッ!!」

 

「無駄だ、これがザ・ワールドだ」

 

 

[オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!]

[無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!]

 

徐々にスタンド同士で打ち合うたびに、スタンドパワーが高まっていき、フィールドは空へと移る。

 

時を止め、ナイフを数十本、承太郎を囲むように投げる。しかし時が動き出したと同時に、承太郎はそれを全て打ち落とす。

やはり承太郎は止まった時、このDIOだけの『世界』を…奴は知覚している…!!『同じタイプ』……『同じタイプのスタンド』……!!!

 

どこまでも『運命』は俺の…!!俺達の邪魔をするッ!!

 

いや、まだ決定付けるのは早い。承太郎は見えているのか、それとも余り信じたくないが、勘で全てのナイフを叩き落としたのか…

 

「時よッ!!止まれィッ!!」

 

時を止め、警戒しながら承太郎を見る。承太郎の腕はピクピクと動いており、止まった時の中で動いているように見える。しかし…そのようなトリックでこのDIOを騙そうとはたいしたものだ。

 

手首に付いていた何かを取り、承太郎の掌に置くと、それは承太郎の手首にあった同じ物と引き合うようにくっ付く。やはり…

 

「磁石をつけていたな……さっき打ち合った時に俺に付けていたというわけか…財布か手帳の止め金から取った磁石のようだが…近づくとお前の手が動くようになっているとは…

フンッ!まんまと騙された。つまり先程のナイフは勘で叩き落としたということか…まったく恐ろしいものよ!」

 

今度こそッ!!承太郎の頭蓋を砕いて即死させてやるッ!!

 

その瞬間、承太郎が動いた。

 

「オラァッ!!!」

 

スタープラチナの腕が俺の腹に風穴を開ける。

 

「なにィイイイイイイッ!!?」

 

こ、こいつ!!本当はうごける!やはり一瞬だが動ける!!磁石は動けると思わせる物ではなく、動けないと思わせて…!俺を十分引きつけるための…トリックだったとは…ウヌヌヌッ!!

 

「こともあろうに!このジョースターの末裔が…『我が止まった時の世界』に…入門してくるとは…!!」

 

承太郎との距離を急いでとる。もう時間がないッ!!

 

時が動き出す。

 

「まさかこのDIOが…こう苦戦するとは思わなんだ。おい、そこの女、血を頂こうか」

 

悲鳴を上げていた女の首を折り、血を吸い取る。

 

「か、母ちゃんッ!!?母ちゃんッ!!ひ、ヒィ!!?」

 

「フン、喧しいぞガキ…ついでだ。貴様の血も頂こうッ!!」

 

どうやら子連れだったようだ。喜べ少年。貴様は母と同じ末路へと至るのだ。寂しくないだろう。このDIOがほんの少しばかりの慈悲を与えてやろう。

 

「『流星指刺(スターフィンガー)』ッ!!」

 

「ヌゥッ!?」

 

スタープラチナの指が迫るが、それをギリギリで躱す。ガキの血は吸えなかったが仕方ない。既に腹は満ち、傷も癒えた。

 

「どうやら貴様…エネルギーの補給はすでに出来ていたようだな…カラカラだった腹がいっぱいになってるもんなァ……」

 

反撃開始だ…!!もう既に承太郎のターンは終了したのだッ!!

 

 

 

 

 

時を止め移動する。そして時が動き出したと同時に承太郎は移動した俺を目で追う。承太郎ははっきり、止まっている時の中でこのDIOの動きが見えている…

 

「花京院は大したお手柄だったよな…花京院が我がザ・ワールドの謎を解いたおかげで、お前は止まった時の中で動くことを『認識』し…我が世界に入門することが出来た」

 

本当に『運命』というやつは俺を嫌っているらしい。俺に『運命』は味方せず、いつでも相手、ジョースターに味方をする。俺が戦いでジョナサンに勝ったのは一回、ボクシングというお遊びでだけだ。他は全てジョナサンの爆発力と『偶然』という名の『運命』により敗北している。敗北を『決定づけられて』いた。

 

「そこでDIOは考える…果たしてお前はどの程度止まった時の中で動けるのかと?2秒か?3秒か?ひょっとすると私と同じ5秒は動けるのに動けないフリをしているのだろうか……とね。フフ…どうなんだ?」

 

「…………」

 

沈黙。承太郎からは何も返ってこない。

 

「無言の肯定…というやつかね?フフンッ!言いたくないのは当然!お前は私が思うにまだ一瞬しか動けない…」

 

俺も初めはほんの瞬き程度しか時を止められなかった。ならば承太郎も例外なくほんの一瞬しか動けないのだろう。問題は奴の『成長』する速さだ。

 

「だが…お前は静止した時の世界に入門してきたからにはお前という男を侮って、お前に近づくのは賢い者のすることではない。まだ私の方が圧倒的に有利だとしてもだ」

 

どんな逆行をも乗り越えるジョースターの血統は警戒しても足りない程だ。それほどまでに…ジョースターの血統は『運命』に好まれているッ!!

