死神に鎮魂歌を   作:seven74

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 昨日、シンフォギア第一期の監督を務められた伊藤達文さんが脳幹出血のため亡くなられたというニュースが流れました。私が初めてシンフォギアに触れたのは去年のXV放送記念にYouTubeで無印~AXZが無料配信していた時でしたが、あっという間に引き込まれるストーリーに感動したのが昨日のように思い出せます。まだお若いのに、本当に悔やまれます…………。ご冥福をお祈りします…………。



進化(イクシード)は止まらない

 

「情報部、追跡班との交信途絶ッ!」

 

 

 響がウェルの召喚したノイズと交戦し始めた頃、時を同じくして二課仮設本部司令室では緊迫した空気が流れ始める。

 

 

「ノイズの出現パターンも検知していますッ! 恐らくは……………」

「……………翼とクリス君、克己君達を現場に回せッ! なんとしてでも、ソロモンの杖の保有者を確保するんだッ!」

「弦十郎君ッ!」

 

 

 酷く焦った様子で司令室に駆け込んできたフィーネが弦十郎の名を叫ぶ。

 

 

「どうした?」

「響ちゃんがどこにいるかわかる? マズイ事に――――――」

「ノイズとは異なる高出量のエネルギーを検知ッ!」

「波形の照合、急ぎますッ!」

 

 

 その時、藤尭と友里の声が司令室内に響き渡り、検知されたエネルギーの波長をデータに記録されたものと照合し始める。

 

 そうしてモニターに表示されたのは、『GUNGNIR』の文字。

 

 

「ガングニールッ!? そんな……………ッ!」

 

 

 この状況で最も出てきてほしくなかった聖遺物の名に、フィーネは思わず頭を抱えてしまうのだった。

 

 

 

 

 ――――――一方、そんなフィーネの気持ちなど知らない響は、今まで感じた事のない程のエネルギーが放出されている状況に戸惑いながらも、目の前に立ち塞がるノイズを倒そうと構える。

 

 響の全身から放出される高出力のエネルギーは凄まじい熱気へと変じ、風に乗って彼女の近くに落ちてきた落ち葉を一瞬にして焼き尽くす。

 

 

「いつもいつも都合のいいところで、こっちの都合をしっちゃかめっちゃかにしてくれるッ! お前はぁッ!」

 

 

 憤怒に染め上げられた叫びをあげたウェルが召喚したノイズが一斉に響に襲い掛かる。

 

 

「――――――ヒーローになんて なりたくない」

 

 

 人型(ヒューマノイド)ノイズの攻撃を躱して殴り飛ばし、側面から襲ってきたもう一体の人型(ヒューマノイド)ノイズを蹴り砕く。

 

 

「――――――想いを貫け……………321 ゼロッ!」

 

 

 群がるノイズを片っ端から捻じ伏せていく親友の姿に、未来はただ茫然として見つめ続けるしか出来ずにいる。

 

 

「いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもッ!」

 

 

 次第に恐怖が混ざってきた声色で、ウェルが再びノイズを召喚する。対して響は右腕のパワージャッキを引いて腰のブースターを点火。ブースターの推進力を受け一気に加速し、前方のノイズの大群を一撃で吹き飛ばした。

 

 だが、ウェルは性懲りもなくまた杖からノイズを出現させる。

 

 

(切りがない……………。それならッ!)

 

 

 視界を埋め尽くすノイズの大群を前に拳を構え、両足のパワージャッキを展開。今度はブースターではなく、脚部のパワージャッキを地面に叩き付けた勢いで飛び出し、すぐに右腕のパワージャッキからブースターを噴出。加速の上にさらなる加速を加えた彼女の一撃は、先程のようにノイズだけを炭化させるだけでは留まらず、そのままウェルに向かって一直線に飛んでいく。だが――――――

 

 

Exceed Active

 

 

 無機質な変身音声を流して現れた漆黒の戦士によって、拳を受け止められてしまう。

 

 二人を中心に発生した衝撃波を受けたウェルが尻餅をつき、イクシードは先刻自身が受け止めた拳が宿すエネルギーがビリビリと全身に伝わる感覚と、自分が無意識に片足を引いてバランスが崩れるのを防いでいる状況に僅かに目を細める。

 

 

「立花響の脅威度を修正。ゾーンメモリを使用後、排撃を開始する」

ゾーン!

