死神に鎮魂歌を   作:seven74

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 最近、昔ハマっていた「ハヤテのごとく!」の歌を聴いたんですけど、懐かしすぎて涙が出そうになりました。生まれて初めて読んだラブコメ漫画、単行本を読み返していると当時の記憶を思い出し、時の流れを感じます。少し前には「寄宿学校のジュリエット」も読んでいましたが、あちらも良い作品でしたなぁ。

 さて、自分語りはここまでにして、本編の方どうぞ!



繋いだ手だけが紡ぐもの

『報告だ。君達が現場に到着した直後、ユートピアドーパントの反応が途絶えた。恐らく、お前達を誘き寄せる為に自分を囮にしていたのだろう。行方は調査中だが、今は現場のノイズの駆除を優先してくれ』

「はいッ!」

「となると、まず最初に排除すべき敵は…………」

 

 

 上空を浮遊する四体の超大型ノイズを見上げる。今まで見てきたノイズとは比較にならない程巨大な体を持つそれらは絶えず小型ノイズを出現させている。まずあれを駆除しなければイタチごっこになってしまう。

 

 既に超大型ノイズが出現させた小型ノイズの数は数えるのも億劫な程に増えてしまっている。これ以上増えてしまえば、スカイタワーを護り切れなくなってしまうだろう。

 

 翼が四体の超大型ノイズの内の一体を狙って『蒼ノ一閃』を繰り出すも、それは狙った超大型ノイズの取り巻きの鳥型(フライト)ノイズによって阻まれてしまう。

 

 

「くッ! 相手に頭上を取られる事が、こうも立ち回りにくいとは…………ッ!」

「ヘリを使って、私達も上から…………あッ!」

 

 

 自分達をここまで運んでくれたヘリを見上げた瞬間、ヘリは周りから押し寄せてきた大勢の鳥型(フライト)ノイズによって墜落させられてしまった。

 

 

「そんな…………ッ!」

「よくもッ!」

 

 

 唯一超大型ノイズのいる上空へ向かう手段を失い、響は上空を移動する超大型ノイズを睨み上げて拳を握り締める。

 

 

「空飛ぶノイズ、どうすれば…………」

「臆するな、立花ッ! 防人が後ずされば、それだけ戦線が後退するという事だッ!」

 

 

 体を槍状に変化させて急降下してくる鳥型(フライト)ノイズを回避し、翼は続けて急降下してこようとする鳥型(フライト)ノイズの群れを『蒼ノ一閃』で纏めて葬ろうと柄を握り締めると、どこかから飛んできた銃弾と光弾が鳥型(フライト)ノイズの群れを消滅させた。

 

 

「空飛ぶノイズがなんだってんだッ! そんな雑魚に手間取ってんじゃねぇッ!」

 

 

 トリガードーパントとメタルドーパントを連れたクリスに、響の顔がパァッと明るくなり、翼は身構える。

 

 

「クリスちゃんッ! 来てくれたんだねッ!」

「チッ…………このスマホがピーチクパーチクやかましいから、ちょっと出張ってみただけ。それに勘違いするなよ、お前達の助っ人になったつもりはねぇッ!」

『助っ人だ。少々到着が遅くなったかもしれないがな』

「な…………ッ!」

「助っ人…………?」

『そうだ。第二号聖遺物イチイバルのシンフォギアを纏う戦士、雪音クリスだッ!』

 

 

 まさかの自分達と敵対していた相手が助っ人としてこの場に現れるとは予想していなかった翼の前で、響はクリスに抱き着いた。

 

 

「クリスちゃん、ありがとうッ! 絶対にわかり合えるって信じてたッ!」

「な…………この馬鹿ッ! あたしの話を聞いてねぇのかよッ!」

「言うだけ無駄だな。そいつからあの弦十郎とかいう男と似た気配を感じるぜ」

「あのおっさんとかよッ!? ああもう、調子狂うったらありゃしないッ!」

 

 

 響から離れたクリスがトリガードーパントと共に上空の鳥型(フライト)ノイズを撃ち落としていく。

 

 

「悪いがこっちはこっちで勝手にやらせてもらうッ! 邪魔だけはすんなよッ!」

「それなら空中のノイズは二人に任せて、私達は地上のノイズをッ!」

「はいッ!」

「俺達が道を切り拓こう」

 

 

 自分達と東京スカイタワーを阻む大量のノイズをエターナルエッジにしたエターナルを先頭にヒートドーパントとルナドーパントが続き、取り零したノイズは響と翼が消滅させていく。

