死神に鎮魂歌を   作:seven74

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 最近、事前登録しておいた『原神』というアプリを入れたのですが、とても楽しいですねぇ。オープンワールドは地味に初めてなので、新鮮な気持ちでプレイできています。

 私のスマホがいけないのかわかりませんが、ある程度時間がかかると音割れし始めたり、音声は流れているのにムービーが途中で止まってしまうのが難点ですけど、この程度なら我慢できます。

 私事はここまでに。それでは本編、どうぞですッ!



死神E/絡繰りの騎士団

 

 響の前にWが現れる少し前――――――

 

 

『火災マンションの救助活動は響ちゃんと克己さんのお陰で順調よ』

「へへ、あいつらばっかにいい格好させるかよッ!」

 

 

 ヘリから芝生に降り立ったクリス達に友里からの通信が入り、こちらも負けていられないと意気込んだその時、どこからかコインが弾かれるような音が響く。

 

 瞬間、先程まで自分達が乗っていたヘリが爆発炎上し、ヘリの残骸が落下してくる。

 

 

「危ないッ!」

ルナ!

 

 

 クリス達の前に飛び出したルナドーパントが両腕を振り回し、彼らに降り注いできた残骸を打ち払っていく。

 

 

「なにがどうなってやがんだッ!?」

「……………ッ! あそこッ!」

 

 

 何者かの視線に気が付いたレイカが上方へ顔を上げ、クリス達もレイカの視線を追う。

 

 そこには派手なポーズを決める、一人の美女の姿があった。

 

 

「この仕業はお前かッ!」

 

 

 クリスの問いかけに女性は答えず、代わりに五指に揃えたコインを投擲してきた。

 

 間違いなく、宣戦布告。それは、先のヘリを撃墜したのは自分だと言っている事も同義。

 

 

「……………こちらの準備はできている」

「……………抜いたな? だったら貸し借りなしでやらせてもらう。後で吠え面かくんじゃねぇぞッ!」

 

 

 売られた喧嘩は買うのがクリスの性分だし、罪悪感など微塵も感じさせずに人殺しを行った相手を見逃せるはずも無い。

 

 クリスはペンダントを握り締め、レイカはT2ヒートメモリを取り出す。

 

 

「――――――Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

ヒート!

 

 

 一つはエネルギーが、もう一つは燃え盛る炎が放つ赤い輝きが二人を包み込む。

 

 北欧神話に登場する弓術の神、ウルが使用したイチイバルの力を身に纏い、その手にクロスボウを握るクリスに、地球に刻まれた『熱』の記憶を宿したレイカ――――――ヒートドーパントがルナドーパントと並び立つ。

 

 

「――――――鉛玉の大バーゲン」

 

 

 シンフォギアを纏うや否や、すぐに歌を歌い出したクリスがクロスボウから弓を、ヒートドーパントが指先に灯した火炎弾を放つ。それを女性――――――レイア・ダラーヒムはブレイクダンスを連想させる動きで躱していき、飛び上がったところを狙って迫ったルナドーパントの腕すらも器用に弾いていく。

 

 明らかに人間離れした動き。その身のこなし――――――まさしく人外そのものッ!

 

 

「やりやすいッ!」

 

 

 相手が人外であるのなら、こちらも手加減などせずに倒せるという事だ。

 

 連射速度を上げて矢を撃ち続けるも、レイアは激しくも華麗な動きで躱し続け、それでも自分に当たりかねないものはコインを撃ち出して的確に相殺させていく。

 

 

「ワタシの兵隊ちゃんッ! 行ってらっしゃ~いッ!」

 

 

 レイアを挟む形でルナドーパントが両腕を伸ばすと、そこから出現した数人のマスカレイドドーパント達が一斉にレイアに襲い掛かる。だが、レイアに満足な一撃を加える事すらできず、突き出した拳や振るった足は空を穿ち続ける結果に終わってしまい、レイアのコインに撃ち抜かれて消滅してしまった。

 

 

「あぁッ! ()られちゃったッ!」

「チッ、使えないわねッ!」

「私に地味は似合わない……………。やるからには――――――」

 

 

 上方から着地したレイアが五指にコインを揃える。

 

 

「――――――派手にやるッ!」

 

 

 コインを撃ち出しながら跳躍。飛び退いた三人の間に着地すると、新たに補充したコインを連結させて作り上げたトンファーを手に三人に攻撃を仕掛けてくる。

 

 

「遠距離攻撃しか出来ないと思ったら大間違いだッ!」

 

 

 即座にクリスもT2メタルメモリの力をギアに投影。イチイバルをクリムタールラリィ・イチイバルに変化させ、得物をボウガンからガントンファーに変えてドーパント達と共にレイアを迎え撃った。

 

 

 

 

 ――――――物陰からクリス達の戦いを見ていた、アタッシュケースを抱えた少女は、冷静に戦況を分析し続ける。

 

 

(装者屈指の戦闘力とフォニックゲインに、ドーパントの戦闘力……………。それでも、レイアに通じないッ!)

