モチベーションが若干落ちてて筆が進まなかったのと、ブレグラってヤツが重なったせいです。申し訳ありません。ところでバイデントばっかり落ちてクラリオンが落ちないのは今回のドロップ報酬からクラリオン消されてるってことで良いんでしょうかね。まぁ元々一本持ってますし、三凸回収できたので良いんですけど…
さぁ、今日から古戦場ですよ古戦場。…えっ?古戦場?ちょっ、更新する暇ァ!?
今回は九千字強。クオリティにかなり不安が残りますけれど。そういえば三月中旬に書き始めて三月中に一巻分終わらせたいとか言った馬鹿がいるらしい。私だ。間違いなくあと少しで一巻終われるけれどその少しが遠い件について!…こほん。ではどうぞ!
「これでよし、っと。待たせたなベル」
先程【ステイタス】更新を済ませ、たった今ダンジョンに潜るための準備を整え終えたところである。今日も懲りずにダンジョンへ行くというベルについていくためだ。昨日(正確には一昨日だが)の今日でまた行くって逆にすげーよな。
「じゃあ神様、行ってきますね」
「行ってきまーす」
「あっ、ちょっと待つんだ二人とも」
何か言い忘れたことでもあったのかね?
「今夜……いや、数日間ボクはここを留守にするよ。構わないかな?」
「えっ?構わないですけど……バイトですか?」
「いや、行く気はなかったんだけど、友人の開くパーティーに顔を出そうかと思ってね。久しぶりにみんなの顔を見たくなったんだ」
「わかりました。楽しんできてください神様」
「うんうん、今回は迷惑かけたからな……神様も羽を伸ばしたいよな!」
「ふふ、まぁそんなところさ。さ、二人ともいってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
「ああ、神様も気をつけてな」
神様、何か心に決めたって顔をしている。多分俺達のために何かしら骨を折ってくれるつもりなんだろう……多分。
ベルが先に出たところで「そうだ」と振り返る。
「一応言っておくぞ。あたしの分は要らないからな」
「へっ?な、何がいらないんだいサク君」
「
「……そっか、わかったよサク君。今度何か欲しいものがあれば教えてくれよ?」
「ああ、考えとく……言いたかったのはそれだけですんで、行ってきますね」
部屋を出るとベルにどうかしたのかと聞かれたが、神様にあんまり羽目を外さないようにしろよって言っただけだと誤魔化した。例え聞かれていたとしても差し障りの無い会話でしかないので、誤魔化す必要はなかったと言えばなかった。まぁ咄嗟に口から出ちゃったから仕方ないね。
神様がサプライズでなにかしら用意する、たとえば装備でも用立てようとしてくれていたとしたら。ちょっとしたものなら良いよ?例えば襤褸切れにクラスチェンジしてしまった俺の外套の新しいのとか。でもなんだろうな……とんでもないものを用意しようとしているような、そんな気がするんだよなぁ。
「さて、このままバベル一直線か?」
「うん……あ、ごめん。やっぱり先に寄りたいところがあるんだけど、良いかな?」
「おう、良いぞ。まだ朝早いしな」
何せ只今の時刻は朝の五時を回ったところ。時間に余裕はあるからな、ダンジョンは逃げないし。
「で、行先は?」
「えっと……」
決まり悪そうに頬をかくベル。多分行先は十中八九あそこだろ?早く言えよ。
「……『
「ははっ、だろーと思った。そんならさっさと行こうぜ」
@
ついた。流石に酒場が朝から開いている訳もなく、『Closed』の看板がドアにぶら下がっている。
「ほら、さっさと謝りにいこうぜ。あたしも一緒に行ってやるからさ」
「う、うん……」
ベルの背中を押して無理やりドアをくぐらせる。カランカランと頭上で入店を知らせる鐘が鳴るが……はて、一昨日こんなのあったっけ?……あー、あったな。ガヤガヤしてたからあんまり気にならなかっただけだわ。
「申し訳ありません、お客様。当店はまだ準備中です。時間を改めてお越しになっていただけないでしょうか?」
「まだミャー達のお店はやってニャいのニャ!」
あ、リューさんと……なんか「ミャーのことは先輩と呼ぶニャ!」とかなんとか言ってきたキャットピープルだ。名前も言わないでそんなこと言われたって笑うしかないんだよなぁ。
「すいません、僕達お客じゃなくて……その、シルさん……シル・フローヴァさんはいらっしゃいますか?あと女将さんも……」
「ああぁ!あん時の食い逃げニャ!シルに貢がせるだけ貢がせといて役に立たニャくニャったらポイしていった、あん時のクソ白髪野郎ニャ‼」
「
「ぶニャ⁉」
「失礼しました。すぐにシルとミア母さんを連れてきます」
「は、はい……」
リューさんはキャットピープルの子の襟を掴み、ずるずると引きずっていった。
……すげーな。さっきの一撃、ほとんど残像しか見えなかったぞ……?
