シンフォギアとキラメイジャーのコラボイベント決定ッ! これはもう仮面ライダーとコラボまで秒読みですね(懇願)ッ!
調と切歌がミカと交戦し始めたのと同時刻。彼女達が戦いを始めた事に気付いた本部では弦十郎が二人に通信を送ろうとしたが、その瞬間、本部全体がなんらかの攻撃を受けたのか大きく揺れた。
「な、なんだッ!?」
「し、司令ッ! モニターをッ!」
衝撃に驚きながらもしっかり本部を攻撃した者の正体を探った藤尭に言われてモニターを見ると、そこには海底に立つ、巨大な人影が映し出されていた。
「なんだ、こいつは……………ッ!?」
「……………ッ! 新たなエネルギー反応を検知ッ! ファイタードーパントですッ!」
友里が叫んだ途端、先程よりも軽いが、それでも明確な振動が潜水艦内に走った。
「くぅ……………ッ! 海底と上空からの奇襲か……………ッ!」
「ボス。一瞬だけでいい。潜水艦を浮上させてくれ。ファイターは俺と賢が相手する。……左」
声をかけられて反応した翔太郎に、克己は一本のガイアメモリを投げ渡す。そこに記されているイニシャルのデザインから、それが地球のどの記憶を内包しているかを理解した翔太郎が不敵な笑みを浮かべた。
「海底にいる敵はお前達に任せた」
「……………へッ! 任されたぜ。フィリップッ!」
「あぁッ!」
克己と賢、翔太郎とフィリップが司令室から出ていき、弦十郎は彼らの助力になりそうな手段を思案し、ある人物に通信を開いた。
『なんだ?』
「クリス君。君の力を借りたい」
「――――――わかった。あたしに任せてくれ」
「調と切歌が襲撃されたタイミングで本部が襲われるなんて……………。まさか、計画的な攻撃なの?」
「……………ッ! 姉さんッ!」
弦十郎の指示に頷いて通信を切ったクリスを見て、彼らの会話を聞いていたマリアが呟いた直後、セレナが叫ぶ。すると次の瞬間、彼女達目掛けて無数のコインが飛来し、三人は咄嗟に回避行動を取る。
「……………ッ! レイア・ダラーヒムッ!」
「邪魔はさせない。シンフォギア装者」
軽やかな動きで着地したレイアがコインを連結させて完成させたトンファーを両手に襲い掛かってくる。マリアが駆け出し、レイアと同じように両手に短剣を構えて彼女の攻撃を受け止める。
「クリスッ! ここは私達に任せてッ!」
「やられんじゃねぇぞッ!」
「逃がすかッ!」
マリアを蹴り飛ばしたファラが左手のトンファーをコインに分解。即座に指で弾いてクリスを狙い撃つ。しかし、それが彼女に直撃する刹那、コインとクリスの間に割り込んだセレナが複数の短剣を使って作り出したエネルギーの障壁で阻む。そのお陰でクリスは少しのダメージを受ける事無く本部へと向かうのだった。
「行くわよ、セレナッ!」
「はいッ! 姉さんッ!」
アガートラームを纏う二人のシンフォギア装者がレイアに同時攻撃を仕掛けた。
「――――――くぅ……………ッ!」
カーボンロッドの爆発に吹き飛ばされた調が片膝をつき、彼女を護るように切歌が前に立つ。
「やっぱり強いデスね……………ッ!」
「これっぽっち? これじゃあギアを強化する前の方がマシだったゾ」
「そんな事……………あるもんかデスッ!」
流石、戦闘特化型というところだろうか。装者の中でも最も連携プレイに長けた二人の攻撃を受けても尚、ミカは平然として反撃してくる。その証拠に二人は所々傷ついており、対するミカは無傷に近かった。そんなミカの挑発を受けて切歌が飛び出すが、ミカがなにを企んでいるのかを察知した調が「駄目ッ!」と叫ぶが、もう切歌の攻撃は止められず、ミカが吹き飛ばされた。
「どんなもんデスッ!」
「こんなもんだゾッ!」
