Fate/Grand Order Episode of Drifters 廃棄漂流戦場関ヶ原 宝知らぬ武者   作:watazakana

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前回のあらすじ
順調に進んでいた、瞬瞬必生(と書いて無計画と読む)な従来のプロットには存在しなかった菅野デストロイヤーがログインした。やったね!プロット大幅変更だ!(無限の妄想)でもゴールは同じだからあんしんして!


7節 紫電が来る

異世界のセイバー襲来の翌日、関ヶ原の戦いは幕を明けた。

 

「応、作戦を始めるぞ。おいは徳川を襲う」

「じゃあわしは撹乱じゃな。お前の兵を借りるぞ」

「おう、じゃー俺は藤丸連れて西軍後方行くわ」

「よし、それじゃあ、作戦開始!」

「「「応!」」」

 

こうしてカルデア軍は動き始めた。

霊脈には偽装結界を張り、サーヴァントの身体能力を活かして各々の持ち場へつき、為すべきを為す。即ち島津は最前線で東軍狩り、弓ノッブはキャスノブの宝具を指揮して島津の補助、キャスノブは迂回路を行き西軍の後方で戦況把握である。

順調にいけば、異世界のセイバーはもう少しで姿を現し、島津は退却する。西軍に損害をある程度出したところでこちらの全力を出し、セイバーを撤退に追い込む。これを機に西軍と同盟を結び、半日以内に聖杯戦争を終わらせ、特異点の原因となる聖杯を確保すると同時に裏切る。なんなら聖杯に徳川の勝利を願う。

 

しかし、現実は誰かの脚本通りには行かせてくれない。織田信長の書いた脚本を破り捨てたのは、戦闘機のエンジン音だった。

 

「は?」

「何ぃ⁉︎」

「げぇ!」

「あ゛ぁ⁉︎」

 

各々が理解不能といいたいような声色で声を上げた。

 

『信じがたいが、照合した結果、あれは紫電改と呼ばれる日本の局地戦闘機だ。黄色のストライプはあるかい?』

「は、はい!」

『あれは宝具だ。中にちゃんとサーヴァント一騎分の魔力反応が見られる。しかし、異世界ではあり得るってのか、これほどまでに近代的な英霊は本来英霊として成り立たない!』

 

戦場の驚愕を気にせず、ただ空は己だけのものとして振る舞う英霊は、所構わず機銃掃射を仕掛けてきた。しかし、その先にはいる。異世界のセイバーがいる。セイバーは新撰組を召喚し、己に向かう銃弾を全て叩き落とした。

 

「だが手間は省けた、◼️◼️!」

「応!」

 

異世界のセイバーの前に、島津は立ち塞がる。

 

「織田信長は何処だ」

「知らぬ」

「そんな訳があるか。今はてめえなんざどうでもいい。織田信長を出せ」

「知らぬもんは知らぬ。物わかりの悪い奴じゃの」

 

それだけ言うと、島津は刀を構える。

 

「ならば、この場の者を殺し尽くすまで」

 

真名解放━━━

 

「うし、行くど」

 

宝具開帳━━━

 

島津は得意の構えをとる。

 

ここより先は死線と思え━━━

 

土方歳三を取り巻く空気は人の形をとり、宝具にふさわしい体を成す。

 

斬り捨てよ。薩奸死すべし

 

島津の踏み込みは10mはあるだろう距離を0まで縮め、首筋を一閃しにかかる。前回の比ではない。今回は明らかに音速を超えた斬撃だった。衝撃波が辺りに響き渡る。

 

『新撰組』

 

しかし、またしてもすんでのところで新撰組が防御する。そしてその刀は超音速の一振りに耐えきれず、甲高い音を立てて折れてしまう。

 

「!!」

「死ね」

 

土方歳三はその隙を見逃さなかった。しかし、また心眼で回避される。そして弓ノッブの援護射撃がセイバーを威嚇する。

 

「……」

 

目の前には島津、その先にあるは織田信長の鉄砲隊。ヴェルリナを思い出す布陣だ。俺が勝った(まけた)あの戦い。クソバカとの殴り合い。

 

━━━ああ、本当に不快だ。

 

あの殴り合いを思い出すと正気を保てない程に。凪いだ心に波が立つ。そこまで引っ掻き回してくれるあのバカに腹が立つ。

 

「やはり、いまここで殺す。島津、てめえは、不快だ」

「戦さじゃもの。目の前におる将ば逃すうつけはおらん」

 

再び、英霊同士の殺し合いが激しさを増した。空から度々来る機銃掃射は2騎共に人間離れした速度と剣術で回避する。刀の折れた島津がリーチにおいてさらに不利になったはずだが、先ほどと遜色ない立ち回りをしている。心眼で避け、勘で避け、見て避け剣術で避け一撃をくれる。土方の外套に刃が届く。しかし土方はうろたえずにカウンターとして手甲を斬りつけた。

