本日、各章の名前を変更しましたッ! 自分なりには以前のものよりカッコいい名前に変更できたと思いますが、これで『元に戻しなさ~い』と言われたら戻します。元ネタ? サブタイトルが一々カッコいいfgoに決まってるじゃないですか。
それでは本編でございます。
機銃から撃ち出された弾丸の間を駆け抜け、アクセルが大剣――――――エンジンブレードを振るう。空気を切り裂いて迫るそれを回避したファイタードーパントが、アクセルにカウンターを見舞う。だが、既に攻撃が躱される事も、カウンターが飛んでくる事も予測していたアクセルは引き戻したエンジンブレードをファイタードーパントの拳に押し当て、勢いを殺さぬまま受け流していく。さらに、アクセルは受け流した勢いを利用して回転。遠心力で速度と重量を増したエンジンブレードでファイタードーパントの背中を切り裂いた。
「ヌゥ……………ッ!」
「ハァ――――――ッ!」
振り向いたファイタードーパントに連続でエンジンブレードが振るわれる。元々がかなりの重量を誇る大剣による連撃はさぞ効果的だろう。それを裏付けるように、後ずさりしたファイタードーパントから苦悶の呻き声が漏れている。
「ソノ剣捌キ……………ヤハリ侮レナイナ」
機銃に変形させていた右腕を、今度は鈍い輝きを放つブレードに変形させ、アクセルと打ち合う。一合一合が少量の火花を散らし、互いに一歩も引かぬ攻防だったが、そこへ攻撃を繰り出す者が一人。
「お前は……………」
「彼女達を撤退させる為よ。あんたの為なんかじゃない」
ファイタードーパントに火炎弾を飛ばしたヒートドーパントの言葉に、アクセルがルナドーパントに護られている少女達を一瞥する。なぜテロリストであった彼らが彼女達を護ろうとするのかは謎だが、若い命をわざわざ散らせるほど、彼は腐った人間ではない。
「……………俺のスチームで相手の視界を奪う。その隙に逃げろ」
「あんたも一緒に逃げるのよ。こっちもこっちで事情があってね。これが終わり次第、色々聞かせてもらうわ」
今頃、本部にいる弦十郎達はアクセルの出現に驚いているだろう。そして、今もモニタリングしているのなら、彼が自分達にとって味方になりえる存在である事は把握しているだろうし、そうなると今度は彼をS.O.N.G.にスカウトしたがるはずだ。
あの男の事だ。ここで自分がなにも言わずとも、彼を本部に連れてくるよう頼み込んでくるだろう。
「最後に一つだけ聞かせてくれ。お前達はまた、テロ活動をするつもりか?」
「イエスと答えたら?」
「あの時と変わらん。左達と共に、お前達の野望を打ち砕く」
「チッ、その言い草だと、あいつもこっちに来てるみたいね。……………質問の答えだけど、ノーよ。今の雇い主がこれまた大層なお人好しでね。それこそ、逆らうのも馬鹿みたいに思えてくるぐらい」
「フッ、お前達をそこまで変えるほどの人物か。是非会ってみたいところだ」
「会わせてあげるわよ、あいつらから逃げた後にねッ!」
無数のコインを躱した二人にファイタードーパントと、アクセルが参戦してからは傍観者に徹していたレイアが迫る。
レイアの指から弾き飛ばされるコインを火炎弾で相殺したヒートドーパントが炎を纏わせた右足で反撃に出ると、レイアは咄嗟に片手に装備したトンファーで受け止める。しかし、咄嗟の判断で防御したからか、腰に力が入っておらず、僅かに体が逸れてしまう。そこへすかさずヒートドーパントの猛烈な蹴撃が叩き込まれ、たまらずレイアの体が吹き飛ばされる。
一方、アクセルもファイタードーパントが連射する弾丸を掻い潜ってからの連撃を繰り出し、防御したファイタードーパントの体が大きく後退する。
「やってッ!」
「あぁッ!」
『エンジン!』
レイアとファイタードーパントの両方が自分達からある程度離れたタイミングで飛んだヒートドーパントの指示に頷き、アクセルはエンジンメモリをエンジンブレードに装填し、スイッチを押す。
『スチーム!』
