仮面ライダーゼロツー、ついに登場ッ! 歴代ライダーと比べると大分シンプルな最強フォームですが、個人的にはかなりいいデザインだと思っています。初めてアークゼロに白星を挙げたライダーなので、今後どうストーリーが展開されていくか楽しみですッ!
ケアン達のいる部屋から退室したマリアが向かったのは、先のスカイタワー事件の折に拉致された未来が監禁されている部屋。一般人といえども、拉致監禁までしている以上、監視も果たさなければならない役目だと思い立って、この場に訪れたのだ。しかし、かといって特に話す事など無いし、マリアもマリアで、あのまま彼らのいる部屋に居続けるのは気まずいと感じたから、こう言ってはなんだが、彼らから離れる理由として、未来の監視は都合がよかったのだ。
「……………どうして、私を助けてくれたのですか?」
二人の間に流れていた沈黙は、それまでずっと黙っていた未来によって破られる。
未来がここにいる理由。それは先述したようにマリア達によって拉致されたのだが、ここではなぜそうなったか、という経緯を説明しよう。
早い話が、今にも崩れてしまいそうな展望デッキに一人残された彼女を見かねたマリアが、彼女を救ったのだ。初めは無関係の人物を助けるよりも、マリアとナスターシャを脱出させる事を最優先事項としていたケアンは未来を見捨てるべきだと提案したのだが、マリアはそれを無視して未来を助けた。この部分も、彼が先程、マリアを『世界を相手取るに相応しくない人間』と捉えた原因の一つである。
だが、これ以外にも、もう一つ別の理由がある。
「さぁ……………逆巻く炎にセレナを思い出したからかもね」
「セレナ?」
「マリアの死んだ妹ですよ」
マリアが答えるよりも先に、部屋に入ってきたウェルがそう答えると、辛い記憶を思い出させてしまったかと未来が目を伏せる。
「ドクター。この子を助けたのは私だけど、ここまで連行する事を指示したのは貴方よ。いったいなんの為に?」
「もちろん、今後の計画遂行の一環ですよ」
マリアは、ケアンに未来を救出させはしたが、飛行機に乗せる気は無かったのだ。安全な場所まで移動したら、そこで未来を解放するつもりだったのだが、その前にウェルから未来を連れてくるように頼まれたのである。言われるがままに連れてきたが、今になってマリアは嫌な予感を感じざるを得なくなっている。
「そんなに警戒しないでください。少しお話でもしませんか? きっと、貴女の力になってあげられますよ」
一方、ウェルは自分に警戒心を抱く未来を安心させるように優しげな声で話しかけていた。だが、その瞳の奥に宿る獰猛な野心に、未来は完全に警戒を解く気にはなれないでいた。
「――――――マリア……………どうしちゃったんだろう」
外に干していた洗濯物を取り込んでいる最中、調がポツリと漏らすと、彼女の手伝いをしていた切歌とケアンの視線が彼女に向けられる。
「え?」
「私は、マリアだからお手伝いがしたかった。フィーネだからじゃないよ」
ある日を境に音沙汰が無くなったが故に死んだと考えられていたオリジナルのフィーネが生きていた情報を得た時から、マリアが自分を偽っていた事は誰もが知っていた。当然、その情報を得る前は、自分達はマリアこそがフィーネだと信じて疑わなかったのだが、調はマリアが新たにフィーネの魂を宿した器だからという理由で、この組織へ入る事を承諾したわけではない。
いつだって優しい心を持って自分達に接してくれたマリアだからこそ、調は彼女の手助けを決意したのだ。
「う、うん……………そうデスとも」
そしてそれは、切歌も同じである。
「身寄りが無くて、泣いてばかりの私達に優しくしてくれたマリア……………。弱い人達の味方だったマリア……………なのに……………」
先程のマリアは、今までの彼女からは想像できない、武力での計画遂行を目指す事を宣言した。圧倒的な力で他者を捻じ伏せる方法など、彼女が認めるはずが無いのに。
「それが、戦いというものだ」
その時、哀しみと戸惑いなど感じさせない声色で、ケアンがそう言い切った。
「茨の道を進むのに、マリアの心は優しすぎる。あの場で優しさを捨てようとしたのは、もしかしたらよかったのかもしれない」
「……………どういう事? ケアン」
僅かな怒気を孕んだ声で訊ねる調に、ケアンは臆する事無く返す。
「根底に優しさが根付いているマリアが、あのまま中途半端な状態で人殺しをしてしまえば、その心は摩耗していく。今のうちに、優しさは捨てておくべきなのかもしれないな」
「そんなの、嫌……………。優しくないマリアなんて、嫌だよ……………」
「……………」
ぎゅっと拳を握る調をしばし無言で見つめたケアンは、自分の感じるままに言う。