 

 

 飛び退いた響の前でT2ゾーンメモリを起動したイクシードが、ゾーンメモリを胸元に差し込んで『地帯』の能力を獲得する。次の瞬間には彼の姿はあっという間に消え失せ、どこに移動したのかと視線を彷徨わせる響の左斜め上に現れるや否や、彼女が防御態勢を取る前に急降下キックを喰らわせた。

 

 

 

 

「――――――櫻井理論に基づく異端技術は、特異災害対策機動部の占有物ではありません。ドクターがノイズを発生させた事で、その位置を絞り込む事など容易い事」

 

 

 一方、響の所属する二課が保有する異端技術を利用してウェルとケアンの居場所を割り出したナスターシャ達も、弦十郎の指令を受けた翼やクリス達と同様に、響達がいる場所へと向かっていた。

 

 

「だけど、マム……………」

「わかっています。こちらが知り得たという事は、相手もまた然りです。急ぎましょう」

 

 

 イクシード(ケアン)がいる以上、まだ安心できる余地があるが、それでも数の多さでは向こうが上である以上、イクシードの恐ろしさを理解している彼らは数人がかりで彼を抑えに行くだろう。そうなってしまえばウェルを護衛する者がいなくなっている。どのみち、自分達は急ぐ以外の手などないのだ。

 

 それを理解しているマリアは早速、ウェル達のもとへ向かっている二人の少女に連絡を取り始めた。

 

 

 

 

『――――――聞こえているわね、二人共』

「ドクターを回収して、速やかに離脱」

「了解デスッ!」

 

 

 マリアからの通信を受けた二人は、元々ウェル達がいる場所の近くにいたのですぐに彼らを見つけ出す。

 

 原因は謎だが、いつもよりも格段にパワーアップしている響だが、それでもゾーンメモリの瞬間移動を身につけたイクシードには苦戦しているようだった。攻撃を与えたと思いきや一瞬にしてその姿を消し、次の瞬間には別方向から攻撃を仕掛けられる。しかも、その威力は彼が一回攻撃する度に少しずつ強化されていっている。なんとかカウンターに成功しても、彼を護る鎧はさらに強固になっていき、一発の攻撃で彼が受けるダメージが減っていくのが嫌でもわかってしまう。

 

 

「はぁ……………はぁ……………はぁ……………ぐ、あ……………ッ!?」

 

 

 その時、イクシードの回し蹴りを飛び退き、脚部のパワージャッキを引いて攻撃に移ろうとしていた響が、突然胸元を押さえて苦しみだす。その光景にどうしたのかと調と切歌が響を見つめるが、彼女達のような感情を持ち合わせていないイクシードにとって、敵対者が突然動きを止めたのは絶好の機会でしかない。

 

 

「あがッ!?」

 

 

 蹲る響の顔面を蹴り上げ、口元から僅かに血を吐き出した響の体を打ち上げると、彼女の右足を掴んで地面に叩き付ける。まるでまだ物心がついていない子どもが玩具を振り回すかの如く、遠慮など全く感じさせない勢いで何度も地面に叩き付けられて苦悶の呻き声をあげる響を投げ捨てたかと思いきや、仰向けになった彼女の体に跨り、何度も顔面に拳を振るい続ける。

 

 

「酷い……………」

「や、やめるデスよッ! そんなの、惨すぎるデスッ!」

 

 

 敵とはいえ、あまりにも一方的な仕打ちに難色を示す二人に、ウェルが気色の悪い笑みを浮かべながら言う。

 

 

「なにを言うのです? これで我々の計画を阻む敵を一人排除できるのですよ? それなら、あのままやってもらった方がいいじゃないですか」

「それでも……………」

「あれを肯定するなんて、あたし達には……………」

 

 

 『フィーネ』の構成員の三人の視線の先で、イクシードは握った右拳にT3イクシードメモリのロゴの色と同じ、鈍い灰色の輝きを纏わせる。

 

 次の一撃で、確実に響を仕留める気だ。そこには油断も容赦もなく、ただ『立花響を排除する』という思考しか存在しない。

 

 

「響いいいいいいいいいいッッッ!!!」

 