アクセルメモリから三つ存在する内燃機関の中から選び取った力が発動し、彼らの姿を煙が覆い隠す。レイアのコインとファイタードーパントの弾丸が煙に無数の穴を開けていくが、それが晴れた時には、既にヒートドーパント達の姿は無かった。
「追イカケルカ?」
「マスター、指示を」
『追跡の必要は無い。帰投を命ずる』
「ソウカ。ソレナラ、戻ルトシヨウ」
ファイタードーパントはステルス機能以外にも索敵能力を保有しているため、彼らが今どこにいるか手に取るようにわかるが、今深追いしてもそれほど利益にはならないと判断し、レイアと共にキャロルから貰ったテレポートジェムを砕き、本拠地へと戻っていった。
『――――――ファラ、作戦は終了だ。デスドーパントと共に帰投せよ』
「わかりました。では、そのように」
「かしこまりました」
翼のシンフォギアが破壊されるのを見届けたファラとデスドーパントはキャロルからの指示に従い、テレポートジェムを砕く。
「フフ、ごきげんよう……………」
先にファラの姿が消え、残されたデスドーパントは足元の輝きの向こうにいる二人の歌姫を見つめる。いや、厳密には、
「さようなら、お二方。またいつか、お会いしましょう」
どこか笑っているような口調で言い残し、デスドーパントの姿は消え去った。
「――――――調ちゃんと切歌ちゃん、ドーパント二名と赤い仮面ライダーと共に離脱。クリスちゃんや保護対象の無事も確認していますッ!」
「克己さんもノイズの殲滅を完了ッ! 合流と回収を急ぎますッ!」
再び現れたノイズに、新たな敵勢力。それらとの戦いは一先ず終了したらしく、微かに司令室の雰囲気が緩くなる。しかし、すぐに休むわけにはいかない。ここからは現場処理に装者や仮面ライダー、ドーパントの回収だ。まだ気は抜けない。
「錬金術師キャロルと同じ顔の少女……………。了子君、彼女について、なにか知っているか?」
「彼女についてはまるで知らないけど、所属してるであろう組織なら心当たりがあるわ」
「それは?」
「パヴァリア光明結社。多くの錬金術師を抱え込んでて、必要なら同盟組織に異端技術やその産物を提供するけど、用済みになれば即座に切り捨てる組織。財団Xと似たようなものと考えてくれて結構よ。でも、今回の戦闘を見るに、結社そのものが動いている感じじゃなさそうね。やってて支援ぐらいかしら。あのキャロルって子が、オートスコアラーやドーパントを率いて行動しているのかも。……………それよりも、まずは対処すべき問題があるでしょう?」
「あぁ、そうだな……………」
弦十郎がオペレーター達に指示を出そうとした直後、正面モニターに翼の顔が表示された。
「翼か。今連絡しようと思っていたところだ。状況は……………」
『完全敗北……………いいえ、状況はもっと悪いかもしれません……………』
ライブの時に来ていた衣装に身を包み、沈んだ声で報告を行う翼の手には、砕け散ったペンダント。アルカ・ノイズによって破壊されてしまった天羽々斬だ。
『ギアの解除に伴って、身につけていた衣服が元に戻っていないのは、コンパーターの損壊による機能不全であると見て間違いないでしょう』
『まさか、翼のシンフォギアも……………?』
『……………絶刀・天羽々斬が手折られたという事だ』
「クリスちゃんのイチイバルと、翼さんの天羽々斬が破損……………」
「了子さん、なにか出来る事は……………」
翼とマリア、司令室にいる者達からの視線を受け、シンフォギアの生みの親は顎に手を当てて思案する。
「修復に関しては、時間さえくれれば可能だけど、また破壊されたら意味が無いわ。あのノイズに対抗できる策を考えないと……………」
「とりあえず、君達が無事でなによりだ。気を付けて戻ってくるように」
『了解です』
頭を回転させているフィーネに代わって出た弦十郎に頷いた翼が通信を切ると、今度は克己からの通信が司令室に入る。
「克己君か。君のライダーシステムに不備は無いか?」
『幸いにも、な。ソロモンの杖による召喚とは違う形で出現した以上、なにかありそうだとは考えていたが、まさかシンフォギアを分解させる能力を持っていたとはな』