「なんだか、一昨日来た時と雰囲気が違うね?」
「そーだな。んー……昼に飲みに来るヤツは少ないだろうし、冒険者も殆ど来ないだろうから……昼は喫茶店でもやってるんじゃない?お前がこないだ目印にしてたカフェテラスもあるし」
「そ、そっか。なるほど……」
昼の客層と夜の客層、それぞれに合わせて顔を変える。ふむ、前世でもちょくちょくあったような気がする。昼行ったら喫茶だったけど夜覗いたら居酒屋だった、って話は時々聞いた。ここの料理は美味かったし、給仕も可愛い(その上どうも基本的に住み込みの専業らしい)のだから、酒が無くともメシ食いに来るヤツはいるだろうな。前世の俺も、一回行けば常連になりそう。頻繁に外食行けるような金はなかったけどな!
「ベルさん⁉それにサラーサさんも!」
階段を急ぎ足で降りる音の後、シルさんが店の奥から出てきた。その節はどうもと軽く頭を下げておく。
「一昨日は本当にすいませんでした。お金も払わずに……」
「……いえ、大丈夫ですから。こうして戻ってきてもらえて、私は嬉しいです」
深く頭を下げて謝罪するベルに、優しく微笑むシルさん。あーこれ脈アリってヤツですかね?罪作りな白兎さんですこと。
その白兎さんは涙を拭ってお金を差し出した。もうちょっと砂糖足して甘くなってくれた方が俺的には見てて面白いんだけどな、なんて思うのは野暮だろうか。もちろん砂糖吐くくらいドロドロになられると神様に申し訳が立たないんですがね‼
暫くベルが事情を説明したりしてたら、シルさんが何か思い立ったように両手を打ち鳴らして「少し待っていてください」とキッチンの方へ行った。そしたら今度はベルが思い出したように俺に声を掛けてきた。
「あれ、そういえば僕がお金持ってたからサラーサも払えなかった、よね……?」
「ん?あー、うん。皿洗いして返した」
「えぇっ⁉ご、ごめん……」
「別に良いよ、謝んなって。でも次が無いようにしろよー?」
「は、はい、気を付けます……」
本当に最後にしてくれよ?仲間の食い逃げの後始末とか悲しすぎるからさ。っと、シルさんが何か大きめのバスケットを抱えて戻ってきた。
「ダンジョンへ行かれるんですよね?お二人がよろしかったらこれ、もらっていただけませんか?」
「「えっ?」」
「今日は私達のシェフが作った賄いですから、味は折り紙付きです。その、私が手をつけたものも少々あるんですけど……」
「いえ、でも、何で……」
「差し上げたくなったから、では駄目でしょうか?」
シルさんは少し首を傾げ、照れ臭そうに苦笑する。……励ましで済むのかこれ?一応俺が居るってもなあ、遠慮しようにも今日は弁当作ってきてないし……。
「……すいません。じゃあ、いただきます。良いかな、サラーサ」
「受け取ってから聞くなよ……ありがとなシル、コイツが全部食うから安心しろ」
「えぇっ⁉いや、僕ら二人にくれたんだよ⁉」
「お前を気遣ってくれたんだからお前が食え。あたしは適当に買ってくから」
「お、お二人で!食べてくださいっ」
「いやいや、そう言ったってなぁ……」
「坊主とサクが来てるって?」
からかい半分面白半分、俺も食べる食べないで二人と押し問答をしていると、ミア母さんがぬぅとカウンターバーの内側の扉から出てきた。ちなみになんで俺が名前で呼ばれてるかというと『制服着て働いたから』だそうで。サラーサでも良いって言ったら鼻で笑われたよ、ちくせう。