 

承太郎に大量のナイフを見せ付けたことで、承太郎は俺が今から行うことを理解したようだ。

 

「青ざめたな?勘のいい貴様は悟ったようだな」

 

すぐさま承太郎は上空へと逃れようと跳ぶが、俺はすぐに時を止める。もう間に合わんッ!!

 

「逃れることは出来んッ!!貴様はチェスや将棋でいう『詰み(チェックメイト)』にハマったのだッ!!」

 

空中で停止した承太郎に全方向から全部でおよそ50本のナイフを投げつける。残り3秒で承太郎が前方のナイフを叩き落とすが、すぐに動きを止める。やはりまだ一瞬しか動けないのだろう。

さぁこれで終わりだ。死ぬがいいッ!!

 

「そして時は動き出すッ!!」  

 

[オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!]

「ぐっ…ぐううう!!」

 

スタープラチナで即座にナイフを落としに掛かるが、その超スピードを上回る数で承太郎にナイフが襲いかかる。

胸、喉、頭、腕、太腿、脇腹といった場所にナイフは突き刺さり、承太郎は大量の血を噴き出しながら地に沈む。

 

「静止した時の中を動けるのはたった一人でなくてはならない…思うに自動車という機械は便利なものだが、誰も彼もが乗るから道路が混雑してしまう。止まった時の中は一人…このDIOだけだ」

 

 

地に伏せた承太郎を見つめる。まだだ…ジョースターの血統は強運だからな…死んだフリをして騙しているかもしれん…

 

「念には念を入れて…完全なるトドメを…刺す!!首を切断してな…」

 

道路標識を根本から切断し、承太郎へと叩き付ける為の武器とし、道路標識を振りかぶる。

 

「くたばりやがれッ!DIOOOOOOッ!!」

 

背後から奇襲を掛けてきたポルナレフのスタンド、シルバー・チャリオッツのレイピアが俺の頭を貫通する。

 

「ザ・ワールド…時は止まった…」

 

ゆっくりとレイピアは頭から抜き、ポルナレフに心臓部に裏拳を放つ。

 

「このタイミングで出て来ると思っていたぞ。ポルナレフ…時は動き出す…」

 

ポルナレフは血反吐を吐きながら吹き飛び壁に陥没を作り倒れ込む。

 

「このDIOを暗殺することは出来ん…『ジョースター・エジプトツアー御一行様』は貴様にトドメを刺して全滅の最後というわけだな…」

 

ポルナレフにトドメを刺そうと近寄った瞬間、承太郎付近から物音が聞こえた。即座に俺はその場から跳ね退き、承太郎を確認する…やはりジョースターは侮れん。

 

「動くなッ!!警察だッ!!貴様には銃口が向いている。何が起こったのか分からんが動くと発砲するッ!!」

 

チラリと確認する。どうやらこの街の警察官のようだ。数にして8人。しかしちょうどいい所にきた。

 

「ザ・ワールド…」

 

時を止め、警察官の背後に回り込み、一番地位が高そうな奴と肩を組む。

時が動き出すと同時に驚愕する警察官を数人殺し、警察官に承太郎を撃つように命令する。しかしまだ抵抗する。またもや時を止め、残りの警察官を殺し、肩を組んでいた警察官の首筋に手を差し込む。

 

「あそこにぶっ倒れている奴を狙って撃て。脚でも胴でもどこでもいい…死んでるかどうか確認したいだけだ。ホラ!ちゃんと命中させろよ」

 

恐怖に負けた警察官が承太郎に向けて発砲する。それは承太郎の胴に命中するが、承太郎は何の反応もしない。警察官を放り投げる。建物にぶつかり弾けるような音がしたが俺の気にすることではない。

銃を確認する。残り5発。もう一発承太郎に撃ち込み確認するが、承太郎はまったくの無反応。

銃を投げ捨て承太郎の呼吸を確認する。止まっているな…

心臓の鼓動音は…?

 

 

 

 

 

 

 

心臓は停止している。先程の音は気のせいだったか…しかし…

 

「念のため首をはねて確実なる安心という形にしておくか…なあ承太郎」

 

道路標識を持ち直し、承太郎に振りかぶる。そして振り下ろした瞬間、目の前にスタープラチナが現れ、道路標識を受け止め佇んでいた。

 

[オラァッ!!!]