 

 クリスとトリガードーパントは上空のノイズを相手にしているので、地上から二人を狙ってくるノイズはメタルドーパントがメタルシャフトを振り回して蹴散らしていく。

 

 

「上空からも見えていたが、やはり数が多いな…………ッ! まるでキリがない」

 

 

 エターナル達が先陣を切ってくれているだけあって自分達が相手するノイズの数は少ないが、それでもその数は多い。一度態勢を立て直そうとノイズから距離を取ると、密集していてはガトリング砲で狙いずらいと判断してトリガードーパントから離れていたクリスとぶつかってしまった。

 

 

「なにしやがるッ! すっこんでなッ!」

「貴女こそいい加減にして。ここは連携して戦わなければ勝てないのよ」

「はッ! 『連携』ときたかッ! 前まで敵だった奴らと連携できる程、あたしやお前は出来てないだろ?」

「む…………ッ!」

「お前ら、こんな時になに喧嘩してんだッ!」

「剛三は黙ってろッ!」

 

 

 一気に十体のノイズを薙ぎ払ったメタルドーパントを一喝し、クリスは翼を睨む。

 

 

「確かにあたし達が争う理由なんてないのかもな? だからって、争わない理由もあるものかよッ! この前までやり合ってたんだぞッ! そんな簡単に人と人が…………」

「…………出来るよ。誰だって仲良くなれる」

 

 

 その時、翼とクリスの手を握ったのは、響だった。

 

 

「立花…………」

「お前…………」

「どうして私にはアームドギアが無いんだろうって、ずっと考えてた。いつまでも半人前はやだな~って」

 

 

 アームドギアを手にする事が出来るのは、真の覚悟を背負った者のみ。それをいつまで経っても顕現させる事が出来ない事を、響はずっと悩んでいた。

 

 でも、無理して先に進もうとするのは愚行だ。自分は、自分のまま進むんだ。そうすればきっと、自分にとって必要なものが見えてくるはずだから。そして昨日、響はそれを見つけた。

 

 

「でも、今は思わない。なにもこの手に握っていないから、二人とこうして手を握り合えるッ!」

「立花…………」

 

 

 その言葉に、翼は右手の剣を地面に突き立て、開いた右手をクリスに差し出す。

 

 

「手を」

「あ、あ…………むぅ…………」

 

 

 差し出された手を、クリスは一瞬だけそれを握ろうとした手を引っ込めるも、弱々しく握る。すると、翼は足りないと言わんばかりに彼女の手を強く握った。

 

 

「ひゃッ!? きゅ、急に握るなっての…………。この馬鹿にあてられたのかッ!?」

「そうだと思う。そして、貴女もきっと」

 

 

 響や互いの仲間達に感化されていなければ、自分達はこうして手を握り合っていない。きっと、知らず知らずの内に、自分達は響によって考えを変えられていたのだろう。それはクリスも考えていたのだろう。それを肯定するように、クリスは俯いたまま、小さくこくりと頷いた。

 

 そして、三人の視線は自然と上空の超大型ノイズへと向けられる。

 

 

「…………親玉をやらないと、キリがない」

「だったら、あたしに考えがある。あたしでなきゃ出来ない事だ。イチイバルの特性は長射程広域攻撃。派手にぶっ飛ばしてやるッ!」

「まさか、絶唱を…………」

「バーカッ! あたしの命は安物じゃねぇッ!」

「ならば、どうやって?」

「ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える。行き場の無くなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやるッ!」

「だが、チャージ中は丸裸も同然。これだけの数を相手にする状況では、危険すぎるッ!」

「ならそれまでの間、俺達が護るだけだ」

 

 

 ノイズを蹴り飛ばして三人の傍に降り立ったエターナルを始め、彼の部下であるドーパント達がノイズの大群から三人を護るように立つ。

 

 

「そうですね。私達がクリスちゃんを護ればいいだけの事ッ!」

 

 

 響の言葉を開始の合図に、クリスを残して一斉に走り出して周囲のノイズを蹴散らし始める。

 

 

(…………頼まれてもいねぇ事を)

 

 

 以前まで敵だったのにも関わらず、彼らは自分を護る為に戦ってくれている。それがとても、クリスには頼もしく思えた。

 

 

(あたしも引き下がれないじゃねぇかッ!)