「ああ、なるほど、金を返しに来たのかい。感心じゃないか」
「ど、どうも……」
「おはようミア母さん!一昨日ぶりだな!」
「ああ、おはよう。……シル、アンタはもう引っ込んでな。仕事ほっぽり出して来たんだろう?」
「あ、はい。わかりました……サラーサさんも食べてくださいねっ!」
そう念押しすると、シルさんはお辞儀して店の奥に戻っていった。
ベルはミア母さんに指でドつかれ、「こっちから
ん、何やら厨房の方が騒がしい。
『シル、あれを渡しては貴方の分の昼食が無くなってしまいますが……』
『あ、うん。お昼くらいは我慢できるよ?』
『ニャんで我慢してまであいつらに渡すニャ?冒険者ニャら昼飯くらい買える筈ニャ』
『いや、それは……』
あらまやっぱり。
『おーおー、不躾なこと聞くもんじゃニャいぜ。お二人ニャン。つまりあの少年はシルにとっての……これニャ?』
『違いますっ‼』
えっ、違うの?コレじゃないんですか?(親指を立てながら)……俺が居るのは厨房じゃないし、聞き耳立てながら心の中で親指立てただけなんだけど。
「……坊主。あとついでにサクも」
「何ですか?」
「んへぁっ⁉な、なんだ?」
厨房の方のドタバタに気を取られていたらミア母さんに呼ばれてびっくりした、ベルと話してたからこっちには関係ないと思って油断していた。
「冒険者なんてカッコつけるだけ無駄な職業さ。最初の内は生きることだけに必死になってればいい。背伸びしてみたって碌なことは起きないんだからね」
「最後まで二本の足で立ってたヤツが一番なのさ。みじめだろうが何だろうがね。すりゃあ、帰ってきたソイツにアタシが盛大に酒を振舞ってやる。ほら、勝ち組だろ?」
……乗せるの上手いなぁこのひと。それに立ち直らせかたってのを心得てる。これが人生経験の差ってヤツなのかねぇ?
「気持ち悪い顔してんじゃないよ坊主。……サク、アンタもなんだいその顔は。今日一日ウチで働くかい?」
「えっいや、ちょ、ちょっと今日は勘弁してほしいぞ……なんて」
「くく、冗談だよ。そら、アンタ達はもう店の準備の邪魔だ、行った行った」
二人揃ってくるりと反転させられ、ドンッと力強く背中を押された。ミア母さん絶対軽く押しただけだよな⁉ミノタウロスに壁に叩き付けられた時に近い衝撃だったんですがァ⁉
「アンタ達……特に坊主。アタシにここまで言わせたんだ、くたばったら許さないからねえ」
「大丈夫です、ありがとうございます!」
「ああ、何が何でも生きて帰るさ」
「はん、当然だよ」
吹っ切れた顔をしたベルが何故か「いってきます!」と叫んで走りだすという珍行動をとって行ってしまい、ミア母さんに「ありがとな」と言ってベルを追いかけようとしたところ、呼び止められた。
「ああサク、アンタ明日店手伝いに来な。アタシは慈善家じゃないからねえ」
「ま、まぁ明日なら……。行くのは良いけど流石にタダ働きじゃない、よな……?」
「はっはっは、どうだかねえ?アンタの働き次第だよ」
つまり出来高制ですか、さいですか。当然と言えば当然だけど、皿割ったりトラブル起こしたりをやっちゃうと給与マイナスの可能性もあるんですね……ま、まぁ小遣い稼ぎと思いましょう……。
今度こそ礼を言ってミア母さんと別れて、俺がついてきていないことに気が付いて足踏みして待っているベルのもとへ走る。ベルのヤツ自分の言ったことを理解したのか赤面してらぁ。