ミカの片手から大量のカーボンロッドを放たれる。一旦上空に打ち上げられたそれらは重力に引かれて落下してくる。回避させる気など毛頭ない数のカーボンロッドを前に切歌が怯むが、咄嗟に動き出した調がヘッドギアを四枚の丸鋸に変形させた。瞬時に組み立てられた即席の障壁に大量のカーボンロッドが直撃する。
「調ッ!?」
「ぐ、くぅ……………ッ!」
「アハハッ! オマケいくゾ~?」
「えッ!? きゃあッ!?」
カーボンロッドによる爆撃が終わったのか、衝撃が収まったと思った調を、丸鋸の盾を打ち砕いてきたミカが蹴り飛ばした。
「ついでにお前もだゾッ!」
「が、はッ!?」
着地したミカの手からゼロ距離でカーボンロッドが射出され、切歌の体が吹き飛ばされた。
「なんとなくで勝てるほど、アタシは甘くないゾ。アタシを倒したいなら、もっともっと強くなるんだゾッ!」
嬉々として叫ぶミカを前に二人が起き上がる。大ダメージを受けても尚、彼女達の女には明確な闘志が宿っており、射殺さんとばかりの眼光をミカに注いでいる。
「……………切ちゃん、いける?」
「……………当然デスッ!」
視線を通わせなくとも、相棒がなにを考えているかは手に取るようにわかる。二人はマイクユニットに手を伸ばし、それを掴み取る。
ナスターシャが遺してくれたこの世界で、このまま終わるわけにはいかない。だったら、格好よく生きるしかない。
「「イグナイトモジュールッ!」」
魔剣の柄に手をかけ、叫ぶ。
「抜剣ッ!」
「抜剣デスッ!」
放り投げられたマイクユニットが胸元に刺さり、途轍もない速度で心の闇が広がっていく。
「こんなのに……………負けている場合じゃない……………ッ!」
「マムの遺した世界で生きていく……………ッ! その為に、強くなるデスッ!」
しかし、如何に心の闇が強かろうと、今の二人にそれを御せないはずが無い。強力な意志の力でそれを捻じ伏せた二人の戦装束が、禍々しい邪悪な鎧に変貌していく。それを見たミカは、「ようやく引きずり出した」と言わんばかりに笑った。
――――――潜水艦のハッチが開き、そこから一羽の巨大なハチドリが飛び立つ。しかし、それは本物のハチドリなどではなく、エターナルに変身した克己がT2ナスカメモリを挿し込んだ事で変形し、飛行能力を獲得したトゥモルシーカーである。
「賢、頼むぞ」
「了解。
こちらに気付いたファイタードーパントの機銃から無数の弾丸が飛んでくる。エターナルが巧みにトゥモルシーカーを操作する事でそれを掻い潜り、彼の後ろに座ったトリガードーパントがトリガーマグナムから光弾を発射する。
連続して弾丸を撃ってくるファイタードーパントに対して、トリガードーパントが撃つ光弾の数は少ない。しかし、それでトリガードーパントは相手の動きが読めたのか、さらに撃ち出された光弾は徐々にファイタードーパントに命中していくようになってくる。
「……………ッ! リーダーッ!」
「わかってるッ!」
一旦ハチドリから距離を取ったファイタードーパントが変形したのが見え、エターナルはハンドルを切る。瞬間、ファイタードーパントから高出力のエネルギー砲が放たれ、目標を取り逃したそれは海面に直撃。大爆発を起こした。
「エネルギー砲か。厄介な……………」
「マサカNEVERト戦エルナンテナッ! 嬉シイゼ」
戦闘機から人型に変形したファイタードーパントが嬉々とした様子で口を開く。
「最強ノ傭兵チーム、NEVER。俺ハアンタラト戦ウノヲ楽シミニシテタンダ」
「悪いが、傭兵時代にお前の名前を聞いた事はなかったな。黒芭燈迩」
「当然ダ。俺ガソッチノ世界ニ入ッタノハ、アンタラガ仮面ライダーニ負ケタ後ダッタカラナ」
「時と場合によっては共闘していたかもしれないが、そんな機会はもう二度と来ないだろうな。お前は俺達の敵だ。ここで倒す」
