ハーイン ザ デビル イン サンディル ~彷徨える少女~ 作:日本創世児協会
(?)そこは平和な静寂だ。周囲にはこれといった特徴的な建造物やら観葉植物やらは無い。あるとするなら……そうだな…太い幹だが頼りなさそうな佇まいをしている木が1本立っていることぐらいか?その木を基準にそこら中を見渡しても1面中草まみれだ。木からどんなに離れてもその事実はねじ曲げられない。延々だ。延々に子供の膝くらいの高さがある草むらが広がっている。草野球にこれだけ適した土地は他に存在するのだろうか?当然、基準の頼りない木はベンチだ。そしてボクはそのベンチで試合が終わるのを待つ。
あぁ~~たった今、爽やかな風がボクの全身を通り抜けていったぞ。いつも忙しそうな全身の細胞が手を止めて休息をとっているような感覚だ。働け。あぁ~いつもの感覚だ。
おや?シーっ静かにしろ!あれを見るんだ。
どれを見ろだと?あの木の下に決まってるじゃないか。女の人がいる。何か呟いてるぞ?いやまて、赤ちゃんを抱えているぞ!やましい事を考えているに違いない。我々は見つからないように盗み聞きしてみよう。(草むらに隠れて盗み聞きの姿勢)
(女の人)ほんとに……どっちに似たのかしら
(赤子)アァァ
(女の人)この可愛らしい鼻や口や眉毛
(赤子)ダァ
(女の人)エメラルドグリーンに輝くその瞳はママに似たのね。
ん~~~ん。ちいさなおてて。ほら、チョンチョン。
(赤子)アケケケケケ
(女の人)あなたはきっと誰からも愛されるペイントン(イギリスの都市)の天使のような存在になるわ。人の喜びも悲しみも分かち合える人間になりなさい。
(赤子)イィ~~
(?)聞いたかよ。ペイントンが何処かは知らないが、彼女は天使になるそうだ。きっとボクのこの無惨に痛めつけられた胸もいずれ癒してくれるんだろうな。よし、ボクは勇気を振り絞って話をかけてくる。赤ちゃんにな!え?一緒について行ってくれるのかい?心強いったらありゃしないよ!!よし、早速行こう!
【(女の人)に接近していく】
(女の人)どちら様?
(?) あぁ、少し気になったんだ。その…なんだ…ほら…可愛い…赤ちゃんだな。
(女の人)どうもありがとう。用が済んだのなら帰って貰えます?
(?) そんな…トゲトゲしく追い払わないでくれよ。…興味があって来たんだ。
(女の人)体で満足するなら私を選びなさい
(?)君だと腰がもたない。君の赤ちゃんを抱かせてくれないか?
(女の人)どうして醜い見知らぬあなたなんかに私の宝を抱擁させなくてはならないの!?
(?)その子は誰からも愛される天使になるんだろう?
(女の人)分かったわ。少しよ。すこしだけ抱かせてあげるわ。ほら。落とさないでよ。
(?) (わぁ~天使が腕の中に居るぞ!どれ、お顔の方もしっかり拝むとする…)!!!!
(女の人)驚いたでしょう?誰であろうと感づかせるこの天使のオーラにね。
(?)あ…あぁそうだたしかにすごい…オー……ラがね…
【足がガクガク】
(女の人)ちょっと!そんなに足を震わせたら落としちゃうじゃない!!
(?)…だめだ………返す!!
(女の人)!!!!!
(赤子)ウェ~~~ン
(女の人)あぁ泣かないでぇ~ほら、よしよし…あなたどういうつもりなの?申し出たのはあなたよ?
(?) …すまない。本当にすまない。でも1つだけ言わせてくれ!お前は1度色メガネを外してその赤子の面をよく見てみるべきだ!
(女の人) なによ!!…わかったわ。あなた元々人の赤ちゃんにケチをつけるのがしゅみなんでしょう!!この不幸面!!半端者!!二度と目の前に現れないで!!
? 頼む落ち着いて聞いてくれ!!不細工だとかそういう問題じゃない!!いいからよく見てみろ!!!
(女の人)なによ!!!…なによ!、…なによ……これ……なによこの…………悪魔
(赤子)エヘへ
キャーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
(女の人)【ガバッ】ハァハァハァハァ……何よ…今の夢…………
(女の夫)【ガチャッ】どうした、嫌な夢でも見たのか?
(女の人)ハァ…ハァ…いや……
嫌な夢では済まされないものだったわ