 

 

 クリス達とレイアの攻防は『互角』の一言に通じる。互いに満足な一撃を加えられていない状況が続いているが、それはクリス達が三人がかりで挑んでいるからこそ言える状況。誰か一人でも欠ければ、戦況は少しずつレイアの方に傾いていくだろう。

 

 

(やはり、ドヴェルグ=ダインの遺産を届けないと……………ッ!)

 

 

 託されたアタッシュケースをぎゅっと強く抱きしめる。そこには彼女の言う『ドヴェルグ=ダインの遺産』が収められているが、それとは別のものも入っている。

 

 ライダーシステム。エターナルともイクシードとも違う、新たな戦士を誕生させるべく作り出された兵装。だが、それを使える者はこの場にはいない。

 

 なにせ、それを使うべき男は――――――

 

 

 

 

『――――――なにがあったの、クリスちゃんッ!』

「敵だッ! 敵の襲撃だッ! そっちはどうなってるッ!?」

 

 

 トンファーの一撃を回避しながら友里に交戦中であると報告する。その間にもレイアの連撃は続き、脳天に振り下ろされかけたトンファーを咄嗟にガントンファーで受け止めるが、がら空きになった胴体に回し蹴りが入った。

 

 

「がは……………ッ!?」

「クリスッ!」

 

 

 遂に明確な一撃を受けて吹き飛んだクリスに追撃を仕掛けようとしたレイアだが、真横から両足の炎を爆発させてブーストをかけたヒートドーパントのキックによって妨害される。

 

 

「この……………やりやがったなッ!」

「危ないッ!」

「あん? ……………はぁッ!?」

 

 

 反撃に動き出そうとしたその時、謎の声による警告がクリスの耳に届いた。

 

 その声に顔を上げたクリスは、我が目を疑った。

 

 視界に映るのは、クルーザー。それも、一隻だけではない。

 

 なんと、数隻のクルーザーが( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )クリス目掛けて( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )降ってきたのだ( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )ッ!

 

 

「クルーザーが降ってくるだとぉッ!? なんの冗談だあああああッ!?」

 

 

 叫ぶクリスの手を何者かが引き、物陰に引きずり込んだ直後、大爆発が起きた。

 

 

 

 

 ――――――ルナドーパントとヒートドーパントの猛攻を耐え凌ぎ、上方に飛び上がったレイアは夜の闇に染め上げられた海を見る。

 

 

「私に地味は似合わない。……………だけど、これは少し派手すぎる」

 

 

 海の彼方に浮かぶ巨影。辛うじて人型のように見えるそれの手には、なんとクルーザーが握られていた。

 

 

「後は私が地味にやる……………」

 

 

 レイアの言葉を受け、彼女の妹( ・ ・ ・ ・ )は静かにその姿を消し、クルーザーも海に落ちていった。

 

 

「……………お前も、地味にやるんだな」

 

 

 次にレイアが見たのは、頭上。そこには一見星空しか広がっていないように見えるが、その一部が歪んだ( ・ ・ ・ )のを、彼女は見逃さなかった。

 

 

 

 

「――――――手伝いに行くの、許してもらえなかったデスね……………」

 

 

 響とクリスに同行を拒まれた事を悔し気に思いながら、調と切歌は帰路につく。

 

 フィーネは響達の出動後にS.O.N.G.本部に戻っており、今頃は状況の確認を急いでいる事だろう。絶対に危険な真似はするな、と釘を刺されてしまったので、二人はすごすごと歩を進めていく。

 

 

「LiNKERが無い私達の適合係数じゃ、シンフォギアを纏ったところで満足に戦えない。考えてみれば、当たり前の事」

「ああ見えて、底抜けにお人好し揃いデスからね」

 

 

 フロンティア事変の後、世界に宣戦布告したテロリストとして拘束された自分達を助けてくれたのは、敵として戦ってきたはずの彼らだった。

 

