2041年1月17日 PM13:44
海上自衛隊 横須賀基地 艦娘宿舎 翔鶴・瑞鶴の自室
「瑞鶴!!大丈夫だったの!?処分はどうだったの!?」
自室に入るなりすごい勢いで掴みかかってくる翔鶴に若干戸惑いながら瑞鶴がことの顛末を説明する。
「ああっ…良かったわ…解体処分にならなくて…本当に心配したんだから…」
翔鶴から心の底から安堵しているのが見てとれる
「でも…翔鶴姉と離れることになっちゃう…」
瑞鶴は先ほど言い渡された内容を翔鶴に説明した。
「私もさみしいわ、でも沈まなければまた一緒に戦えることが出来るわ」
「翔鶴姉…」
「それまでは決してあきらめずに頑張るのよ」
「私、加賀さんに謝りたい。いくら馬鹿にされたとはいえ手を出してしまったから…別れる前にちゃんと謝りたいの」
「加賀さんは明後日まで出撃しているの、だから会えないわ」
加賀と赤城が共に出撃していたことを瑞鶴は知らされていなかった。
「そう…残念…」
「加賀さんも瑞鶴の気持ちはよく分かっているわ、それにまた会う機会はすぐに来るわ」
「ありがとう、翔鶴姉。安心したら、なんだかお腹が減ってきちゃった」
「そうね、今から間宮に行きましょう。今の時間帯ならみんなで出払っていて貸切状態よ」
「うん、今日は甘いものをお腹いっぱい食べたい」
瑞鶴は残された時間を翔鶴と心行くまで過ごすと心に決めた。
2041年 1月18 日 AM 1:23
海上自衛隊 横須賀基地 艦娘宿舎 翔鶴・瑞鶴の寝室
この時間は一部の任務中の艦娘を除いて寝静まっている時間だ。いつもは寝ているが瑞鶴は不安などから寝る事が出来なかった。
「瑞鶴…寝れないの…?」
そんな様子を察してか、翔鶴が瑞鶴に声をかけた.
「うん…やっぱ翔鶴姉と離れるのさみしいし、不安…」
基本的に艦娘の部屋は姉妹艦同士の相部屋となっている。部屋にはベッドが二つ配置されており、窓側を翔鶴、通路側を瑞鶴が使用している。
「じゃあ、今日は一緒に寝ましょう」
そう言って、ベットから起き上がった翔鶴は瑞鶴のベットに入った。
「二人で寝るのには少し狭いけど…近くに瑞鶴を感じられていいわ」
瑞鶴は翔鶴の体温の暖かさを感じていた。
「私も幸せ」
「まさかこうして一緒に寝るなんて、軍艦だった時は思いもしなかったわ」
「今度はずっと一緒にいたかったのにな…また離れ離れになってしまうなんて…私また一人でやっていけるかな…」
瑞鶴は思わず弱音を吐いてしまう。
「大丈夫よ、あなたは強い子だもの、あなたはどんな状況でも立派に戦ったわ、私がいなくなってからも」
「あの時は本当に寂しかった、マリアナで翔鶴姉と別れてから、自分の出来ることをするそれしか考えられなかった…」
「本当に良く頑張ったわ。あなたは私の誇りよ」
「ありがとう…翔鶴姉」
「私たちが離れ離れに私たち姉妹は絆は不滅だわ」
瑞鶴はこの時間が永遠に続いて欲しいと心の底から願った。
2039年 1月18日 AM 13:28
海上自衛隊 横須賀基地 ヘリポート
寒気が上空に流れ込んだ影響でこの時間でも気温が6℃近く、これまでの暖冬が嘘のように今朝は寒かった。朝一で前日に提督に言われていたカウンセリングを受けた。艦娘は定期的にカウンセリングを受けることになっており、その内容は質問に答えたりなんかのテストもどきだったりと退屈だと艦娘からの評判が良くない。瑞鶴も苦手な一人であり、特に今回は一時間以上拘束され退屈で死にそうだった。
そんなカウンセリングから解放された、瑞鶴は執務室で提督に挨拶を済ませ、その足でヘリポートまで移動した。艦娘の移動方法は基本的に艤装を使って海上を移動である。空母のような主力艦が海上を移動するときは必ず護衛の駆逐艦が同伴する。今回の場合は、移動するのが瑞鶴だけであり、移動の安全性とコストパフォーマンスを考慮した結果、自衛隊の保有する航空機を使っての移動となった。艤装に関しては専門のチームが瑞鶴と同じ便で運搬することになってる。兵器を移動させるのにいろいろな法律が絡んでいるそうだ。私服などの荷物は後日届くことになっている。
ヘリコプターのローター音がこだまする中、瑞鶴は翔鶴たちと最後の別れをしていた。翔鶴の他にも瑞鶴と仲の良かった子に心配してきてくれた子、そして件の松型駆逐艦の子も来てくれた。
「瑞鶴、ちゃんと暖かくして寝るのよ。今日なんて寒いから風邪ひいちゃうから…やっぱ一人だなんて心配だわ…」
翔鶴は瑞鶴の手を握り少しあわてる様子で心配する
「あはは、翔鶴姉は心配し過ぎ。昨日の夜は一人でやっいけると言ってくれたじゃない」
「でも、急に不安になってきて…」
「大丈夫、絶対向こうでも活躍してみせるから」
瑞鶴は翔鶴に心配をさせまいと気丈に振舞う。
「瑞鶴さん、そろそろ時間です」
パイロットが瑞鶴に登場を促す
「はい。それじゃあ、翔鶴姉にみんなありがとうね。元気でね」
そう言葉を言い残して、ヘリに搭乗しドアを閉めた。
ヘリは瞬く間に上昇していき、翔鶴たちはすぐに豆粒以下の大きさになり、見えなくなった。瑞鶴はヘリに乗るのが何度かあったが、今ほど眼下に広がるその景色を目に焼き付けようと思ったことは無かった。