「クリス」

 

 

 チャージに取り掛かる寸前、トリガードーパントに声をかけられる。

 

 

「補助としてトリガーの力を使え。あれなら、より高火力でノイズを吹っ飛ばせる」

「あぁッ!」

 

 

 あの戦いで自分の胸に宿った、『引き金』の記憶を持つT2トリガーメモリの力を解放させる。

 

 全身がトリガーメモリの力に似合った姿に変わると、クリスは早速準備に取り掛かり、胸に湧き上がる歌を口ずさみ始める。

 

 

「――――――なんでなんだろ? 心がグシャグシャだったのに」

 

 

 それは、以前の彼女が歌うとは考えられなかった歌詞。恐怖と絶望に黒く塗り潰された過去と決別し、まだ何色にも染め上げられていない真っ白な未来へと進む、一人の少女の歌。

 

 その歌に背を押されるように、響達は次々とノイズを消滅させていく。

 

 

(俺達はあくまで二人の向かうべき道を指し示しただけで、二人の気持ちを大きく動かしたのは響だ)

 

 

 ルナドーパントに上空へ投げ飛ばされたエターナルはT2ユニコーンメモリのマキシマムドライブの力を纏った拳を地上に叩き付けてノイズを吹き飛ばす。

 

 

(人は繋がれる…………か。温い言葉だが…………)

「響ちゃんらしい、そう考えているんでしょ? 克己ちゃん」

「人の思考を読まないでくれるか、京水」

「あんな事言ってたら、誰だってそう考えるわよ。特に、私達のような連中はね」

 

 

 人型(ヒューマノイド)ノイズを蹴り飛ばしたヒートドーパントに、複数体のノイズを吹っ飛ばしたメタルシャフトを肩に担いだメタルドーパントが続く。

 

 

「あいつには感謝しなくちゃな。これでクリスは大丈夫だ」

「あら、どうしてそう思えるの?」

「クリスは素直になれない性格だ。あんな風に言ってはいるが、いずれ彼女達を信じるようになる」

「ツンデレってやつね。あざといじゃない。でも嫌いじゃないわッ!」

「さぁ、いくぞ。クリスを護るんだ」

 

 

 リーダーであるエターナルの言葉に、四体のドーパントは「了解ッ!」と答えるのだった。

 

 

(誰も、繋ぎ繋がれる手を持つ。私の願いは、誰かと手を繋ぐ事ッ!)

 

 

 その身に宿る二つの記憶の内、燃え盛る熱き記憶を持つヒートメモリの力を解放し、響は自分を囲んだノイズを焼き払う。

 

 あの惨劇を生き残った贖罪なんかじゃなく、命の恩人である奏の願いを、この拳に乗せて戦う彼女。そんな彼女の気持ちに呼応するように、どこかに存在する■■■■■は強く輝くが、まだ足りぬと言うかのように、その輝きを無くしていった。

 

 

(砕いて壊すも、束ねて繋ぐも、力。なるほど、立花らしいアームドギアだッ!)

 

 

 彼女や克己達によって、自分達は変えられた。敵対していた者達とも手を取り合い、こうして同じ敵を見据えている。

 

 彼女が起こした風は、自分達の歩みを後押ししてくれる。ならば自分は、さらに強い風で、彼女を導いて往こう。

 

 

「…………ッ!? これは…………ッ!」

 

 

 その時、あの夢で克己の母親である大道マリアから渡されたメモリの一本であるT2サイクロンメモリが強く輝き、そこから飛び出した光球が、翼の胸に吸い込まれていく。

 

 

 ――――――護りなさい、貴女を変えてくれた人達を。地球(ほし)の力が、貴女を後押ししてくれるわ。

 

 

 どこからか聞こえる声。それに頷いた瞬間、翼の纏う天羽々斬の外見が変化していく。

 

 首元に腰まで伸びる緑色のマフラーを巻き、鎧の青色だった箇所は緑色に染め上げられ、脚部に装着されていたブレードは消滅する代わりに羽の部分が小さな刃で構成された、翼を象ったものに変わり、右目の網膜には『C』の文字が浮かび上がる。

 

 ノイズの大群のど真ん中に降り立った彼女を中心に吹き荒ぶ風は不可視の刃となってノイズの集団を切り裂く。その風は止む事無く彼女の体をノイズの攻撃から護りながら彼女の動きを加速させ、さらに周囲の風を取り込ませる事で彼女のスタミナも回復させていく。

 

 

(体が軽いッ! これなら…………ッ!)