 互いに和解できたのなら、自分達はもう仲間だ、と言わんばかりに自分達を受け入れてくれた彼らには感謝しかない。

 

 もちろん、すぐに拘束が解けるはずも無く、現在は保護観察処分を受けている身であるが、それでも彼らは自分達を響達のいるリディアンに通わせるように手を回してくれたと聞く。

 

 彼らのお陰で自分達は、F.I.S.の研究施設にいた頃には想像できなかった豊かな生活を、毎日笑って過ごせている。

 

 

「……………なんとか、力になれないかな」

「なんとか、力になりたいデスよ……………。力は、間違いなくここにあるんデスけどね……………」

 

 

 いつの日か訪れるであろう、戦いの日に備えて眠っている聖遺物(イガリマ)を握り締める。

 

 感謝の気持ちが溢れ出てくると、今度は恩返ししたいという気持ちが顔を出す。二人は、蛇口の壊れた水道の如く絶え間なく心を染め上げていくその気持ちに苦悶する。

 

 

「でも、それだけじゃなにも変えられなかったのが、昨日までの私達だよ、切ちゃん」

『都内に発生した高層マンション及び、周辺火災の続報です』

 

 

 その時、町の巨大モニターに響達が向かったであろう高層マンションの映像が映し出される。淡々と新情報を視聴者に伝えるニュースキャスターによると、現場では不審な人物の目撃が相次いでおり、テロの可能性も指摘されているそうだ。

 

 だが、突然火災マンションの上空にのみ雨雲が発生し、瞬く間に炎の勢いを弱めていく。

 

 マンションの上空だけに雨雲が発生するという普通ならあり得ない現象にニュースを見ていた者達は驚いているが、調と切歌は、それがS.O.N.G.に所属する仮面の戦士の仕業だと瞬時に見抜く。

 

 しかし次の瞬間、空中でなにかが爆発する映像も映し出され、二人は思わず声を上げた。

 

 

「今のヘリコプター、S.O.N.G.のデスッ!」

「なにか、別の事件が起きているのかも……………ッ!?」

 

 

 顔を見合わせた二人は、互いになにを考えているのかを理解して頷き合い、現場に向かい始める。

 

 

「ね、ねぇ……………。今、ヘリが爆発したように見えたんだけど……………」

 

 

 そこから少し離れた場所。髪の毛を束ねた女性に袖を引っ張られた男は、じっと生中継されている火災マンションを見続けていた。

 

 

「所長はここに残っていろ。行ってくる」

「だ、大丈夫なの?」

「想像したくはないが、ドーパント絡みの事件の可能性もある。だから絶対に来るな」

「う、うん。……………絶対に戻って来てね」

「あぁ」

 

 

 女性に頷き、赤いライダージャケットを着込んだ男は現場に向かい始めた。

 

 

 

 

 ――――――何者かに物陰に引っ張られたおかげで爆発の余波を浴びる程度で済んだクリスは、一先ず安堵の息を吐く。

 

 

「はちゃめちゃしやがる……………」

「大丈夫ですか?」

「あぁ……………ってッ! おま、その恰好……………ッ!」

 

 

 助けてくれた恩人に感謝しようと視線を向けた瞬間、クリスは再び我が目を疑う羽目になった。

 

 着用しているのは、裾に紫のラインが入ったローブと、股間を隠すパンツ。それだけだ( ・ ・ ・ ・ ・ )

 

 傍から見れば露出狂と受け止められても仕方ない容姿の人物だ。

 

 

「あなたは……………」

「あ、あたしは快傑☆うたずきんッ! 国連とも日本政府とも全然関係なく日夜無償で世直しに奮闘する――――――」

「イチイバルのシンフォギア装者、雪音クリスさんですよね?」

 

 

 自分が国家機密事項のシンフォギアを纏う装者である事を隠そうと、現在ハマっている漫画の登場人物の名を出すが、少女には無駄な行為だったそうだ。それよりも、クリスはその声が、先程自分に警告してくれた声と同じものだと気づく。

 

 

「……………その声、さっきあたしを助けた……………?」

 

 

 少女はフードを脱ぎ、その顔を露わにする。

 

 

「ボクの名前は、エルフナイン。キャロルの錬金術から世界を護る為、皆さんを探していました」

「……………錬金術、だと?」

 

 

 聞き慣れない単語に、クリスは首を傾げた。

 

 

 

 

