死神に鎮魂歌を   作:seven74

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 fgoで新イベント『虚数大海戦イマジナリスクランブル』が始まりましたね。新サーヴァントしてネモ船長とゴッホが来たので、溜めに溜めた石を割りましたが……………。

 ガチャは悪い文明(血涙)。


暴虐のS/フォールン・フェアリー

 

「アウフヴァッヘン波形を検知ッ!」

 

 

 デスドーパントによってマリアの前にセレナが現れた頃、S.O.N.G.司令室では藤尭を始めとしたオペレーター達が、彼女が身に纏うシンフォギアがどの聖遺物の欠片を用いて作られたものかを調べ上げていた。

 

 

「データベースより照合ッ! モニターに表示しますッ!」

 

 

 友里がそう言った直後、モニターの中心にセレナが纏う聖遺物の名が表示された。

 

 

《code:Airget-lamh(アガートラーム)

「アガートラームだとォッ!?」

 

 

 マリアが所持しているはずのシンフォギアの名前が表示された事に驚愕する弦十郎の隣で、調と切歌は信じられないといった表情を浮かべていた。

 

 

「調ッ! セレナデスよッ!」

「そんな、どうして……………ッ!?」

 

 

 アルビノ・ネフィリムの暴走事件を収束させる為にその命を散らしたはずの少女の登場に茫然とする二人が見つめるモニターの中にいるセレナは、実の姉であるはずのマリアに襲い掛かった。

 

 

 

 

 

「――――――セレナッ! 私がわからないのッ!? セレナッ!」

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!

 

 

 いくら呼び掛けてもセレナは姉の声に耳を傾けず、右手に構えた短剣を投擲してくる。

 

 咄嗟に槍で打ち払うが、そこへ新たな短剣を手にセレナが突っ込んでくる。

 

 

「ぐ……………ッ!?」

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!

 

 

 体を捻って刺突を回避する。標的を逃がした切っ先は虚空を貫く結果に終わったが、それでもセレナはマリアを刺し殺そうとばかりに短剣を振りかざして襲ってくる。それを何度も躱し、時には弾くマリアだが、そうする度に、妹の殺意を全身に受け止めねばならなかった。

 

 早くに親を亡くしたマリアにとって、妹のセレナは宝物にも等しい存在。アルビノ・ネフィリムの暴走事件において死亡した彼女がこうして姿を現してくれたが、そんな彼女が殺意の籠った一撃を繰り出してくるのだ。平静でいられるわけが無い。が、一瞬でも気を抜いたらそれで終わりだ。瞬く間にこの身に短剣が突き立てられ、セレナは躊躇いなく姉の命を奪うだろう。

 

 獣の如き荒々しさで繰り出される連撃を凌ぎ切り、心中で謝罪しながらセレナを蹴飛ばす。

 

 呻き声をあげてマリアとの距離が空くも、セレナはすぐさま握っていた短剣を地面に突き立てる。

 

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!

 

 

 

DARK SILKY†RAY

 

 

 

 暴虐を象徴するかのような咆哮を合図に、短剣から迸った闇の波動が地面を伝って一直線にマリアへと迫る。

 

 本来であれば眩い純白の輝きであったのだろうが、今の彼女によって放たれたそれは、破滅をもたらす無明の闇と化してしまっているのだ。

 

 それに対し、マリアも構えた槍の穂先にエネルギーを充填し、背後にいる響達に危害が及ばず、セレナの闇の波動と相殺する程度に威力を抑え、解放する。

 

 

HORIZON†SPEAR

 

 

 マリアに向かってくる闇の波動と、それを迎撃するように発射されたエネルギー光線が直撃し、爆発と共に周囲に突風が吹き荒ぶ。

 

 爆発の影響で前方が黒煙に覆われるが、マリアは油断せずに待ち構える。この黒煙の向こうでは、今も自分の命を奪おうとする殺気が放たれ続けているのだから。

 

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!