「にしてもベル、お前いつから『
「ちょっ⁉お、お願いだからそれは言わないでっ」
「いやー、あんまり面白かったもんだから。……はぁ、わかった。もう言わないからそんな顔でこっち見るな」
火を噴きそうなくらい真っ赤な顔で懇願してくるベルに、
***
二人でギルドへ行ってからダンジョンに潜ることにしたんだが、ギルドでは二人揃ってエイナさんに絞られた。
ベルは「どうしてそんな無茶したの!」、俺は「なんでギルドの判断を仰がずに一人で突貫したの⁉」ってね。「そうは言ってもアレ、下手したらベルはお陀仏になっててもおかしくなかっただろうし、情状酌量の余地はあるんじゃないか?」って言ったら俺だけ更に絞られた。雉も鳴かずばなんとやらだ……。
お説教の後に、『夜のダンジョンにて6階層まで其々が単独で到達し、かつ二人揃って生還した』ことは「幸運だった」の一言ではどうやっても片付けられないらしく、ベルの負傷が治癒して本調子に戻ったら、
今回の件でベルと俺の実力は一般的な駆け出しのそれを大きく逸脱していると判断したから、探索許可の判断材料にしたいので【ステイタス】の基礎アビリティの数値だけでも教えてくれないかと打診された。勿論口外は絶対にしないし、俺たちが不利益を被るようなことはしないからと補足して。
ベルと相談して「数日留守にすると言われて暫く不在だけど、神様と相談して決めたいので暫く待ってもらえないか」という旨を伝えたら了承を貰えたのでこの話はまた今度ということになり、暫くは4階層までの探索で様子を見る方向で満場一致。
ダンジョンへ行く前に先日の無茶な探索の帰りに得た戦利品を換金したところ、結果は四一〇〇ヴァリス。
なんか出会った日の如くほぼ半分にあたる二〇〇〇ヴァリスを強引に渡されたので、一五〇〇ヴァリスを借金返済に充てたらベルが引き攣った笑みを浮かべていた。金が入ったら生活に窮しない程度に返済に充てる、じゃないといつまで経っても借金って減らない気がするんですよね。前世も含めて公的機関(?)に借金したのこれが初めてだけど。
***
本日の稼ぎは三二〇〇ヴァリス。一般的なLv.1冒険者パーティーの一日の稼ぎが二〇〇〇ヴァリスほどらしいので、随分と高収入らしい。まぁそのうち五〇〇ヴァリスは俺の借金返済に充てられ、食費と装備の整備代を差し引くとあまり残らなかった。換金直後にベルにひとつくらいポーション買っておかないかと打診したら「うーん、そんなに余裕はないかな……」と言われて断念。
人でごった返す通りの店で明日の探索のために必要なものや食材なんかを補充して本拠へ帰った。安い店なんかもありそうだけど、ベルが知らないんじゃ今はどうしようもないんだよなぁ……。
@@
神様が出かけて二日目。今日も今日とてダンジョンである……と言いたいのだが、昨日ミア母さんに手伝いに来いと言われているのでダンジョンへ向かうのはベルだけだ。
詫びにこないだ作ってみようと思っていたタマゴサンドを昼飯に持たせたらめっちゃ喜んでたんだけど、大して手間のかからない軽食程度でそんなに喜ぶのはどうなんだ?昨日シルさんがくれたヤツのほうが余程上等だったろうに。
で、今さっき『
「おはよう!言われた通り来たぞー」
「ニャ?後輩ニャ!さっさと着替えてくるニャ!」
「おはようございます、サラーサ」