「――――――仮面ライダー……………W?」

「あぁ、言うなれば、正義の味方ってところだ」

 

 

 二色の仮面ライダーの出現に目を丸くする響に振り向かずに、Wは頷く。

 

 響を護るように立つ彼の視線の先には、今にも彼に飛びかかろうとしている異形のドーパント。

 

 

『僕の体、頼んだよ』

「え? あ、はいッ!」

 

 

 Wからフィリップの声が聞こえ、なぜ彼の声がWから聞こえるのか、という疑問を抱きながらも、響はフィリップの体を物陰に隠す。

 

 異形のドーパントがWに襲い掛かり、それを真っ向から受け止めたWはカウンターの一撃を浴びせるが、異形のドーパントにはまるで効いておらず、逆に彼の繰り出した拳がWを殴り飛ばした。

 

 

「くそッ! やっぱり堅ぇなッ!」

『それだけではない。以前と比べて攻撃面でも優れている。ヒートメタルで勝負だ』

 

 

 ドーパントから距離を取ったWがベルトからサイクロンメモリとジョーカーメモリを引き抜き、新たなメモリを取り出す。

 

 

ヒート!

メタル! 

 

ヒートメタル!

 

 

 その姿を燃え盛る赤と冷たい鋼のものへと変えたWに、響が驚愕する。相手に応じてメモリを使い分けるのは克己と同じだが、克己が変身するエターナルはあくまでメモリの力を使うだけで、姿が変化する事はない。しかし、Wはその真逆をいくスタイルなのである。

 

 背中に出現した棒――――――メタルシャフトを装備したWの猛攻が異形のドーパントを襲う。先程と比べれば多少はダメージが入っているようだが、決定打となる一撃を与えられるまでにはいかず、振り下ろされたメタルシャフトを掴み取った異形のドーパントが靄状の爪でWの体を切り裂く。

 

 鋼鉄の体から火花を飛び散らせて怯んだWの首を掴んだ異形のドーパントは、そのままWを近くの建物に投げ飛ばし、追撃を仕掛けるべく建物へ飛び込んでいく。

 

 そこから再び堅いものがぶつかり合うような音が何度も聞こえてくるが、両者は戦いながら移動しているのか、その音は徐々に遠退いていった。

 

 

「あれがW……………。異世界の仮面ライダーか( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )

 

 

 異形のドーパント達と共に、こちらの世界に飛ばされてきたイレギュラー。それが彼らか。と一人納得し、キャロルは響を見る。

 

 異形のドーパントがわざわざWとの戦いの場を変えたのは、キャロルが響と話しやすくするように配慮したからだろうか。尤も、キャロルにとっては、それを知っていようがいまいが関係ないのだが。

 

 

「なぜ、シンフォギアを纏わない? 戦おうとしない。奴の助太刀に行かないのか?」

「……………その前に聞かせて。どうして、世界を壊したいの?」

「……………理由を言えば、受け入れるのか?」

「……………私は、戦いたくないッ!」

 

 

 響の答えに、キャロルは虫唾が走るのを否が応でも感じざるを得ない。

 

 

「お前と違い、戦ってでも欲しい真実が、オレにはあるッ!」

「戦ってでも欲しい真実……………?」

「そうだ。お前にもあるだろう? だからその歌で月の破壊を食い止めてみせた。その歌でッ! シンフォギアでッ! 戦ってみせたッ!」

「違うッ!」

 

 

 キャロルの言葉を、響は否定する。

 

 

「そうするしかなかっただけで……………そうしたかったわけじゃない……………」

 

 

 シンフォギアを身に纏い、この拳を振るったのは、それしか選択肢が無かったからだ。話し合いで全て解決できるのなら響は遠慮なくその道を選ぶし、力を伴っての解決など、可能ならばしたくはない。

 

 

「私は戦いたかったんじゃない。シンフォギアで、護りたかったんだッ!」

「……………それでも戦え。お前に出来る事をやってみせろッ!」

「人助けの力で、戦うのは嫌だよ……………ッ!」

「……………お前も、人助けして殺される口なのかッ!?」

 

 

 キャロルが手を掲げれば、彼女を挟むように黄金の円が形成される。

 

 それは遥か昔、科学と魔術が分かたれる前の時代に存在したオーバーテクノロジー。

 

 シンフォギアシステムとは異なる、異端技術の産物――――――錬金術の猛威が、響に牙を剥く。

 

 

 

 