『……………ごめんなさい。私がキャロルちゃんと、きちんと話ができていれば……………』
克己の横に見える響の顔は酷く沈んでいる。自分がキャロルとの間にそびえる巨大な壁を知って、思い悩んでいるようだ。
『誰彼構わず繋がろうとする、その心意気は見上げたものだ。だが、向こうが襲ってきたら、まずは応戦しろ。でないと、今度こそ死ぬぞ』
『……………すみません』
「……………話を」
響がキャロルと少なからず会話できていたのなら、そこからなにか情報が掴めるかもしれないと、弦十郎は響にキャロルの話を訊いた。
――――――響が一通りキャロルについての話を終えると、通信機越しに映る弦十郎は二人に労いの言葉をかける。
『とりあえず、ご苦労だった。既にヘリを向かわせている。レイカ君達と合流次第、帰還してくれ』
「了解だ、ボス」
通信を切り、さて、と響を見る。
「響、一つ聞きたい事がある」
「はい?」
「ここに来る前、
「あ、み、見ました。緑と黒の仮面ライダーです。名前は確か……………W、とか」
「……………そうか」
「? 克己先生……………?」
腕を組んで真夜中の空を見上げる克己に首を傾げる。
「もしかして、知り合いなんですか?」
「そんな生温い関係じゃない。こことは違う街で殺し合った仲さ」
「え……………、こ、殺し合い……………?」
そこまで険悪な関係なのか、と克己を見つめる響だが、彼女の気持ちを察したのか、彼はひらひらと手を振る。
「が、あくまでそれは過去の話。俺達が殺し合ったのは事実だが、今それをする気は無い。むしろ、色々話を訊きたいところだ。……………で? あいつらの事を知っているって事は、どこに行ったかも知ってるよな?」
「あの人……………人達? は、確か――――――」
「――――――あの宝石のようなものはなんだ……………?」
響の声を遮るように、物陰から物思いに耽るような声が聞こえる。
「割れた瞬間に奴の姿が消えた事から透明化の類だと思うが、奴からすれば僕達から逃げるのなら透明化せずとも簡単なはず……………。そもそも奴のメモリにそんな力はない。外付けのものと考えるべきだろう……………。となると、瞬間移動? ノイズなんていう非科学的な存在がいる世界だ。それすらも可能にする技術が、この世界に存在するのか……………? それも普及されてはおらず、ごく限られた人間にのみ与えられるものであるのなら――――――」
「おい」
「実に興味深い内容だ。僕達の世界ではまだ完成されていない瞬間移動の技術が、こちらの世界では完成されている……………。いや、これは逆にまずい展開だ。この世界の誰かと奴らが手を組んでいる事は火を見るよりも明らか……………。それも瞬間移動を可能にするものを容易く提供する、全く未知の――――――」
「おいッ!」
「邪魔しないでもらえるかな。僕は今考察に忙し……………ッ!?」
少し不機嫌な様子で顔を上げた青年の目が、目の前で自分を見下ろしている男を映し、目玉が零れ落ちそうなぐらいに目を見開く。
「大道克己ッ!? なぜ君がここに……………ッ!?」
「久しぶりだな、
「おい、フィリップッ! なんなんだよ、あれッ! いきなり宝石みてぇなの割ったと思いきや、いきなり消えやがったぞッ! ……………あん?」
「やっぱりお前もいたか、左翔太郎」
「テメェは……………大道克己ッ!」
Wが消えた方角から戻ってきた翔太郎が警戒心を剥き出しにして構えると、フィリップも飛び跳ねるように克己から距離を取って身構える。
「ま、待ってください二人共ッ! 克己先生は敵じゃありませんッ!」
一触即発の空気に、咄嗟に響が声を上げると、翔太郎とフィリップは訝し気に彼女を見つめる。
「敵じゃない……………? いや待て。君は今、彼の事を『先生』と呼んだかい?」
「は、はいッ! 私が通っている学校で、体育の授業を教えてますッ! ものすっごいスパルタですが、その分きちんと体が鍛えられて人気ですッ!」
「はぁッ!? え、体育教師?
