多くの方に読んで頂けて嬉しい半面、畏れ多いという気持ちもありますね……。
拙作を読んで下さった方々には感謝しかないです!
これからも更新頑張っていきます。
今回は一万字強、ベル君探して三千里といったところですかね。では第七話です、どうぞ!
3/24 誤字修正。刀祢梨子様報告ありがとうございます。
はいどーも……こちらさっきようやく『豊穣の女主人』の弁償労働から解放されて廃教会の隠し部屋こと我らが【ヘスティア・ファミリア】の本拠に帰って来た
先程帰ったよって入ったら今にも泣きそうな神様がお出迎えしてくれた。両目に涙溜めながら突貫してきたけど……まぁサラーサの胸部装甲は十二分だからね、普通に受け止められるに決まってるよね。身長大差ないしダイブしてきたら大体胸くらいに頭が来る。
えぐえぐ泣いてる神様を落ち着かせ、とりあえずミア母さんがくれたクッキーの包みを差し上げて、やっとの思いで本題に入る。
「……ってなわけで、酔っ払いの侮辱に耐えられなくなったベルが財布持ち逃げしちゃって代金払えなかったもんだから弁償に勤しんでて遅くなりました」
「ぐすっ……そうだったのかい……ベル君、どこ行ったんだろう……」
まぁあいつのことだし、こっちに帰ってきてないとするなら行先なんざひとつしか無いわな……妙な確信がある。
「はぁ……ちょっと準備して迷宮行ってきます。あいつ多分
「ちーん……待つんだ!夜のダンジョンは
「そりゃそうかもしれないですけど、こんな夜更けに手を借りるアテでもあるんです?」
半目で指摘すれば「うぐっ」と言葉に詰まる神様。そんな心配しないでくれよ、すーぐ連れ帰って来るからさ。
「ともかく、無茶はしないから安心してくださいよ神様。一昨日死んで二日足らずでまた死ぬとか冗談じゃねぇし。そもそもあなたの目の前にいる眷属は『恩恵』無しでミノタウロスと正面から張り合えたんだし、『恩恵』をもらって更に強くなったんだ。上層に限ればまず死ぬなんてありえない、そうでしょう?」
「……わかったよ。絶対にベル君と一緒に無事に帰ってきてね。絶対だよ?」
「ああ、言われるまでもないですよ、それは」
置いていっていた装備一式を手早く身に着け、本拠を飛び出しバベルを目指して駆ける。
さぁ、頼むからなるべく浅い階層で見つかってくれよ……!
@
はい、という訳でダンジョンでございます。正直装備の消耗なんてこんなことでしてられないから、出現したモンスターは片っ端から拳で汚い花火にしていってる。魔石の欠片にドロップアイテム?回収する余裕なんてないよ……。エイナさん曰く魔石を回収せずに放置してると、その魔石を喰って共喰いを覚え、異常な強さを得た強化種なるモンスターが生まれることがある……らしいので魔石は全部粉砕している。
現在3階層。確か『ダンジョン・リザード』とか言ったっけ?でかいトカゲが湧いて出たり、『フロッグ・シューター』なるこれまたでかい一つ目の蛙が出たり。全部蹴り飛ばすなり殴り飛ばすなりすれば一撃なんだが、トカゲは壁や天井に張り付いて奇襲かけてくるわ、蛙は舌伸ばして遠距離攻撃してくるわなので地味に鬱陶しい。腹が立ったので蛙の方は壁砕いた破片を常備して発見し次第投げつけてる。当たれば一撃なのは投石も変わらんし。はぁ……俺以外の戦闘音も聞こえねぇし、どこに行ったよベル少年。
地図を片手に探索しているが、もう4階層への階段前なんだが。急いでざっとここまで大体一時間半。現在時刻は午前三時を回ったくらいか?あー、これ以上下となると軽くトラウマな5階層が待ち構えているんだが……?ええい、ままよ!さっさと見つけて帰るぞぉ!
