ぼくの名前はインなんとか   作:たけのこの里派

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朝に日刊ランキング(加点式)一位を見て目が点に成りました。
感想を頂いた方も含めてありがとうございます(*´ω`*)

それと、感想欄のgoodとbadの意味が不明です。間違えて押してしまった場合の消し方を知りたいのですが………。
間違えて押してしまった方に、何らかの被害が出てしまったのなら、本当に申し訳ありません。




第三話 ヒーロー求めて三千里

「いやぁーっ、本当に助かった。有り難う。昨日の夕方頃に彼処に墜ちてな、夕飯を食べてなかったんだ」

「夕飯一食抜いただけで人体はゾンビ化はしないと、上条さんは記憶してますが……」

 

 上条当麻の全滅した冷蔵庫の中身。

 その全てを彼の目の前の銀髪少年神父は、とてもイイ笑顔で喰らい、貪り尽くした。

 

「んで、お前は何処の誰で、何であんなところに干されてたんだ?」

「ん? 自分の名前はインデックスだけど? あ、偽名でなく」

「明らかに偽名じゃねーか!!」

 

 偽名じゃねェッつってんだろがコラ、と笑っていない笑みでインデックスが上条に告げさせ、強制的に納得させた。

 怖かったらしい。

 上条は混乱していた。

 レッツ脳内絶賛メダパニ状態である。

 外国人銀髪碧眼美少年神父がベランダに干されて、現在ガラステーブルを挟んで向かい合っているのだ。無理もない。

 それに上条としては、学校に行き夏休みの補習を受けなければならない。

 もし遅刻なんてしてしまえば、あのチビッ子教師は間違いなく泣くだろう。

 上条は罪悪感で死ねる自信があるし、そもそもクラスの連中に殺される。

 

「でさー、何だってお前はベランダに干してあった訳?」

「だからさ、干されたんじゃないだって。墜ちたんだ――――カッコつけてな」

「カッコつける意味は!?」

 

 思わず突っ込んでしまったが、しかしそれはそれで別の疑問が浮上する。

 先ずは、『墜ちた』という言。

 墜ちれるとするなら、間違いなく屋上からだろう。

 俯きで干されていたことから、肋骨は間違いなく折れるか、内臓も痛めてしまうだろう。

 いや、そもそも死んでしまう。

 

「お前……インデックスだったか? 大丈夫なのか?」

「何が?」

 

 しかしまるで堪えていない。

 酸っぱいニオイの焼きそばパンを貪っただけの事はある。

 

「屋上を跳び移り続けてたんだけども、やっぱ無理だわ。かおりんスペックヤバすぎ。美人じゃなかったら追われるの絶対嫌だったね」

「追われる――――?」

 

「自分を刀で斬殺してくる、超人年上黒髪ポニーの巨乳美人を想像してみ」

「………」

 

 上条は頭を抱えた。想像の遥か斜め上だった。

 上条の好みの女性は年上のお姉さんではあるが、日本刀で斬殺してくるのならば話は別だ。嫌すぎる。

 つい昨晩にビリビリ中学生に電撃をブチ撒けられながら追われていた上条だが、異能の絡んでいない日本刀では恐怖度は跳ね上がる。

 下手を打てばどちらも致死であることに変わりは無いのだが。

 

「ついでに二メートル超えの14歳の喫煙破戒神父もかな」

「何でそんなんに追われてるんだ!?」

 

 どんな状況だソレは、と絶叫する。

 すると飄々としていたインデックスは、悲しそうに顔を伏せる。

 

「組織的な理由なんだけどなぁ……。色々な要因が絡み過ぎててワロタって感じなんだよ」

「な、なんか判んねぇけど、大変なんだな……」

「まぁ説明とかもっと詳しく言いたいんだけど、当麻はそろそろ補習もあるだろうからそこら辺はハショる」

「そうなんだよ。夏休みだってのに補習が…………へっ?」

 

 思考が停止する。

 

(俺、これから補習だって事は言ってないよな……?)

