Fate/Grand Order Episode of Drifters 廃棄漂流戦場関ヶ原 宝知らぬ武者   作:watazakana

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前回までのあらすじ

カルデアに突然現れた島津のバーサーカーは、カルデアのマスターと織田信長と1600年の関ヶ原にレイシフトし、特異点を解決する戦さを始める。レイシフト先で最初に出会った者は、なんと島津と世界を同じくする異世界の織田信長だった。この世界の、アーチャーの信長と異世界の、キャスターの信長。同じ思考回路をしていると思われる両者だったが、関ヶ原の聖杯戦争にて召喚された異世界のセイバーの登場により、徐々にズレが起きていく。一方、異世界のセイバーは薩州を酷く憎んでいるようで……


6節 カルデアの國

「なんだコノヤロウここどこだバカヤロウ!俺の愛機もいねえしよォ!とっとと状況説明しろやコノヤロウ!!」

「何言っちょるかさっぱりわがんねぇ!コノヤロウバカヤロウじゃわからん!薩摩の言葉喋れ薩摩の言葉を!」

「薩摩ぁ?ここ薩摩か!」

「違うわ阿呆。ここは美濃、関ヶ原じゃ。主ゃそがいなこつも分からんでここに来たんか阿呆」

「んだとバカヤロウ!お前の方が阿呆だバカヤロ……え?今ここがなんつったコノヤロウ」

「美濃の関ヶ原じゃ。あとバカヤロウコノヤロウやめろコノヤロウ」

「ってことは……関ヶ原で戦があるってのか……!」

「戦さば行く自覚も無かったんか主ゃ……」

 

赤い武者と航空兵は揉めに揉めた末、共に戦うことを決め、赤い武者の手甲は、ほんのり赤く光った。彼らに訪れる運命は、如何に。

 

 

「ここの特異点でわかっていることは、異世界のサーヴァントが思ったよりもいること。まずは島津のバーサーカー。次に異世界の織田信長。そして異世界のセイバー」

『ヴェルリナと呼ばれる都市で行われた威力偵察の大将に、その異世界のセイバーはいたそうだが、薩摩を酷く憎んでいたらしいね、島津』

「応」

『だとしたらやはり、新撰組かな。その様子だと病弱の逸話があった沖田総司は除外できる。……土方歳三か、いや、近藤勇の線もある。マスターは依然不明。その辺キミの陣地で分かったりしないかい?信長』

「無理に決まってんだろ。俺の陣地は万能じゃねえ。俺の戦いを有利に進めるための陣地だ。陣地内しか魔力探知はできねえし、誤差だってある。そもそも霊脈起点に陣地張ってるから現在地と宝具使うかどうかの判別がギリギリだ」

 

魔力の濃ゆいところからちょっと濃ゆいの探せと言われてもムリということらしい。確かに比較的新しい英霊で魔術師の逸話も無い織田信長ではその二つができて万々歳のようだ。そう考えるとグランドロクデナシや神代の魔術師が化け物じみて見える。

 

「でも、これでセイバーが埋まった。最優が判れば気も楽になるね」

「気だけじゃがな」

『しかし、やることはたくさんある。勝たせるべき徳川の軍勢とは敵対関係となった現状は痛いし、現地の協力を得ないままに介入するのも難しい。まずやるべきは……』

「仲間づくりだね」

『そういうことだ。だがカルデアのことを話して信じてもらえるかと言えばそれも無い。どうやって現地の協力を得る口実を作るか、これに限る』

「では、こんなのではどうだ?」

「?」

「まず、セイバーのサーヴァントがおったろう。まあ他にも6騎居るらしいが、まあ今日以前に面識があって、備作ってまで俺を狩りに来たくらいだからな、アイツが徳川唯一の英霊と言っていい。ソイツを石田側にぶつける。恐らく石田側は大損害を出す。だがそうはならない。適当に襲わせて、それを俺たちが大急ぎな感じで駆けつけて、石田側を助ける。質問は?」

『それでは徳川が負けてしまうが?』

「その辺は適当に裏切るんだよ」

『襲わせてって……その人たちは見殺しにするのですか⁉︎』

「ああ、有り体に言えばな」

『そんな……私達はそんな嘘をついてまでしなきゃ、この特異点は解決できないんですか⁉』

 

マシュは絶句する。そんなこと、許容できるはずもなかった。彼女らの旅において、また藤丸立香の旅において、生きる人の犠牲が出ることを前提とした作戦などなかった。手段はいつも選んでいた。

彼女はここで生まれて初めて、「目的のためなら何でもする」という外道を具体的に感じ取った。道理もへったくれもない、命を命と見ない作戦に、マシュは強く反発する。

 

