死神に鎮魂歌を   作:seven74

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 ゼロワン、遂に最終回を迎えましたね。今までとは違う最終回だ、と聞かされていたのですが、終わり方は仮面ライダーエデンの登場の仕方からちょっとディケイドっぽいなと思いましたね。ですが敵対していた組織と共存するのはあまり見られない方だったので、よかったのではないかと考えます。前例があるとしたらキバでしょうか?

 そして次はセイバーッ! セイバーは今までの仮面ライダーにはなかった、ダンスEDを取り入れるらしいので、そちら込みでも楽しみですね。

 それでは本編、どうぞッ!



彼方(フロンティア)へ至る者

 

 

 人々が応えてくれる事を祈って、決死の覚悟で歌ったマリアに、制御室にいるナスターシャからの通信が届く。

 

 

『月の遺跡は依然沈黙……………。フォニックゲインが足りません……………ッ!』

「そんな……………」

 

 

 告げられた報告の内容にショックを受け、その場に跪く。

 

 

「セレナが助けてくれた命で、誰かの命も救ってみせると決意したのに……………。私には、セレナの死に報いる資格すら無いというの……………? セレナ……………ッ!」

 

 

 自らの無力に絶望し、涙を流すマリア。

 

 その姿は、全世界の人々の心に様々な感情を芽生えさせ、その大多数に含まれるとある三人の少女達は、その姿に、あの人助けを趣味とする友人の姿を重ねていた。

 

 

『……………マリア。もう一度、月遺跡の再起動を』

「無理よッ! 私の歌で世界を救うなんて……………ッ!」

『マリアッ! 月の落下を食い止める、最後のチャンスなのですよッ!』

 

 

 その時、フィーネにソロモンの杖を奪われたウェルが昇降盤に乗ってブリッジに戻ってきた。

 

 

「月が落ちなきゃ、好き勝手出来ないだろうがッ!」

 

 

 血走った目で叫んだウェルが、完全に無防備な状態のマリアを殴り飛ばす。

 

 

『マリアッ!』

「あ? やっぱりオバハンか……………」

『お聞きなさい、ドクター・ウェルッ!』

 

 

 ナスターシャの声を聴きながら、ウェルは邪悪な笑顔のままコンソールを操作し始める。

 

 その間にも、ナスターシャはウェルに今の自分達の目的を話し続けている。

 

 

『フロンティアの機能を使って集束したフォニックゲインを月へと照射し、バラルの呪詛を司る遺跡を再起動できれば、月を元の軌道に戻せるのですッ!』

 

 

 しかし、ナスターシャの目的は、月の落下を盾に世界の英雄になる事を目標として掲げているウェルにとっては、邪魔以外の何物でもない。

 

 

「そんなに遺跡を動かしたいのなら……………」

 

 

 英雄(じぶん)の支配を拒む者など、この男の創造する世界に必要無し。

 

 

「あんたが月に行ってくればいいだろうッ!」

 

 

 なんと、ウェルはコンソールを操作し、ナスターシャのいる制御室をフロンティアから切り離し、宇宙に打ち出すのだった。

 

 

「有史以来、数多の英雄が人類支配を成せなかったのは、人の数がその手に余るからだッ! だったら、支配可能なまでに減らせばいいッ! 僕だからこそ気付いた必勝法ッ! 英雄に憧れる僕が、英雄を超えてみせる……………ッ! ふへははは……………うわはははははあぼげぇッ!?」

 

 

 邪魔者を排除した事でウェルが上げた笑い声が、殴られた際に上げる声に変わる。

 

 

「……………ッ! ケアンッ!」

 

 

 ナスターシャからの願いを託されたケアンが、ブリッジに到着したのだ。

 

 

「な、なぜだぁ……………ッ! なんで、僕の邪魔をするッ!」

 

 

 ナスターシャによる再起動時に、ケアンに課された役割は、『月の落下を阻止』という計画の達成。ならば、自分が生きている限り、月の落下を阻止は約束されている自分の下につくべきだろう、と考えるウェルだが、ケアンはそれに首を横に振って返した。

 

 

「マムからの要望だ。自由な世界を築く為、お前を止める」

 

 

 誰もが笑っていられる世界を、この独裁者が創れるはずが無い。ナスターシャが制御室ごと打ち上げられた事は、先程のウェルの言葉から理解できている。

 

 この男に、人類の未来は任せてられない。

 

 

「ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。これから先の未来に、貴様は不要だ」

「道具の分際でぇ……………人間様に逆らうんじゃあないッ!」

 

