死神に鎮魂歌を   作:seven74

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 危ない危ない、まだ未完成の状態で一瞬だけ日曜日に投降してしまいましたよ。投稿から五秒以内に消せて良かったです。

 仮面ライダーセイバーの一話を見た感想は、そうですねぇ。仮面ライダーとスーパー戦隊を合わせたような感じでしょうか。怪人は巨大化しますし、敵組織が既に登場し、主人公の戦闘を観察している、さらにはダンスED……………。だいぶスーパー戦隊要素を取り込みましたね、今回の仮面ライダーは。ですが、それ故にこれまでとは違うストーリーが展開されそうなので、今後が楽しみです。最終回辺りには『いやぁ~、今回もよかったわぁ』ってなってそうです。

 それでは、どうぞッ!



始まりの(バベル)

 

 全てのT2ガイアメモリの力を引き出したエターナルがイクシードと激突した頃、調と切歌を連れてマリアを抱えた響はブリッジに向かっていたバギーを発見する。

 

 

「響君ッ!」

「そのシンフォギアは……………ッ!?」

 

 

 神獣鏡(シェンショウジン)によって欠片も残さず破壊されたはずのガングニールを纏っている響に、弦十郎と緒川が驚いたように目を見開く。

 

 

「マリアさんのガングニールが、私の歌に応えてくれたんですッ!」

 

 

 響が答えた直後、フロンティア全体が大きく揺れる。同時に、仮設本部で周囲の状況を調査していた藤尭と友里から、フロンティアが上昇している、との通信が入る。

 

 

「今のドクターは左腕をフロンティアと繋げる事で、意のままに制御できる……………。フロンティアの動力は、ネフィリムの心臓。それを停止させれば、ドクターの暴挙も止められる……………。できる事なら、私自身が止めたい。だけど……………ッ!」

 

 

 唯一の抵抗の術であるガングニールは響の手に渡ってしまったため、万が一という事が起きては対処できない。

 

 悔し気に拳を握り締めるマリアは、響を見る。

 

 

「立花響……………。身勝手な願いだとは思っているが、ドクターを止めてくれッ! 戦う資格のない私に代わって、お願い……………ッ!」

「調ちゃんにも頼まれてるんだ、マリアさんを助けてって。だから心配しないでッ! ……………それと、戦うのは私だけじゃありません。ここにいる人達、全員ですッ!」

 

 

 バギーに乗っている誰もが、響の言葉に頷く。

 

 

「ウェル博士の追跡は俺達に任せろッ! だから響君達は……………」

「ネフィリムの心臓を、止めますッ!」

 

 

 これからの方針が固まり、装者以外はウェルの追跡に、装者達はネフィリムの心臓を止めるべく動き出した。

 

 

 

 

 ――――――その頃、フロンティアのジェネレータールームでは。

 

 

「ソロモンの杖が無くとも、僕にはまだフロンティアも、イクシードもある。邪魔をする奴らは重力波にて足元から引っぺがしてやるッ!」

 

 

 ソロモンの杖という利点を奪われながらも、まだ自分には最高とも言える武器が揃っている事に微かな安堵を抱いているウェルが、炉心から見える二課の者達を憎々し気に睨みつけていた。

 

 

「人ン家の庭を走り回る野良猫め……………ッ! フロンティアを喰らって同化したネフィリムの力を、思い知るがいいッ!」

 

 

 彼の感情に呼応するかのように、炉心に取り付けられたネフィリムの心臓が、一際強く鼓動した。

 

 

 

 

 ――――――ジェネレータールームのネフィリムの心臓が強く鼓動すると同時、響達の前の地面が動き出し、生物のような形になる。

 

 

「なにこれッ!?」

「恐らく、フロンティアを喰らって同化したネフィリムだッ! 気をつけろッ!」

「にしては張り切りすぎだッ!」

 

 

 大きく開かれたアギトから放たれた火球を躱すも、それが着弾と同時に巻き起こす爆風を浴びたクリスが文句を吐き出す。

 