 

と、突然土方の動きが止まった。

 

「……何故だ」

「応、どがんかしたか」

「俺はここで殺さねばならん相手がいる!貴様は黒王ではない。邪魔をするなら貴様も殺す、いい」

 

突然、土方は消えた。跡形もなく、島津の目の前から消えた。あとに残るのは、武者たちの怒号と雄叫びと、戦闘機の駆動音のみである。

 

「……なんぞ今のは」

 

 

松尾山西部 山腹

 

『今、セイバーのマスターは令呪を切った。待ってて、魔力検索かける。転移先は━━━』

「危ねえ伏せろ!」

「どぅわっ⁉︎」

 

キャスノブに背負われている藤丸立香に急降下するような感覚が襲い掛かった。直後、木々がキャスノブの首の位置の高さで両断されていく。

 

「ひぇ……」

『もうわかってると思うが、君たちの背後だ』

「それ早く言えんのか」

『無理だね。魔術はそんなに万能じゃない』

「くそッ」

 

キャスノブが舌打ちする間にも異世界のセイバーはゆらりゆらりとこちらに向かう。

 

「逃げて信長!」

「あぁ?なぜだ」

「キャスターは陣地がないとセイバーに正面からの殴り合いじゃ勝てない!」

「ハァ⁉︎それもっと早く言えよ!」

『昨日観測したセイバーと同一人物とは思えない魔力規模だ。令呪でブーストかけたな、セイバーのマスター!こうなると神霊でも持ってこないと今の状況じゃ勝てない、今すぐ逃げるんだ』

「魔術礼装変換、カルデア制服起動、『瞬間強化』!」

 

藤丸立香の服装はオレンジの戦闘服から白のカルデア制服へと変わり、キャスノブに強化を施す。

 

「走って、速く!」

「なんで俺が使いっ走られなければならんのだ!」

 

キャスノブが一度踏み込むと、先ほどの島津を上回るスピードで木々の間を抜けていく。

『瞬間強化』、カルデアの制服に刻印された魔術式。一騎という数的に限定はされているものの、その英霊の力を一瞬だけ段違いに強化するという優れものである。

残念ながらキャスノブの俊敏ステータスは異世界のセイバーにやや劣る。あらかじめ距離を取らなければ死ぬのだ。

 

『宝具で兵士を呼べるかい?』

「無理だ!走るので精一杯だってのによ、指揮なんざ出来るか!それに、予備50人でどうにかできる奴じゃねえだろアイツは!」

「うわっ本格的に追ってきた!」

「この強化いつまで保つ⁉︎」

「あと20秒少し!」

「短えよ!せめて1分は保たせろばーか!」

 

キャスノブはそう怒鳴ると懐から使い捨ての種子島を取り出して、そこらの木に撃った。木は幹を抉り穿たれ、セイバーの道を断つ。それをセイバーは木っ端微塵に斬り捨てて、また追ってくる。

 

「やっぱ時間稼ぎにもなんねえか!」

「道だ!」

「中山道だな、最低でも平原部には出てえ、あとどんくらいだ⁉︎」

『この速度ならあと30秒!』

「どんどん距離が詰められる!30秒保たない!」

「ああクソ!せめて谷を抜けられれば!」

 

この世には、どうしても詰められない時間というものはある。ゲームで言うところのRTAの理論値なるものだろうか、「ここから先はどうやっても短縮できない。何千、何万と試行しても、これがベストであり須臾刹那の間も縮めることは能わず」な、そんなものだ。今、キャスノブたちはその理論値を実行できることしかしていない。木を倒したのも最高速度の中でだったから、タイムには全く関わらない。そう、藤丸立香たちはRTAの理論値に至るすべての条件をクリアし、平原に出るまでの時間も須臾刹那の間だって縮められない。最善を尽くして尽くして、尽くした先の最善だって借り入れた。

 

━━━それでも、土方歳三は平原に出るまでに追いつくのだ。

 

顔は見えない。見ようとすれば遅れが出る。遅れが出ると殺される。現に2人の背中は全開の殺気でひりついている。心拍数もフルスロットルで冷や汗も滝のように。

遂に足音がすぐ後ろに聞こえてきた。風の音が聞こえる。間違いようもない。『新撰組』の音だ。もう射程内に入っているだろう。

 

「死ね」

 

でも諦めはしない。万に一つの偶然を、可能性を斬らない。最後まで足掻いて足掻いて、諦めなかった人たちに軍配は上がるのを知っているからだ。

 

「来い、ベオウルフ!」

 