 

「なにィイイ!!?時よ止まれ!ザ・ワールド!!」

 

時は止まる。だが承太郎のスタンド、スタープラチナの拳は止まらない。そのまま俺の頭蓋骨を砕き、殴り抜ける。

 

「うげぇぁあ…!!」

 

強烈な一撃に俺は撃ち倒され、手足は震え頭痛を催す。思うように立つこともままならない。クソッ…俺は何度も承太郎に致命傷を与えたというのに…!!奴はそれで死なず、承太郎はこのDIOに一撃で…このような立てなくなる程の一撃を…!!

これが…これが俺の…DIOとしての『宿命』…なのか…!!?いや、違う!!

 

このような逆行を乗り越えることこそが『運命』を『支配』するということに違いないッ!!ひとまずはここから逃れなくては…なんとかして承太郎を出し抜く方法を考えなくては…!!まだチャンスはある!!この傷が癒さえすれば…ッ!!承太郎如きッ!!

 

……!?この音は…!!ならば……!!

 

「ザ・ワールドッ!!!」

 

時を止め、這いずりながら道路に出る。そして丁度通り掛かっていた車のバンパーに掴まり、そこで再び時が動き出す。それと同時に車は動き出し、承太郎から離れていく。

しかし承太郎は自分に刺さっていたナイフを投げることで、車のタイヤを破裂させ、俺の逃走を防ぐ。クソッ…!!邪魔しおって…!!あの場所へ…!あの場所へ!…行きさえすればッ!!あの血を…!!あの血を…ッ!!

 

近くにあったマンホールを開けて中に逃れようとするが、承太郎に回り込まれる。

 

「諦めるんだな、DIO」

 

承太郎との視線が交差する。こいつは確実にここで始末しようとしている…ッ!!ならば…承太郎の突きの連打を利用するッ!!

 

「ザ・ワールド、時よ!!……止「オラァッ!!」」

 

スタープラチナの拳が俺の負傷した頭部に穿たれる。

 

[オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ…オラアーッ!!!]

 

「ブァガッ!?」

 

痛い…全身が痛い……このままでは…負ける…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というとでも思っていたのかッ!!この間抜けが!!このDIOの計画通りだッ!!

 

「かかったな承太郎ッ!!これが我が『逃走経路』だ…貴様はこのDIOとの知恵比べに負けたのだッ!俺が吹き飛ばされてゆくこの通りに見覚えないか?旅行者のお前にはどの通りも同じに見えるのか?」

 

吹き飛ばされ、追突した場所の近くに倒れ込むジョセフの血を吸血する。

 

 

 

 

 

 

血が身体を…全身を駆け巡る。湧き上がる…湧き上がる…!!力が…ッ!!まるで酔っ払った時のようだッ!!溢れるッ!!満ち足りるッ!!

 

 

 

「うむむむ〜んんんんんん、馴染む、実に馴染むぞ…!!最高に『ハイ!』ってやつだアアアアアアアハハハハハハハハハハーッ!!」

 

 

勝てるッ!!この力さえ有れば…!!確実に…!!承太郎に…!!『運命』を支配出来るッ!!高まるッ!溢れるッ!!これで俺は…!!天国へと…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロードローラーだッ!」

 

道路で倒れる承太郎に追撃を仕掛ける。これでトドメだッ!!ジョースターの血は本当にこの身体に馴染む!10tをも超えるロードローラーをも軽々と持ち上げる程の力を手に入れたッ!!不死身ッ!!不老不死ッ!!フフフフフフフフフフフッ!スタンドパワーッ!!

 

承太郎の抵抗も虚しくロードローラーに押し潰される。勝った…!!ついに…ついに…!!100年以上続いたこの奇妙な『因縁』に…!!『運命』に…!!

『運命』をも…支配することが出来た…!!これで俺を止めれる者は存在しないッ!! 

 

 

 

 

なんだ…?身体が重い…身体の動きがに…にぶいぞ…?ち、違う!?にぶいのではない…!?これは…!?

 

「動けんッ!ば…ばかな!?」

 

「俺が時を止めた…そして脱出出来た…やれやれだぜ…」

 

「じょ…!承太郎ッ! ウゲェァア!!!」

 

承太郎に脚を壊される。そして時は動き出し、俺は地面に放り出され、這いつくばる。

 

「このままオメーを嬲って始末するってえやり方は俺自身の心に後味のよくねえものを残すぜ!

その脚が治癒するのに何秒かかる?3秒か?4秒か?治ったと同時にスタープラチナをテメーに叩き込む!かかってきな!

西部劇のガンマン風に言うと…

 

『抜きな!どっちが素早いか、試してみようぜ』と言うやつだぜ……」

 

 

承太郎……!!貴様……ッ!!このDIOを…こ…こ…こけにしやがって…!!

しかし…しかし!承太郎…この土壇場に来て…やはりお前は人間だ…。クククク…

ごく短い時の流れでしか生きない人間の考え方をする……

『後味のよくないものを残す』とか『人生に悔いを残さない』だとか…便所の鼠のクソにも匹敵するそのくだらない物の考え方が命取りよ!

