アンケート回答、ありがとうございますッ! アンケートの結果、GX編に登場させてほしいという意見が多かったので、W達はGX編に登場させますッ!
Wの時系列は『仮面ライダーエターナル』終了後ですので、翔太郎達は風都を襲う前のNEVERの過去を知っています。また、『風都探偵』開始前なので、ときめや敵組織の幹部達は登場させません。しかし、『風都探偵』で新たに登場した形態や必殺技は使用していきたいなと考えています。
そういえばシンフォギアXDUの新イベントに登場する並行世界の切ちゃん、アンドロイドのようですね。調は科学者らしいので、彼女が作ったのでしょうか? そうなると、既にその世界の切ちゃんは亡くなっているのか、または調がそういったものなしに作り上げたものなのか…………。楽しみですねぇ。
それでは、本編どうぞッ!
ナスターシャの尽力によって、世界各地の映像画面にマリアの姿が生中継で映し出される。
「私は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。月の落下がもたらす災厄を最小限に抑える為、フィーネの名を騙った者だ」
突然の生中継。しかも映し出されているのが、少し前に風鳴翼とのライブで世界に宣戦布告した人物とくれば、これを無視できる人間など誰一人おらず、この星に生きる誰もが、彼女の口からなにが語られるのか、と耳を傾ける。
「半年前のルナアタック……………これを端に発する月の公転軌道の異常は、とある存在によって隠蔽されてきた。それは米国・国家安全保障局とパヴァリアの光明結社」
全世界に発信されるマリアの演説。開口一番に告げられた『月の公転軌道の異常の隠蔽』は、今まで月が落ちてくるのは当分先の未来と考えていた者達を驚愕させるに値していた。
驚く彼らの視線の先にある画面で、マリアはさらに言葉を重ねていく。
米国政府やパヴァリア光明結社を始めとした、政界・財界の一角を占有する特権階級にとって、月の異常は極めて不都合であり、不利益をもたらす事態でもある。故に彼らは自らの保身に走った。
しかし、それで月の異常がどうこうできるというわけではない。
今も、月は落ちてこようとしている。これが落ちれば未曽有の災害となり、多くの犠牲者が出るだろう。マリアは自分……………否、自分達はこれを阻止したいと伝え、また、その為にはこの星に生きる全ての者達の力が必要とも伝えた。
「目的があったにせよ、私達がテロという手段を取り、世間を騒がせ、混乱の種を蒔いたのは確かだ。全てを偽ってきた私の言葉がどれほど届くか、自信は無い……………。だが、歌が力になるという、この事実だけは信じてほしいッ!」
冗談でも比喩でもなく、正真正銘、歌には力が……………フォニックゲインがある。全人類が歌う、全世界を震わせる歌があれば、月の公転軌道を本来のものに戻せるのだ。
テロリストの自分の言葉に、いったい誰が賛同してくれようか。だが、きっと応えてくれるはずだと信じ、マリアは胸のペンダントを握る。
「――――――Granzizel bilfen gungnir zizzl」
その身に纏うは、裂槍。全てを貫く無双の一振り。
「私一人の力では、落下する月を受け止めきれない……………ッ! だから、貸してほしい……………。みんなの歌を届けてほしいッ!」
ウェルの企みを成功させるわけにはいかない。
全てはより良き明日の為に。ただその為に、マリアは歌う――――――
――――――振り下ろされた巨大化した剣が、目の前のノイズを両断する。
剣を振り終えた翼を狙って、もう一体のノイズが攻撃を仕掛けようとするも、クリスとトリガードーパントの攻撃によってハチの巣にされ、翼への攻撃は叶わずに炭化して消滅する。
「すまない、助かったッ!」
「へッ! お互い様だッ!」
踏み下ろされる右足を左右に跳んで躱したクリスとトリガードーパントが、再びノイズに無数の風穴を開けて消滅させる。
着地したクリスは翼と背中を預け合うような形でノイズと対峙する。
「……………すまねぇな」
「なに?」
「これは全部、あたしがソロモンの杖を起動させたからこそだ。あの時、あたしがソロモンの杖を起動させなければ、こんな事にはならなかったのに……………」
それは、過去にクリスが犯した罪。
この世から争いを無くす為だ、とフィーネに言われるがままにソロモンの杖を起動させた結果、多くの人間が命を落とした。それを実行したのはフィーネとはいえ、クリス自身にもそれらの事件を引き起こす要因となったソロモンの杖を起動させたという罪がある。
