ぼくの名前はインなんとか   作:たけのこの里派

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お気に入りが先日の二倍に。
………先日の二倍!?(゜д゜)
ランキング効果を身をもって知った次第です。
お気に入りに入れてくれた方々に感謝です。

という訳で悪意の塊のようなサブタイですが、まぁそこら辺は「悲しいけどこれ原作沿いなのよね」ということで。


さて、ちょくちょく入れてる伏線に気付いてる方はおられるのでしょうか。


第五話 消化試合

 ハロハロー。絶賛虫の息状態のインなんとかさんだよーッ!!

 

 いやね、幾らかおりんの七閃喰らったつっても、傷浅いし大丈夫かなぁーって高ァ括ってたらこのザマでゲス。

 某死神漫画の人達、結構斬られてるのにナチュラルに戦闘続けるその耐久力ください。

 やっぱり出血は侮れませんね。

 あン? 例の練勁を応用した止血法はどうした?

 

 自分功夫始めてまだ一年!! ある程度技に発勁込めるなら兎も角、応用なんぞ数時間も出来るかぁ!!

 完全記憶能力もそこまでチートじゃねぇよ!

 

 まぁそんな訳で学生寮まで辿り着き、カミやん合流したのも束の間、現れたのは赤髪の長身!

 頬にバーコードに過改造神父服(カソック)

 ピアスに指輪にくわえ煙草の身長2メートル越え体躯の天才中学生魔術師!

 

 捨て犬=マグヌス――――ッ!!

 

 御免なさい調子コキました。

 さて、我等がきーやんのエロボイスで登場したステイル君じゅうよんさいかわいいだが、これからどうすんべ。

 一応当麻にアドバイス入れるつもりだけど……術式特化のステイルじゃ相性抜群だからなァ幻想殺し(イマジンブレイカー)

 本来喰らったら即死or致命傷の炎剣はソレ単体だけなら完全に無力化出来るし、教皇クラスの魔術である魔女狩りの王(イノケンティウス)は俺か当麻がスプリンクラー作動させれば即終了する。

 

 つまり、

 火力特化の魔術師が魔術は魔女狩りの王(イノケンティウス)以外完全無効果。

 要の魔女狩りの王(イノケンティウス)も前兆の感知でほぼ逃げられ、スプリンクラー作動をさせれば封殺完了。

 即死攻撃に対する恐怖も、一度防いでしまえば完全に消え、しかも当麻は何度も御坂美琴という10億ボルト(即死攻撃)をする中学生のお蔭で慣れるのは早いだろう。

 ルーン魔術なら敵の魔術も即逆算し解析、攻撃に利用する程の努力をする天才。

 並の魔術師を圧倒する火力を有するステイルも、相性が最悪だった。

 

 言っちゃ悪いけど――――幻想殺し対策ゼロのステイルじゃ詰んでるわなこりゃ。

 魔術師の中ではかなり優秀な部類に入るのに、なんか最近化物レベルと当たりまくってるせいでステイルの勝率低くない?

 化物が誰だとは言わないけども。

 オッレルスとかシルビアとかブリュンヒルドとか『彼女』とか言わないけど。

 

 ――――さてッ!! 出来るだけ怪我しないでくれよ当麻。

 お前さんの傷は、自分にも治せないんだからな。

 

 

 

 

 

 

 

第五話 消化試合

 

 

 

 

 

 

 

 

 その白人の男は、『神父』と呼ぶにはあまりに破戒過ぎた。

 染め上げた長い赤髪を筆頭に刺青に指輪、煙草など、神父を無理矢理最近のヤンキーが好き勝手に改造した結果のような有り様に、しかし上条はそこに驚きはしなかった。

 

 驚きも何も、全てインデックスの言う通りなのだから。

 

 最初に話を聞いた時は、上条はとても信じられなかったなんちゃって不良神父だが、目の前に立たれてはどうしようもない。

 上条が真に驚いたモノは、その男が纏う独特な()()

 上条は髪がチリチリと圧迫する、本来学生が知るはずのないその感覚に気付いた。

 

 殺気だ。

 本来恐怖で怯み、動けなくなるソレに対し、上条は怒りで全て掻き消した。

 これが『魔術師』。

 超能力とはまた違う、魔術という名の異世界の法則を無理矢理現世界に適用し、様々な超常現象を引き起こす者。

 

