Phantasy Star Froger's   作:Father Bear

6 / 19
⑥パレードの序章

私が助けた命は、結局"救"われる事は結局無かった。

 

『縺頑ッ阪&縺√=縺√=縺√≠縺ゅ≠縺ゅ=縺√=繧�

縺顔宛縺輔=縺√=縺√≠縺ゅ≠縺ゅ=縺ゅ≠縺√s

縺ゥ縺薙♂縺峨♀縺翫♀縺翫♀縺�』

 

「いっ……イヤァァぁぁぁぁあ……っ」

 

無機質な明かりが照らす一本道の廊下で、私の声に釣られた怪物を目に、私は戦慄する。

地球の映画に出てきたゾンビの様な巨大な肉の塊が人間の様に立って、私の方に向かって歩いてくるのだ。私でなくともそうなるだろう。

 

『……縺?≦縺?≧縺?≧窶ヲ窶ヲ窶ヲ

蟇ゅ@縺?h縺峨♂縺峨♂縺峨♀縺翫♀縺翫♂窶ヲ窶ヲ………』

 

そして、この怪物は何か奇妙な言葉を喋っている。何を言っているかは私には理解する事が出来なかったが、

 

「……なんだか……」

 

寂しそうな声に聞こえた。

何を思ってそう思えたかは私本人にすらわからない。ただの直感である。

 

「とにかく……ッ!逃げなきゃ……キャアッ!!」

 

不覚にも足元の血溜まりのヌメリに脚を滑らせてしまい、派手に転んでしまう。だが幸いにも転んだ先は血溜まりではなく普通の床だったので、全身が赤く染まる事は無かった。

しかしその間に意外な事が既に起こっていた。

 

ヌチャッ……ヌチャッ……ヌチャッ………………

 

(はっ……速い………!!)

 

怪物はすぐそこ、目測約5mの所まで来ていた。確かにパッと見、動きはスローかもしれないが、そもそも5mの天井に届きそうな巨躯だ。歩幅が違い過ぎる。

 

『………縺ゅ↑縺溘?窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ縺頑ッ阪&繧凪?ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ?滂シ』

 

怪物はゆっくりと……………私の顔に自身の顔を近付けた。何の為かはわからない。

 

(……待って……この…口の辺りに着いてる赤いのって………)

 

前言撤回。目的はすぐにわかった、補食である。生物学に精通しているわけではないが、全ての有機生命体には"基礎代謝"というモノがある。人間で言えば運動をすれば身体のエネルギーが汗というモノになって体外に排出されるアレである。

それは身体が大きくなれば大きくなる程活発になり、動く上で大量のエネルギーが必要になる。

しかもこの怪物の体調は約5m。これだけのサイズになると基礎代謝は計り知れない。

しかし何より恐ろしい事はこの口は私達人間を食らっているようだった。口の周りを見れば、パスタを食い散らかした子供の様にベットリと血液や肉片が着いており、グロテスク極まり無かった。

 

(い、イヤだ……私、死にたくないぃいっ………)

 

しかし、そのイヤな予感が的中する事は無かった。

 

『………………驕輔≧縲√♀豈阪&繧薙§繧?↑縺……』

 

そううめき声を上げ、ノッソリと上体を起こしどこかに行こうとした。

 

「………どうして……?」

 

わからない。今度こそ本当にわからない。

目的が補食でないのだとしたら、今の行動は一体………

その時だった。

 

「待ちやがれえぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!!」

 

威勢のいい少年の声が狭い廊下の中を木霊した。

 

ビュゥゥゥゥゥゥゥウンッ!!!!

 

「きゃぁぁあっ!!」

 

同時に何か刃物の様なモノが勢いよく目の前を素通りする。形状から察するに恐らくダブルセイバーだ。そしてソレは、謎の行動を起こした例の怪物の背中に

 

ザシュァァァァァァアアアァァッッ!!!!!

 

深々と突き刺さる。

アレはゾンビといえどかなり痛そうだ。背骨も絶ち伐られてもう立っている事もままならないハズ。

しかし、

 

『…………!!!!!!!』

 

倒れこむどころか立ち止まり、身体を180°反転させた。怪物の顔は怒りに満ちており、もう先ほどの様な行動は見せないだろう。

………ん??"先ほどの様な行動は見せない"………?

 

「………ダメっ…!走らないと……!!」

 

走ろうとして脚に力を入れるも……立てない。腰を抜かしきって、逆にこちら側が立つことが出来なくなっている。

 

『逞幢スァ?ァ?ァ?ァ?ァ?ァ?ァ?ァ?ァ?ア?ア?ア?ア?ア?ア縺!!!!!!!』

 

遂に"走って"きた。あんなバランスの悪そうな体型でよく走れるものだと思う。しかし感心なぞしてる場合ではない。なんとかしなければ………

 

「おいアンタ!!大丈夫か!!!」

 

先ほどの少年の声だ。私に言っているのだろうか。

 

「……っダメ……!脚に力が………」

 

「なら俺に掴まれ。大丈夫味方だ、アンタがなんもしなきゃな」

 

少年の身体に触ると、ドンドン身体が透けていくことに気が付いた。恐らくこれは惑星探査時に使用される、先住生物に捕捉されない様に身体を透明化させるあれに酷似したモノだろう。通称"ステルス迷彩"、だったか。

