港の星たち   作:太平洋の鯨

1 / 5
二つの姉妹
第1話


 

 「人類の天敵とは何か?」この問いに対して、それまでは「大型肉食生物」「人間」「細菌」と人によって回答はバラバラであった、人類が制海権を奪われる日までは。

 

 2036年4月某日、太平洋を航行する大型豪華客船が消息を絶つ事件が発生した。当初はなんらかの事故であるとされ、各国が救助活動に乗り出し、一人の生存者を発見した。全世界がその生存者の口から語られる真実に注目が集まった。彼は海に浮かぶ女性が大砲で攻撃したとその証拠として彼が撮影していた映像からも確認されたが、誰もが彼の話を信じなかった。それから世界中の海で商船や軍艦が消える事件が相次ぎ、本格的な調査を開始したアメリカ軍によって再度その姿が確認され、その時初めて人類は敵対する何かを存在していることを知った。 

 

 日本でも各分野の有識者が招集されその正体について会議が行われた。その有識者の一人が、その敵対するその何かの映像を観て「まるで深海から来たような不気味な白さだ」と発言し、それからは日本では半公式的に深海棲艦と呼ばれるようになった。

 

 その後各国は、単独ないし協力をして深海棲艦の排除に乗り出した。だが、それに対する有効な対抗手段を人類はまだ持ち合わせていなかった。

 深海棲艦は人とほぼ同じサイズという特性上、遠距離から誘導弾を当てることが難しく、また例え当てたとしても第二世界大戦時の戦艦並の装甲を持ち合わせており効果的では無かった。それに気づいた時には人類は敗北した。特に自衛隊に関しては海上警備行動で任務にあたったが、海上自衛隊の全艦艇の9割が海の藻屑となった。核兵器を用いて対処した国もあったが大した戦果は無く、かえって周辺の海域を汚染するだけであった。

 

 深海棲艦は単に人類から制海権を奪っただけではなく、人が多く住む沿岸都市や軍事基地に対しても攻撃を始め、その攻撃及びそれによって引き起こされた食料危機、経済危機によって70以上の国が無政府状態に陥った。

そんな絶望的な中、人類に救世主が現れた。深海棲艦と同じ海に浮かぶ少女であった。彼女らは自分らは第二次大戦時の軍艦の生まれ変わりだと主張し、深海棲艦を撃退てみせた。多くの人々が困惑したが、人類が彼女らを頼る他が無く、少女の姿をした軍艦『艦娘』と呼ぶことにした。

 

 日本政府は深海棲艦から制海権を取り戻すための方針を決めた。日本という国は法治国家であり文民統制が敷かれている。自衛隊が出動するのには根拠が必要であり、深海棲艦に対する出動根拠が話し合われた。

 当初、自衛隊による防衛出動または引き続き海上警備行動による方法が議論された。前者は発動の度に国会での承認が必要であるため時間を要る上、また交戦権が無いためこちらから攻撃をしかけることが難しい。海上警備行動に関しても前者ほどではないにしろある程度の手続きが必要であり、迅速な対応が出来ない。そこで、政府が出した結論が災害派遣による害獣駆除であった。災害派遣によるは現場指揮官レベルで発令できるため、非常に迅速かつ柔軟に対応出来ることがメリットであった。

 また、制海権を取り返す範囲が日本周辺海域だけではなく、遠く離れた海外でも必要があった。そこで、政府は現地政府から災害派遣の要請を受け、それを受け災害派遣で害獣(深海棲艦)を駆除するという形で海外での活動を容易にした。その為、政府は深海棲艦を害獣という認識をし、公式では特定害獣と呼ばれるようになった。

 

 一方で艦娘に関する扱いには苦労した。当初は艦娘を人間とみなそうとする動きはあったが、艦娘の兵器としの特殊性、また未知の原子で構成されていた。そもそも人間とは?という議論があり、艦娘をスムーズに運用するためにも、自衛隊の保有する兵器であるという結論に至った。

 それから、数年の月日たち日本周辺から敵を排除し、東南アジア諸国周辺の海域までの安全を確保し、日本の生活水準は徐々に取戻しつつあった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。