土方の腹にケルトの拳王が蹴りを入れる。土方は道端の石の如く吹き飛び、ここぞとばかりにベオウルフがトドメを刺しにかかるも、新撰組によって霧散する。

 

「やっぱりサーヴァントの影じゃダメか…!」

 

稼げる時間に対して藤丸立香の体力消費が激しすぎる。不意打ちだから初撃が入っただけであり、連発できるものでもなければ、二度目が今の土方に通じるわけでもない。

 

今度は魔力放出じみた踏み込みで一気にキャスノブたちとの距離を詰める。

 

「今度こそ、死ね」

 

ああ

 

死ぬ

 

終わる

 

そう2人が心の底で感じ取ったときだった。

 

「それはいけないでござるよ、これより先はわが主人の布陣なれば」

 

矢が新撰組の刀を断つ。

 

「っ……」

 

しかし土方は止まらない。他二つの新撰組で斬りかかる。が、それらも矢で。

 

「あれ、殺すつもりで射たんですがね、外してしまうとは」

 

私の矢も衰えましたなあと、道化のような言い草がこだまする。

 

「……アーチャー」

「おや、存じておいでか。その珍妙な格好、私の矢すら退く刀のもののふ、其方が『せいばあ』でよろしいな」

 

土方歳三は目線だけで射殺せるくらいに剣呑な視線を矢の飛んできた方向に向けた。

 

「邪魔を、するな、アーチャー」

「怖いですなあ。どうせこの戦さ、1人、いや、1騎しか生き残れまいよ。なればそこまで執着することはないでありましょう?」

「喋るな、てめえを、ここからでも、叩っ斬る、くらいは、造作も、ないぞ、アーチャー!」

「ははぁ、それは事実と見える。この谷は狭うございますれば、この那須資隆与一などという弱小な英霊など、如何様にもできましょう」

「与一って……」

「与一……与一じゃねえか!」

 

那須与一、異世界では織田信長と島津と共にエンズに立ち向かう武者の1人だ。信長は声をかける。

 

「おや、どちらさまで御座いましょう?でもここにいるってことは、この戦さに参加してるってことですよね?」

「あぁ?何言ってんだお前。俺だよ、織田信長だよ」

「はて、何を言っておられぬのかわかりませんなあ。ですがいい情報を貰いました。『織田信長公がこの戦さに加わっていた』。これはおおきな情報となりましょう。それで、背負っておられる女子は如何なる者にてありや?」

「私は、藤丸立香。カルデアのマスター」

「ほう、天文台の方だったか。しかし不運なことだ。信長公に背負われたせいで死ななくてはなりませぬ。どうせこの戦さには1騎しか勝者はおりません。信長公とせいばあ殿、藤丸殿には我が弓で死んでいただきましょう」

『アーチャーの魔力、増加中!気をつけろ、宝具だ!』

 

南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。

 

木陰が金色に彩りはじめた。

『魔力増大中、馬鹿な、サーヴァントとはいえど人間が出していい魔力出力じゃない!それこそダビデのような、神々の祝福がなければこんな神霊級の魔力を秘めることはできない!織田信長、なんとしても防ぐんだ!魔力を盾状にして、純粋な障壁として展開してくれ!』

「魔術礼装変換、アトラス院制服起動、『オシリスの塵』!」

「ええい、何故与一が敵対せにゃならんのだ!」

 

織田信長と自身に砕けぬ防御結界を張り、織田信長は重ねて防御魔術を張った。

 

これを射損ずるものならば、弓切り折り白害して、人に二度面を向かふべからず。

 

━━━射角調整完了。各神性援護領域、歩合調整完了。魔力収集割合……6割、7割、8割……十全也。霊基出力、安定臨界。突破。超臨界後再安定。再定義。余剰魔力、概念礼装「破盾」。

 

いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢はづさせたまふな。

 

「これこそは、扇穿ち抜く神仏の矢。『破扇弓・与一の弓』」

 

瞬間、道が5mほど、抉り取られた。

 




島津のバーサーカー


霊基再臨

スキル習得
首級狩り:A
自身に即死成功率アップを付与(3T)&自身のArtsとQuickのコマンドカードに〔人〕属性の敵に対し中確率の即死を付与(1T)&自身のBuster性能を大アップ(1T)

首をとる能力。戦国の白兵戦において勝つために必要な技術。十二のころからそのことにのみ見つめてきたため、その剣術は剣豪には至らないもののその技術は間違いなく武人の頂点に匹敵する。



ここからが本題。
後書きらしい後書きも今回が初めて。また新しい鯖が出ましたがこいつは「異世界の」アーチャーではないです。自分で考えた型月の与一(のつもり)です。具体的なマテリアルは出しません。だって原作で出てこられたら自分の立つ瀬がないから(今更)。原作で実装されるまでの妄想ということでひとつよろしく!
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