 

「でも、これさえ倒せば、ドクターを止められる」

「やるっきゃないデスッ!」

「うん、行こうッ!」

 

 

 ウェルの野望を食い止める為、ネフィリムと装者達が激突する。

 

 

 

 

 ――――――装者達がネフィリムと交戦し始めた頃、彼女達の上空では、それ以上の戦いが繰り広げられていた。

 

 T2バードメモリの力で飛行能力を獲得し、さらにT2アクセルメモリの力で加速しているエターナルと、それをエターナルとほぼ同じ速さで追うイクシードの戦いだ。

 

 互いに空中を飛び回りながら激突し、その度に両者の体から火花が飛び散る。

 

 再び激突して両者共に拳を突き出して相手の体から火花を散らせると、エターナルの手がイクシードの顔面を掴み、そのまま地面へ急降下。イクシードの体で地面を削っていくも、イクシードはエターナルの拘束を即座に振り解き、エターナルを蹴り飛ばす。

 

 空中で体勢を整えたエターナルがエターナルエッジの先端をイクシードに向け、柄に備え付けられている引き金を引く。同時にT2トリガーメモリとT2ヒートメモリの力が反映され、蒼い炎型のエネルギー弾が撃ち出される。

 

 上空から降り注ぐ蒼炎の雨を掻い潜ったイクシードが上昇し、一気に加速してエターナルの胸部に超威力のキックを喰らわせる。

 

 しかし、それをエターナルはT2メタルメモリの力で強化された防御力で防ぎ切り、T2バイオレンスメモリの怪力とT2ファングメモリの俊敏さで反撃の連続攻撃でイクシードを吹き飛ばす。

 

 

「超高速」

 

 

 エターナルがそう言った途端、T2ナスカメモリの力が発動し、彼の背中から翼のような形で緑色のエネルギーが放出され、エターナルエッジも刀身が伸びて剣と言っても過言ではないほどのリーチを得る。

 

 エターナルの姿が消えると、イクシードの全身から火花が飛び散り、イクシードは状況を理解できずに墜落する。

 

 起き上がるイクシードは、自身の鎧を通して襲ってきた衝撃から、あの一瞬で何度も斬りつけられたと判断し、それに対応すべく動き出す。

 

 地面を蹴り砕いて飛び上がったイクシードは移動速度を上昇させ、超高速を用いて移動するエターナルに食らいつく。

 

 両拳にエネルギーを纏わせて迫るイクシードを、エターナルはエネルギーの刃を以て迎え撃った。

 

 

 

 

 

(――――――なにも出来やしない私に、ここに立つ資格はあるの……………?)

 

 

 誰もいないブリッジに一人、マリアは立つ。

 

 なぜ一度脱出したブリッジに戻っているのかというと、そこの様子は今も全世界に放送されている状態であり、唯一世界に自分の声を届ける事が出来る場所だからだ。

 

 ウェルは恐らくジェネレータールームに向かったのだろう、と判断したマリアに従って弦十郎達はジェネレータールームに向かっている。イクシードはエターナルが相手をしているため、ウェルが敵と認識させた相手を倒し尽くすまで戻ってくる事は無いだろう。

 

 邪魔者がいないこの状況こそ、再び世界中の人々に訴えかける、最後のチャンスだ。

 

 しかし、一度それに失敗した、という経験。そして良かれと思って踏み出した行動のほとんどが裏目に出てしまった事もあり、マリアはどうしてもネガティブな思考をしてしまう。

 

 

(駄目よ、今はそんな事を考えている場合じゃないッ! ここで躊躇しては、セレナの歌を、セレナの死を無駄なものにしてしまう……………)

 

 

 こうしている間にも、月の落下は止まらない。ここで全人類のフォニックゲインを結集しなければ、月の軌道を元に戻せない。

 

 しかし、再び人々に訴えかけようと口を開こうとしても、なにを言えばいいのかわからない。

 

 

(あぁ、セレナ……………。私はいったい、どうすれば……………)