「ヤァ――――――ッ!」

 

 

 今度は両手に短剣を装備して黒煙を突き破ってきたセレナを、マリアの裂槍が迎え撃つ。

 

 漆黒の軌跡を描きながら振るわれる二本の短剣による斬撃を捌き、マントでセレナを弾き飛ばす。

 

 

(セレナは操られてる……………ッ! この子を操ってるのは――――――)

「おや、こちらに来ましたか。では、お相手させていただきましょう」

 

 

 妹には目もくれずに突進してきたマリアに気付いたデスドーパントは鎌を構えて迎え撃つ。

 

 首元を狙ってきた刃を伏せて回避。突き出した爪先でデスドーパントに距離を開けさせ、立ち上がるや否や槍による刺突を繰り出す。鎌を巧みに操って捌き切ったデスドーパントの周囲に、セレナを出現させた時とは違う、紫色の人魂が浮かび上がる。放たれたそれをマリアが槍で弾き、マントを翻して回転する。

 

 迫り来る漆黒の竜巻を鎌を両手で握る事で防御したデスドーパントが竜巻を上空に打ち上げる。

 

 

「む……………ッ!?」

「かかったわねッ! ハァ――――――ッ!」

 

 

 打ち上げられた事でデスドーパントの頭上を取る事に成功したマリアは、太陽の輝きを背負っている。マリアの姿を追おうと顔を上げたせいで太陽の輝きを直視したデスドーパントの目が一瞬眩み、その隙を逃さずにマリアは再び回転。今度は漆黒のドリルとなってデスドーパントに襲い掛かる。

 

 しかし――――――

 

 

「ぐ……………ッ!? あぁ……………ッ!」

 

 

 全身に走る激痛に耐えかねたマリアが空中でバランスを崩してしまう。LiNKER無しにシンフォギアを纏った負荷がマリアを傷つけているのだ。その証拠に、彼女の両目からは血の涙が流れ出ている。

 

 デスドーパントに会心の一撃を与える直前にギアが解除されてしまったマリアが無様に落下し、それを見たガリィが「ぷっ」と噴き出す。

 

 

「ぷぷぷ。いい攻撃だと思ったんだけどねぇ。さて、どうしますぅ? そんなところで寝てたら――――――」

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!

「――――――大切な妹に殺されちゃいますよぉ?」

 

 

 振り向いたマリアの視界に、咆哮をあげて短剣を振り上げたセレナが映り込む。次の瞬間には、セレナの短剣はマリアの背中に――――――

 

 

「そこまでです」

 

 

 デスドーパントの声を聴いたセレナの動きが止まり、唸り声をあげながらデスドーパントを見る。

 

 

「今回は、彼女に呪われた歌を手にする覚悟を決めていただく為に姿を現したのです。私への怒りが、私を憎むその気持ちが力に変わった時こそ、彼女は呪われた旋律を手に入れるのです。それなのに命を奪っては意味が無いでしょう?」

ウ”ウ”ウ”……………

 

 

 セレナは今まさにマリアに突き立てようとした短剣を消滅させ、デスドーパントの傍らに立つ。

 

 

「セ、セレナ……………」

「姉妹の絆ってやつ? 相手が殺意を持って攻撃してくるのなら、躊躇わず殺すべきだろうに。ホント、くっだらないわぁ~」

 

 

 でも、と、ガリィはニタリと意地の悪い笑みでマリアを見る。

 

 

「そんなあんたを、こいつと一緒に徹底的にいたぶり尽くすのは楽しそうだ。決めた、ガリィの相手はあんたよッ!」

 

 

 可能ならばこのままマリアから歌を引き出したいところだが、セレナとの戦いを見て、まだまともに戦えない状態のように見えた。満足に(たたか)えないのなら、これ以上ここにいてもしょうがないだろう。

 

 ガリィとデスドーパントがテレポートジェムを割り、足元に魔法陣が形成される。

 