 

 この地球の支配者と言っても過言ではない人類に逆らう存在。しかも、それが人間ではないロボットだという事に、ウェルの怒りが有頂天に達する。

 

 ケアンは確実にウェルを取り押さえるべく、ラックドライバーを装着している。ネフィリムの細胞を取り込んだ左腕を以てしても抵抗出来ないように、やりすぎと言える手段で取り押さえるつもりなのだろう。だが、それをウェル自身が認めるはずが無い。

 

 

「お前はッ! この僕の従順な道具のままでいればいいんだあああああッッ!!」

 

 

 ウェルが懐から取り出したのは、かつて倉庫でケアンが殲滅した米軍兵士が持っていた装置。ケアンの戦闘力が高すぎた為、それがどのような機能を持っていたかは不明だったそれが、遂にその機能を発揮する。

 

 

「ぐぅ……………ッ!? な……………にぃ……………ッ!?」

 

 

 突然ケアンが苦悶の表情を浮かべ、ラックドライバーから全身にかけて電流が走る。それに耐えながらもケアンは震える右手に持ったT3イクシードメモリのスイッチを押そうとするが、それを阻止するかのように電流の威力が増し、ガイアメモリを落としてしまう。

 

 

「ぐ……………おッ! おおおおおおお……………ッ!」

「ケアンッ! 貴様、ケアンになにをッ!」

「決まってるだろうがッ! このガラクタを本来の、人類に従属する機械に戻してやるんですよッ!」

「ウェ、ル……………ッ! キさ……………マぁ……………ッ!」

 

 

 ケアンが頭を押さえて悶え始める。

 

 ウェルが使用したのは、度重なる戦闘でデータを蓄積したケアンを回収し、米国の兵器として運用すべく開発された装置である。さらにウェルが改造した事で、それはラックドライバーを経由する事で、あらゆるファイアウォールによる妨害を受け付けない特性を獲得し、ケアンにとっての命と言っても過言ではないエネルギーコアに働きかけるものとなっている。それにケアンが抵抗する手段など一つ足りとも存在しない。故に、現在装置の所有者であるウェルによって、ケアンは今も現在進行形で、彼の行動原理を『ドクター・ウェルを護り、彼の計画完遂の手助けをする』というものに書き換えられてしまっているのだ。 

 

 初対面の時こそ嫌っていたものの、今では仲間として思い入れのあるマリアは、ケアンが苦しむ姿が見ていられずにウェルを睨む。

 

 

「おのれ……………ッ!」

「手にかけるのかッ!? この僕を殺す事は、全人類を殺す事だぞッ!」

「殺すッ!」

「ひゃあああああッ!?」

 

 

 恩人であるナスターシャを宇宙に打ち上げたにも飽き足らず、心を学びたがっていたケアンを、まだ兵器だった頃の彼に戻そうとするウェルに対するマリアの怒りは凄まじく、それを人類の救済より優先して槍を取ったマリアに、ウェルは驚愕と恐怖の叫び声を上げる。

 

 

「駄目ッ!」

 

 

 しかし、そこへ乱入する者達の姿があった。

 

 外部から飛び込んできたバイクに跨るエターナルと、立花響である。さらにそこへ、調と切歌も続く。

 

 

「マリアッ!」

「やりすぎは駄目デスッ!」

 

 

 ウェルとマリアの頭上を飛んで着地したバイクから降りた響と、調と切歌がマリアの前に立ち塞がる。

 

 

「調、切歌……………。……………そこを退いてッ! 私は、そいつを殺さなきゃ気が済まないッ!」

「駄目だよそんなのッ! 人を殺したら、もう後戻りできなくなるッ!」

「黙れ、融合症例第一号ッ!」

「違うッ! 私は立花響、十六歳ッ! 融合症例なんかじゃないッ! ただの立花響が、マリアさんとお話ししたくてここに来てるッ!」

 

 

 戦う力を失っている響は、最早二課の装者ではない。故に、今の響は、『立花響』という名を持った一人の人間として、マリアを止めるべく現れたのだ。

 

 

「お前と話す必要は無いッ! マムがこの男に殺され、ケアンも記憶を奪われかけているのだッ! その罪は、命を以て償ってもらうッ! 世界を護れないのなら……………私も生きる意味は無いッ!」

 

 

 復讐と憤怒に燃えるマリアは、響の言葉を無視して、彼女ごとウェルを貫こうとする。調と切歌はそれを止めようと動き出すも、間に合わない。

 

