死神に鎮魂歌を   作:seven74

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Fの最期/ガイアイグナイト

 

「―――鉛玉の大バーゲン 馬鹿に付けるナンチャラはねぇ」

 

 

 従来のものよりも細く、そして禍々しく変異したマグナムを装備したクリスがレイア達に銃弾を発射する。それを躱し、三方向から同時に攻撃を仕掛けるが、クリスは彼らを一瞥しただけで彼らの攻撃を回避し、距離を開けると同時にカウンターで銃弾の雨を浴びせる。

 

 デスドーパント、ファイタードーパントと違ってほぼ生身といってもいい状態のレイアはそれを受けて吹き飛ばされ、即座に態勢を立て直したドーパント達が動き出す。

 

 左右からの同時攻撃を仕掛けようとする二体のドーパントだが、彼らの背後に迫る影が三つ。

 

 背後の存在に気付いたドーパント達が咄嗟に防御態勢を取るのと、彼らの攻撃が繰り出されるのは同時。衝撃波が走り、攻撃の勢いに押された怪人達が床に叩きつけられた。

 

 

「クリスッ! デスとファイターは私達に任せなさい。貴女はオートスコアラーをッ!」

 

 

 短剣を構えるマリアに頷き、クリスはトンファーを手に襲い来るレイアを回避し、転がりながら引き金を引く。狙いを定めずに放たれた弾丸はしかし、あらぬ方向へと飛んでいく。

 

 

「どこを狙っている……ッ!」

 

 

 起き上がった瞬間に出来る隙を狙ってレイアが突っ込んでくる。しかし、絶えず歌を紡ぎ続けるクリスの口元には、不敵な笑みがある。それに嫌な予感を感じた時には、後の祭りだった。

 

 

「ぐッ!?」

 

 

 突如背中に激痛が走り、レイアの態勢が崩れる。そこに一時的に銃を消滅させたクリスの正拳突きが繰り出され、レイアは壁に叩きつけられた。

 

 いったいなにが、と思ってレイアが背中に感じる痛みから弾丸が飛んできた方角を割り出して見上げると、そこにはジェムのようなものが浮遊しているのが見えた。

 

 

「リフレクター……? 派手な真似をしてくれる」

「―――なれねぇ敬語でも どしゃぶる弾丸でも ブチ込んでやるから」

 

 

MEGA DETH FUGA

 

 

 腰部アーマーから撃ち出されたミサイルがレイアに迫る。巨大な質量を誇る二つのミサイルを前にしたレイアも、これに直撃してはまずいとジャンプして躱すが―――

 

 

「な……ッ!?」

 

 

 自分の周囲に展開された、リフレクターの檻に驚愕する。すぐに回避を試みるが、今の自分が空中にいる状態であるため回避行動は取れそうにない。しかも完全に不意を突かれた形であるため、コインで迎撃も出来そうにない。

 

 

「―――フ、まさか、これほどまでとはな……」

「―――笑顔達を護る 強さを教えろ」

 

 

 ギラリと獰猛な眼光が煌めき、クリスがマグナムをガトリング砲に変形させ、引き金を引いた。一秒の間にも銃口から無数に発射された弾丸がレイアを閉じ込めた檻に入ったかと思えば、リフレクターにより反射され、凄まじい速度を以て全方位からレイアを撃ち抜いた。

 

 

BLADE DEADRY RAIN

 

 

 暴虐と呼ぶべき銃撃の嵐に揉まれたレイアは、一瞬の間を置いて爆散した。

 

 

 

 

「―――ゼエェリャァッ!」

「オォ―――ッ!」

 

 

 気迫の籠った斬撃が交差し、アクセルとファイタードーパントの体から火花が飛び散る。互いに距離が空き、再び斬りかかろうとしたアクセルだが、ファイタードーパントは片腕を機銃に変形させており、真正面からゼロ距離で弾丸を発射した。

 

 

「ぐあああぁぁッ!」

 

 

 吹き飛ばされたアクセルにデスドーパントが襲いかかるが、それを間一髪で駆けつけたマリアが短剣で斬り払い、鎌を弾かれた隙にイクシードの飛び蹴りが直撃し、デスドーパントが蹴り飛ばされた。