 

「ばいなら~♪」

「では、またいつかお会いしましょう」

「待、て……………ッ! セレナを……………セレナを返せッ!」

 

 

 負荷で言う事を聞こうとしない体を鞭打ち、マリアが三人に向かうが、その手がセレナに届こうとした瞬間、彼らの姿は消滅してしまった。

 

 

「……………セレナ」

 

 

 消えてしまった妹の名を呟くも、すぐに思考を切り替え、響達の安否を確認する。

 

 

「怪我はない?」

「……………はい」

「これ、君のガング――――――」

 

 

 どこか落ち込んだ表情で答える響から無断で借りてしまったガングニールのペンダントを差し出そうとすると、ひったくるようにマリアの手からペンダントが奪われた。

 

 

「私のガングニールですッ!」

「響ッ!?」

「これは、誰かを助ける為に使う力……………。私が貰った、私のガングニールなんですッ!」

 

 

 今は亡き朱色の片翼から受け継いだ撃槍。助けを求める者達を救う為に使うべきガングニール。それを、相手を倒す為に振るったマリアに対して、響の心には僅かな怒りが湧いていたのだ。

 

 が、それが自分の驕りでしかない事にすぐに気付き、驚いた表情をしているマリアに俯く。

 

 

「……………ごめんなさい」

「……………そうだ。ガングニールはお前の力だ。だから、目を背けるなッ!」

「目を……………背けるな……………」

 

 

 両肩を掴んで言い聞かせるように叫ぶマリアに、響は思わず目を背けてしまった。

 

 

 

 

 ――――――帰還したガリィが最初に目にしたのは、微かに苛立った表情で玉座から見下ろしてくるキャロルの姿だ。

 

 

「そんな顔しないでくださいよ。ロクに歌えないのと、歌っても大した事ない相手だったんですから、あんな歌をむしり取ったところで、役に立ちませんので」

「……………自分が造られた目的を忘れていないのなら、それでいい」

 

 

 玉座に背を預けたキャロルは、あの火事場で出会った少女を思い出す。

 

 どこまでも生温い人物だ。あらゆる敵を打ち砕く無双の力を、人助けの為だけに活用しようとする。

 

 相手と繋がる事を優先しすぎていれば、いずれ殺されるかもしれないというのにだ。それでも自分達は手を握り合えると信じている彼女には心底イライラする。

 

 

「……………だが、次こそはあいつの歌を叩いて砕け。これ以上の遅延は計画が滞る」

「レイラインの解放……………わかってますとも。ガリィにお任せですッ!」

「……………お前に戦闘特化のミカをつける。いいな?」

「いいゾッ!」

「そっちに言ってんじゃねぇよッ!」

「ハハハッ! いいコンビじゃないか、お前らッ!」

 

 

 王室の端で彼女達の会話を聞いていた燈迩が笑い声をあげると、ガリィがムッとして彼に顔を向けた。

 

 

「どこがいいコンビだッ! 正直言ってめんどくさいわッ! なんならあんたが引き受けてくれたっていいんだぞ?」

「いや、俺は断らせてもらう。頼まれてもないのに、誰がそんなめんどくさい事するかっての。第一お前、ディーンハイムの命令を受けないつもりか?」

「チッ!」

 

 

 そう言われてしまうとなにも反論できない。主であり創造主でもあるキャロルの命令に背くなど言語道断。自分達は彼女の目的の為に造り出されたのに、逆らってしまうのは元も子もない。

 

 

(せめてあの時、ハズレ装者のギアが解除されなければ……………)

「で? こっちに来て初めての能力使用はどうだったよ」

 

 

 歯噛みしているガリィを置き去りに、話は進んでいく。今度はこちら側の世界に来た事でドーパントの能力になんらかの変化があったかどうかを確かめる為のものだ。

 