茶髪のキャットピープルが真っ先にこちらに気付き、次いでリューさんが挨拶を返してくれる。
「わかったぞセンパイ。リュー、ミア母さんは奥か?」
「はやくするニャ!後輩ニャらミャーの分まで働くニャ!」
「
「ぶニャっ⁉」
昨日の再演とばかりに仮称センパイはリューさんにぶっ叩かれた。心なしか昨日よりも強く叩かれていた気がする。
「ええ、ミア母さんは奥にいます。着替える前に挨拶するといいでしょう」
「わかった!ありがとな!」
頭を押さえて悶絶する仮称センパイを裏へ連行するリューさんに続いて入り、開店準備で奔走する従業員の中、彼女らを監督しているのだろうか、ミア母さんの大きな背中がすぐに目に入った。
「おはようミア母さん。来たぞ!」
「んん?おはようサク。今日はキリキリ働いてもらうからねえ、覚悟しな」
「お、おぉぉおう!お手柔らかに頼むぞ!」
にいと笑うミア母さんに気圧され、思わず声がうわずる。
「ああ、一昨日アンタを寝かしていた部屋はわかるね?あそこに全部置いてあるからさっさと着替えてきな」
そう言って、厨房の方に呼ばれたミア母さんはそちらへ行ってしまった。仕事内容は……?き、着替えてから改めて聞くか。
***
「あん?何をすれば良いのか、だって?そんなことはシルに聞きな。あそこにいるだろう」
……さいですか。先輩に聞けってことかな?顎で示された方を見れば、シルさんが他のウェイトレスと一緒にテーブルや椅子を移動させたり、それを布巾で拭いたりしていた。
わかった、と礼を言ってミア母さんから離れ、シルさんに声をかける。
「おはようシル」
「あら?おはようございます、サラーサさん。今日はうちを手伝ってくださるんですね」
「まあ、ミア母さんに昨日来いって言われたからな……さっきミア母さんに何したらいいか聞いたらそんなことはシルに聞きなって言われたんだけど、あたしは何したらいいんだ?」
「あはは……そうでしたか。うーん、では今やっているお店の掃除とテーブルと椅子の移動、手伝っていただけますか?」
「ああ、そのくらいお安い御用だ」
@
客が食べ終えた皿を下げ、やらかして皿洗いの刑に処されている阿呆どものところに持っていく。なんかわりと日常茶飯事らしい。ちなみにこの阿呆ども、シルさんにセクハラかまそうとした結果リューさんにボコられたんで顔ボコボコである。
そんでカウンターの扉を通って店内に戻ろうとしたとき、ミア母さんから唐突に声が掛かった。
「ああ、サク。アンタもう上がって良いよ。お疲れさん」
「……へ?」
「今日のアンタの仕事はもう終わりだ、って言ってるんだ。ほれ、給金」
「えっ、おわっ⁉っととと」
「初めてにしては上出来だ、また頼むよ」
そう言ってミア母さんはにいっと口元を吊り上げて笑った。
「……!ありがとう、ございます……」
放心しているところに投げられて、取り落としそうになりながら受け止めた袋には、しっかりとした重さがあった。なんだろうな、こう……達成感がすごいね。バイトもしたこと無かったから今日が初めてのまともな労働で、これが初めての給金である。思わずちょっと素が出てしまった。
それはさておき。つ、疲れた……昼前から昼下がりまでの営業時間はまぁ良かったよ?でも酒場として改めて夕方に開店した後が凄まじかった……!なんだよあの客足の絶えなさ!常に途切れない注文!殊の外楽しかったけどそれ以上にキツイっ……!