「ソレハコッチノ台詞……………ト、言イイタイトコロダガ。生憎今ノ俺ノ仕事ハアンタラノ始末ジャナインデナ。ココデ撤退サセテモラオウ」
「逃がすと思うか?」
「思ワナイネ。コレッポッチモ」
戦闘機形態に変形したファイタードーパントが上昇し、それを追ってエターナル達も上昇した。
――――――その頃、海底では。
『オーシャンメモリ……………。まさかこんな事までできるなんてね』
「あぁ、まるでモーセになった気分だぜ」
地面に降り立ったWが周囲にできた
彼らが使用したのは、T2オーシャンメモリ。『大洋』の記憶を司るそのメモリが水を操れるというのは以前のキャロル戦でも知っていたが、まさかこうして海水を退かす事もできるとは思わなかった。これはマキシマムスロットからT2オーシャンメモリを引き抜くまで持続するらしく、しかもマキシマムドライブ発動時の負荷がそれほど感じられない。
『マキシマムドライブは封じられているが、身動きが取れないよりはマシだ。行けるよね? 翔太郎』
「当たり前だ。こんなデカブツ。すぐにノックアウトしてやんよ」
Wの前には、彼の数倍もある巨体を誇る、包帯を巻かれた人形があった。他のオートスコアラーと違って発声する機能がないのか、無言で持ち上げた腕でWを叩き潰そうと攻撃してくる。それを軽く飛び退いて回避したWは腕を伝って巨人の顔面に接近。拳で連続で殴打を繰り出す。
顔面を殴られた巨人が大きく身じろぎし、それにWが振り下ろされると、彼を踏みつぶそうと足を下ろしてくる。それを転がって避けたWはダブルドライバーからジョーカーメモリを引き抜き、トリガーメモリを挿し込む。
『サイクロントリガー!』
「そらそらそらッ!」
トリガーマグナムから発射された風弾が次々に巨人に命中し、巨人は顔を護るように片腕を持ち上げて防御する。しかし、巨人もただ防御しているだけではなく、そのままW目掛けて突っ込んできた。
「うおおぉッ!?」
自分の何倍もの体躯を誇る存在が突進してくるのだ。そのプレッシャーに気圧されたWを巨人が撥ね飛ばそうとした瞬間――――――
「ちょっせぇッ!」
突如上空から飛来したミサイルが巨人に直撃し、巨人の動きが止まる。
「クリスちゃんッ!?」
「加勢に来たぜッ!」
ミサイルに乗ってきたクリスがWの傍に着地し、黒煙が晴れた先に佇む巨人を見上げる。
「いやデケェな、おい。こいつもオートスコアラーか?」
『そうでなくとも、それに近しい存在だろう。フォルムから考えられるに、レイア・ダラーヒムとほぼ同じ設計だろう。相違点としてはコインを使う向こうと違って、こっちは物理的な攻撃を主体にしているところだろう』
「解説どうも。来るぞッ!」
繰り出された拳を躱し、Wとクリスは左右から巨人に攻撃を仕掛けた。
「――――――危険信号点滅 地獄極楽どっちがイイDeath!?」
調のヨーヨーが奔る。従来と比べて何倍にも増した速度で襲い来るそれを躱すと、今度は切歌が黒く染め上げられた鎌を手に襲い掛かる。
「最強のアタシには響かないゾッ! もっと強く激しく歌うんだゾッ!」
それも躱したミカがカーボンロッドを発射するが、それを調と切歌はそれぞれ別方向に動いて避ける。だが、ただ逃げているだけではない。突然動きを止めた二人は、そのまま一直線にミカ目掛けて走ってくる。これにはミカも一瞬動きが鈍る。
自分を中心に回っていた二人がいきなり迫って来たのだ。それに驚いたミカに隙が生じた瞬間を突き、切歌の両肩のアーマーが展開。そこから伸びたワイヤーアンカーがミカを拘束する。
「攻撃……………じゃないッ!?」
(調ッ!)
(切ちゃん……………受け取ったよッ!)