 

 戸惑う上条を見て、苦笑しながらインデックスは腰を上げて、姿勢を正し、一瞬、上条の右手を視界に入れた。

 

「自分が学園都市に来たのは、貴方に会いに来る為です。上条当麻」

「い、インデックス……?」

「断ってくれても構わない。貴方にはその権利がある。関わってしまえば、貴方はもう関わり続けてしまうだろうから。でも、もし、こんな自分をほんの少しでも哀れんでくれるのなら、貴方に頼みたい」

「…………ッ!?」

 

 インデックスは、その銀髪の頭を床に付けるように頭を下げ、土下座した。

 

 

「――――助けてくれ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三話 ヒーロー求めて三千里

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、それじゃあ先生プリント作ってきたので、まずは配るですー」

 

 そんな、最早学園都市の都市伝説の一つに数えられている、台を使わなければ教壇から顔が見えない、身長135センチの自身の担任教師 月詠小萌の声が、補習の開始を告げながら、上条はつい先程自宅であった出来事を考えていた。

 

『当麻は、魔術を信じるか?』

 

 上条は、頭ごなしにではなかったが、しかし否を唱えた。

 自身が超能力者の街に居ることから、そして自身の右手に宿っているからこそ、『異能の力』をよく知っているし、肯定している。

 

 幻想殺し。それが常識外の『異能』ならば、仮に神の奇跡だろうと問答無用で打ち消せる右手。

 そして超能力という異能で溢れている学園都市。

 だからこそ、本気で異能を模索しているからこそ、科学(リアル)とかけ離れている非現実(フィクション)が信じられないのだ。

 そんな上条を、インデックスは笑って答えた。

 

 一昨日会った学園都市最強の能力者を説得するよりは、遥かに信じさせやすい、と。

 

『……………マジで?』

『代わりに河へとブチ込まれたけど』

 

 なんでも上条と会う前に超能力者の頂点、つまりは上条が知るビリビリ中学生よりヤバイ能力者と会っているらしい。

 

『俺が魔術を使えたら手っ取り早かったんだけど、残念ながら俺には魔力が造れない』

 

 魔法しか殆ど能の無い、しかしほぼ最強の魔法使い常時MPゼロの状態。インデックスは自分の事をそう例えながら言っていた。

 故にインデックスは魔術ではなく、有り体に云うところの魔法の道具を使って証明したらしい。

『歩く教会』という、魔術霊装を使って。

 

『この祭服(カソック)そのものが、俺自身の魔力要らずの廃課金装備なんだぜ』

 

 インデックスが屋上からベランダに落下しても傷一つ無い理由が、ソレだと云う。

 伝説の竜の一撃でも無い限り破壊不能の『要塞』。

 しかしその魔術霊装も『異能』だと言うのなら、ならば上条の右手でも破壊出来るのではないか?

 それならば、魔術も証明が出来る。

 上条がそう提案すると、

 

『確かにそれなら魔術を証明出来るけど、弁償できるのか?』

 

 その一言で、上条は自分の案を全力で撤回した。

 そんな反応を予想通りと笑いながら、インデックスは一つの鎖を取り出した。

 

『捕縛用の霊装だ。これを使えば良い』

 

 大した霊装ではなく、壊れても構わないらしいソレを、上条は右手で触れるだけで破壊した。

 シンプルではあるが、綺麗なデザインの鎖はものの無惨にバラバラに砕け散ったのだ。

 

『魔術の証明はコレで完了。ンじゃ、本題を話そうか――――』

 

 

 

「―――――――上条ちゃん!? 聞いてるですか!」

「……今のは不幸じゃなくて、上条さんが悪いですねー」

 

 すいません、聞いてませんでした。と、無論当麻は月詠に怒られ、クラスメイトに茶化されたせいで彼女に泣かれかけたのは言うまでも無い。

 しかしそれでも、上条は小萌に聞かねばならなかった。

 