 しかし、響はそれに対し――――――

 

 

「お前……………ッ!?」

 

 

 片手で、槍の穂先を掴み取った。

 

 

「意味なんて、後から探せばいいじゃないですかッ! だから……………生きるのを諦めないでッ!」

 

 

 死にかけた自分を救った少女の叫びを口にした響は、聖詠(・ ・)を歌う。

 

 

「――――――Balwisyall Nescell gungnir tron

「きゃあッ!?」

 

 

 響から眩い輝きが放たれ、マリアが吹き飛ばされる。その身に、ガングニールの鎧は無い。

 

 

「なにが起きているのッ!? こんな事って、あり得ない……………。融合者は適合者ではないはず……………ッ!」

 

 

 周囲に舞う光輝く粒子のようなものを見渡し、まさかと響を見る。

 

 

「これは……………貴女の歌? 胸の歌がしてみせた事? 貴女の歌ってなにッ!? なんなのッ!?」

 

 

 マリアが叫ぶ。

 

 (かのじょ)の歌は、全てを貫き通す意志こそ自分と同じだが、自分と根本から違うなにかを感じる。

 

 マリアの問いかけに、響は心ハートの全てを以て答える。

 

 

 

「撃槍――――――ガングニールだあああああああああああああああッッッ!!!」

 

 

 

 それは、撃槍。人々の想いを繋ぐ、絆の力。

 

 何度窮地に立たされても立ち上がり続けてきた気合と根性で、マリアの烈槍は撃槍と変化し、響に力を貸したのだ。

 

 

「ガングニールに、適合だと……………ッ!」

 

 

 失われたはずの力を再び意志の力で再び取り戻した響の姿に唖然とするマリア。

 

 

「馬鹿な……………ッ! 意志一つで、聖遺物を適合させたというのか……………ッ!」

 

 

 そして、その動揺を抱くのはウェルも同じ。あまりにもとんでもないやり方でガングニールを装備した響に恐怖するウェルだが、その隙にエターナルによって取り押さえられる。

 

 

「観念するんだな、ドクター・ウェル。お前の野望もここまでだ」

「……………ふひ、ふひひひひひ……………ッ!」

「……………? なにがおかしい」

 

 

 常人では抗う事すら不可能な腕力で取り押さえられたにも関わらず、気味の悪い笑い声を漏らすウェルを訝しむエターナルを横目で見て、ウェルは告げる。

 

 

「――――――最強の兵器の完成ですよ」

 

 

 瞬間、全身に圧し掛かるような重圧を感じたエターナルは、ほぼ無意識にそれを感じた方角へエターナルエッジを投げる。

 

 しかし、それは標的の胸に突き刺さる前に、片手で掴み取られてしまう。

 

 

「ケアン……………」

 

 

 先程まで苦しんでいたのが嘘だと思わせられる程の無表情で立つケアンに、マリアは彼が無事な事に安堵しかけるも、それは次の瞬間には思い違いであると気づかされる。

 

 

「……………ッ! マリアさんッ!」

 

 

 咄嗟にマリアの前に出た響が拳を振るうと、カァンッと甲高い音がブリッジ内に響き渡る。

 

 ケアンが、先程掴み取ったエターナルエッジを、マリア目掛けて投擲してきたのだ。

 

 

「そんな、どうして……………ッ!?」

「決まってるでしょう? 完成したんですよ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ッ! 本当の彼が(・ ・ ・ ・ ・)ッ!」

 

 

 あらゆる感情の介在を許さず、あらゆる躊躇を是としない。マリア達の存在によって壊された、本来のケアン・ディークスが甦ったのだ、ウェルは高らかに言った。

 

 光を失った目でその場に佇むケアンに、ウェルは叫ぶ。

 

 

「さぁ、この英雄(ぼく)の道を阻む者を排除しろッ! ケアン・ディークスッ!」

「……………了解」

 

 

 吐き出される言葉は、今まで以上に空虚で、感情など一欠片も存在しない。

 

 ケアンがウェルに向かって手を伸ばすと、ウェルの懐から、まるで意思を持つかのように一本のガイアメモリが飛び出し、ケアンの手に収まる。

 

 

フロンティア!