 

 

「大丈夫か?」

「……助かった」

 

 

 イクシードに差し伸べられた手を取り、アクセルが立ち上がる。胸部装甲に阻まれたが、超至近距離から攻撃を受けたので今も激痛が走っているが、それで倒れるほど、アクセル(照井竜)は柔ではない。

 

 マリア、イクシード、アクセルの三人と対峙し、ファイタードーパントは傍らに立つデスドーパントを横目に、彼らには聞こえない声で話しかける。

 

 

「シアン、俺ハココデヤルゾ( ・ ・ ・ )

「……そうですか」

「ドウセナラ大道克己ニ()ラレタカッタガ、ナニ。NEVERト戦エタダケヨシトスルサ」

「……では、最後の戦い( ・ ・ ・ ・ ・ )、楽しんでください」

「……オウヨッ!」

 

 

 それぞれの得物を構えるドーパント達。彼らの気迫に圧されかける三人だが、イクシードは彼らに対する警戒心を上げる事で、マリアとアクセルは持ち前の不屈の闘志でそれを弾いて構えを取る。

 

 

「オラァッ!」

 

 

 両足に出現させたブースターを噴射して一気に加速したファイタードーパントの斬撃が迫る。スピードを乗せて威力を増しているそれは、まともに受け止めれば容易く押し切られてしまいそうなものになっている。彼の標的となったアクセルは咄嗟に身を捩る。僅かに刀身が掠った肩部パーツの一部が斬り落とされ、そのまま振り下ろされた剣は床に巨大な斬撃痕を残した。

 

 

トライアル!

 

 

 肩部パーツが斬り落とされても、アクセルは構わずにドライバーからアクセルメモリを引き抜き、トライアルメモリを挿し込む。

 

 

トライアル!

 

 

 ランプが点灯している間に走り出し、完全に三色のランプが点灯すると、装甲が弾け飛んだアクセルが、エンジンブレードを振るってファイタードーパントを切り裂いた。ファイタードーパントが怯んでいる隙にエンジンブレードを投げ捨てたアクセルの連続蹴りが炸裂し、ファイタードーパントが大きく蹴り飛ばされた。

 

 一方、マリアとイクシードはデスドーパントが放つ人魂型のエネルギー弾の弾幕を掻い潜って距離を縮めており、顔面に直撃しかけていたエネルギー弾を短剣を弾き、片手に持っていた短剣を投擲する。真っ直ぐ心臓を狙って飛来するそれをデスドーパントが鎌の柄で弾くが、その間は僅かに弾幕の密度が薄くなり、その瞬間を突いてイクシードが肉薄。握り締められた拳がデスドーパントの腹部に刺さり、その衝撃が背中から突き抜けていく。

 

 

「ぐぅ……ッ!?」

「フ―――ッ!」

 

 

 前のめりになったデスドーパントの髑髏の顔面にイクシードの膝蹴りが命中し、弾けるように天井を向くデスドーパント。そこへイクシードの回し蹴りが炸裂し、ボロボロのローブに包まれた体が蹴り飛ばされる。

 

 

「マリア」

「えぇッ!」

 

 

 蹴り飛ばされたデスドーパントに接近したマリアが蛇腹剣でデスドーパントを十字に斬りつけ、左腕ユニットを爪状に変形させて突き出す。瞬間、無数の十字架型のエネルギーがデスドーパントに襲い掛かった。

 

 

DIVINE†CALIBER

「ぐうぅ……ッ!?」

 

 

 大量の火花を放って倒れたデスドーパント。鎌を杖代わりに立ち上がるが、そこへ情け容赦なくイクシードが追撃を仕掛ける。デスドーパントは咄嗟に鎌を振るってイクシードを牽制し、反撃とばかりに鎌を振るった遠心力を利用して回転斬りを繰り出し、イクシードを切り裂いた。

 

 続いて人魂型のエネルギーを手元に出現させたデスドーパントがそれを鎌に取り込ませると、鎌の刃が人魂と同じ色のエネルギーを纏い、デスドーパントはそれを勢いよく振った。

 

 無数の炎の斬撃が放たれるが、イクシードは徒手空拳でそれを弾き、マリアは長剣で斬撃を打ち払っていった。

 