 

 

 自分への怒りと哀しみに惑い、これからどうすればいいのかわからないマリアが、思わず亡き妹に助けを請う。 

 

 

 

「――――――マリア姉さん」

 

 

 

 その時だった、彼女(・ ・)の声が聞こえたのは。

 

 思わず顔を上げたマリアが見たのは、既にこの世にいないはずの少女の姿。その姿は、あの瓦礫と炎の奥に消えていった時と変わらないもの。

 

 その少女の名は――――――セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。

 

 数年前、暴走したアルビノ・ネフィリムの暴走を食い止め、死亡した少女だ。

 

 

「……………セレナッ!?」

 

 

 それが幻である事を知っていながらも、マリアは彼女の名を呼ばずにはいられなかった。

 

 セレナは生前と変わらぬ優しい笑顔で、マリアに問いかけてくる。

 

 

「マリア姉さんがやりたい事はなに?」

「……………歌で、世界を救いたい……………。月の落下がもたらす災厄から、みんなを助けたい……………」

 

 

 それは、武装集団『フィーネ』の装者マリア・カデンツァヴナ・イヴの願いではなく、一人の人間としての願い。

 

 マリアの回答に、セレナは微笑みを崩さずに姉の手を取る。

 

 

「生まれたままの感情を、隠さないで……………」

「セレナ……………」

 

 

 月の落下を食い止めなければ、多くの命が危険に晒される。それを防ぐ事が、今の自分が成すべき事だ。

 

 

「――――――りんごは浮かんだお空に……………」

 

 

 歌い出したセレナに、マリアが続く。

 

 

「――――――りんごは落っこちた地べたに……………」

 

 

 そして、今度は二人一緒に。

 

 

「「――――――星が生まれて歌が生まれて ルルアメルは笑った 常しえと」」

 

 

 その歌声に、世界中の誰もが聞き惚れ、誰もが自然と二人に合わせるように歌い出す。

 

 その歌がなにか、知る人間はほとんどいない。これはマリアとセレナの故郷で歌われている民謡だ。しかし、ただの民謡であるはずのそれは、世界中の人々の心を繋ぎ、フォニックゲインを高めていった。

 

 

 

 

「――――――世界中より集められたフォニックゲインが、フロンティアを経由して、ここに集束している……………」

 

 

 車椅子を変形させ、発射の際に崩れ落ちてきた瓦礫を押し退けて立ち上がったナスターシャは、地球を覆う黄金の輝きを見る。

 

 

「これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、公転軌道の修正も可能……………」

 

 

 これなら、月の落下を阻止できる。

 

 歓喜と覚悟を胸に、ナスターシャはマリアに声を送る。

 

 

 

 

 ――――――マリアの歌声が、通信越しに自分の名を呼ぶナスターシャの声によって止む。

 

 目の前に、先程までいたはずのセレナの姿は無い。伝えたい事を伝えて、そのまま消えてしまったのだろうか。

 

 もう少し一緒にいたかったが、それは叶わぬ願い。

 

 自分は生者で、彼女は死者。両者には両者の世界が在るのだ。

 

 

『貴女の歌に、世界が共鳴しています……………。これだけフォニックゲインが高まれば、月の遺跡を起動させるには充分ですッ! 月は私が責任を持って止めますッ!』

「マムッ!」

『もうなにも貴女を縛るものはありません。……………行きなさい、マリア。行って私に、貴女の歌を聴かせなさい……………ッ!』

「マム……………」

 

 

 セレナが現れる前のマリアなら、そこで躊躇っている事だろう。だが、今は違う。

 

 セレナに背を押され、自分のありのままの気持ちを曝け出したマリアは、覚悟を決めている。

 

 

「……………OK、マム。世界最高のステージの幕を上げましょうッ!」

 

 

 『最後のステージ』から、『最高のステージ』に。

 

 燃え盛る魂を胸に、マリアは高らかに宣言した。

 

 

 

 