「嫌なら嫌と、マリアが折れるまで言えばいい。それでも折れなければ、行動で示す事だな」
このまま二人が迷っていれば作業も滞るとばかりにせっせと洗濯物を取り込み、ケアンは機内に戻っていく。そんな彼の背中を、二人は黙って見送る事しかできなかった。
それからしばらくしないうちに、ナスターシャの口から、フロンティアの地へ向かうと語られた。
――――――海底を潜航する二課仮設本部に、ノイズ出現を報せるサイレンが鳴り響く。
各々の時間を過ごしていた装者、NEVER達が司令室に到着すると、彼らを待っていた弦十郎がノイズの出現地点を告げる。
「近辺の米国所属艦艇からの応援要請だッ! 到着次第、駆除してくれッ!」
「応援の準備にあたりますッ!」
いつ到着しても出撃可能になるよう、翼が退室していき、響も続こうとするも、クリスに止められてしまう。
「クリスちゃんッ!?」
「死ぬ気か、お前ッ! ここにいろって、な? お前はここからいなくなっちゃいけないんだからよ……………」
そう言うや否や、クリスは響を置いて司令室から出ていく。
「俺達も行くぞ」
リーダーの克己に従って、NEVER部隊も二人の後に続く。
「行きたい気持ちもわかるわ。だけど、ここはワタシ達に任せてちょうだい」
「ノイズが出たという事は、未来もそこにいるはず。絶対に取り戻してくるから、あんたはここで待ってなさい」
京水とレイカが響を安心させるように言い、先に行った克己達を追う。
「弦十郎君、ノイズの反応が検知された座標を教えてもらえる?」
一方、響の背後にいるフィーネは、ふと弦十郎にそんな事を訊ねている。なぜ座標が気になるのかと思いながらも、弦十郎はオペレーター達にノイズの位置座標を訊くと、答えはすぐに返ってきた。
「座標確認ッ! 東経135.72度、北緯21.37度ですッ!」
「……………ッ! そう、ついに本腰を上げてきたってわけね」
「どういう事だ?」
いつになく真剣な表情に言い知れぬ不安を覚えた弦十郎に、フィーネが答える。
「F.I.Sに在籍していた時、私はあるものが封印された場所を探していたの」
「あるもの、とは……………?」
「フロンティア。正式名称、
「フロンティア……………。もし、それが復活した場合は?」
「それが、わからないの……………。私は月破壊完遂の後に、私に従属した人類のみを救う箱舟として使う予定だったけど、あれは『あの御方』達が造り上げた星間航行船。私の知らない機能が含まれてないとは限らないわ。だけど……………」
碌な事にはならなそうね、と、フィーネは弦十郎と似た危機感を抱きながら言うのだった。
――――――飛行機内、コックピットにて。
「こんな事が、マリアの望んでいる事なの? 弱い人達を護る為に、本当に必要な事なの?」
世間に武装集団『フィーネ』の力を誇示する為のデモンストレーションとして繰り広げられる事となった、真下の海面に浮かんでいる米国艦隊の上でのノイズによる虐殺。これがマリアの望んだ事なのかと、調がマリアに訊ねていた。
その問いに、マリアは答えない。だが、その顔が、彼女がどんな感情を抱いている事くらい、彼女と長年過ごしてきた調にはお見通しだった。
「調ッ!? なにやってるデスかッ!?」
「マリアが苦しんでいるのなら……………私が助けてあげるんだッ!」
突如踵を返して走り出した親友に驚く切歌に振り返る事無く、調は飛行機から飛び降り、聖詠を口ずさむ。
「――――――Various shul shagana tron」
その身に纏うは、万物を切り裂く無限軌道に由来するシンフォギア。シュメールの戦神が振るう剣の片割れ――――――シュルシャガナ。
「ハァッ!」
展開したヘッドギアから射出された無数の丸鋸が前方にいるノイズの集団を一瞬で炭化させ、その間を走り抜けてながら次々と撃破し損ねたノイズを消滅させていく。だが、やはり数の差はそうそう埋められるものでもなく、ノイズの一体に背後を取られてしまう。
「あ……………ッ!」
「とうッ!」
しかし、ノイズの攻撃よりも先に、調に続いてイガリマのシンフォギアを纏った切歌の鎌が、ノイズを切り裂いた。
「切ちゃん、ありがとうッ!」
「どういたしましてデスよッ!」
この惨劇に、マリアがなにも思うはずが無い。そして、それを止めたいと思うのは、調だけではないのだ。
「一緒に止めるデスよ、調ッ!」
「うん、行こうッ!」
ノイズはまだまだいる。今も炭化の危機にある人々はいるのだ。米国政府所属というのが気に食わないが、彼らを見殺しにしては目覚めが悪い。
今度はタッグでノイズの掃討に当たる二人。流石に長年共に過ごしてきただけあって、そのコンビネーションにノイズがつけ入る隙など無く、二人の殺意マシマシの攻撃によって、ノイズの数はどんどん削られていった。