切歌のアーマーから伸びたワイヤーが調のギアと連結し、両者共にミカへと迫る。
『禁殺邪輪Zあ破刃エクLィプssSS』
誰にも負けない二人の絆が故に完成へと至ったコンビネーションアーツを前に、ミカは諦観にも似た感情を抱く。
「……………ひひ、歌えるじゃないかゾ」
寸分違わずにミカを打ち砕いた必殺技は大爆発を起こし、最強のオートスコアラーは遂に倒れたのだった。
「――――――こっちの気も知らないでッ!」
「たまには指示に従ったらどうだ?」
戦闘終了後、現場にやって来た弦十郎とクリスが開口一番に二人を叱りつける。
ミカが調と切歌に撃破された直後、なぜか他の装者達や仮面ライダーと交戦していたレイアと巨人が撤退し、何人かはそのままこちらへやって来ていた。クリスもその内の一人である。
そして、彼らが怒るのも御尤もである。この前の無断でシンフォギアを纏っての出撃もそうだが、今回も今回だ。この二人はあまりに自分勝手が過ぎていたのである。
「……………独断が過ぎました」
「これからは気を付けるデス……………」
「お、おう……………」
「珍しくしおらしいな。だが、わかればそれでいい」
珍しく素直に謝罪した二人に微かに驚くも、クリスと弦十郎はそれで彼女達を許した。
(それにしても……………あいつらは強いな)
念の為にフィーネの検査を受ける事になり、この場を後にする二人の後姿を見て、クリスは目を伏せる。
彼女達は自分の足で踏み出せたのに、自分はどうだろうか。……………できなかった。自分は、翼達の助けがなければ踏み出せなかった。
(あたしは、あいつらよりも弱いのか……………?)
拳を握り締めて歯噛みするクリスを、事後処理に当たっていた賢はじっと見つめていた。
――――――チフォージュシャトー、王室。今まで空席だった玉座が動き出し、その奥から煙と共に一人の少女が出てくる。
「お目覚めになられましたか」
「……………」
一糸纏わぬ裸体で立つ少女――――――キャロルはゆっくりと瞳を開け、吊るされた天幕を見上げる。
ガリィに続いてミカが敗れた。ここに残るオートスコアラーは、ファラとレイアの二機のみ。
「ガリィとミカがやられたか」
「派手に散りました」
「これから如何がなされますか?」
「言うまでもない。万象黙示録を完成させる。この手で奇跡を皆殺す事こそ、数百年来の大願」
なぜ死亡したはずのキャロルがここにいるのかというと、彼女が以前使用していたものとは違う肉体を得ているからだ。
数百年を世界の解剖という目標を完遂する為に費やしてきた彼女は、完璧以上に完成されたホムンクルスに自身の記憶を転写・複製するといったやり方で常人を超えた寿命を誇っていた。方法は違うが、フィーネのリインカーネイションに似たものである。
「マスター。お伝えしたい事が一つ」
「なんだ?」
「団長が目覚められました」
「……………ッ! そ、そうかッ! やっと、やっと目覚めたのかッ!」
先程までは達観していた表情をしていたのに、レイアから告げられた朗報を前にしたキャロルの顔はぱぁっと明るくなった。それを見たレイアとファラは「あのマスターがこんな顔を……………」と心中で驚いていた。そんな家臣の視線に気付いたのか、キャロルはハッとした後に「ご、ごほんっ」とわざとらしく咳払いをする。
「そ、それで? 奴はどこに?」
「客間でございます。ですが、まずはお召し物を――――――」
レイアが言葉を終えるよりも早く動いたキャロルはすぐに王室を飛び出し、長い廊下を走る。
(エルリン……………エルリン……………エルリン……………エルリンッ!)
計画に必要不可欠なものとはいえ、もう少しコンパクトにできなかったのか、とキャロルはチフォージュシャトーの設計者に微かに苛立ちを覚える。風を切って疾走したキャロルは客間へと続く扉の前に辿り着き、勢いよく押し開ける。
「……………あ? キャ、キャロルッ!?」
「……………ッ! あ、あぁ……………ッ!」
いた。オレが……………私が愛した騎士が、そこにいた。あの時と変わらない顔で、変わらない服装で、そこにいる。
「エルリン……………ッ! エルリンッ!」
「うわっぷッ!」
飛びつかれたエルリンがソファに倒れ込む。いきなり抱き着かれて驚いたエルリンの胸にぐりぐりと頭を押し当て、キャロルは涙を流しながら叫ぶ。
「やっと、やっと起きてくれた……………ッ! エルリンッ! 私の騎士ッ! 私の王子様ッ!」
「お、おい、キャロル……………。まずは離れてくれ……………。その、自分が今どんな状態かわかってんのか? お前……………」
「え……………?」
言われて、ようやく気付いた。今エルリンに密着している自分は、一糸纏わぬ裸体である事を。
「み、見るなあああああああああッッ!!」
「俺はなにも悪くぶべらッ!?」
茹蛸の如く顔を真っ赤にしたキャロルの平手打ちが、エルリンの顔面に直撃した。