カーテンから差し込む眩しい朝日と、朝食のいい匂いが目覚まし時計の代わりを果たす
1つ大きく身体を伸ばし、リビングへ向かうと風がいつも通り朝食を作っていた
「....おはよう」
今日の第1の挨拶は何とも辛気臭いものだった、まぁ今日起こることを考えれば分からなくもないのだが
「なぁに朝から辛気臭い顔してんだよ、その顔で樹に会うなよ?絶対心配されるから」
「辛気臭くもなるでしょ、もしかしたら今日私達が選ばれるかも知れないのよ?」
「選ばれるかもだろ、まだ決まった訳じゃない」
「それは、そうだけど....」
そう言って頭を伏せる風
風は昔から何かと抱え込む節がある、今回の事だって別に風が悪い訳では無いが、放っておけば全部1人で抱え込んで1人で落ち込んでいる所だろう、しかも周りには気が付かれないようにするからタチが悪い
だから兄としてこんな妹を無視して置く事は出来ない
「ほら風、おいで」
両手を広げて、こっちに来いと手招きをする
「....ん」
風も料理の手を止めると振り返り、俺の胸元に額を当て顔を埋めるように顔を隠す
その風を左手で身体を包み込むように、右手で頭を抱えてやる様に抱き締める
「大丈夫、もしも仮に俺達が選ばれたとしてもきっと何とかなる、何とかするから....安心しろ」
「....うん、ありがと」
そのまま暫く抱き締めていると風が顔を上げて、もう大丈夫と言ってきた、その表情は先程までの落ち込んだモノとは違い、いつも通りの笑顔
「もういいのか?」
「大丈夫だってば、そろそろ朝ごはん完成させないと間に合わなくなるし、空は樹を起こしてきてくれない?」
「....わかった」
風の表情を改めて見てみるが、本当に大丈夫だろうと判断して樹の部屋に向かう
部屋の前まで歩いて来ても部屋の中から反応はない
一応2、3かいノックをしてから部屋に入るが案の定樹はベットの上で未だに夢の中のようだ
「おい樹起きろ〜、朝だぞ〜」
部屋のカーテンを開けて部屋いっぱいに朝日を入れるが顔を顰めて布団を被り直すだけで起きる素振りが無い
そう、ウチの天使はやたら朝に弱いのだ
こうして毎日起こしに来ないと100%遅刻する
仕方が無いので布団を無理やりひっぺがす
「ん〜?まだ眠いよぉ....あと10分だけぇ」
「ダメです、ほら樹早く起きなもう朝ごはんできるぞ」
「ん〜....お兄ちゃんが起こして...」
そう言ってコチラに両手を向ける樹、どうやら引っ張って起こしてくれと言うことらしい
しかしその仕草は正しく天使の如く可愛らしい
1つ言っておくが別に俺は変態ではない、ただのシスコンなだけだ勘違いしないで欲しい
取り敢えず、携帯で写真を1枚撮ってから両手を掴み起こそうとするが手を解かれた、どうやら樹の望んだ起こし方ではなかったようだ
「違う....だっこで起こして」
もう一度こちらに両手を向ける樹、しかしその頬は少し赤く染まっている
「樹、実はもうかなり起きてるだろ、て言うかさっきの風とのやり取り見てたな?」
「見てない、知らない、起きてない」
何故少し韻を踏んだのか....
しかし、相手が寝てる状態で抱き起こすのって結構大変なんだがなぁ...
1つため息をつきながら寝ている樹に覆い被さる様にして抱き起こす
「ほら、せめてしっかり首に手を回してくれ、落ちるぞ」
「ん...」
「洗面所までだからな、そこまで行ったら後は顔あらってご飯食べろよ」
そう言い樹を抱き抱えたまま洗面所に向かう
当たり前なのだが樹を輸送中に風に見つかり、茶化されたのは言うまでもない
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昼間学校の授業中
普段通りの授業中にそれは突然起きた
電源を切っていたはずの俺と風の携帯から聞きなれないアラームがなり始めたのだ
それを聞くやいなや風は授業中にも関わらずに教室を飛び出す、おそらく樹の元へ向かったのだろう、俺も一言謝ると風の後を追って教室を飛び出すと同時に世界の時間が止まった
まい飛ぶ落ち葉はその場でピンに止められたように空中でがっちりと止まり、コチラに好奇の目を向けているクラスメイトや、教師も全て止まっている
暫く走ると樹のいる階で風に追いつくと、ちょうど樹が教室から恐る恐る出てくるところだった
「樹!」
「お兄ちゃん!お姉ちゃん!何これ!?いきなり携帯な鳴ったと思ったらみんなが....」
「ゴメンね樹、よく聞いて...私達がアタリだった」
風のその言葉と同時に世界が塗り変わり始めた
樹ちゃんの天使を書きたいと言ったなアレは嘘だ
ゴメンなさい嘘では無いです、でもこの作品のメインヒロインは犬吠埼家の2人です