 

「合わせなさい、ケアンッ!」

「了解した」

 

 

 今度はイクシードがマリアに合わせる番になる。マリアが長剣を分解して鞭のように振るうと、分かたれた無数の刃は壁や床を斬りつけながらデスドーパントに襲い掛かる。それを的確に弾きながらもデスドーパントは鞭の如くしなる刃を躱して迫ってくるイクシードに人魂を放つが、イクシードがそれを視認した瞬間に、彼に備えられたAIが視界に入っている全ての情報から次にどう動くべきかを即座に判断し、彼の全身に命令を伝達。まるで未来が見えているかのような動きで人魂を回避したイクシードがジャンプし、デスドーパントがそちらに注意を向けた瞬間、無数の刃が彼の体を切り裂いた。さらに、よろめく彼の背後に降り立ったイクシードがバク転し、錐揉み状に回転しながら飛び蹴りを喰らわせた。

 

 蹴り飛ばされたデスドーパントが立ち上がると、彼の隣にアクセルに殴り飛ばされたファイタードーパントが落ちてくる。

 

 

「黒芭様……ッ!」

「ヘヘッ、ヤッパリ強ェナ、仮面ライダー……ッ!」

「これで最後だッ!」

 

 

 追い詰められたドーパント達にトドメを刺すべく、アクセルはトライアルメモリのマキシマムカウンターを起動する。

 

 

トライアル・マキシマムドライブ!

 

 

 両腕を合体させて作ったファイタードーパントがレールガンを発射する。高出力のエネルギーがアクセル達を呑み込もうとするが、二人の仮面ライダーの前に出たマリアが剣を収納した左腕アーマーを砲身に変形させ、砲撃を放つ。

 

 

HORIZON†CANNON

 

 

 衝突したレールガンとエネルギー砲が大爆発を起こし、両者の間に黒煙が生み出される。それを突き破ってきたイクシードが、マキシマムスロットにT3イクシードメモリを挿し込む。

 

 

イクシード・マキシマムドライブ!

 

 

 白銀の輝きを纏ったパンチが直撃し、間髪入れずに内部に送り込まれたエネルギーが爆発した。

 

 

ブロークンイクシード

 

 

 超威力の必殺技をファイタードーパントが膝をつく。続いて黒煙から飛び出してきたのは、トライアルメモリを頭上に放り投げたアクセル。目にも留まらぬスピードでデスドーパントに迫るが―――

 

 

「ソウハ……サセネェッ!」

 

 

 内臓が弾けているはずなのに、ブーストをかけて飛び出したファイタードーパントがデスドーパントを突き飛ばす。次の瞬間、アクセルの連続蹴りが始まる。

 

 ファイタードーパントでさえ捉えられぬ速さ。蹴撃が速すぎるが故に蒼いT字が見えるほどの勢いで次々と右足がファイタードーパントに叩き込まれ、振り向きざまにアクセルは重力に引かれて落ちてきたトライアルメモリのタイマーを止める。

 

 

「9.8秒―――それが貴様の絶望までのタイムだ」

マシンガンスラッシャー

「グアアアアアアァァァァァッッッ!!!」

 

 

 ファイタードーパントの断末魔と共に大爆発が起き、その奥から膝から崩れ落ちた黒芭の姿が現れる。

 

 

「黒芭様ッ! ……くっ、なんという無茶を……ッ!」

「へ、へへ……。敵わねぇなぁ、仮面ライダーには……」

 

 

 デスドーパントが黒芭を抱き起す。炭のようになって消えていく( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )、彼の体を。

 

 

「……ッ!? 貴様、まさか……」

 

 

 その現象をかつて見た事あるアクセルが驚愕の視線を向ける。もしそれが本当だったら、もしや黒芭……いや、ひょっとしたらリーダーを除いたラメンターのメンバー達は―――

 

 

「どうでもいいさ、そんな事は……。……シ、シアン……」

 

 

 自分を抱えるデスドーパントに、黒芭は決して無視できないダメージを受けて体外へ排出されたT2ファイターメモリを押し当てる。

 

 

「リーダーを……頼んだぜ……」

「……お任せを」

 

 