現在5階層。軽くトラウマとなっているミノタウロスとの不幸な遭遇戦のあった階層にして、ベル少年に拾われた階層にして、俺がこの世界に生を受けた(?)階層だな。こんなしみったれた穴ぐらの壁の中が今生の故郷とか控えめに言ってアアアアアアアアゴミカスゥゥゥ!4ネェェェェェ!!と奇声をあげたくなるんだが。なんだっけ、こないだ友達が言ってたヤツだ。V界隈がどうのこうの……あいついちいちアレを連呼しやがるからイライラしたわほんと……っと、これは。
前後左右あと上から襲いかかって来る有象無象の怪物どもを粉砕し、
「魔石の欠片、だよなぁ……これ」
拾い上げてみれば、紫紺の輝きを放つ欠片。うん、魔石だな。その先には魔石とドロップアイテムらしきものが点々と続いている
俺はこの道来たばっかだし、血の染みがないということは間違いなく俺が飛ばしたものではない(モンスターは尽く天井/壁/床の染みにしてるから当然と言えば当然)し、これはもしかしなくてもベル少年の白い石かパンくずでは……⁉(それ童話ヘンゼルとグレーテルのやつ) ま、冗談だが。目印にするにはモノが物騒すぎるので多分回収もせずにどんどん奥へ行ってるだけだろう。
神様とエイナさんのお説教がキミを待っているぞ、ベル少年!
……あのさ、すんげえ今更なんだけどもね?俺冒険者歴一日なんだけど。なんでこんなことしてんの?言い出したのも実行したのも俺だけど、明らかにおかしいよね?いくら強くてニューゲーム的な感じとはいえ無茶苦茶過ぎんかね???
「……まぁ、それが可能なほど高スペックなのもおかしいんだが」
ベル少年が放置していったのであろう魔石やドロップアイテムを辿り、走る、走る、走る。モンスター?もうなりふり構わず殴り飛ばして蹴り飛ばしてるよ。お陰で全身真っ赤。この外套もう使えないかもしらんね……。
おっと。ああやっぱり……案の定6階層への階段へ続いてやがる。え?トレイン行為は御法度?馬鹿言え、そんな数居るわけn……見なかったことにしても良いだろうか。後ろにいっぱい光るものが見えるよ!やったね!(自棄)
もう良いよ、一掃してやらぁ!素手じゃ効率悪い、剣じゃもっと効率悪い。ならばとれる手はひとつだけ、やりたかねぇけど仕方ない。制動をかけながら右手に意識を集める。
「『
身体から何かが抜けていくような喪失感。二回目でやっとわかった、これが魔力が消費される感覚なのね。昨晩みたいにくらっとすることもなし、なるほど若干魔力が上がっただけで多少は楽になるもんだな。出すだけでここまで来るより疲れたけど。
光は急速に収束し、『黄の依り代の斧』を形作った。右手で握った柄の感触を確かめ、口元を獰猛に歪めてみる。
「さぁて、覚悟を決めろ!殲滅戦だッ‼」
突っ込んでくる怪物どもをまとめて薙ぎ払い、叩き潰し、研ぎ澄まされた感覚を頼りに敵を片っ端から平らげる。最初の数手でそれなりの数を潰したというのにまだ底が見えないな。まぁ良い、どんだけいようがさっさと終わらせてやる!
***
……魔法を行使してからの交戦時間はものの五分にも満たなかった。しっかし量だけは一丁前だったな……くそ、痛ぇ。全身切り傷擦り傷打撲だらけだ。元々襤褸切れのようだった外套(だったもの)は本格的に襤褸切れにクラスチェンジしてしまったし、もう本当に捨てるしかないな。
仕方なしにポーションホルダーに手を伸ばし、一息に煽る。傷にかけるもよし、飲んでもよしってほんとこれ万能だな。味は……気にしたら負け、メ〇シャキとかあんなのと同様にイッキするしかないわ。
ふぅ……よし、痛みはマシになった。いざ鎌倉、噂の新米殺しその1ことウォーシャドウが出現する6階層へ!