本来であれば、この十字架は自分が背負うはずのもので、それは誰にも譲れないものだったのだ。
「……………確かに、ソロモンの杖が起動したが故に、多くの人命が失われた。それは、決して忘れてはならない事だし、事の発端が雪音や櫻井女史と知れば、亡くなった者達の遺族は、お前達を責め立てるだろう。だが……………」
「……………?」
「だからといって、その罪を自分のみで背負おうとするな」
ハッとして、クリスは思わず剣を構え直す翼を見る。
「私達は仲間だ。全部とは言わない。少しだけでも、雪音の罪を背負わせてくれないか?」
「……………汚れ仕事は、居場所の無い奴がこなすってのが相場だ」
「なぁに言ってんのよこの馬鹿ちんがッ!」
「あうッ!?」
ノイズの股の下を通って伸びてきた腕が、クリスの頭を引っ叩く。叩いてきた相手は当然、ルナドーパントである。
「子どもがそういう事言うんじゃないわよッ! 汚れ仕事をやるってんなら、それはワタシ達の仕事よッ!」
「ここで一番人を危険な目に遭わせてきたのが自分だと思ったら思い違いよ。私達の方が、あんたの何倍も人を危険な目に遭わせてるし、その大半は殺してるわ」
ルナドーパントとヒートドーパントが口々にそう言う。
「しかもな、俺達には自分達で殺した奴らに対する申し訳なさってのが無ぇんだよッ! その点、お前はまだまだマシだぜ、クリスッ!」
「俺達のやってきた事は誇れるものではない。だが、俺達はそうして生きてきた」
同僚の言葉に、メタルドーパントとトリガードーパントも続く。
「あんた、さっき『居場所が無い』とか言ってたけど、あんたにはあるじゃない。あんたの居場所が」
「そんなの……………」
「あるさ、雪音」
そんなのあるわけない、と言いかけたクリスの口が、翼の言葉によって止まる。
「たとえ、お前が一人で贖罪を果たそうと『
「……………ッ!」
「お前がどんなに拒絶しようと、私達はお前のやりたい事に手を貸してやる。それが、片翼では飛べぬ事を知る私の……………先輩と風を吹かせる者の果たすべき使命だッ!」
かつて、奏と共に在った頃の自分がそうだったように、クリスが成し遂げたい事は、彼女の周りにいる自分達が手助けするのだ。
その決意に、偽りは無い。
「だから、もう二度と、一人で無茶をするなッ!」
翼の全身から緑色の風が吹き荒れ、彼女の体を覆う鎧が変化していく。
白と緑の羽織を翻し、後ろに束ねた髪の毛を靡かせ、腰に一本の野太刀を差したその姿は、まさしく剣士。
プリズムドーパントと化した未来を取り戻すべく戦った響と同様、翼もまた、彼女の身に宿る『疾風』の記憶を覚醒させたのだ。
「初手より奥義にて仕る」
抜刀した野太刀に、緑色の風が纏わせる。
「翠の風よ――――――我らの道を拓けッ!」
吹き荒れる旋風。刀身に巻き付いていた暴風は、斬撃と相まって最早竜巻と呼んでも差し支えない威力を以てして、ただ佇む事しか出来ぬ巨人達を呑み込む。
風が止んだ先にあるのは、直線状に抉れた大地。それが、一人の少女の一閃が作り上げたものだと、いったい誰が信じようか。
見事なり。これぞ疾風の力を覚醒させた女剣士の一閃――――――『翠ノ疾閃』ッ!
「行くぞ、雪音。お前の背、私が後押ししてやる」
「……………へッ! 頼むぜ、風鳴先輩ッ!」
クリスが飛び出してノイズを撃ち抜いている間、翼はクリスどころか、離れた場所で戦っているドーパント達に近づきつつあるノイズさえも、突風の斬撃で斬り裂き続けた。
「――――――ふんっ、あそこまで抵抗されては嫌気が差しますね」
大量の大型ノイズを相手に奮戦する装者とドーパント達の様子を遠巻きに観察していたウェルは、彼らの奮闘ぶりに感心するが、まるで押されている様子を見せない事に苛立ちを感じていた。
それもそのはずで、長年を傭兵として過ごしていたNEVERの四人は当然として、翼とクリスもギアの扱いに優れているのだ。如何に相手が多かろうと、所詮はノイズ。数では上回っていても、彼らの敵ではないのだ。
加え、今の翼はサイクロンメモリの力を覚醒させた状態にあるのだ。あれ程の数の差があったとしても、ものの数分で片付けられてしまうだろう。
「ですが、これはどうですかね? ヒヒヒ……………ッ!」
抵抗はこれまで、と気味の悪い笑顔と共に、ウェルはポケットから取り出した装置を操作してから、ソロモンの杖から一筋の光を迸らせた。
――――――なにかが弾けるような音と共に、翼の足元にあっという間に赤い霧が充満する。
「これは……………ッ!?」
この赤い霧には見覚えがある。以前、『フィーネ』のアジトに侵入した際に見たものと同じ。
(Anti_LiNKERか……………ッ!)