 

 

 まるで自分のものとは思えない程軽くなった体を動かし、次々とノイズを蹴散らしていく。

 

 

「烈風よ、吹き荒べッ! マキシマムドライブッ!」

 

 

 その単語を口にし、一時的に自身の力が強化された翼は両手に持つ二本の剣を振るって緑色の竜巻となって敵を切り裂く技――――――『碧ノ旋龍』を繰り出し、巻き込んだノイズの集団を塵一つ残さずに切り刻んだ。

 

 そして、彼らがクリスをノイズから護ってくれていたおかげで、遂にクリスのチャージが完了する。

 

 

「光が…………力が…………魂を…………? ぶっ放せッ!」

 

 

 トリガーの力で蒼く変化していたギア全体を、ガトリング砲と小型ミサイルに加え、大型ミサイル四基を搭載した固定砲台へ変形。蒼き地球の記憶を宿した彼女に、彼らが言う事は一つ。

 

 

「「「「「「「――――――託したッ!!」」」」」」」

 

 

 四基の大型ミサイルを同時発射、後に小型ミサイルとガトリング砲を全弾発射(フルバースト)。地上から襲い来る救済を告げる破壊の雨――――――『MEGA DETH QUARTET』を前に、上空のノイズは成す術無くその身を塵へ変えていき、地上のノイズを狩り尽くした戦士達はその光景をじっと見つめていた。

 

 

「やった…………のか?」

「ったりめぇだッ!」

「やったやった~ッ!」

「やめろ馬鹿ッ! なにしやがんだッ!」

「あはは…………」

 

 

 それぞれの形で戦いが勝利に終わった事に喜んでいる三人を見て、エターナル達は変身を解く。

 

 

「任務完了だ。よくやったな、お前達」

「やっぱり五人揃うとやりやすいわね~♪ 三人だけの時は物足りなさがあって仕方なかったもの」

「同感。やっぱり私達は五人が一番よ。プロフェッサー・マリアがいないのは少し哀しいけど」

「プロフェッサー・マリアも、きっと見てくれているさ」

 

 

 ギアが解除された翼を見て、克己はそう言う。入院中に彼女が見たと言う克己の母、大道マリアは本来の適合者こそ違えど、T2サイクロンメモリを使用していた。それが彼女に力を貸してくれたという事は、きっと彼女も見てくれているはずだ。ここから遠く離れた、自分達には決して辿り着けない場所で。

 

 

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよ~ッ! うひひひひ~ッ!」

「だから、やめろと言ってるだろうがッ! いいかッ! お前達の仲間になった覚えは無いッ!」

「またまた~ッ! クリスちゃんってば照れ隠しのつもり~?」

「ホンットうるさいなお前ッ! あたしはただ、フィーネと決着をつけて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだッ!」

「夢? クリスちゃんの? どんな夢? 聞かせてよッ!」

「うるさい馬鹿ッ! お前、本当の馬鹿ッ!」

「俺達のミッションもクリアって感じか?」

「あぁ、文句無しのミッションコンプリートだ」

「よぅっしッ! お疲れさん、賢ッ!」

「剛三も、お疲れ様」

 

 

 響の態度に怒っているようだが、ああして話すのは満更でもなさそうな様子のクリスの姿に、賢と剛三は拳を軽くぶつけた。

 

 

「…………だが、気になる事はある」

 

 

 そんな中、克己はここに到着したばかりに弦十郎から受けた報告を思い出す。

 

 

「ユートピアは俺達が到着すると同時に姿を消した。奴がこの場に現れたのは装者だけでなく、俺達も誘導する為だろう。…………まさか」

「…………ねぇ、私、今凄く嫌な予感がしたんだけど」

 

 

 レイカが感じた不吉な予感は、すぐに形となって現れた。

 

 

「ん? 誰からだろ?」

 

 

 誰かが電話をかけてきている事に気付いた響がスマホを取り出し、耳に当てる。

 

 

『響ッ!』

「あ、未来ッ! こっちは――――――」

『学校が…………リディアンがノイズに襲われ――――――』

 

 

 切羽詰まった親友の声は途中で切れ、それにその場にいた全員が呆然としていた。

 




 翼×サイクロン、少し導入に無理がありましたかね? 自分的には良い感じに組み込めたと思うんですけど、皆さんから見て「ちょっとおかしいな」となっていたら申し訳ありません。

 そしてまた、名前を募集させてもらいますッ! やり方はもうわかりますよね? 今回も応募、よろしくお願いしますッ!
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