「小萌先生、一つ聞きたい事があるんですけど――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっじぃィ……」

 

 七月下旬の気候を舐めていたインデックスは、学園都市を幽鬼のように歩き進む。

 ちなみに『歩く教会』は目についたコインランドリーにブチ込んでいる。

 幾ら水分を弾き飛ばしたとは云え、一度河にブチ込まれたせいか一日経つと臭くなってきたのだ。

 現在はYシャツに薄着の長ズボンという、目立ち過ぎる銀髪の外国人で無ければ学園都市に完全に紛れ込むことができるだろう。

 

 インデックスが態々最高装備である『歩く教会』を脱いだ理由は、二つある。

 一つは、上条に右手で壊されない為である。

 あれだけ脅したので普段は絶対触れてこないだろうが、緊急時は話が別だ。

 神裂やステイルが襲来とかしてみろ。庇うために咄嗟に突き飛ばされでもしたら、戦闘中に丸裸にされる。

 

 もしインデックスの性別が原作通り女ならステイル辺りに絶大なダメージを与えられるだろうが(上条は燃え散るだろう)、良くも悪くも彼は男だ。

 女性なら事情を話す余地があるだろうが、男がそれをやれば問答の余地なく逮捕されるだろう、というのがインデックスの見解であった。

 それは幾らインデックスの容姿が優れ中性的だろうが何の意味もない。

 無論、女性であっても痴女の誹りは免れまいが。

 

 二つ目は『歩く教会』の魔力でインデックスの居場所を探知されない様にする為。

 そもそもステイルと神裂は、その魔力を頼りにインデックスを追っている。

 それを逆手に取るのだ。

 原作ではもうそろそろ神裂かステイルに捕捉される頃だろうが、それは幻想殺しで破壊されきれていなかった『歩く教会』が有ったからこそ。

 しかし今はその肝心の『歩く教会』はコインランドリーでグイグイ洗浄されている。

 この状態で自分を見付けるのは至難だろう、とそう判断したのだ。

 

「当麻に大体の事を話して、それから補習の帰りに決めてくれと言ったが……決められるかな?」

 

 我ながら無茶振りをしたモノである、と彼は自嘲混じりに呟いた。

『首輪』と『自動書記(ヨハネのペン)』の完全破壊に幻想殺しは不可欠だ。しかしリスクは凄まじい。

 意識のある間に幻想殺しで破壊出来るのは首輪まで。

 防衛機構である『自動書記』を破壊するには、原作通りに『首輪』による十万三千冊(知識)を総動員させた完全迎撃体勢の魔神(インデックス)の魔術を突破しなければならない。

 幸運にも予期せぬ()()ができたとは言え、それでも絶対大丈夫とは口が裂けても言えない。

 そろそろ上条が帰ってくる頃。

 アレがインデックスの知る上条当麻なら、是非問わず何らかの解答を携えてくるはずだ。

 インデックスは再び、上条宅の学生寮に向かって足を進め、

 

 ―――――――――――肩口から血が噴き出した。

 

 

「――――がぁッ……!!?」

「えっ……?」

 

 思わず声が出てしまったが、しかしインデックス以外の声も聴こえた。

 戸惑うような、酷く驚いたような声。

 インデックスが右手で傷口を押さえながら、声のした方向を見れば、令刀『七天七刀』を持ったポニーテールの女性が表情を激しい動揺に染めていた。

 

 (そないな表情しなさんなや……)

 

 思わず笑いが漏れるが、人払いのルーンが刻まれていることに気付き、盛大に舌打ちする。

 

「ブリュンヒルド達と一緒にいた弊害か……。随分衰えたモンだな」

 

 余裕ぶった口振りをするが、彼の内心は焦りまくりである。

 

 (何で見付かった!? アレか、散々フラグ建てたせいか? そうですかチクショウ!!)