あと少しで自分達のいる甲板のノイズを全滅に追い込める状況になったその時、海面から複数の影が飛び出してくる。
飛び出してきたのは、翼とクリス、そしてエターナルだ。ドーパント達は他の艦に出現しているノイズの駆除に当たってもらっており、調達がいる艦のノイズ掃討を担当する事になったのが、この三人なのである。
「あ、お前らッ!」
甲板に着地するや否や、クリスは自分達を見つめる調達の存在に気付いて彼女達にずかずかと歩み寄る。
「おい、ウェルの野郎はここにいないのかッ!? ソロモンの杖を使うあいつはどこにいやがるッ!」
この場にノイズが現れた原因など、任意でノイズを召喚できるソロモンの杖を所有するウェル以外あり得ない。今すぐにでも彼からソロモンの杖を取り上げたい気持ちなクリスが調に掴みかかろうとするが、上空からなにかが落ちてくる気配を感じて飛び退く。
先程までクリスのいた場所に着地したのは、イクシード。
「ケアン……………」
「ウェルからの指示を受けた。特異災害対策機動部二課、お前達は我々の計画に邪魔だ。今度こそ、排除する」
「それはこっちのセリフだ、イクシード」
翼とクリスの前に進み出たエターナルが、イクシードにエターナルエッジを突き付ける。
「お前達はあの二人を確保しろ。こいつの相手は俺だ」
「頼む、大道」
「任せたぞ」
軽く頷いたエターナルが構えを取ると、イクシードも同様に構えを取る。
そして一瞬の間を置いて、二人の仮面ライダーは今度こそ相手を叩き潰すという気迫と共に攻撃を繰り出した。
「――――――始まったようですね」
甲板上で繰り広げられる装者と仮面ライダーとの戦いに気付いたウェルが、飛行機に備え付けられたカメラを操作してモニターに彼らの姿を映し出す。
翼の斬撃を受け止めた切歌が押し返すと同時に翼を蹴り飛ばた背後では、調が放った丸鋸の雨を躱しながらクリスが両手のクロスボウから矢を撃ち続けている。戦況的には、LiNKER無しでギアを装着できる二課側が優勢だが、彼女達から離れた場所で繰り広げられるエターナルとイクシードの戦いは、彼女達の比ではない。
装者達の一手が、彼らにとっての三手であると言える程の速度で行われる攻防戦。個の実力ならば進化し続けるイクシードが上だが、いったいどんなトレーニングをしたのか、エターナルはそんなイクシードに食らいついている。
しかし、それでもイクシードの進化の速度に追いつけるはずもなく、ゆっくりとだがイクシードに押され始めているのが見て取れる。如何に複数のガイアメモリを所有しているとはいえ、イクシードはそれすら凌駕する速度で成長しているのだ。
装者同士の戦いは二課が、仮面ライダー同士の戦いは『
「ドクター、なにを……………。……………ッ! まさか、あれをッ!?」
現在は休んでいるナスターシャに代わって操縦桿を握っていたマリアが、操縦席に備え付けられた端末を操作し始めたウェルに目を見開く。
「念には念を、というものです。しかし、ただでは終わらせません。できるだけドラマティックに、できるだけロマンティックに……………ッ!」
端末を操作するウェルの顔には、狂気の笑みが張り付いていた。
――――――飛行機から一人の人影が落ちる。全身を風に打たれるも、まるで意に介さずに落ち続けるその人影は、誰も知らない、
「――――――Rei shen shou jing rei zizzl」
その身に輝きを纏って、人影が甲板に落ちてくる。それに気づいた装者達と仮面ライダー達が、人影が落ちてきた方向に視線を投げる。
「なに……………ッ!?」
「な、なんデスッ!?」
「新手かッ!?」
「マリア……………いや、違うッ!」
立ち昇る黒煙を払って現れたのは、一人の少女。紫色のギアを纏った、彼女は、頭部に装着されたバイザーを開いて、自分を見つめる彼らを見つめ返す。いや、今の彼女に、彼らの姿は見えているのだろうか。一切の感情が存在しない空虚な瞳は、まるで虚空を見つめているかのよう。
「馬鹿な、こんな事が……………ッ!」
「なんで、そんなカッコしてんだよ……………ッ!」
「おおおおおおおおおおおおッ!」
友人であったはずの二人の少女に向けて、獣の如き咆哮を轟かせる彼女は――――――未来だった。
令和二代目仮面ライダーの情報が公開されましたね。仮面ライダーセイバー……………フォームチェンジ(?)がダブルのフォームチェンジに似ていると思いましたね。決め台詞の『物語の結末は、俺が決めるッ!』はエグゼイドをイメージしているのでしょうか? とにかく、九月が楽しみですねッ!
そして次回、響に異変が起こるッ! 次回もお楽しみにッ!