 

 

 そのメモリに封じられた記憶の名を叫んだガイアメモリを、ケアンはラックドライバーのスロットに挿し込む。

 

 

「変身」

 

 

 冷たく言い放ち、スロットを押し倒す。

 

 

Frontier Active

 

 

 ケアンの全身を白銀の素体が覆い、その上に漆黒の鎧が装備される。しかし、それで変身は止まらず、三つに分かれたバイザーは、左右に移動したパーツが『F』に変形し、上部に移動したパーツは二本の角となり、今まで隠されていた真紅の複眼が露わになる。

 

 イクシードの状態に胴体に存在した、外部からガイアメモリを取り込む為の生体コネクタは消滅して変形し、脚部の鎧は膝から足首にかけて翼を模したものへと変形する。

 

 其れは、人ならざる身でありながら神の領域へと足を踏み入れるも、人の道具で在り続ける、絡繰り仕掛けの仮面の戦士。

 

 

 名を――――――仮面ライダーイクシード・フロンティアフォーム。

 

 

「ヒヒヒ……………ッ! 遂に、遂に手に入れたぞ……………ッ! 最強の兵器をッ! これで僕は無敵だぁ……………ッ! うぇへへへへ……………ッ!」

「ドクター……………ッ! このおおおおおおッ!」

「マリアさんッ!」

 

 

 その身にガングニールを纏っていなくとも、最早怒りはマグマの如く煮え滾っているマリアに、響の制止は届かない。

 

 鬼の形相で迫ってくるマリアは恍惚としていたウェルを恐怖に陥れかけるも、それをイクシードが看過するはずも無い。

 

 一瞬でマリアの前に移動したイクシードが、彼女の心臓を貫こうと手刀を突き出すが、エターナルが投擲したエターナルエッジが直撃した事で軌道を逸れ、マリアの頬に切り傷を残す結果となった。

 

 

「逃げろッ! お前達じゃ足手纏いだッ!」

「は、はいッ!」

 

 

 ギリギリとはいえ、この中で唯一イクシードの速さに追いつけたのは、エターナルのみ。イクシードは彼に任せるのが妥当だと判断した響は、自分も助太刀したい、という言葉を呑み込み、マリアの手を握って、調と切歌共々ブリッジから脱出しようとする。

 

 一方、イクシードは自分の速さに反応できたエターナルを最優先で排除すべき敵と判断したのか、エターナルと取っ組み合っている。

 

 

「大道克己ッ!」

 

 

 イクシードの顔面に拳を叩き込んで距離を取ったエターナルに、マリアが叫ぶ。

 

 

「可能なら頼む……………ケアンを救ってくれッ! 心を知りたがっているケアンを、死なせたくない……………」

「……………いいだろう。こいつに思うところもあるからな」

「……………ありがとう」

 

 

 敵対者の自分の願いを聴いてくれた事に感謝し、マリアは響と共にブリッジから脱出する。

 

 

「さて、私はあの忌々しいシンフォギア装者達をぎゃふんと言わせなきゃならないので、ここで失礼しますよ」

 

 

 ウェルもいつまでもここにいればイクシードとエターナルの戦いに巻き込まれると判断したため、ブリッジから出ていく。エターナルとしても今すぐウェルを確保したいところだが、イクシードの妨害を考えると、それは優先できないので、口惜しい気持ちを抱えながらイクシードと拳を交え続ける。

 

 突き出される拳も、振り上げられる足も、威力と速度の両方が今までのイクシードを凌駕する。

 

 

「ぐぉ……………ッ!」

 

 

 捌き切れなかった拳が腹に捻じ込まれ、そのまま天井を突き破って殴り飛ばされる。一撃だというのに、それに含まれる威力が尋常ではない事に、それを予測していても戦慄せざるを得ない。

 

 崩れた天井の穴から、自分を追ってイクシードが姿を現す。重力操作の力を手に入れたのか、その体は足場を必要とせず、空中に浮遊している。

 

 

「お前はなんとも思わないのか? 心を学びたがっていたくせに、道具として扱われる自分に」

 

 

 答えは無い。

 

 敵対者との対話など必要なく、殲滅こそが最優先事項である、と定められているのだろう。必要最低限の会話は、所有者ウェルにのみ行う。あの男が敵と認識した者には、言葉を交える意味すらなく、それをする時間があるのなら、一刻も早く排除する。

 

 全ては与えられた命令(オーダー)を果たす為。

 

 

 ――――――そこに在るのは、心を求めたアンドロイドではなく、敵対者を討ち滅ぼす兵器だ。

 

 

 繰り出される攻撃を回避し、同時にエターナルエッジで斬りつける。多少の火花こそ散るが、それでイクシードが怯むなどあり得ない。

 