 

「ッ……禁書目録、貴方を『保護』させてもらいます」

「その前にちょっと御茶しない?」

 

 しかしインデックスのその提案は無視され、何やら苦虫を千回潰した様に顔を歪めながら神裂火織は襲い掛かってくる。

 即座に彼は目のついた路地裏に飛び込んだ。

 勿論相手は音速挙動。

 素の速度では絶対に勝てない。

 

 ならどうするべきか。魔力が精製できないインデックスに出来る事とは、一体何だ?

 刀が納められた鞘を槍の如く振るうそれを、彼は体を捻るように絡ませ、聖人の膂力に逆らわず清流の如く受け流すように避けた。

 

「なッ!?」

 

 かおりんの動揺も束の間、自分はそそくさと姿を晦ます。

 魔術が使えない? ―――――だったら武術を使えば良いじゃない。

 

 (だはははははは!! スゲェ! やばい、やったぜアサシン先生!!)

 

 ブリュンヒルドに会う前に、世界を転々としている最中に()()()()()()()()()()()()()中国拳士の変態という名のアサシン先生。

 それから半年以上続けてきた武術が、漸く納得がいく実感を得たのだ。

 この時ほど完全記憶能力に感謝した事は無い。

 

 ――――降霊術というものをご存じだろうか?

 一般にネクロマンシーと呼ばれ、占いの目的のために亡者の霊を呼び寄せようとする魔術のことである。日本ではイタコなどが有名だろう。

 この世界における魔術は基本的に神話の再現という形を取る為、インデックスにとって極めて都合が良かった。

 

 インデックスが『この世界で初めて出来た味方』の手を借りてでも行った目的は、完全記憶能力による、瞬間降霊での武術のトレースである。

 

 降霊術は神話に於いて様々な神を降霊した英雄が描かれるが、人間が長時間やれば相当なリスクを負ってしまう。ソレが自分より優れた存在ならば猶更。魔神でもない限りそのリスクは大きくなるだろう。イタコの寿命が短いとされるのも、ソレが原因だ。

 そんな問題に対して、インデックスは完全記憶能力が存在する。一瞬降霊してから極めて短時間に覚えた武術を、ほぼ完璧に模倣することは可能だ。

 

 そして選ばれたのはニザームルムルクの逸話や世界征服者の「山の翁」ハサン・サッバーハ。

 そして魔拳士とも言われた伝説的な八極拳士、李書文である。

 結果インデックスは、一流の暗殺者の軽業と、英霊に成るほどの武道家の武術の一端を得るに至ったのだ――――――――――。

 

 とまぁ、理屈こねたらこんな感じである。

 

 なにせ一度覚えた事は忘れないのだ。

 本来中国拳法の発勁やら内勁などは十年単位の修行が必要だが、俺は歩法や回避や受け身などの『身のこなし』のみを重点的に鍛え上げ、数ヵ月で会得できた程だ。

 インデックスは気配遮断で身を隠しながら、入り組んだ路地道や物を利用して進んでいく。

 

「当麻なら、ちゃんと()()()()()()()()()。あーあ、結局道筋を辿る訳か。修正力とかあんじゃないだろうなこの世界」

 

 神裂だけだった事から、恐らくコインランドリーに向かったのはステイル。しかしインデックスを火織が発見した事から、此方に向かってくるだろう。

 ならば待ち構えているのは誰か、考えるまでもない。

 インデックスの状態や状況こそ違うが、見事に史実通りだ。

 

 神裂の魔力と、僅かに漏れる天使の力(テレズマ)を感知しながら、感じる方向とは別の道を進む。

 肩からの出血を練勁治療の応用で止めながら、この世界のヒーローを目印にして。

 

 

 




軽業と気配遮断に中国拳法(間借り)。

ということで第三話でした。
今回は降霊術について言及しましたが、要はエミヤの投影での憑依経験を追及した結果と考えて頂ければ宜しいかと。
間違ってる部分が有るかもですが、その場合は指摘していただけると有難いです。
修正できるかどうかは別として。

誤字脱字がある場合は修正します。
感想待ってまーす。
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