「神裂が斬ったと聞いたけど、まさか『歩く教会』を自ら脱ぐとはね。僕達の魔力探知を逃れるためとは言え、少々リスクが高かったんじゃないかな? 魔力を追っている途中に神裂から連絡が来たのには驚いたよ」

「デメリット負ってまで獲たメリットを速攻で台無しにされるとは思わなかったけどね。なんなのあのエロ聖人、今度セクハラしてやるって伝えてくんない?」

「……そんな状態になっても変わらないな、君は」

 

 ステイルとインデックスの、まるで当たり前の様なやり取りに、一瞬置いてきぼりにされたかと上条は思ったが、インデックスは兎も角ステイルは()()

 上条はソレなりに喧嘩慣れしているが、ステイルには隙がまるで無かった。

 上条を警戒している。それこそ、格上の魔術師に対するソレと同じ様に。

 

「ッ……」

「……処で、そこにいるのは何だい? 見たところただの学生の様だが、君がただの学生に助けを求めるとは考えにくい」

「成る程。当麻に向けていた視線は脅威判定が出来ないが故の警戒か。確かに、今まで俺が助けを求めたのは聖人クラス以上だけだからね、警戒するのは当然か」

 

 そこで、ステイルが初めて上条を見る。

 男にジロジロ見られて不快極まるが、上条はその目に込められている敵意に、そんな事を気にする余裕は無かった。

 

「超能力者……そういうことかい?」

「ンにゃ、当麻は無能力者。()()()()()使()()()()

「何だ。じゃあ安心して君を回収できる」

 

 上条は、その言葉の意味が分からなかった。

 

「かい、しゅう……?」

「そう、回収だよ回収。正確にはソレじゃなくて、ソレが持ってる一〇万三〇〇〇冊の魔導書だけどね」

 

 魔導書。

 その名前に上条は怒りを持って拳を握り締める。

 

「ソレは説明したかな? Index-Librorum-Prohibitorum――この国では禁書目録といった所か。これは教会が『目を通しただけで魂まで汚れる』と指定した邪本悪書をズラリと並べたリストでね。言うなれば、毒書の坩堝と言ったところだよ。あぁ、注意したまえ。君だけじゃなく宗教観の薄いこの国の人間なら、一冊でも目を通せば廃人コースは免れない」

「――――そんなものを、教会ってのはインデックスの頭の中に詰め込んだのか……ッ!!?」

 

 それは人の脳に廃人にするほどの毒素を、直接注入するに等しい行為だ。

 

「へぇ、ちゃんと聞いてるのか。僕に言わないでくれ、やったのは教会だ」

 

 そんな行為をインデックスは、一〇万三〇〇〇回も繰り返しても耐え、平然としている。だからこそインデックスは禁書目録足り得るのだ。

 だからといって、耐えれるからといって、やっていい訳ではない。

 

「そんなに、そんなにコイツの知識が欲しいかよ!?」

「違うさ。ソレの知識は他の厄介な奴等に渡らない様に、保護しようとしてるだけだよ」

「保護、だと……?」

 

 こんな怪我まで負わせ、果ては一年間も追いつめ続け、果ては『保護』。

 その言葉で、

 

「そう、保護だよ。保護」

「ふッざけんな……ッ」

 

 上条は沸点を越えた。

 

「――――何様だ、テメェッ!!!」

 

 先ずは目の前のクソ野郎をブン殴る。

 話はそれからだと、上条は駆け出した。

 

「ステイル=マグヌス――――この場合は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』と名乗っておこうか」

 

 上条が駆け出したにも関わらず、ステイルはまるで暴走した羊を狩る狼の様に平然とし、

 

「魔法名と言ってね。僕の様な魔術師にとっては――――」

 (これが……魔術の炎――!?)

「――――――()()()、かな?」

 

 (上条)に向かって手から生み出した、摂氏三〇〇〇度の炎剣が振るわれた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「やっぱり強いね」

 

 炎剣から生じた爆風が上条を呑み込み、更に学生寮の渡り廊下の一部を丸焦げにした光景を観たインデックスの言葉がソレだった。

 

「……」

 

 その黒煙のせいで、ステイルの位置からはインデックスの姿は見えない。

 しかしその声色からどんな表情を浮かべてるか、もう()()()()付き合いになるステイルは容易に読み取れた。

 ステイルには学生一人蒸発させた所で、目的の為の行為なら何の感慨も起きない。

 しかし、インデックスが怒りや哀しみを見せないのはどういうことだ?