@
……戦闘音が聞こえる。激しく打ち合う音と、咆哮。あとはモンスターの断末魔。
『あああぁああぁぁぁぁ‼』
ああ、ベル少年の声がする。急げ急げ急げ!この調子だと洒落にならんかもしれん!
怪物どもが雪崩れ込む部屋を見つけ、入り口をこじ開けるために突進する。本当なら追加詠唱やりたかったんだが、中にいるであろうベル少年に怪我をさせてしまっては堪らない。
モンスターどもは飛び込んできた俺に意識を向け、ベル少年がいるであろう小部屋に雪崩れ込む数が明確に減る。ゴブリン、コボルト、ダンジョン・リザード、フロッグ・シューター。今まで出てきた怪物のオンパレードだ。幸い依り代の斧は切れ味が鈍る気配もないため、損耗も気にせず振り回す。
「ベルっ!」
『ッ⁉サラーサ⁉』
怪物どもの声や戦闘音の中に、確かにベル少年の声が聞こえた。ビンゴだ!
「ああっ、あたしだ!無事か⁉」
『なんとかっ、ぐあっ⁉う、おおぉぉおぉっ‼』
……っ、四の五の言ってる暇はなさそうだ。無事に連れて帰るって、神様に約束しちゃったもんなぁ……仕方ない。
「今からでかいのぶっ放す!こっち側から離れてなるべく壁に寄れっ!」
『シッ!わ、わかった!』
『離れたよっ!』
「よしわかった!いくぜ……『
詠唱が終わった瞬間、依り代の斧の刀身が光と還り、代わりに紫電の魔力が刃を形成し、結晶化する。その形は、まるで。
「……っ」
サラーサの、戦斧ではないか。
しかし今発現できるものはその形状とは無関係であることを直感的に理解する。依り代の斧だし当然コレになるわな……規模はわからんがそこまで威力は出ないだろうし丁度良い。遠慮なくぶっ放すとしよう。
「消し飛べっ、『オーラアクス』!」
渾身の振り降ろしと共に依り代の斧を構成していた魔力が解放され、壁と床の一部ごと、跡形もなくモンスターの群れを消し飛ばした。
奥義で魔力を解放したことによって維持できなくなった依り代の斧はすぐに消え失せ、こちらを見て呆けていたベル少年……いや、もう少年と呼ぶ必要はないか。ベルと、ルーム内の数体のモンスター……ベル程度の小柄な漆黒の体躯に鋭利な三本の長い爪、十字の頭部、その中心に収まった真円状の鏡のようなものをもつそいつら『ウォーシャドウ』は、ベルの方が先に正気に戻ってあっというまに片付けられた。
「……ったく。探したぞ、ベル」
「……っはぁ、はぁ……ごめん、サラーサ……」
二人してその場にへたり込み、どちらからともなく笑い合う。
「……ねぇ、さっき壁ごとモンスターを消し飛ばしたのって何だったの?やっぱり昨日発現したって言ってた魔法?」
「ああ。魔力で武器を生成する魔法なんだが、追加詠唱したら生成した武器の魔力を解放してさっきみたいなことができるみたいだな。ま、使ったら消えちまったけど」
「そうなんだ……でもすごいよ、魔剣みたい!」
「やめろやめろ、そんなキラキラした目で見るな。魔剣、魔剣……ああ、確か使い捨てで魔法使える武器か。確かに似てるなー」
想定以上にキツイ強行軍だった。さっき消し飛んだ壁ももうちょっとしたら直っちまうし、そろそろ地上目指して帰らないと。
「よしっ、そろそろ戻るぞベル。神様も心配してる」
「う、うん……ごめんね、僕がこんな無茶なことしたばっかりに」