そして自身の事を"味方"だと言う少年の支えで、私は間一髪で怪物の魔の手から逃れる事に成功したのだ。

 

 

 

 

「……………全く……こんな夜中に何も起こりゃしねぇだろうよ……」

 

俺の名前はユウキ・フォーラル。とある警備会社で働いているしがない男である。ちなみに身長が低いだとか可愛いだとか言ったやつはブッ飛ばす。問答無用で、だ。あぁ後子供扱いするやつ。

現在この艦立病院の警備を、管理者でもある八番艦ウィンからの依頼で行っている。………と言っても始めてから今まで何かあった事など一度も無かった。正直、この仕事を舐めきっていると思う。

そんな頃だった。病院の監視カメラから送られてくる映像を身の丈に合わない大きな椅子に座り大きなモニターを眺めていると、同僚のルミエーラがその病院での潜入警備から帰ってきた。

すると帰ってきて早々、監視室に入ってきて妙な事を口に出し始めた。

 

「……ハァ??気絶させられただァ??毎日色んな意味で油断も隙もあったもんじゃねぇテメーがか???」

 

「……女の子に言っていい言葉選ぶっていう努力、知ってるかしら」

 

まぁこれは自分が悪いと思う。反省しよう。

 

「……悪かったよ……で?マジなのかよそれ」

 

「…マジの、マジ。…なんで気絶したかわからないけれど、間違いのない、事実」

 

「サボってて思い付いた作り話じゃねーだろうな?」

 

まぁそういう事は今までしなかった、誠実なルミエーラの事だ。そんな事はないだろう。

…カネが絡むと面倒くさいが。

 

「違う。バレたら怒られちゃう」

 

「……あぁそうかよ」

 

これ以上話を続けても返ってくる答えは「事実」だと一点張りだと悟り、俺は椅子の向きをモニターに向け"一応"監視は続行する。ルミエーラはそんな俺を見かねて部屋を出ていってしまった。

しかし、一応という言葉は"すぐに撤回される事になる"。

 

「……あぁん……?」

 

監視カメラの1つ、北棟3階裏口方面におかしなモノが映し出されていた。それは……

 

「血痕………か???」

 

裏口、救急車両やVIPなどが出入りする場所に。カメラに映るギリギリの大きさの血痕がそこにあった。

 

(重症患者を運ぶ時に漏れたのか……??いや…でも……それにしては……)

 

何か、イヤな予感がした。

俺はすぐに、先ほど部屋を出ていったルミエーラに通信をかける。

 

「おいルミエーラ、お前が倒れてた場所どこだ」

 

『……確か……"北棟3階裏口方面"』

 

………まさか、な

 

「じゃあ……この場所に見覚えは??」

 

俺はルミエーラのメールボックスに、監視カメラに映し出された光景を送信した。すると返ってきた答えはこうだった。

 

『…ある』

 

「この場所にこの血痕はあったか???」

 

『……無かった。ここは…昼間目を瞑りたくなるような真っ白な、地面。こんな場所に真っ赤なモノ残すなんてまるで、ミートスパゲティのソースを白いワンピースにつけちゃった、みたいな目立つ事だから……』

 

「……ずいぶん具体的だけどさ、ひょっとして経験d「何か言ったかしら」

 

つまり、先ほど話にあった『気絶させられた』という話と、この『血痕』。繋がってくる。

 

「なるほど……つまり午後2時から午後3時過ぎの間。ここで何かあった、と。なら監視カメラの時間遡りゃいけんだろ」

 

しかし

 

『無駄。私達みたいな民間企業に、内部状況を1から10まで保存させる程、病院側も甘くはない』

 

「なんだと???」

 

試しに遡ってみる。すると出てきたのは……

 

「ン~~と何々………『保存期間を終了しました』ァ……??」

 

まぁ確かに先ほどのルミエーラの説明にも納得はできる。もし病院内の闇の部分が外部に常時漏れる可能性を考慮するとコレは全うな処置なのかもしれない。

 

「……とりあえずそれはまた明日だ。明日に備えてやs

 

『縺頑ッ阪&縺√=縺√=縺√≠縺ゅ≠縺ゅ=縺√=繧�

縺顔宛縺輔=縺√=縺√≠縺ゅ≠縺ゅ=縺ゅ≠縺√s

縺ゥ縺薙♂縺峨♀縺翫♀縺翫♀縺�』

 

…………っうわぁビックリしたァ!!!!!!」

 

突然気味の悪い声が部屋中を飛び交う。

ハッキリ言って、これは怖い。

 

「なんだなんだ一体………………………なんだ………こりゃ………」

 

カメラに写った、"ソレ"は

 

『……縺?≦縺?≧縺?≧窶ヲ窶ヲ窶ヲ

蟇ゅ@縺?h縺峨♂縺峨♂縺峨♀縺翫♀縺翫♂窶ヲ窶ヲ………』

 

かろうじて人型と言えるような巨大な肉塊が歩いていた。

ネチョネチョと気色悪い音をたてながら歩く様はさながら映画に出てくるゾンビであった。

そしてここの職員俺含め"3"名に緊急召集をかけ、同時に出撃コード及び武装ロック解除コードを送る。

 

思えば俺達の奇妙な運命の絡まり合いは、ここから始まったのかもしれない。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。