 反撃の蹴撃を受け、天井から転がり落ちていく。イクシードは凄まじい速度でエターナルの真下へ移動し、落ちてくるエターナルに拳を叩き込む。

 

 打ち上げられたエターナルにイクシードは超高速の連撃を叩き込み、最後に踵落としでエターナルを地面に叩き付けた。

 

 

「どこまでも……………兵器でいるつもりか……………ッ! つまらないな……………、本当に」

 

 

 NEVERの耐久力を以てしても消せない激痛に顔を顰めるが、その瞳に宿っているのは、イクシードに対する失望と憤怒。

 

 だが、今のイクシードにそんな感情を向けたとしても、今の彼には届かないだろうし、彼自身が疑問を抱く事も無いだろう。相手がどんな変化を見せようと、倒すべき存在である事に変わりはないのだから。

 

 

(なら、やる事は一つだ)

 

 

 イクシードの攻撃を躱しながら弦十郎に連絡を取って、京水を始めとした自分の部下達の周りに敵はいないかと訊ねる。

 

 返答はノー。周囲を見渡してもノイズらしき姿は見当たらないし、それらしき気配も感じないからだそうだ。理由からして弦十郎が外に出ている事は容易に想像できるが、今はなぜ彼が外出しているのかを考えている暇は無い。

 

 礼を言ってから通信を切って飛び退くと、そこ目掛けてイクシードが拳を叩き付けてくる。

 

 それだけでも足元が軽く揺れ、小さなクレーターを作った拳を引き抜いたイクシードは、エターナルがその手に一本のガイアメモリを持っている事に気付く。

 

 

「お前にはある意味感謝している。死人の俺が『生きてる』って実感できる『痛み』を何度も感じさせてくれたからな。だが、それもここまでだ」

 

 

 あらゆる攻撃に対する耐性を備えているエターナルローブを脱ぎ捨てると、エターナルの全身に巻かれたマキシマムスロットが露わになる。

 

 

ゾーン!

 

 

 『地帯』の記憶を封じたT2ガイアメモリを、マキシマムスロットに挿し込む。

 

 

ゾーン・マキシマムドライブ!

 

 

 部下達の持つT2ガイアメモリと、仮設本部に保管されているT2ガイアメモリがエターナルの元に結集し、彼の体に巻かれているマキシマムスロットに挿し込まれる。

 

 

アクセル・マキシマムドライブ! バード・マキシマムドライブ! サイクロン・マキシマムドライブ! ダミー・マキシマムドライブ! ファング・マキシマムドライブ! ジーン・マキシマムドライブ! ヒート・マキシマムドライブ! アイスエイジ・マキシマムドライブ! ジョーカー・マキシマムドライブ! キー・マキシマムドライブ! ルナ・マキシマムドライブ! メタル・マキシマムドライブ! ナスカ・マキシマムドライブ! オーシャン・マキシマムドライブ! パペティアー・マキシマムドライブ! クイーン・マキシマムドライブ! ロケット・マキシマムドライブ! スカル・マキシマムドライブ! トリガー・マキシマムドライブ! ユニコーン・マキシマムドライブ! バイオレンス・マキシマムドライブ! ウェザー・マキシマムドライブ! エクストリーム・マキシマムドライブ! イエスタデイ・マキシマムドライブ!

 

 

 本来、変身者がギリギリ耐え切れるとされているのが二本同時マキシマムドライブだ。しかし、今行われているのは、その十倍以上の、驚異の二十五本同時マキシマムドライブ。並の人間であれば耐え切れず死亡するであろうエネルギーの奔流を、大道克己は平然と受け止めている。

 

 いずれ全てのメモリを支配する、とまで言われたエターナルメモリは、最高の適合者の手中に収まった事により、その真価を発揮した。

 

 かつて、風が吹き続ける街を恐怖のどん底に叩き落としたその力は、まさしく神の力を手にした者と対峙するに相応しい。

 

 

「踊るぞ、死神のパーティータイムだ」

 

 

 その仮面の奥に凶悪な笑みを浮かべる最凶(エターナル)と、絶大な力を前にして拳を握り締める最強(イクシード)

 

 両者は一瞬の間を置いた後、眼前の敵を討ち果たすべく動き出した――――――ッ!

 




 

 後半メッチャカラフル…………。ガイアメモリは色が被っているものもあるので、同じ色のガイアメモリがありますが、どうかご了承ください。

 そして次回、いよいよエターナルVSイクシードッ! 何度も決着を先延ばしにされてきた彼らの戦いに、遂に決着がつきますッ!
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