「ははっ、気にするな。冒険者としてはお前より後輩だけど、人生では先輩だからな。これでもあたし18だぞ?」
「うえぇぇっ⁉じゅ、18⁉て、てっきり僕と同じくらいだと思ってた……じゃ、じゃあサラーサさんって呼んだ方が良い、ですか……?」
「ぷっ、はは、はははは!やめろやめろ!今更敬語もさん付けもいらないって。今まで通りで良いよ」
「そ、そう?じゃ……じゃあ今まで通りで」
「おう、そーしてくれ。んじゃ改めて自己紹介させてもらうぞ団長」
「ぅえっ?ぼ、僕が団長っ⁉」
「そこでびっくりするなよな、お前はヘスティア様の最初の眷属なんだから団長に決まってるだろ」
「そ、そっか……?」
「いやなんでそこで疑問形……まぁ良いか。あたしは更級……いや、サラシナ・サク。サラーサって呼んでくれても構わない。見ての通り種族不明、来歴不明の18歳だ。これから【ファミリア】の一員として、お前を支えよう。よろしくな!」
にっ、と笑って握手を求めると。
「僕はベル・クラネル、見ての通りヒューマンの14歳。頼りない団長だけど、こちらこそよろしくね、サラーサ」
へにゃりと笑って、応じてくれた。
***
「あぁ~、帰って来たぞ我らが本拠……」
「そうだね……もうヘトヘトだよ……」
もう日の出前だ。帰りはドロップアイテムと魔石も可能な限り回収してきたし、今日はもうダンジョン潜らなくても良いんじゃないかな……というか潜るだけの体力がもう無い。
「ただいまもどりました……」
「戻ったぞ、神様……」
もう俺達ボロボロでな……俺の装束は何故か外套以外ほぼ傷んでない謎。シャワーも浴びてないけれど、マジで今すぐ寝たい。寝たいんだが……神様も一睡もせずに待ってくれたみたいでさ……泣きながら「二人とも無事でよかったよおぉぉぉ‼」からの短いお説教タイム。
なんでこんな無茶したのかってのは俺が話した内容からある程度察してたみたいで、叱ってるときは「キミはそういうところは頑固だからね、深くは聞かないでおくよ」だなんて呆れ半分で言っていたんだけれども……お説教の後にベルがシャワー浴びてる最中俺にぶーぶー愚痴ってきたよ。内容は神様の名誉の為に伏せておくがね。
全く……あーあ、疲れた。皿洗いも地味に重労働だったし、それからの強行軍も相当のものだった。最初のうちは伸びも良いらしいし今回の【ステイタス】更新は中々期待できそうだなぁと思いつつ、角が危なくて俺は一人でしか寝られないことを理由に二人をベッドに押し込めてソファーに横になる。神様はめっちゃ嬉しそうだったし、ベルはもう重度の疲労で頭が働いていないのか「うん……神様も疲れてますよね……一緒に寝ましょう……」とか言って横になってすぅぐ寝てたし。
もしかしたらみんな中々起きられないかもなぁ……まぁ今はゆっくり休もう。おやすみ。
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「ん、んん~……っはぁ……あー、よく寝た」
ベッドの方を窺ってみるが、二人とも起きた様子は無い。時計を確認すれば3時過ぎ。多分昼だろうと思って外出るじゃん?暗いんだなぁこれが。寝たのは朝5時とかなんだ、これおかしくなぁい?寝すぎでは~???