 

 悲痛な叫びをあげる未来の前で、イクシードの拳が振るわれる。寸分違わず、人間の頭部を打ち砕くに充分すぎる威力を伴った拳が響に直撃しようとした直前――――――

 

 

「響に……………なにをしてるッッ!!」

 

 

 熱風が吹き荒れ、響から視線を外したイクシードの顔面に、灼熱の右足が叩き込まれる。

 

 流石のイクシードもこの不意の一撃には対処できず、数回地面を跳ねてウェル達の前に落ちてくる。

 

 

「大丈夫?」

「レイカさん……………。ありがとう……………ございます……………。ぐ……………うぅッ!」

 

 

 顔中痣だらけで酷い有様だが、自分をしっかり見ている事から失明などはしていないと判断したヒートドーパントは「じっとしてなさい」と伝えてから、起き上がったイクシードを睨みつける。

 

 

「随分好き勝手にやってくれたようね……………ッ! 褒美に……………スクラップにしてあげる」

 

 

 己の激情を体現するかのように全身から灼熱の業火を噴き上がらせたヒートドーパントがイクシードに襲い掛かり、イクシードも彼女の迎撃に動き出す。

 

 

「響ッ!」

「バカ、行くんじゃねぇッ!」

 

 

 二人が戦っている間に響に駆け寄ろうとした未来だが、ヒートドーパントと一緒に来たメタルドーパントによって止められる。

 

 

「放してくださいッ! 響……………響が……………ッ!」

「あれを見てまだわかんねぇのかッ! 俺たちならまだしも、お前が触ったら火傷じゃ済まねぇぞッ!」

「響……………ッ! 響ぃ……………ッ!」

 

 

 なんとかして自分の腕を掴むメタルドーパントの手を振り解こうとするが、鋼鉄の肉体を持つ彼の力量は一般人である未来が到底抗えるものではない。

 

 抵抗するだけ無駄だと悟った未来は奥歯を噛み締め、今尚自分達の前で胸元を押さえて苦しむ響を見つめるしかできなかった。

 

 

「ハァッ!」

 

 

 業火を纏う左足の蹴り上げを避けたイクシードがウェル達に害が及ばないように視界に入った建物の屋上に移動しようとジャンプするが、その直後に胸元に光弾が直撃して撃ち落される。

 

 遠くから一瞬だけ見えた太陽光を反射する輝きから、先程自分を撃ったのが『引き金』の怪人だと悟った瞬間、背後から焼き尽くす炎のような殺気を感じる。防御しようにも、空中で光弾を受けたせいでバランスが崩れており、間に合わない。

 

 無防備な背中に地上から炎を噴き出して飛んできたヒートドーパントの直撃し、そこを起点に爆発が起き、全身から黒煙を立ち昇らせたイクシードが墜落する。だが、ヒートドーパントは猛攻をやめる気は更々無く、ドリル状になった炎を纏った右足で急降下キックを繰り出した。

 

 先程の倍以上の爆発が起き、火傷でもしてしまいそうな程の熱量を持った突風が吹き荒れる。

 

 

「仕留めたか……………?」

 

 

 襲い来る熱風から未来を護り抜いたメタルドーパントが先の爆発を見て思わずそう零すが、黒煙が晴れた先にあったのは――――――

 

 

「マジかよ……………」

 

 

 ヒートドーパントの右足を片手で受け止めている、イクシードの姿だった。

 

 ヒートドーパントからすれば最大最強の威力を込めた一撃だったのに、それを片手だけで受け止めたイクシードの姿に、ウェルは狂った笑い声を響かせる。

 

 

「ヒヒヒッ! どんなに強かろうと、ケアンはッ! イクシードはッ! その上を行くッ! そしてそしてぇッ!」

「「……………ッ!?」」

 

 

 首元になにかを押し当てられた調と切歌が飛び退く前に、ウェルは彼女達の首元に押し当てた装置に満たされた薬品を投与した。

 

 

「なにしやがるデスかッ!?」

「LiNKER……………ッ!?」

 

 

 体の奥から力が湧き上がる感覚に、先程ウェルが自分達に打ち込んだものが、ギア制御薬『LiNKER』であるとわかると、なぜ今打ち込むのかという疑問が浮かび上がる。

 