「ああそうだ。お前ら、現地の協力がなきゃ解決できんだろう。俺だってそうだ。虐げられてる小せえエルフの村ひとつから蜂起させるのにその村人何人死んだと思ってやがる」

「ハナから戦さちそういうもんぞ。何処ん誰かもわからんもんが言葉だけで協力せいち言うても信じるもんはおらぬ」

「俺たちみてえな不審者集団は取り入る連中に協力せざるを得ないと思わせ、認めさせねばならん。そんな状況にするための材料があるなら使わねばならん。でなきゃ俺たちが斬り捨てられるぞ」

 

理にはかなっている。どこの誰とも知れない未来人の存在なんて信じるはずがない。徳川とはすでに敵対し、石田につくとしても石田は負かさねばならない。どの道過去の生きる人を踏みにじる作戦になるのだ。

 

『先輩……!』

 

マシュは悲痛な声を藤丸立香に向ける。藤丸立香は苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「マシュ、これから出る犠牲は、これまで見えなかった犠牲と同じだよ。フランスで、私たちはジルドレさんの兵士を犠牲にして勝った。ローマではネロ王の軍隊をすり潰して掴んだ勝利だったし、オケアノスもロンドンも、アメリカもそうだった。イスラエルも、ウルクでも、時間神殿でも」

『ですが、彼らは知っていました!どこかがおかしいって、それに対する必死の抵抗でした!』

「じゃあ、私が下総でなにも知らない村一個犠牲にして生き残ったのは間違い?」

『……っ』

「私もできればこんな作戦取りたくない。でも、そうしなきゃ私たちが定礎崩壊に間に合わない。命を数で数えて欲しくはないけど、幸せを数で考えたくないけど、私は生きたいから、この作戦を取るんだよ」

 

藤丸立香は、一言ひとこと選んでマシュへと届ける。そう、これまで自分らは気づかなかっただけ。カルデアは犠牲を前提にした作戦を言葉に出さなかった。でも、言葉に出さなかっただけ。周りはみんな人死にが前提で、死人は出た。陽動だって、死が前提の作戦だ。ウルクでそれをやっている。だからね、私たちはもうそんなこと言えないんだ。

 

「確かに理不尽なものよ。わしらサーヴァントに人間が勝つ道理などなし。それを石田側は恐らく知らない。武者は尽く無意味に死ぬじゃろ。じゃがな、マシュ、それだけで戦国の世の者を想うでないわ」

『……え?』

「もとより理不尽はつきものぞ。道理もくそったれもない。そんなことは承知で戦さに来ておる。理不尽なのは変わらない、死も変わらない。ただ死の原因が変わるのみよ。戦国武者、日の本侍は国のため死ねれば本望じゃ。極論ではあるが、切腹か、戦さで死ねれば及第点じゃよ」

 

マシュは何故こうも反対するのか。それは何も知らない他者を踏み台にすることへの忌避からでもあったが、踏み台にされた他者への哀れみからでもあった。いや、むしろその方が強かった。

前者はともかく後者はただ自己満足的な押し付けで傲慢な考えなのだと弓ノッブは言うのだ。かつてジウスドゥラ━━━もとい山の翁が忠告したことがマシュの脳裏によぎる。

 

━━━ 哀れみは時に侮辱となる。覚えておきなさい。謂われのない憐憫は悪の一つであり、謂われのない慚愧も、また悪の一つ━━━

 

「ただ、他者を踏みにじる不快はゆめゆめ忘れるな。常に憤りて、最後の手段として選ばれよ。忘れたら、わしらみたいになるからな」

『はい……わかりました。到底承服できるものではありませんが、特異点解決のため、その作戦に賛同します』

 

マシュは割り切れたようだ。ただ、申し訳ないなと藤丸立香は思う。

 

「話は済んだか?」

「おい元凶お前のせいやぞ」

 

まるで他人事のように訊くキャスノブにはもっとなんとかならなかったのかと弓ノッブが詰った。

 

「えぇ〜?どうせ徳川についてもあの英霊じゃあ協力無理だろー」

「もうその話はいいから次の作戦考えよう?」

「そうだな……ならば、これではどうか?」

 

 

同刻、関ヶ原の戦いは始まった。凪のような静寂が一転、怒号と雄叫びと銃声と怒号と怒号が狭い盆地を埋め尽くす。そんななか、()()()()()()()()()()()()()()がその怒号たちにかき消されていった。具体的には機械の音。ガソリンを燃やし、定圧変化によるピストン運動が二枚の刃の回転となり、風を巻き起こす音。現代で言えば、セスナや自動車のエンジンの音である。しかし彼は近代の者。なれば一つしかあるまい。