あり得ないと言わんばかりに克己を指差して叫ぶ翔太郎。それの証拠に、克己は通信機の役割も担う携帯端末を取り出し、二人に見せる。
それはリディアンにおける彼の立場――――――つまり、彼が正真正銘『教師』である事を裏付ける証拠に他ならなかった。
続けて響が通信機を取り出し、克己が敵ではない新たな証拠を提示すべく通信を開く。
『響君か。どうした?』
「師匠、少し厄介な状況になっているので、よろしくお願いしますッ!」
『な、なんだいきなりッ!?』
そこから流れるように事が進んだ。
響の通信機越しに弦十郎から説明を受けた二人は一先ず克己やこの場にいない他のNEVERの四人が敵ではない事に納得し、自分達やWについて詳しく話を聞きたいから本部に来てくれるか、という弦十郎からの頼みにも頷いた。
彼らなりに、この状況で必要なものは情報だと解釈し、国連直轄の組織であるS.O.N.G.に向かうのは互いの利益に繋がると考えたのだろう。
『そういえば、レイカ君から報告を受けていてな。仮面ライダーアクセル――――――照井竜君もいるようだ。彼の話によれば、鳴海亜樹子という女性もいるらしい』
「亜樹子も来てんのか。まぁ、風都タワーのすぐ近くにいたから当然か」
『今はレイカ君達と共にそちらに向かっている。しばらく待てばヘリが来るだろう』
「おう。……………それにしても」
翔太郎の視線が瓦礫に腰掛ける克己に向けられる。
「お前が誰かを護る為に戦ってるなんて、夢でも見てるみたいだぜ」
「ふん、どっかの半分こ怪人の生温さが移っただけだ」
「言われてるよ、翔太郎」
「お前もだろ、フィリップ」
お互いを小突き合う二人を見て、響がふっと微笑む。
「二人共、本当に仲がいいんですね」
「当たり前だろ? 俺とこいつは一心同体。たまにそりが合わねぇ時もあるが、かけがえのない相棒だ」
「相棒……………。素敵な響きですね」
「……………そろそろ迎えが来る。あいつらに説明しないといけないな」
遠くから聞こえてくる音から、回収ヘリが近づいてくるのを感じた克己は瓦礫から立ち上がり――――――
「――――――克己……………?」
突然聞こえた、懐かしい声に振り向く。
それは、既にこの世にいないはずの者の声。あの時救えなかった、あの少女の声。
あり得ない。彼女がここにいるはずが無い。そんな否定的な考えが脳内を埋め尽くすが、どうしても視線は声の持ち主を探し続ける。
そして、見つけた。
物陰から出てきた、紅葉色の服装の女性。克己の記憶にある彼女と些か違うのは、彼女が生きてきた時間がもたらした成長が故の事だろう。
その名を口にすればたちまち彼女が消えてしまいそうな不安を抱えながら、克己は震える唇で、彼女の名を口にした。
「ミーナ……………?」