 デスドーパントの右手の甲からメモリが排出され、オールバックにまとめた茶色が混じった黒髪に、黒い燕尾服を着込んだ男――――――シアン・ゴールディスが燈迩の質問に答える。

 

 

「問題ありませんでした。こちらの彼女は先程の装者、マリア・カデンツァヴナ・イヴ様の妹様なのですが、元の人格を封印し、敵対者の排除を優先する存在へと書き換える事ができました」

 

 

 デスドーパントの能力で蘇らせた相手がドーパントであれば、空っぽの内面をデスドーパントの意思で決められ、戦闘員に変える事も出来れば雑用係にする事も出来る。だが、対象が人間となると話は違ってくる。

 

 ドーパントを蘇らせる時と違って、彼の能力で蘇った人間には自我があり、記憶も存在するのだ。今この場にいないアルケウスドーパントの妹、叶がその例となる。セレナを蘇らせた時にデスドーパントがなにもしなければ、彼女は姉と刃を交えたりはせず、デスドーパントとガリィを敵と認識して攻撃してきただろうが、そんな事をさせては彼女を蘇らせた意味が無い。

 

 それ故に、人格の封印を行ったのだ。セレナ・カデンツァヴナ・イヴの本来の意識、人格を完全に封じ込め、相手が家族だろうと容赦しない、悪魔の戦士に作り替えたのだ。

 

 

「キャロル様やオートスコアラーの方々にはお伝えしておらず、申し訳ございませんでした。マリア様の経歴を確認していたご主人様から、彼女を蘇らせてぶつけろ、とのご命令があり、タイミングも急なものでしたので……………」

「構わん。そいつを使って奴らからあの旋律を手に入れられるのなら、それでいい」

「それで、次はどう行動するんだ? そろそろ俺も出たいところなんだが……………」

「すまないが、お前の出番はもう少し先になる」

 

 

 そこで扉が開き、叶を連れたアルケウスドーパントが姿を現した。拠点内でもドーパント態のままで居続けるので少し異様な光景となってしまうが、主のキャロルは彼に人間の姿になれとは言わない。言ったところで姿を現すのは、津神真一の魂に乗っ取られた青年だ。亡き父親と同じくらい大切に想っている相手が、自分の知る彼とは全く違う口調、全く違う気配で話すのを見るのは耐えられない。

 

 

「マジか。そろそろ暴れたいと思ってたところなんだがなぁ。ま、リーダーが言うんなら仕方ない」

「ご苦労だったな、シアン。しっかり休め」

「ありがとうございます。ですが、大丈夫です。あの程度の事など、軽い運動でしかありませんので」

「……………シアン、お疲れ様」

「これは……………ッ! 感謝いたします、お嬢様。茶菓子でも食べていかれますか?」

「ん……………食べる」

「承知いたしました。それではこちらへ。皆さんも食べますか?」

「いらん。好きにしろ」

「私達は『想い出』がエネルギーなのでいらなぁい」

「丁度小腹が空いてたところだ。戴くぜ」

 

 

 シアンの申し出に頷いた燈迩はアルケウスドーパントと共に王室を出ていき、キャロルとオートスコアラー達が残される。

 

 

「残念でしたね、マスター。せっかくのキッチンがあんなぽっと出の連中に使われて」

「……………なんの事だ、ガリィ」

「だってぇ、あのキッチンってマスターが団長に自慢の愛妻料理を――――――」

「だ、黙れッ! いきなりなにを言い出すッ! というか、『愛妻』ってなんだッ! いつオレがあんな奴の妻なんかに……………」

「えぇ~? マスターってば何度もあいつの話してたじゃないですかぁ。その時の顔ったら、完全に恋する乙女そのものでしたよぉ?」

「な……………ッ!」

 

 

 氷棺の中で眠っている男が何者かと聞いてきた彼女達に彼について話した記憶はあるが、まさか同じ事を何度も彼女達に話していたのかと思い、キャロルは無意識に額に手を当てた。

