世界が光に包まれ塗り変わると、巨大な木の根の様なものが辺り一面に広がっていた
しかし幸いな事に世界の変化の時に近くにいた風と樹は隣に居る、覚悟していた事とは言え隣に家族が居るだけ落ち着いている
「お姉ちゃん...ここって?」
「──詳しいことは後でまとめて話すわ、今は先に東郷や友奈を探さないと、2人は何も知らないでここにいる訳だし心細いだろうからね....空、周りの様子は?」
「まぁ何とも言えないけど....特に異常は感じられないな、多分2人を探すなら今だと思う」
こういう時は感覚が鈍くなった自分が残念に思う、もしも昔のままだったら....と思うがたらればの話をしていても仕方が無い、無いものは無いのだなら今ある物で何とかしよう
幸いにも今現在の世の中では科学というものが進歩しているのだ
スマホを取り出しマップアプリを開く、すると俺たち3人の名前と少し離れた所に『東郷美森』と『結城友奈』の名前
「2人は案外近い所に居るみたいだ、取り敢えずまずは合流でいいよな?」
「えぇ、悪いけど案内頼める?」
少し申し訳なさそうに軽く肩を竦めて言う風の利き腕はガッチリと樹にホールドされていた、確かにアレではスマホもいじりにくいだろう
ならばと先導する為、2人の前に出て前に進もうとすると左手が何かに引っ張られた、この場で俺を引っ張る必要のある人間なんて1人しか居ない
「──あの樹さん?手を離してくれないと前に進めないんだが....」
「お兄ちゃんも手繋いでて」
「いや、そうは言うが前に出て一応危険がないか確認しないとだな....」
「お願い....」
そんな心細そうな顔をしないでくれ....兄はその顔に弱いのだ
仕方が無い、いきなりこんな世界に放り込まれたんじゃ確かに怯えても無理はない、手を繋いで可愛い妹の安心を少しでも得られるなら安い物だろう
左手で樹の手をギュッと握ってやる
「これでいいか?」
「うん、ありがとお兄ちゃん」
そう言ってまだぎこちなく笑う樹の頭をクシャりと撫でてやるとえへへと嬉しそうにする樹
まさかこれの為にあんな顔をしたのではあるまいな?流石に考えすぎか....
友奈と東郷のアイコンに向かっていると
背後、と言うより風から何やら生暖かい視線を感じる
「──なんだよ?」
「いいやぁ?空は昔から樹には甘い、と言うか特別扱いするわよねぇって思ってただけ」
「お前には言われたくないぞ?」
そう言って未だにガッチリと握られている風の聞き手に目を向ける
「ま、確かにねそれを言われちゃぐぅのねも出ないわ」
「──だいたい、特別扱いしてるのは樹だけじゃ...っと見つけた、思ったよりも近かったな」
草木を掻き分けながら歩いていると前方に東郷と友奈の2人を見つけた、掻き分ける音に消されないように大きな声で2人を呼ぶと2人もコチラに気が付いたようで慌てて東郷の車椅子を押しながらコチラに走りよってくる
「空先輩!風先輩!樹ちゃん!」
「よかった2人とも無事で、取り敢えずは安心ね」
「...とも言えないみたいだな、やっこさんもう来たみたいだ」
そう言った俺の視線の先には不気味なまでに純白の装甲を持ち、こちらを見下ろす様に悠然と空を進む巨大な化け物がゆっくりとこちらに迫っていた