おっと、そういやここ厨房と店内を繋ぐ動線だ。さっさと奥に引っ込んで着替えて帰ろう。
「お疲れ様です、サラーサさん」
帰り際、シルさんに声をかけられた。
「ああ、お疲れ様。ってまだシルは仕事あるよな。わりーけどお先に失礼するぜ……ん?シル、店の方は大丈夫なのか?」
「ええ、まあ。サラーサさんが頑張ってくれたのと、客足が落ち着いてきたので、厨房はともかく給仕の方は入れ替わりで少し休憩をとるところなんです」
「あー、だからあたしはもう上がって良いって言われたのか」
「ふふ、そういうことですね。あ!そういえば……明日は
「もんすたーふぃりあ?」
もんすたー、モンスター。ふぃりあ……フィリア?えっと、某国民的狩猟ゲーの防具名しか出てこないんだけど……。あのよく土下座したり変な粉(実は生殖細胞らしい)をばらまく白いヤツの防具な。
「あら、知りませんでしたか。そういえばサラーサさんがオラリオに来たのはつい先日なんでしたっけ。
モ、モンスターを調教……⁉そんなことできるのか。すげぇな【ガネーシャ・ファミリア】。そういえばエイナさんや神様が勧めてくれたりそっちの方が良いと思うと言ってくれた派閥の中にもあったな。単純な構成人数では最大規模で、警察や警備隊みたいなこともしている派閥だとは聞いていたが、まさか祭りまで催しているとは。
「すごいな、それ!あたしも見られるのかな?」
「一日中何度も行われていますから、きっと見られると思いますよ。私も明日はお休みを戴いて屋台巡りをする予定なんです」
「屋台まで出るのか!りんご飴とかあるかな……あれ?ミア母さんが今日給金くれたのってもしかして……」
「さあ、どうでしょう?もしかしたらサラーサさんの思っている通りかもしれませんし、そうじゃないかもしれません」
そう言って悪戯っぽく笑うシルさん。ミア母さんに直接聞いたってどうせ教えてくれやしないだろうし、自分の都合のいいように解釈させてもらうとするか。
「ま、本人に聞いても教えちゃくれないだろうしなぁ。今日は世話になったな!というか最近世話になりっぱなしだけどな」
「あら。私の方こそ今日は助かりましたよ。昨日は揶揄われてしまいましたけれど」
「おいおい、それは休憩のときに悪かったって謝っただろ」
「ふふふ、ではまたベルさんと一緒にご飯食べに来てくださいね?待ってますから」
「ああ、それなら多分言うまでもなく来るぞ」
「えっ」
「ほら、先一昨日シルがベルに耳打ちしてたろ?うちは【ロキ・ファミリア】の行きつけなんだーって」
「そういえばそうでしたね、忘れてました」
てへっ、と舌を出して笑うシルさん。アイズさんに会えるかもしれないってだけで通い詰めるくらいしかねないと思うんだ。なんせ
「そんじゃそろそろ帰るよ。またな、シル!」
「はい、また来てくださいねーっ!」
店の前で手を振るシルに手を振り返して、ピーク時よりは多少人通りの減ったメインストリートを本拠へ向けて歩いていく。そっかぁ、明日は祭りかぁ……。じゃあ探索は休みにして遊びに行きたいなぁ。
そういえば神様はいつ帰って来るんだろうか。祭りだというなら三人で回ってみたいもんだが、あの二人でデートさせるというのもまぁ悪くはないか。俺は好きに見て回れるし……あれ?でも俺この街の地理なんて本拠から
ここ数日で最早慣れた裏路地を抜け、本拠である教会の地下室の扉を開ける。
「ただいまー」
「あ、おかえりサラーサ。ご飯もうすぐできるよ」
「そっか、今日はベルの当番だっけ。じゃあ荷物置いて手洗ってくる」
「わかった、それじゃすぐ用意するね」
今日は遅かったと思うし帰る時間も未定だって言ったはずんだけど、何故にベルは示し合わせたかのように俺が帰る時間にドンピシャで飯の支度できてんだ。超能力か何かか?
夕飯食いながら冗談半分でそう聞いたら「たまたまだよ」とのこと。そりゃそうか。
その後は風呂入って、ベルの今日あった話とかを聞いて、今日あったことを話して、「今日も神様いないし、たまにはベッドで寝てみたら?」と勧められたのでベッドで寝ることにした。ふかふかで気持ち良い。なんか忘れてる気がするけどまぁ良いか。そこまで致命的なことではないだろう。
はい、如何でしたでしょうか。
モチベーションが途切れかけてて中々書き上げるのにてこずりましたが…楽しんで頂けていたらいいな、と思います。
今回は特に突貫工事にも等しいレベルですので、誤字等ありましたら報告してくださるとうれしいです。
例の如く感想・評価もお待ちしております。
あ、今回「文章量はどのくらいが良い?」でアンケートをとろうと思います。
私自身は大体一万字~と思って書いているのですが、グダグダどうでもいい心情描写が入り込んでいる節も否めないような気がするので、今後私がどうするかは置いておいて、読者の皆様の読みやすい文章量をお聞きできたらな、と思います。
読みやすい文章量はどのくらいでしょうか?
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5000~6000
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7000~8000
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9000~10000
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10000~
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考えたこともない