 

 

「……………ガリィに命ずる。これから常にミカの面倒を見続けろ。お互いの内、片方が壊れるまでな」

「そんな後生なッ!」

 

 

 任務以外でもミカの世話をしなくてはならなくなってしまった事態に、珍しくガリィが心の底からの声をあげた。

 

 

 

 

 ――――――翌日、司令室に集まった響達に、エルフナインがキャロルが率いる者達の説明をしていた。

 

 

「先日響さんを強襲したガリィと、クリスさんと対決したレイア、これに翼さんがロンドンで(まみ)えたファラと、未だ姿を見せていないミカの四体が、キャロルの率いるオートスコアラーになります」

「人形遊びに付き合わされて、この体たらくかよ……………」

「その機械人形はお姫様を取り巻く護衛の騎士、といったところでしょうか?」

「スペックを初めとする詳細な情報はボクに記録されていません。ですが……………」

「シンフォギアをも凌駕する戦闘力から見て、間違いないだろう」

 

 

 正確なスペックについてはまだ判明していないが、オートスコアラーが今の装者達など相手にならない存在だという事は、彼女達と戦った経験がある翼達には理解できていた。

 

 

「それに、敵は彼女達だけではない。彼女達にはラメンターが協力している」

 

 

 竜が苦々しく口にする。

 

 自分達と同じく、こことは異なる世界からやって来た者達。彼らが使用しているのは、翔太郎達が使っている旧式メモリではなく、その完成形であるT2ガイアメモリ。

 

 『原初力』のアルケウス。『死』のデス。『戦闘機』のファイター。誰一人も侮れない能力を備えており、油断すればあっという間に殺されてしまうだろう。

 

 

「だが、俺達が諦めるわけにはいかない。超常脅威への対抗こそ、俺達の使命。この現状を打開する為、エルフナイン君より計画の立案があった」

 

 

 モニターに赤い文字が表示され、そこにみんなの視線が向けられる。

 

 そこにあるのは、強力無比なる脅威を穿つ計画。

 

 その名は――――――

 

 

「『Project IGNITE』だ」

 

 

 

 

 

「――――――フィーネ、少しいいか?」

 

 

 S.O.N.Gの拠点である潜水艦に備え付けられた一室。無数の機材が机上に並べられた部屋に克己が足を踏み入れる。

 

 その部屋の主はもちろん、フィーネである。

 

 

「どうしたの?」

「俺のメモリを改造してほしい。あいつらと共闘する以上、エターナルのマキシマムは危険だ」

 

 

 克己のT2エターナルメモリのマキシマムドライブはT2以前の旧式ガイアメモリの機能を半永久的に封じるものだ。これから翔太郎達と共闘する事になる以上、旧式メモリを使って戦う彼らにエターナルのマキシマムドライブは天敵と言っても過言ではない。

 

 フロンティアフォームとなったイクシードとの戦いのように、今後全てのメモリを同時使用して戦わねば勝てない相手が出現した時に『エターナルのマキシマムドライブが使えません』となったら話にならない。

 

 そう説明すると、フィーネは快くT2エターナルメモリの改造を承諾してくれた。

 

 

「それで、あれの開発は……………」

「問題ないわ。既に完成してる」

 

 

 フィーネが顎でしゃくった先にあるものを見て、上々とばかりに頷く克己。だが、フィーネの表情は優れていない。

 

 

「でも、国連の連中は()にあれを使わせるのに消極的なのよね。あの力が自分達に向いたらって考えてるみたい」

「ボスがそうしろと命じない限り、そうはならないと思うがな。そっち関連の話はボスとでもしておいてくれ。一職員に過ぎない俺にはどうもできない」

「えぇ、元からそのつもりよ」

「頼んだぞ」

「任せなさい」

 

 

 ひらひらと手を振るフィーネに背を向け、克己は彼女の部屋を後にするのだった。

 

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