野太刀を地面に突き立てて風を発生させて霧を霧散させるが、驚いた拍子に吸い込んでしまったのか、ギアが重くなってしまう。
さらに、この赤い霧は自分のいる場所のみで発生したわけではなく、自分と同様苦しそうに膝をつくクリスがいる場所にも赤い霧が発生している事から、大分広い範囲に設置されていたようだ。
幸い、自分達の周りにいるノイズはそう多くないし、赤い霧の正体に気付いたドーパント達が、その影響を受けている自分とクリスに走り寄ってきている。
「なに……………ッ!?」
だがその瞬間、新たに一体のノイズが姿を現した。
初めて『フィーネ』と対決したあのライブ会場に現れたノイズ――――――
「く……………ッ!」
咄嗟に太刀を振るって斬り裂くも、切断された欠片が新たな
前回はS2CAトライバーストでなんとか消滅まで追い込めたが、ここに響はいないし、絶唱を使おうにも適合率が絶唱が可能になるまで高まっていない。
では、この状態での斬撃はどうか。否、鎌鼬で切り裂く事は出来ても、完全に消滅させるまでには至らないし、先の技を使おうにも、あれは絶唱と同レベルの威力を持つが故に、再使用まで時間がかかる技だ。
ドーパント達も奮戦はしてくれているが、彼らの力で
万事休すかと思われた、その時だった。
「――――――貴女達もまだまだね」
どこからともなく飛んできた凄まじいエネルギーの塊が
吹き荒れる爆風に思わず片腕で顔を庇い、うっすらと瞼を開けて見ると、そこに先程までいたはずの
「でもまぁ、あそこまでの力を引き出せたのは素晴らしかったわよ、翼ちゃん」
「櫻井女子ッ! それに……………」
「俺達もいるぞ」
「ついでに言えば僕もいます」
弦十郎と緒川を連れた、ネフシュタンの鎧を装備したフィーネがそこにいた。
「おい、フィーネ。お前はともかく、なんでおっさん達を連れてきたんだよッ! またノイズが現れたら……………」
「なに言ってるのよ。この二人がそう簡単にやられるとでも思って?」
「俺は畳返しでノイズの攻撃を防ぐぞッ!」
「変わり身の術で躱します」
「そうだった、こいつらまともな人間じゃなかった……………」
ワハハと笑う弦十郎と、彼に肩を組まれて苦笑する緒川を見て、彼らを常人と一緒に考えてはいけないと思い知らされる。
「仮に危なくなっても私が助けるから、安心しなさい。この二人に限って、そんな事は無いと思うけど」
「ですが、どうしてここに?」
「ウェル博士の確保だ。調君達から、彼に暴走の疑いがあると考えたんだ。英雄願望があるようだが、それが歪んだ形で叶えられては恐ろしい事になる。だから俺達が出てきたというわけだ。了子君は護衛としてついてきてくれたんだ」
「護衛につかなかったから貴方達が死んだってなったら夢見が悪いのよ。……………さて」
ふと、フィーネの視線があらぬ方向へと向けられる。
「足止めのつもりだっただろうけど、それももう意味を成さないわね。ソロモンの杖、返してもらうわよ」
自分の出現に動揺が隠せないであろう男に向け、フィーネは右手に握っていた鞭を向かわせた。
「――――――ひぃッ!?」
真横の地面を穿った鞭に情けない悲鳴を上げたウェルが、思わずソロモンの杖を手放してしまい、フィーネが鞭を引き戻すと同時、鞭の左右に伸びている棘でソロモンの杖を引っ掛けて取り上げていってしまう。
「化け物め……………付き合ってられるかッ! こうなったら……………ッ!」
ソロモンの杖を失ったのは痛手だが、取り返しに行くのは無謀に過ぎる。
悔しさに歯軋りしながら、ウェルはその場を後にした。
「――――――回収完了。これで一安心ね」
ソロモンの杖を手にしたフィーネに、その場にいた全員が呆気に取られる。まさか、あの一瞬でソロモンの杖を手に入れるとは思えなかったのだ。
それもそのはずで、フィーネの得物はやろうと思えば地球上から月まで届く攻撃範囲に、たった数秒で月まで到達する速度を兼ね備えているのだ。この程度の距離など、問題にもならない。