「――――――聞いていたよりずっとショボい歌ね。確かにこんなのじゃ、やられてあげるわけにはいきませんわ」

 

 

 ボックスを吹き飛ばして、無傷の状態で立ち上がるファラ。その言葉には、先程の一撃に対する『失望』と、翼との戦闘に対する『退屈』がありありと含まれていた。

 

 

「余裕を気取るには、些か逸ったな」

 

 

 だが、自分と彼女の間には天と地ほどの差がある事くらい、翼自身も気付いている。

 

 ファラの頭上に剣を放り投げると、それが一気に巨大化し、それを大剣で受け止めたファラごと下層へ落ちていった。

 

 

「やったかッ!?」

「この程度では下に叩き落したに過ぎない」

 

 

 あの一撃が決定打になれば、なんて端から考えていない。少しも待たずに、あの怪物は巨剣が作った穴から飛び出してくるだろう。

 

 マリアがシンフォギアを纏えない以上、怪物(かのじょ)を足止めできるのは自分のみ。剣を握る両手に力を籠め、いつ彼女が現れても対処できるよう構えていると、いきなりマリアに腕を掴まれた。

 

 

「退くわよ、翼ッ!」

「え? えぇ……………ッ!?」

 

 

 有無を言わさぬまま、マリアは翼を連れて通路を駆け抜けていった。

 

 

 

 

 ――――――これからお前を攻撃する、と言わんばかりに錬金術を発動させたキャロルだが、全く歌う様子を見せない響の姿に苛立ちを感じざるを得ない。

 

 

「どうしても戦わないと言うのか……………ッ!」

「だって、さっきのキャロルちゃん、泣いていた……………」

「……………ッ!」

 

 

 そう。響は見ていたのだ。火災マンションを見つめるキャロルが零した、悲哀の涙を。

 

 

「だったら戦うよりも、その理由を聞かないとッ!」

 

 

 辛い思いをしているのなら、それを無くしてあげたいという、善意のみで発せられた言葉。

 

 だがそれは、キャロルにとって最も踏み込まれたくない領域だったのだ。

 

 

「……………見られた、知られた、踏み込まれたッ!」

 

 

 初対面の相手に、一番知られたくないものを知られたキャロルの怒りは果てしない。彼女の怒りに呼応するように、黄金の輝きはその光量を増していく。

 

 

「世界ごと――――――」

 

 

 輝きは臨界点に達し、憤怒に染め上げられた眼光が響を射抜く。

 

 

「――――――ぶっ飛べええええええええッッ!!」

 

 

 発動される錬金術。人一人など軽く消し飛ばせる威力を孕んだそれは、抗う術を持たない響を――――――

 

 

 

アイスエイジ・マキシマムドライブ!

 

 

 

 轟音が轟く。しかし、来るべきはずの衝撃が未だに来ない事に困惑した響が恐る恐る閉じた目を開けると、

 

 

「怪我は無いか? 響」

 

 

 キャロルの錬金術を防ぎ切った氷壁を消滅させたのは、漆黒のローブを羽織った純白の死神。

 

 この世に自分がいる答えを探し求める、『永遠』の戦士。

 

 

「克己先生ッ!」

「元気そうでなによりだ。さて……………」

 

 

 弦十郎から自分やイクシードとは違う仮面ライダーが現れたと聞き、消火が完了次第飛んできたのだが、どこにもその仮面ライダーの姿は無い。だが、今はそれを気にしている場合ではない。

 

 

「はぁ……………はぁ……………」

 

 

 感情に任せて錬金術を行使した結果なのだろうか。肩を激しく上下させながら肺に酸素を送り込んでいるキャロルに、エターナルが刃を向ける。

 

 

「お前がクリスの言ってた『敵』か? 俺は(こいつ)みたく甘くはないんでな。子ども相手でも容赦はしない」

「仮面ライダー……………エターナル……………ッ!」

「否定しないという事は、そうだという事だな。ならば言う事はない。ここで死ね」

 

 

 疲労している以上、体はどうしても思うように動いてくれない。エターナルエッジを心臓に投擲すれば、恐らくそれで済む。

 

 

「待ってくださいッ!」

 

 

 右手を軽く動かしてエターナルエッジを投擲しようとしたが、響に止められてしまう。

 

 

「お願いです。あの子と、話をさせてください」

「……………」

 

 

 しばらく響を見つめていたエターナルだったが、体をどかして響に道を開ける。これまでの事から話しをしたところで無駄だろう、とは考えているが、なにか伝えたい事があるのなら、伝えるだけ伝えさせるだけの事だ。