 ――――――今までの攻防の中で最も高い威力を孕んだ一撃がぶつかり合い、舞い散る火花と共に、両者の体が後退する。

 

 高出力のエネルギーを以て振るわれたエターナルの渾身の一撃は、同じくイクシードの渾身の一撃によって相殺された。

 

 だが、この程度の距離など、両者にとって思考するに値しない。

 

 

「ハァッ!」

 

 

 先に動いたのはエターナル。

 

 時間さえ置き去りにするのではないか、と思えるほどの勢いで肉薄したエターナルが、元のリーチに戻したエターナルエッジを振るう。

 

 イクシードの鎧から火花が飛び散り、僅かに逸れた体に追撃を加えようとエターナルが再びエターナルエッジを振るうが、イクシードはそれを受け流し、勢いを殺さぬまま回転。エターナルの側頭部に回し蹴りを叩き込んだ。

 

 

「ぐぅ……………ッ!?」

 

 

 防御力が遥かに増している状態であるのにも関わらず、カウンターを受けた衝撃に脳が揺さぶられたエターナルが一瞬だけ、周囲の状況を把握できなくなる。

 

 その絶好の好機(チャンス)を逃さないイクシードではない。

 

 

Frontier Maximum Drive

 

 

 マキシマムスロットに挿し込んだT3フロンティアメモリの力が右腕に集中し、白銀の輝きを纏った拳が突き出される。

 

 

「ぐわああああああああああああああッッッ!!!」

 

 

 それは寸分違わずエターナルの胸部に炸裂し、エターナルは凄まじい勢いで地面へ叩きつけられ、そこを中心に大爆発が起きた。

 

 

 

 

 ――――――装者達の攻撃を受けながらも、そんな攻撃は効かぬとばかりにネフィリムが火球を吐き出してくる。

 

 

「うわあああああッ!」

「雪音ッ! く……………ッ!」

 

 

 火球の爆発の余波に吹き飛ばされるクリスに注意が向いた翼が、自分に向かってきた左腕を躱す。

 

 

「翼さんッ!」

 

 

 翼の名を叫ぶ響目掛けて、ネフィリムが左腕を伸ばして攻撃してくる。

 

 

「デエエエエエスッ!」

 

 

 しかし、それは途中で糸のようなものに拘束され、切歌によって切断される。さらに、左腕を切断されて叫び声を上げるネフィリムの脇腹を調が切り裂いていく。

 

 

「二人共、ありがとうッ!」

 

 

 響に頷くも、二人は苦虫を嚙み潰したような表情でネフィリムを見上げる。彼女達の視線の先では、切断されたばかりの左腕を再生させているネフィリムの姿が。

 

 

「こいつを相手にするのは、結構骨が折れそうデスよ……………ッ!」

「――――――だけど、歌があるッ!」

 

 

 突如聞こえてきた声に振り返ると、そこにはフロンティアが発生させた重力によって浮遊している岩の上に立つマリアがいた。

 

 

「「マリアッ!」」

「マリアさんッ!」

 

 

 装者達がマリアのいる岩に飛び移ると、マリアは遥か上空にいるであろうナスターシャに思いを馳せる。

 

 

「もう迷わない……………。だって、マムが命懸けで月の落下を阻止してくれている」

 

 

 (ソラ)を見上げるマリアの目には、覚悟を決めた者のみが灯す、強い意志の炎が宿っていた。

 

 

 

 

 ――――――彼女達の様子をジェネレータールームで観察していたウェルは、くだらないとばかりに邪悪な笑みを浮かべ、口を開く。

 

 

「出来損ない共が集まったところで、こちらの優位は揺るがないッ! 焼き尽くせ、ネフィリイイイムッッ!!」

 

 

 エターナルは既に下した。最早イクシードと同格の敵などこの世に存在しない。

 

 圧倒的優位を誇るウェルは、自分が英雄として崇められる新世界がもう少しで誕生する事を確信した。

 

 

 

 