 重々しく頷いたデスドーパントに満足げに微笑んだ後、黒芭はその身を塵に変えて消えていった。

 

 誰もがその光景に息を呑む中、デスドーパントは床に落ちたガイアメモリを手に取り、ゆっくりと立ち上がる。

 

 

「……お見苦しいところをお見せしましたね。ですが、ありがとうございます。これで彼は、ようやく眠れましたから」

「……憎くないのか? 私達が」

「憎んでおりません。ようやく彼は眠れた、それだけしか思えないのですよ、私は。……では、私はこれにて。また会いましょう」

 

 

 テレポートジェムを砕いてデスドーパントが姿を消すと、本部にいる弦十郎から連絡が入る。

 

 

『……ご苦労だったな。お前達』

「……えぇ。セレナ達は?」

『先程報告が入った。アルカ・ノイズ、ドーパント、共に撃破したようだ。各自、潜水艦に帰投するよう―――』

 

 

 その瞬間、通信越しに轟音が轟き、本部との通信が一瞬途切れた。

 

 

「な……ッ!? 弦十郎さんッ!?」

『ぐぅ……ッ! なにがあったッ!?』

『海底に巨大なエネルギー反応を確認ッ! これは、以前翔太郎さん達が戦った人型兵器ですッ!』

『奴か……ッ! すまないが、脱出は君達に任せるッ! 友里ッ!』

『潜水艇の位置を検索―――出ましたッ! 転送しますッ!』

 

 

 友里がそう言った頃には既にマリア達の端末に潜水艇の場所が表示され、それを確認した彼らは頷き合う。

 

 

『人型兵器は我々が引き付ける。君達はその隙に脱出してくれッ! 響君、了子君、頼めるか?』

『はいッ!』

『えぇ。本部を潰させるわけにはいかないわ』

 

 

 響とフィーネの会話を最後に通信が切られ、マリア達は潜水艇に急ぐのだった。

 

 

 

 

 ―――S.O.N.G.潜水艦。レイアの妹の襲撃を躱す為に全速力で海面に浮上した頃、ハッチを開けてガングニールを纏った響と、ネフシュタンの鎧を纏ったフィーネが甲板に出てきていた。

 

 

「まさか、こうして了子さんと一緒に戦えるなんて思いませんでしたよ」

「私もよ。貴女の戦い、間近で見させてもらうわよ?」

『二人共、来るぞッ!』

 

 

 弦十郎の声に二人が気を引き締めると、海面を突き破って、彼女達の数十倍の体躯を誇る巨人が現れた。巨人は自分を見上げる響達を視認すると、彼女達ごと潜水艦を撃沈させようと腕を振り上げるが、それが振り下ろされるよりも早く動いたフィーネが、右手の鞭をしならせてそれを弾き、さらに左手の鞭を巨人の首に巻きつける。

 

 

「そう簡単に潰させるわけないじゃない。響ちゃん、行きなさい」

「はいッ!」

 

 

 鍛え上げられたバランス感覚で鞭の上を駆けた響を狙って巨人が腕を伸ばしてくるが、それを勢いよく跳び上がって回避し、右腕アーマーを強く引き、腰に備え付けられたブースターを片方だけ噴射させる。

 

 

「どおおおりゃあああああッッ!!」

 

 

 凄まじい勢いで回転した響は、遠心力を活かして鞭に首を拘束されて動かせないでいる顔面に強力な一撃を喰らわせた。

 

 

「やっぱり凄まじいわね、あの子は。私も負けてられないわね」

 

 

 巨人の体を大きく揺らがせた響の一撃に感嘆の息を漏らしたフィーネは鞭を巨人から離した後、その先に二つのエネルギー球を作り出す。

 

 

「消えなさい」

NIRVANA GEDON

 

 

 放たれたエネルギー球は巨人の胸部に直撃し、周囲にあるものを巻き込みながら大爆発した。

 

 

「……強すぎないですか? 了子さん……」

「これが欠片の聖遺物と完全聖遺物の力の差よ。しかと目に焼き付けておきなさい」

 

 

 響の一撃も中々のものだったが、フィーネの攻撃はそれを遥かに凌駕するものであり、響は改めて、彼女が敵じゃなくてよかったと思うのだった。

 

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