 

 

「キャロルちゃん。どうして、世界を壊そうとするの?」

「……………父親に託された命題だ。お前にだってあるはずだ……………」

「お父さん……………に……………?」

 

 

 響が酷く困惑した様子でたじろぐ。それを見たエターナルは、彼女をキャロルから護るようにその前に立った。

 

 

「誰彼構わず繋がろうとするのはお前の長所だが、同時に短所でもあるな。……………下がってろ、今のお前に戦意は感じられない」

 

 

 殺意しか向けてこない相手には、同じ殺意でしか返す他ないのだ。

 

 

「めんどくさい奴ですね~」

 

 

 キャロルや響のものでもない声に視線を動かすと、鉄骨の上に青いメイド服らしきものを着用した、見知らぬ少女が立っていた。

 

 

「……………見ていたのか。性根の腐ったガリィらしい」

「やめてくださいよ~。そういう風にしたのは、マスターじゃないですか~」

 

 

 キャロルの隣に移動した彼女の名は、ガリィ・トゥーマーン。(キャロル)を護りし終末の四騎士(ナイトクォーターズ)の一体にして、『聖杯』の小アルカナを象徴する者である。

 

 

「想い出の採集はどうなってる」

「順調ですよ。でも、ミカちゃん大食らいなので足りてませ~ん~。うえ~んえんえ~ん~」

 

 

 わざとらしく泣き真似をするガリィだが、その性根は主のキャロルをして『腐っている』と言わしめるほどのもの。つい先程も、キャロルやエターナル達の姿を撮影していた一般人の想い出を吸い尽くしたのだ。

 

 

「なら急げ。こちらも出直しだ」

「あのドーパントはどうするんですか~?」

「帰還用のジェムを持たせている。勝手に戻ってくるさ」

「逃がすとでも思うか?」

 

 

 二人の間を通り過ぎていったエターナルエッジが進行方向にある鉄骨に弾かれ、エターナルの手に収まる。

 

 

「どうします、マスター? ここで殺っちゃいますか~?」

「目障りだが、こいつらを試すには好都合だ」

 

 

 そう言ってキャロルが取り出したのは、小さな塊。一見玩具のようにも思えるそれを無造作に放り投げると、たちまち塊は砕け、魔法陣のようなものが描かれる。キャロルが使う以上、碌なものではない事は明らか。構えるエターナルの前に、描かれた陣からなにかが現れる。

 

 奇怪な見た目に、自然発生したものとは到底思えない異形。

 

 それはなんと――――――ノイズ( ・ ・ ・ )だった。

 

 

「ノイズだと……………ッ!?」

 

 

 もう二度とその姿を見る事はないと思っていたエターナルは、ノイズの再来に驚愕を隠せない。

 

 

「相手が人でなければ問題なかろう。(たたか)って、生き延びてみせろ。でないと、お前のなにもかもをブチ砕けないからな」

「さよなら~」

 

 

 ノイズを出現させた時に使ったものとは違う小型の塊を砕くと、キャロルとガリィの姿が妖しい光に包まれて消えていき、ノイズの大群が獲物をこの世から消滅させるべく一斉に動き出す。

 

 

「シンフォギアを纏え。じゃないと死ぬぞ。……………響?」

 

 

 了承の言葉が聞こえず、振り返ったエターナルの視界に、膝をついて茫然としている響の姿が映った。

 

 

「託された……………? 私には、お父さんから貰ったものなんて……………なに……………も……………」

「……………ッ!? 響ッ!」

 

 

 突然倒れた響を助け起こす。どうやら気を失ってしまったらしい。これでは歌を歌うどころか、動く事もできないではないか。

 

 

「……………俺一人でやるしかないか」

 

 

 迫り来るノイズの大群を前に、エターナルエッジを構える。

 

 

「――――――踊るぞ、死神のパーティータイムだ」

 

 

 意識を完全に死神のものへ切り替え、エターナルはノイズを迎え撃つ――――――ッ!

 




 

 そういえばシンフォギアXDUでもイベントがありましたね。今回はテイルズオブシンフォニアとコラボらしいですが、色々と変わったシリーズとコラボしますよね。ULTRAMANともコラボしたのなら、会社は違えど同じ特撮の仮面ライダーともいずれコラボする時が来るのでは……………? 仮面ライダーコラボはよ(ノシ 'ω')ノシ バンバン
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