 ――――――ネフィリムから放たれた火球が、響達がいる岩を打ち砕く。その光景をジェネレータールームで見ていたウェルは遂にやった、と狂った笑い声を響かせるが、巻き上がる黒煙の中から美しい歌声が聞こえてきた事で、その笑い声は収まる。

 

 

 

「――――――Seilien coffin airget-lamh tron

 

 

 

 黒煙が晴れた先にいたのは、円形の障壁によって火球から護られた装者達。ウェルは、それがマリアがシンフォギアの装着時のエネルギーをバリアフィールドに応用した事に気付く。

 

 

「調がいる……………。切歌がいる……………。マムも、セレナもついている……………。みんながいるなら、これくらいの奇跡、安いものッ!」

 

 

 戦っているのは、自分一人ではない。

 

 調も切歌も、ナスターシャもセレナもいる。

 

 

 全員の闘志が、魂が――――――ここにあるッ!

 

 

 

 

 ――――――エネルギーのバリアフィールドでネフィリムの火球を防いだ装者達に気付いたイクシードは、今度は彼女達を仕留めるべき動き出そうとするが、

 

 

「うらぁッ!」

「……………ッ!?」

 

 

 突如として現れたエターナルがT2ユニコーンメモリとT2サイクロンメモリ、そしてT2ロケットメモリの力を纏った右拳をイクシードの鳩尾に捻じ込み、遥か上空まで打ち上げた。

 

 打ち上げられながらも、イクシードは『なぜだ』と困惑する。先程の一撃、手応えは充分すぎるほどあったはずだ。それなのに、なぜあの男は平然としていられるのか、と。

 

 答えは、T2ダミーメモリである。脳を揺さぶられ、隙を晒したエターナルであったが、多くの戦場を渡り歩いてきた彼の体は、ほぼ無意識に迫り来る『(メモリブレイク)』から逃れる為、その場に最も最適なメモリの力を引き出した。

 

 それがT2ダミーメモリ。かつて、その記憶の怪人がある戦士と戦った際、彼らが最も尊敬する男をほぼ完璧に再現した、『偽物』の記憶を封じたガイアメモリである。

 

 それによって作り出された偽物はイクシードによって破壊され、イクシードは自身が破壊したものこそエターナルであると解釈したのだ。

 

 だが、それはイクシードにとっては些細な問題でしかない。次からはその力も視野に入れつつ、今度こそエターナルを排除するまでの事である。

 

 

「――――――お前は、俺には届かない」

 

 

 瞬間、背後から聞こえてくる声。

 

 いつの間に、と振り返ったイクシードの脳天に踵落としが炸裂し、凄まじい勢いで落下していく。

 

 それを追うエターナルがT2ルナメモリの力で五人に分身し、次々とイクシードをエターナルエッジで切り裂いていく。

 

 五人のエターナルの連撃に全身から火花を散らしながらも、イクシードは一発逆転の可能性を宿すマキシマムドライブをもう一度使用すべく、ベルトのT3フロンティアメモリに手を伸ばすが、彼の手がスロットからガイアメモリを引き抜くよりも、戻ってきたエターナルの方が速い。

 

 

「……………ッ! これ、は……………ッ!?」

 

 

 自身を中心に周囲に広がった、エメラルドグリーンの光球に、フロンティアフォームになってから初めて、イクシードが驚愕の声を上げた。

 

 同時に、全身に襲い来る重圧と衝撃。このままでは圧し潰されると危惧し、イクシードは内側に自分が生み出したエネルギーで作ったバリアで光球からのダメージを軽減するが、それによってイクシードの動きが制限されてしまう。

 

 

「トドメだ」

 

 

 エターナルがスロットから引き抜いたT2エターナルメモリを、エターナルエッジに挿し込む。

 

 

エターナル・マキシマムドライブ!