 マリアを含め、二課に所属する装者達と違って適合係数が低い自分達はLiNKER無しにシンフォギアを纏う事は難しい。だからこそ、時限式であるLiNKERを使用してのギア装着は、投与された薬品の効力が切れ次第解かれてしまう。だが、今はまだ効力が切れる時間ではないはずだ。

 

 

「効果時間にはまだ余裕がある。だからこその連続投与です。彼らに対抗するには、今以上の出力で捻じ伏せるしかありません。その為にはまず、無理矢理にでも適合係数を引き上げる必要があります」

 

 

 それがなにを意味するのか、わからない二人ではない。彼は歌えと言うのだ。装者の最強攻撃手段にして、代償に命を削る技を。

 

 

「でも、そんな事をすればオーバードーズによる負荷で……………」

「ふざけるなッ! なんであたし達があんたを助ける為にそんな事を――――――」

「するデスよッ! いいえ、せざるを得ないのでしょうッ! 貴女達が連帯感や仲間意識などで僕の救出に向かうとは到底考えられない事をッ! 大方、あのオバハンの容態が悪化したから、おっかなびっくり駆けつけたに違いありませんッ!」

 

 

 二人がこの場に来た理由を既に把握していたウェルは、二人に人差し指を向ける。

 

 

「病に侵されたナスターシャには、生化学者である僕の治療が不可欠。……………さぁ、自分の限界を超えた力で、私を助けてみたらどうですかッ!?」

 

 

 ウェルの言う事は正しい。彼がいなければナスターシャの治療は出来ない。そして、今のうちにケリをつけなければ、今もここに向かっているであろう二課の装者や仮面ライダー達が到着しかねない。

 

 

「……………やろう、切ちゃん。マムの所に、ドクターを連れ帰るのが、私達の使命だから……………ッ!」

「絶唱、デスか……………」

「そう……………ユー達歌っちゃえよッ! 適合係数がてっぺんに届く程、ギアからのバックファイアを軽減できる事は過去の臨床データが実証済みッ! だったらLiNKERぶっ込んだ今なら、絶唱歌い放題のやりたい放題ッ!」

「……………やらいでか、デスッ!」

 

 

 覚悟を決め、二人は揃って口を開く。

 

 

「「――――――Gatrandis babel ziggurat edenal」」

 

 

 周囲一帯に響き渡る歌声に、ウェルを除いた誰もが振り返る。

 

 

「まさか、この歌って……………絶唱ッ!?」

 

 

 絶え間なく続く胸の痛みさえ忘れて、彼女達が歌っているものに目を見開く響の前で、二人は禁断の詠唱を続けていく。

 

 

「「――――――Emustolronzen fine el baral zizzl」」

「駄目だよ……………ッ! LiNKER頼りの絶唱は、装者の命をボロボロにしてしまうんだッ!」

 

 

 必死にやめさせようと叫ぶも、二人からは詠唱をやめる気配が全く感じられない。

 

 

「女神ザババの絶唱二段構えッ! この場の見事な攻略法ッ! これさえあれば、こいつを持ち帰る事なんて……………ッ!」

 

 

 瞬間、二人の体を絶唱による負荷が襲い掛かる。今すぐに絶唱をやめなければ命に関わる、そう叫ぶ本能を無理矢理無視しながら、二人は強化された武装を展開する。

 

 

「シュルシャガナの絶唱は、無限軌道から繰り出される果てしなき斬撃。これで刻めなくとも、動きさえ封殺できれば……………ッ!」

「続き、刃の一閃で対象の魂を両断するのがイガリマの絶唱ッ! そこに、物質的な防御手段などありはしないッ!」

 

 

 両者が纏うギアの相性は他とは比べ物にならない程良い。それは、直撃さえすれば変身せずとも不死身の肉体を持つNEVERはおろか、これまで何度も輪廻転生を繰り返して生き続けてきたフィーネさえも葬る事が可能な攻撃手段。

 

 だが、その使用を望まない者が、ここにいる。

 

 

「――――――Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

 

 胸の痛みを堪え、響も絶唱を歌う。

 

 だが、二人の攻撃を迎え撃とうという考えのもと行っているものではない。彼女の目的は、他にある。

 