「は、はは……あの時計がズレてないなら、ほぼほぼ丸一日寝てた計算になるのか……」
ま、まぁ代わりと言ってはなんだが!疲労は完全に抜けてもう本調子に戻っているし!スキルのお陰だろうか、負っていた負傷も
思考はあさっての方向に飛んでいってたが水の汲み上げからの洗顔も終わったし、どうしよう。装備の点検?えっと、昨日のベル捜索時にゃ剣使ってないから手入れは終わってる、(理解不能案件の一つだが)外套が御役御免した以外は装備の傷みは殆どない、朝飯の準備にゃ早すぎる……。あ、もう背中隠せるものないじゃん、絶対神様に【ステイタス】の隠蔽頼もう。昨日、いや一昨日の晩はそんなもん頼む余裕(神様のご機嫌的な問題で)なかったし。
「……することが、ないね……?」
そういえば依り代の斧、昨晩は結局15分くらい維持しても奥義解放まで消える気配無かったよな。一昨日神様起きたら【ステイタス】更新してもらうけど、今の状態で何分もつか試してみようかね?持続時間がどのくらい伸びているとかわかれば、特性の推測も可能だろうし。
……あれ、でも待てよ?神様曰く『魔力は睡眠等で精神を休めて十分な休息をとるか
シルさんがめちゃくちゃ心配してたんだよね、しかも俺が居らずシルさんが弁護してくれなかったらベル、前世で言う『東京湾の底に沈める』的なことをされる可能性あったらしい。……まぁ代わりに俺があいつの分まで弁償労働に勤しんだ訳なんだが、変に負い目感じてもらっても困るし既に俺が弁償済みであることは『豊穣の女主人』の皆さんには黙っといてもらう約束だ。
たかが二日三日の付き合いのくせに随分甘いって?うるせぇ、これも年長者の務めなんですぅ!傷心した奴に配慮できないほど人間できてない訳じゃないぞ!
「……ま、他に俺ができることってあいつと背中を合わせて戦うくらいしかないしなぁ」
結局やることを見出せなかったので適当にうろ覚えのラジオ体操第一をやって体をほぐしてから隠し部屋へ戻る。
「……サラーサ……?」
扉の開閉は静かにやったつもりだったんだがな、起こしてしまったか。
「ああ。おはようベル」
「うん、おはよう……ってうえええぇぇぇぇ⁉」
「……うるっさ。神様と一緒に寝たの忘れたのか?」
「いっ、いや僕全然覚えてないよっ⁉え、えっ⁉」
咄嗟に塞いだのにキンキンするぅ……閉所で絶叫は効くぜぇ……。てかこないだからこんなことばっか言ってる気がしないでもない。ベル君よぉ、わたわたしてるけどさぁ……役得だし大人しく堪能しとけよなー、まったくぅ。
「なんだいベルくん……あさからそうぞうしいね……」
「おっはー神様。ベルが真っ赤なんでそろそろ抱き枕にするのやめたげて」
「うー、もうちょっとくらい良いじゃないかサク君……」
「だっ、ダメですよ神様ぁ⁉お、起きてください!」
そう言ってベルに強く抱き着く神様。ベルはもう顔から蒸気が噴き出しそうなくらい真っ赤。はぁ、世話の焼ける……。
「はいはい、丸一日中抱き着いて寝てたんだからもう勘弁してやってねー」
しがみついて離れない神様を引き剥がし、ベッドの端に座らせる。神様の抵抗なんて可愛いもんだよねぇー(白目)
「た、助かった……」
「むうー……」
「仮にもあたしら二人の主神なんだから、もうちょっと威厳出してもらえませんかね……」
口をとんがらせてぶー垂れる神様の姿には溜息しか出ない。なんで朝っぱらからこんなことせにゃならんのだ、ベルが絡まなければ有能なのになぁ。
「もう朝です。意味、わかります?」
「えっ?」
「えぇっ?」
言葉の意味が呑み込めていないらしい二人に、事実を提示する。
「さっきも言ったけど、あたしらは丸一日寝てました。今は早朝、日の出前です。ご理解戴けましたかねお二人さん」
「……そんなに寝てたの、僕たち……?」
「おう、あたしも一時間くらい前に起きたとこだぞ」
「ま、まあ仕方ないよ!みんなヘトヘトだったしね!」
「うんうん、そういうことでこの話は終いにしような。日の出すらまだだから多少はゆっくりできるだろうし、【ステイタス】更新お願いできますか、神様」