 

「一つ聞きたい。君は何故学園都市に来たんだい? 魔神の成り損ないに聖人二人もの護衛と引き換えにしてでも、この街は君に利益を齎すのか?」

「勿論。当麻は自分にとって唯一の起死回生の一手。多分世界でたった一つの鬼札(ジョーカー)だよ」

「……何を言っている? 何を考えているかは知らないが、アレを指しているのなら君の目的は先程目の前で潰えただろう」

 

 もし先程の学生がインデックスの目的の要なら、ステイルが燃やし尽くした。

 その時点でインデックスの企みは破綻している。

 

 

「――――はッ、何だよ。何ビビってやがったんだ俺は」

 

 

 煙の中から声が聞こえない限り。

 

「……は?」

 

 思わずステイルは、生まれて初めて幻聴を聴いたと思った。

 そんなステイルが可笑しくて堪らないという声色でインデックスは愉しげに語る。

 

「呆けている所悪いが、さっさと身構えた方が良い。魔術師は常識に対して脅威に成り得るが、アレは非常識に対する死神だよ?」

 

 目の前の“ソレ”はお前達の天敵だ、と。

 もくもくと立ち込めていた黒い煙が、中で振るわれた腕で散らされ、先程炎剣をブチ込んだ筈の学生が無傷で現れる。

 

「インデックスも言ってたじゃねぇか。『歩く教会』を壊されるから触るなってよ」

「!?」

 

 魔術だろうが何だろうが、所詮は『異能の力』。

 相手が幻想ならば、上条の右手で殺せぬモノ等在りはしない――――!!

 

 (な、何が起きた? 摂氏三〇〇〇度の炎剣を喰らって、生きている人間など……!?)

 

 混乱。困惑。何より未知に対する恐怖。

 目の前で起こった事に理解が付いていかず、ステイルは呆然となるが、上条はそんなものを待つ理由は欠片も無い。

 

「ッ! チィ!!」

 

 再び炎剣を作り出し、向かってくる上条に叩き付けるが、

 

「そら、気を付けなよステイル=マグヌス。一時的になら、当麻は(セント)ジョージの竜の一撃も防ぐぞ」

 

 上条が右手でソレを掴んだ瞬間、薄氷の様に砕け散った。

 そして漸くステイルは理解する。

 確かに、インデックスは上条の事を無能力者と言ったが、何の力も無い学生。とは一言も言っていない。

 そしてステイルは推測した。その力は魔術に対して理不尽なモノだという事を。

 

 ぶわっ! と、ステイルは全身から嫌な汗が噴き出すのを自覚した。

 

 唯の学生? ステイルは十数秒前の自分を燃やし散らしたくなる。

 オッレルスの残した言葉も気になったが、ステイルは上条を斃す為に完全に油断と慢心を捨てた。

 

「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ」

「?」

 

 ステイルの詠唱と共に、その場に変化が現れる。

 唯でさえ蒸し暑い気温が、立ち上るソレが更に引き上げる。

 

その名は炎、その役は剣(IINFIIMS)顕現せよッ、我が身を喰らいて力と為せ(ICRMMBGP)ッッ!!!!」

 

 現れたのは炎で構成された巨人。先程の炎剣と同じく、摂氏三〇〇〇度の人にとっての『死』だ。

 名は『魔女狩りの王(イノケンティウス)』。

 

「殺せ」

 

 ゴウッ!! と、主によって命ぜられた殺戮指令に従い、巨人は上条に襲い掛かる。

 

「邪魔だ」

 

 その煉獄の巨人の胴を、上条はまるで蝿を払う様に右手を振るい引き千切った。

 どれだけ大きさを変えようが、巨人に形付けようが、先程の炎剣と何ら変わらないのだ。

 

 (……、何だ?)

 

 だが、それに対するステイルの浮かべた表情は驚愕でも絶望でもなく、笑みだった。

 

「後方注意ぃー」

「なッ!!?」

 

 ゆるっとしたインデックスの声の直後に、上条は何時も致死レベルの電撃をブチ込んでくる中学生の攻撃と同じ感覚に襲われ、弾かれるように振り返り右手を盾の様に掲げ、魔女狩りの王(イノケンティウス)と拮抗する。

 

「あッ、熱ちちち!! 何で! 右手で打ち消せない!?」

 

 否。上条の右手はキチンと機能している。

 それでも魔女狩りの王(イノケンティウス)が消えないのは、

 

 (この巨人……打ち消された端から再生してやがる!?)