 

「……………ッ!? エネルギーレベルが絶唱発動まで高まらない……………ッ!?」

「減圧……………あッ!?」

 

 

 絶唱の発動に必要なエネルギーが足りず、展開されていた二人の武装が通常形態に戻される。

 

 

「セットッ! ハーモニスクッ!」

 

 

 茫然とする二人の前で、彼女達の分の負荷を肩代わりした響が全身にのしかかる重圧に呻き声を漏らす。

 

 

「なぜだ、立花響。彼女達の覚悟を否定するのか?」

 

 

 自ら負荷を背負ってまで、なぜ敵である二人を助けるのか。それを理解できないでいるイクシードの問いかけに、響は苦し紛れに答える。

 

 

「目の前で命が失われるのが、嫌だからッ! ただ、助けたいから、助けるんですッッ!!」

 

 

 両腕の武装を合体させた響が、右拳を天に掲げる。

 

 

「だから二人に、絶唱は使わせないッ! はあああああああッッ!!」

 

 

 響を中心に発生した虹色の竜巻が天を貫き、周りにいた者達は黙ってそれを見上げる事しか出来ないでいると、『フィーネ』を構成するメンバー達にナスターシャからの通信が入る。

 

 

『聞こえて、いますか……………? ドクターを連れて、急ぎ帰投しなさい』

 

 

 若干苦しそうに言っている事から、どうやらまた症状が悪化したらしい。ならば、今すぐに彼女のもとにウェルを連れて行かねばならない。だが、その前にやる事がある。

 

 

「立花響を排除する。三人分の負荷を抱えている今なら簡単に始末できる」

 

 

 ゾーンの瞬間移動能力を使用すれば、ヒートドーパントの妨害を受けずに立花響の命脈を絶てる。早速ゾーンメモリの力を発動しようとしたが、次の瞬間にはマリアに釘を刺されてしまう。

 

 

『駄目よ。今、そちらに複数の反応が検出されているわ。十中八九、二課に所属するメンバー達よ。わかったなら今すぐ帰ってきなさい』

「……………了解」

 

 

 単騎で彼らの迎撃をするなら不可能ではないが、ソロモンの杖で召喚したノイズを使役するしか出来ないウェルと、絶唱による負荷を抱えた調と切歌を護りながら戦うのは難しい。

 

 頭上に出現した飛行機に飛び乗る。調と切歌がウェルを連れて奥に消えていく中、変身を解いたケアンは、敵であるはずの二人を救った響の言葉を思い返す。

 

 

『目の前で命が失われるのが、嫌だからッ! ただ、助けたいから、助けるんですッッ!!』

(……………不可解だ。あれが人間の感情……………『心』というのか? 全くもって、理解が追い付かない)

 

 

 立花響という人間の在り方に対する感想を心中で述べ、ポツリと零す。

 

 

「実に、面白い」

 

 

 その時、ハッとなって思わず近くにあった鏡の前に立つ。だが、鏡を見ても、いつもの無感情な表情をした自分が自分を見つめ返すだけ。それを確認したケアンは、ならば意味は無いと鏡の自分から視線を外す。

 

 あの時、一瞬だけ『笑った(・ ・ ・)』ような気がしたのだが、気のせいだろうと考える事にし、マリア達のいるコックピットへと向かうのだった。

 

 彼らが去った後、響は遅れて到着した翼が貯水タンクを破壊した事で溢れ出した大量の水によってその体温を下げてから、二課の仮設本部へと搬送された。

 

 そして、そこで彼らを待ち受けていたフィーネからもたらされたのは、響の体が聖遺物(ガングニール)に蝕まれているという情報だった。

 





 前書きで暗い話を書きましたので、後書きは明るい(?)話をば。

 ゼロワンで遂にアークゼロが登場しましたね。変身音声に人間の悲鳴が流れて、黒い動物達のシルエットが現れるの、怖すぎじゃありません……………? それに本体のアークドライバーは実態を持たないので他者を乗っ取って変身させる。他ライダーの武器を自前で用意できる。脳波を用いてのハッキングなどの能力を備えておきながら強化形態が存在するかもしれないとかヤバすぎじゃないですかヤダー(アークドライバーゼロの機能の一部に空白領域があるから)。
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