「あ、ああ……構わないけど……」
ぐぅ、と誰かの腹の虫が鳴った。誰かというか全員だわコレ。
「……簡単に朝飯作るので先にベルの更新お願いしても?」
「す、すまないね。わかったよ」
「あ、ありがとう……」
ひらひらと手を振ってキッチンに入る。あれから確保した食材は……換金後にちょっと買い物して帰った分があるから……卵、ブロックベーコン、野菜、黒パンか。んー、オーソドックスにベーコンエッグとサラダとパンでいーだろ。
レタスに似たヤツの葉を剥いで、大根みたいなのと一緒に水洗い。仮称大根は皮剥いて細いスティック状に切り、ちょっと齧ってみる。うん、大根。仮称レタスの葉も食べやすいように千切って、それらを三人分の皿に盛り付ける。
ドレッシングなんてものはないし、昨日のマヨネーズの残りで我慢してもらおうかな。
次はベーコンエッグか。竈(魔力式)に火を入れてー、フライパンに薄くスライスしたベーコン投入ー、良い感じに焼けてきたら卵を割り入れて蓋をするー。
『ぶっ⁉あ、あふぉーッ‼防具もつけないまま到達階層を増やしてるんじゃない!』
『ご、ごめんなさい⁉』
……おうおう騒がしいねぇ。まぁそうなるだろうとは思っていたけれども。やっぱ説教されるよねー。俺もなんか言われそうだけど。
む、そろそろ良いかな?……うん、黄味が薄ピンクになってる、火は通ったね。俺は半熟が好きだけど二人は半熟と固焼きどっちが好きなんだろねー、っと。
皿を取り出して盛り付けて、スライスした黒パンを籠に入れて、と。これで良いだろう。ああ、水差しとコップも出しとかないとな。
「神様ー、ベルー、朝飯の用意できたぞー」
神様の説教もひと段落してたみたい。めいめい席について食べ始める。
「でー?なんで神様は怒ってたのさ」
「どうしたもこうしたも、ベル君が無茶したからだよ!……ってそういえばもしかして、サク……じゃなかったサラーサ君も6階層まで行ったのかい……?」
「ああ、もうベルには話したからサクで良いぞ神様。それはこいつが全然見つかんなかったから下に降りてくしかなかったせいだ、あたしは悪くないぞ」
「……はぁ……どうしてこうもボクの眷属たちは揃いも揃って無茶なんだ……」
「あ、あははは……ごめんなさい……」
「謝るくらいならやるなよな……とりあえずベル、もう独りで行くんじゃないぞ?あたしがいるんだから」
「う、うん。わかってるよ」
食べ終えた後も暫くとりとめのない話をして、後始末した後俺の【ステイタス】更新となった。
@
今回は口頭での【ステイタス】内容を伝えてもらうことになった。ベルもだったらしい。なんかあったんだろうか?
サラシナ・サク
Lv.1
力:I33→H121
耐久:I4→I73
器用:I9→I41
敏捷:I13→I57
魔力:I12→I34
《魔法》
【
・装備魔法-詠唱派生型
・時間経過で効果終了。
・追加詠唱にて効果発揮。
・基本詠唱『
・追加詠唱『
【】
《スキル》
【
・斧/剣装備時全アビリティ補正。
・自然治癒力向上。
【
・早熟する。
・同化率が上昇するほど効果低下。
・同化率が一定値に達する毎に『拘束』解除。
・同化率が1に達するまで効果持続。
・同化率 0.15。
……は?
「おう神様。なんか数字間違ってない?」
「……マチガッテナイヨ」
「いや、おかしくないか?力なんて88上がってんじゃん⁉」
「ここだけの話だよ?ベル君も同じようにおかしな上がり方してたからね、これが早熟とやらの効能なんだろう。ベル君は嘘をつけるような子じゃないし、やっぱりあのスキルのことは絶対に伏せておくべきだよね?不味いよこれぇ……」
「いや、まぁ……当然、かな?……なんかすみません」
推測通り。当たってしまいましたねぇ……。それにしても、トータル上昇255ってどういうこと?意味がわからないんですけど。最初の方は上がりやすい→早熟補正→この上昇値……ってことか?うーん俺もベルもチート……。ベルは確かトータル上昇350くらいって言ってたけども、俺は同化率が上がって効果下がってるはずなのにこれだぞ。どうあれ意味不明すぎるのでは?