 

「摂氏三〇〇〇度を熱い程度とは、パネェですカミやん」

「三〇〇〇ドォ!? ちょっと待て! もしコレ喰らったら……」

「蒸発しちゃうと骨も残らないから拾ってやれないね」

「助けてくださいインデックスサン!!」

 

 泣き付いた。

 恥とか見栄とか諸々放り投げて、火焔の十字架を押し付けてくる炎の巨人を右手で受けながら、上条はインデックスに泣き付いた。

 

「しょうがないな当太くんは。アレはルーン魔術つって、文字を刻む事で発動する。まぁ色々あるけど、言ってしまえばアレはライターの火で、ライターを潰さないと再生しまくるから」

「つまり攻略法は!?」

「火災報知器を使ってスプリンクラーを作動させよう。それでかつる」

「三〇〇〇度をスプリンクラーで!?」

「今度は前方注意ー」

「ちょッ!?」

 

 そんな茶番めいたやり取りを、ステイルが見逃す筈もなく。

 

「灰は灰に、塵は塵に。吸血殺しの紅十字――――!!」

 

 魔女狩りの王(イノケンティウス)の対処に手一杯の上条に、二本の炎剣を持ったステイルが炎の巨人ごと上条に斬り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「――――チッ」

 

 あ、ステイルが炎剣で魔女狩りの王(イノケンティウス)切り裂いた瞬間に当麻が逃げた。

 

 ステイルも舌打ちしてるけど、どないしたら一度も殺し合いしたことない高校生がそんなんできんねん。

 上条さんの脳内でTASさんが操作しとんのか。インテル入ってるんか。

 おそらく当麻は今、マンション中に貼り付けられたルーンをコピったコピー用紙によって生み出される魔女狩りの王(イノケンティウス)に四苦八苦してるか、それとも自分の計算式をブッ千切った解答に気付いているのか。

 ていうか、さっき滅茶苦茶キメ顔で登場したけど、アレ頑張ってコピー用紙はっつけた後と考えたら、ポルポル現象起こすのに頑張ったDioサマのと同じ心境になるんだが。

 

「フン、まぁいいさ。逃げたのなら追う必要は無いし、マンションに入れば魔女狩りの王(イノケンティウス)が狩るだろう。――――僕は僕の目的を優先すれば良い」

 

 ヤバイです。ステイルがロックオンして来やがった。野郎にロックオンされても嬉しくねぇ。

 かと言って当麻が戻ってくるにはもう少し時間がいる。

 しゃあなしだ。ちょっとネタバレして時間稼ぎしよう。

 

「なぁ、疑問に思った事は無いか?」

「……何がだい?」

「――――自分がどうして魔術を使えないのか、とかだよ」

 

 ピクッと、ステイルの眉が動く。

 釣れたクマー。

 

「……それは君が魔力を作れないからだろう?」

「なら逆に聞こうかな。完全記憶能力を持ち、しかも魔導書の原典を読み漁って汚染されないなんて稀少極まる能力に、()()()()()()()()()()()だなんて――――そんなイギリス清教にとって都合良い存在がいると思う?」

「――――――――――な」

 

 ステイルは聡明だ。故に容易くその真実に辿り着く。

 だがその前に、突然学生寮のスプリンクラーが作動した。

 

 (何……? 警備装置に魔女狩りの王(イノケンティウス)が触れない様に細工していた筈だが……?)

 

 とか思ってらっしゃるだろうが、自分は内心ガッツポーズ。コレで勝負はついたも同然だ。

 説明しようッ! 魔女狩りの王(イノケンティウス)はルーンを大量に刻む事でその力と姿を保っている!

 まぁ今回ステイルはコピー用紙をマンション中に大量にはっつけていたんだが、スプリンクラーでインクを滲ませれば十分。

 コピー用紙に印刷されたルーンは唯の落書きに成り下がり、ルーンが無ければ魔女狩りの王(イノケンティウス)は使えない。

 

 原作通りと言ってしまえばソレまでなんだけども。

 

「今度からルーンは防水加工にした方が良いよ?」

 

 あ、ステイルがエレベーターで来た当麻に殴られてら。

 

 

 

 




詰み(ステイルが)(´・ω・`)

という訳で、今回は対ステイル戦の解説回でした。
ここいらは原作との違いがあまり無い回になっちゃいましたけど、ステイルは本当は強いんです。ミコっちゃんと同い年なので、共通点もあるかもですね。
………あるか?


修正点は発覚しだい随時修正いたします。
感想待ってまーす。

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