 

それは戦闘機のエンジン音。彼が愛し、彼が愛された空を行くための乗り物。かつて彼はそれで空の要塞の尻尾を掻き切った。かつて彼は空の要塞を一度に2機撃墜した。かつて彼の愛機は己が持つ武器によって死んだ。

それは、宝具という形で蘇ることとなる。魔力はその真名に規定された形を忠実に作っていった。

 

「おっ、いいじゃねえか。よくわかんねえが、間違いねえ。俺の愛機だ」

「未来にはこげなもんが空を飛びよるんか……!」

 

赤い武者は目を丸くする。この機体の名前は『紫電改』。彼の機体であるという主張の強い黄色の線が体幹尾翼側に二本走っている。

 

「よし、それじゃあ行くか」

 

彼は紫電改に乗り込み、風防を閉める。本来ならエンジンを回すためにもう1人必要だが、魔力で構成され、魔力で飛ぶこの愛機に、そんなものは必要なかった。

 

「俺の弾に当たんじゃねえよコノヤロウ」

「当たらんようにするが、当たったらごめん」

 

なにかと幼稚さの見られる喧嘩腰の会話だが、この2人には妙な信頼が生まれつつあった。

 

「ワレ三四三空二〇一飛『新撰組』隊長、菅野一番!目標、我ガマスターノ勝利!突撃ス!」

 

関ヶ原の戦いは、最初から予測不可能となる。




イベントPUサーヴァント

菅野直(☆4)


サーヴァントステータス

【CLASS】ライダー
【真名】菅野直
【性別】男性
【身長・体重】160cm・68kg
【属性】混沌・中庸

【ステータス】
筋力B 耐久C 敏捷C+ 魔力E 幸運C 宝具C

【クラス別スキル】

対魔力:D
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。サーヴァント自身の意思で弱め、有益な魔術を受けることも可能。Dランクでは、一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
ゲーム内では、「自身の弱体耐性をアップ」


騎乗(空):A-
乗り物を乗りこなす能力。騎乗の才能。「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。
空を飛ぶもの限定ではあるが、高い騎乗スキルを有する。
ゲーム内では「宝具を使用した後、自身のBuster性能アップ(一回)」

【固有スキル】
カリスマ:C-
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。生前は王として君臨した三者は高レベル。C-ランクでは国家運営は出来ないが、志を共にする仲間とは死を厭わない強固な繋がりを持つ。時には上官をも呑み込む強烈なもの。悪用すれば原住民に自分を神だと思い込ませられることもある。
ゲーム内での性能は、「味方全体の攻撃力をアップ(3T)」

撃墜王:A
空中戦において無双した者が持つスキル。彼の場合、味方を庇ってまで戦い勝った逸話と無数の爆撃機や戦闘機を完封同然で屠ってきた逸話を基に近代の英霊の弱点を補って余りある強化を自身に施す。
ゲーム内では「自身の宝具威力を大アップ(1T)&自身に回避状態を付与(3回・2T)+自身にターゲット集中を付与(1T)」

竜殺し(異):B
異世界へと転移した漂流者の1人である彼は、異世界において既に4騎の竜を撃墜しているため、本来幻想種の頂点にある竜種に傷一つつけられないほど神秘の薄い菅野に、竜種限定で幻想種に対する一撃必殺級の特効が付与されている。
ゲーム内では「自身に〔竜〕特攻状態を付与& 自身に〔竜〕限定のクリティカル威力超アップを付与&自身にスター集中を付与」

【ゲーム内でのコマンドカード構成】
BBBAQ

【宝具】

『新撰組』隊長、突撃ス
(われ、かんのいちばん)

ランク:C
分類:対軍宝具
レンジ:63
最大捕捉:20人

彼の愛機、紫電改の隊長機を魔力で構成し、彼はそれに乗る。そして機銃を掃射するという代物。バーサーカーのランスロットの宝具「騎士は徒手にて死せず」ではジェット戦闘機を自身の宝具として操っていたが、菅野のスキルによる超絶強化のせいでそのランスロットの宝具とタメが張れるという、近代英霊にあるまじき性能をしている。しかし、彼の最大得手は空中戦であり、対地戦が基本となる聖杯戦争では真価を発揮しにくいというデメリットもある。
ゲーム内ではBusterの全体宝具。一体当たり8hit。
「自身に〔空を飛ぶ〕特攻を付与&敵全体に強力な攻撃&スター獲得(10個)」
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