このDIOにはそれはない…『勝利』して『支配』する!それだけよ…それだけが満足感よ!

 

 

過程や…

 

 

 

方法なぞ…

 

 

 

「どうでもよいのだァーーーーーーッ!!!」

 

脚が治る直前に、脚から血を噴き出させ、承太郎の目を潰し、渾身の蹴りをお見舞いする。

 

「勝ったッ!!死ねいッ!!」

「オラアッッ!!」

 

スタープラチナの拳とザ・ワールドの脚がせめぎ合う。勝てるッ、勝てるッ、勝てるッ!!俺は最高のパワーを手に入れたのだッ!!

スタープラチナの拳とザ・ワールドの脚が同時に砕ける。しかしこれだけのダメージならすぐに再生するッ!!人間の承太郎にはこれは堪らないだろうッ!!

 

「WREYYYッ!!!!!」

 

 

 

 

パンッッ!!!

 

 

 

 

 

 

乾いた音が鳴り響くと同時に、太腿に衝撃が襲い、脚に力が入らなくなり膝をついてしまう。こ、これは…!!

振り返るとそこには先程殺し損ねたガキが警察官の銃を持ち佇んでいた。

 

「母さん…ッ!!母さんの仇ッ!!」

 

「このクソガキがァァァアアアッ!!!!」

 

「準備出来たぜ…ッ!!」

 

ガキに激昂したが、それよりも気にしなくてはならない存在から目を離してしまったッ!!不味いィッ!!?

 

「俺はこの50日間、テメーの放った刺客に様々な怪我を負わされたぜ…もちろんその中には致命傷もあった。それなのに何故、俺達は万全の状態でカイロまで来られたと思う?

そうだ。ジジイの波紋のお陰で俺達は幾つもの激闘をくぐり抜けることが出来た。

ここでテメーに問題だ。スタンドは先天的な才能がなけりゃあスタンド使いになれない。こりゃあ知ってるだろ?ここからが本題だ。『波紋』は選ばれた者にしか使えないのか?

 

 

正解はバツだ。波紋は『覚悟』と『努力』さえあれば誰にでも習得出来る人間の力の結晶なんだぜッ!!

そしてテメーも知ってるだろうがスタンドは少なからず呼吸にも関係する。水中じゃあ本来よりも力が弱まるからな…

ここまでくりゃあ俺の言いたいことがわかったはずだぜ。俺の波紋はちと微弱だがな…

 

 

『スタンドに波紋を纏わせながら、テメーを何百発と殴れば、ひとたまりもねーんじゃあねえかッ!?』」

 

「ま、待てッ!!承太…」

[オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオオオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラアーーーーーーッ!!!]

 

か、身体が…ッ!!?消えていくッ!!溶けていくッ!!また俺は…負けるのか…?嫌だ…!!嫌だ…!!俺は天国へと到達しなければならないのだ…!なのに…こんなところで…!!何故承太郎が波紋を使えるッ!?何故あそこでガキが乱入してくるッ!?これもまさに『運命』というやつなのか…!?

 

俺は…『運命』をも乗り換えたと…思っていたのに…それさえも…『運命(Fate)』の掌の上だった…というわけか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ディオ、いいですか?私も貧困の中に生まれていたら同じことをしていたかもしれません……

同じような野心を持ち、同じように人の道を踏み外していたかもしれません。

ジョナサンの肉体は、もうあなたのものです。これであなたも、本当にジョースターの人間です。

母なる海の底で、私の夫と共に、しばらく休んで、安らかに眠って…50年先か、100年先のことかわかりませんが…

いつかきっと、悪の人ではなく善の人になってください……天国に。天国に行けるような、気高く、誇り高い人間になってください』

 

 

 

 

聖女のようだった母と似た、俺という夫を殺した、本来なら憎むべき男にも情けをかけたエリナ・ジョースター。その聖女の声が、聞こえてきた気がした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼ばれる…誰かに呼ばれる…召喚主は『元聖女』…

 

『特異点』か…消滅した俺が、また『運命』に踊らされるとはな…面白い。このDIOがまた貴様(運命)に思うように動かされると思うなよ。

いつか必ず…俺は『天国』へと行き、『運命(Fate)』をも支配してみせるッ!!

 

 

 

 

 

「召喚に応じ参上した。バーサーク・ライダー…貴様が私のマスターか?元聖女様」

 

 

 

 




思ったより長くなってしまいましたがこれにて生前編は終了し、舞台は特異点へと移ります。

今作のジョセフですが、波紋によりDIOが一足先に消滅したため、そのまま死んでしまいました。なので原作とは違い生存者は承太郎とポルナレフのみです。

これからの進路

  • オリジナル特異点
  • 幕間からのオリジナル特異点
  • 第二特異点以降
  • 時間神殿
  • 幕間から第四特異点
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