「さ、回収するものも回収したし、行きましょう? ソロモンの杖を奪われたウェルが行くとすれば、フロンティアを操作できるブリッジだろうし」
「お、おう、そうだな」
破壊を免れたバギーとバイクにそれぞれが乗り込み、ブリッジへと向かっていく。
「……………」
「……………? どうしたの? クリス」
ピンチを切り抜けて、ソロモンの杖の回収という目的も果たせたというのに、どこかやるせない表情を浮かべているクリスを見かねたフィーネが声をかけると、「いや……………」とクリスが返す。
「フィーネはなんとも思わねぇのか? ソロモンの杖でたくさん人様に迷惑かけてきたあたし達が、こんな奴らと一緒にいていいのかって……………」
「……………確かに、貴女がそう思うのも仕方ないかもね」
優しげな声で、フィーネはそう返す。
「これまで多くの罪を重ねてきた私達に、二課での居場所は無い。貴女はそう考えているようだけど、それは間違いだと、私は思うわよ?」
「え?」
「考えてみなさい。そこにいる我らがリーダーが、そんな事気にする人間だと思う?」
自分達の前に座る弦十郎を指差して困ったような笑みを浮かべるフィーネに、あっとなるクリス。
そういえばこの男は、かつて人殺しをし続けてきた克己達やフィーネをあっさりと仲間として受け入れている。この男相手に、そんな事を言ったとしても、「だからどうした?」と首を傾げるだろう。
「弦十郎君は余程の事じゃない限り、相手の過去とか一切気にしない人間よ。それに、この人だけじゃなく、翼ちゃんやこの場にいない響ちゃん……………二課の誰だって、私達を仲間として受け入れてくれてるわ。だから、そういうのはあまり気にしなくてもいいんじゃない?」
「そうだぞ、クリス君。誰にだって、辛い過去や思い出したくない記憶はあるものだ。それを気にしてばっかじゃ、この先やっていけないぞ?」
そこで、弦十郎が口を開く。どうやら、今まで黙って二人の会話を聞いていたようだ。
「あら、レディーの会話を盗み聞きなんていい趣味してるじゃない」
「それは理不尽じゃないか? 真後ろで話してたら聞こえるのは当然だろう? それに、惚れた女が俺の名を出したんだ。聞かない方がおかしい」
「……………ッ! い、言ってくれるじゃない……………。……………ほら、クリス、この男は数千年も悪者やってきた私でさえ、こんな事を言う人間よ。……………馬鹿」
「ハッハッハ」
「はいはい惚気惚気」
真っ赤な顔でバシバシと弦十郎の頭を叩くフィーネと、楽しそうに笑う弦十郎のやり取りに呆れたように遠くを見る。
今でこそ惚気て二人だけの世界に浸っているが、フィーネの言う通り、弦十郎は自分達を二課から追い出そうとはしないだろう。彼の性格は、これまでの生活や態度からある程度把握しているつもりだ。
そしてそれは、彼の弟子である
過ぎ去った過去よりも、これから先の未来でどうするかが大切。そう彼らは考えている事だろう。
嫌うでもなく、避けるでもなく、純粋に『仲間』として認識してくれている。それが、とても嬉しい。
(まったく、どうかしていやがる……………。だからこいつらの傍はどうしようもなく……………あたしの帰る場所なんだな)
我知らず笑みを零し、クリスはそう思わざるを得なかった。
今回登場した翼風刃の強化形態のイラストです。
【挿絵表示】
W側だとサイクロンメモリを使っているのが自分を『悪魔』と呼んだフィリップなので、悪魔で剣士なキャラを模索して、DMCのバージルのようなデザインにしたいなと思ったのですが、洋風なあちらと比べて翼は完全和風な娘なので、和風デザインに仕上げました。
落書きの域を出ないですが、やはり絵を描くのは楽しいですねぇ。今後は他の装者達のも描いていくので、デザインで頭を悩ませる事になりますが、その分楽しみです。
それでは皆さん、また次回ッ!