 

 

 エターナルエッジに、合計二十六本のT2ガイアメモリの力が集まり、T2ナスカメモリのマキシマムドライブを使用した時よりも出力の高いエネルギーが宿る。

 

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

 

 地球のあらゆる記憶を込めた一撃が、イクシードに叩き込まれる。

 

 あらゆる防御手段も関係なく、超威力の斬撃はイクシードを彼を拘束する光球ごと切り裂き、大爆発を起こした。

 

 

「……………っと」

 

 

 黒煙を突き破って落ちていくケアンの手を、エターナルが掴む。

 

 その真横を通っていくのは、ラックドライバーとT3フロンティアメモリ。それは一瞬の間を経た後、最早修復など叶わないくらい、粉々に砕け散った。

 

 

 

 

「――――――セット、ハーモニクスッ!」

 

 

 エターナルがマキシマムドライブを発動した時、響は両腕のアームドギアを合体させていた。目の前には、再び撃ち出された火球。

 

 

「S2CAッ! フォニックゲインを力に換えてえええええええッッ!!」

 

 

 突き出された拳は、響どころかその後ろにいる装着達をも巻き込みかねなかった火球を破壊した。

 

 

「惹かれ合う音色に、理由なんていらない」

「ん……………」

 

 

 翼が差し出した手を見た調は、一瞬躊躇う様子を見せながらも、しっかりとその手を握る。

 

 

「あたしも、つける薬がないな」

「それはお互い様デスよ」

 

 

 クリスと切歌は、お互いに笑いながら手を繋ぎ合う。

 

 

「調ちゃんッ! 切歌ちゃんッ!」

 

 

 そして、最後は響が、彼女達と手を繋ぐ。

 

 

「貴女のやってる事、偽善でないと信じたい……………。だから近くで、私達に見せて。貴女の言う、『人助け』を……………私達に」

「……………うん」

 

 

 自信たっぷりに頷く響に、調もまた微笑んで頷く。

 

 

「繋いだ手だけが紡ぐもの……………」

『絶唱六人分ッ! たかだか六人ぽっちで、すっかりその気かあああああッ!?』

 

 

 このフロンティアのどこかで自分達を見ているであろうウェルが叫ぶ。

 

 しかし、それは勘違いだ。

 

 

「くうううう……………ッ!」

 

 

 ネフィリムの全身から放たれたレーザーが、バリアフィールドに直撃する。その衝撃に耐えながら、響は叫ぶ。

 

 

「六人じゃない……………私が束ねるこの歌は……………ッ!」

 

 

 手を繋いでいるのは、ここにいる仲間達ではない。

 

 この星に生きる、全ての人間。手は届かなくとも、心は繋がって、一つになっている。

 

 それによって高まったフォニックゲインは、六人分どころではない。

 

 全世界の人々の()を重ねて生まれたフォニックゲインの総量は――――――

 

 

 

「――――――七十億の、絶唱おおおおおおッッ!!」

 

 

 

 天に羽ばたく、六色の翼。

 

 七十億の命の輝きを宿した、奇跡の姿――――――『限定解除状態(エクスドライブモード)』である。

 

 

「響き合う、みんなの歌がくれた――――――シンフォギアでええええええええええッッッ!!!」

 

 

 六色の輝きは、一つの極光となり、ネフィリムに激突する。

 

 そして、そこから噴き上がる虹色の渦は、大気圏を突破し、宇宙までその輝きを届けるのだった――――――。

 




 
 イクシード・フロンティアフォーム撃破ッ! え? どうせならキックで締めてほしかった? ノンノン、仮面ライダーの象徴、ライダーキックは、ここよりも相応しいシーンに使うのですよ。

 エターナルは常時マキシマムドライブを発動している以外にも、エクストリームでメモリの力が強化されているので、あの状態で戦うとしたらこんな感じかな、と思って書きました。インフレ、しちゃってます? 仕方ないじゃん、相手が船とはいえ神の技術で造られた物の記憶持ちの怪物なんですから。イクシード・フロンティアフォームの詳細なデータはG編終了後、覚醒したフェイトシンギュラーと翼風刃と一緒に紹介したいと思います。

 さて、いよいよ次回がG章最終回ッ! そして次章、いよいよ彼らが……………ッ!
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