というか俺【ステイタス】更新前でも恐らくLv.2以上のスペックだったろうと思うんだけど、この数値だとどんな感じになるんだ?下手したらLv.3やLv.4にも食い下がれるクラスだったりするの?
ん?しれっと流しちゃったけど同化率0.15ってことは0.1上がった?なんで?奥義使ったから?え、だとするとおいそれと使えないじゃないかよ!俺の中で何か変わった感覚は無いし、本当になんなんだよこれ……。
「い、いや、キミが謝ることじゃないよ。それと、【
「へ?アレがどうかしたんですか?」
「スキルとしては何も変化はないんだけど……ボクが刻んだときとは少し、構成する『
「……つまり、どういうことです?」
「うんとね、変化した部分の
「……見えない部分でも、常に……?【ステイタス】じゃなくて最終的な出力に倍率をかける……?」
「そうさ。だから補正された実数値はボクも確認できないし、倍率だってわからない。たぶん、このスキルはキミが『恩恵』なしでダンジョンのモンスターと普通に戦えていたことや、その力と関係しているんだろう」
それは、つまり。この身体の戦闘力自体をスキル化したもの、ということか。
「要は俺の力の根源をスキル化したものってことですか?」
「そういうことになるだろうね。【ステイタス】を刻んだ時はそれほど深くキミ自身とリンクしている気配は感じなかったんだけど……もうひとつの方の同化率が上昇したからかな?」
「……おそらくは。『拘束』が外れるような変化はしていないにせよ、
「なるほど。ゆるむ、か……その可能性はあるね。あぁそうだ、
「
「うん、昨日……いや、一昨日か。あのときはボクがイライラしていて忘れていたからね……申し訳ないけどもう一回背中を見せてくれないかい?」
「あ、ああ……そうでしたね。じゃ、お願いします」
途中までつけていた留め具を外し、背中を神様に向ける。
「ええと……こうやって、こう……」
何やら背をつつつ、と神様の指が走っている。そして最後に、首筋の根元あたりにちょんと触れた。
「……よしっ、うまくいったよ!鏡を見てごらん!」
「おぉ……消えてる……」
鏡に映るのは、色の薄い白い肌。先程まで刻まれていたはずの赤い『
「ま、隠しているだけなんだけどね。
「へぇ……んじゃあ、これで人目を気にして外套を着る必要は無いってことですか」
「ああ、その通りさ。でも他の神にも開錠されてしまうから完全ってワケでもないぜー?」
「神に開けられるのは仕方ない、ですね……」
「うん、
「了解、それじゃあそこまで深刻に思うことでもないですね」
得意げにドヤ顔かましてくる神様にお礼を言って、服を着直してダンジョンに向かう準備をしにいく。ベルはもう済んでるみたいだし、ちゃっちゃと済ませてしまおう。
いかがでしたでしょうか?
主人公無双回。完全に無双ゲーのそれですね…。
メタ的に見れば、同化率上がった原因はどう見ても第六話にて顔を出した『あたし』なんですけど、それを知らないサクにはわかりっこないですからねぇ。もしかしたらサクの言う通りなのかもしれませんけど。
さて、今話にてついに使用された追加詠唱。案の定奥義コマンドでありましたな。
特に語ることはないですが、詠唱後の刃の概形は加入時のサラーサの斧とほぼ同じです。(変形機構?そんなものはない)
感想・評価、あとはありましたら誤字報告、お待ちしております。
読みやすい文章量はどのくらいでしょうか?
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5000~6000
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7000~8000
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9000~10000
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10000~
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考えたこともない